KONAMIから配信中のプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Windows、Steam)用ソフト『eFootball 2022』の“アップデート(バージョン1.0.0)”が、2022年4月14日に配信された。

 ここでは、KONAMI『eFootball 2022』のプロデューサーである木村征太郎氏に、“アップデート(バージョン1.0.0)”を開発するにあたって注力したポイントなどを聞いた。

新生『eFootball 2022』の魅力を木村プロデューサーに聞く。最新アップデート“Ver1.0.0”では、操作面やグラフィック、システムなど、すべてが大幅に遊びやすいものに生まれ変わった

木村征太郎氏

KONAMI『eFootball 2022』プロデューサー

『eFootball 2022』PS Storeサイト 『eFootball 2022』Microsoft Storeサイト 『eFootball 2022』Steamサイト

ディフェンスやパスを中心に『ウイイレ』ライクな操作感へ

――今回、多くの修正や新機能の実装など大きなテコ入れをすることになった経緯を教えてください。

木村まずは調整不足のままリリースしてしまったことをお詫び申し上げます。さまざまな挑戦を盛り込みましたが、それらのバランスをうまく取ることができませんでした。一度は緊急パッチで対応させていただきましたが、このまま細かい修正をくり返しても根本的な解決にはならないという判断から、少し時間をいただいて大きく改修することにしました。今回のアップデートに際しては、アンケートなどで幅広くご意見を募集して、それらを反映しています。半年をかけて、ようやく自信を持って提供できるものができあがったと自負しています。

――きびしい意見が相次いだということですが、それらについてはどのように感じましたか?

木村想像していた以上に多くのご意見を頂戴しました。操作感からUIの細かい部分にいたるまでさまざまなご意見をいただき、表面的な調整だけでは満足いただけるクオリティーに達しないと考え、時間をかけてバランス調整や仕様の見直しをさせていただいたというのが正直なところです。

――意見というのは、国内だけでなく全世界からのものなのですか?

木村そうですね。国内外あらゆるエリアからのフィードバックを受けています。国内と国外でそれほど内容に差はなかったのですが、強いて言うなら国外ではビジュアル面での指摘が多かったと思います。PCユーザーの割合も多いので、スペックに見合ったグラフィックが表現できていないという指摘が多かったです。

――グラフィックのバグについても早急に現象を認めて対応に臨んでいたという姿勢から、今回のアップデートについても期待が持たれていたと思いますが、その内容について簡単にまとめていただけないでしょうか?

木村試合中の操作と、グラフィックやUI、システムといった部分で幅広く手を入れていますが、操作ではディフェンス>パス>シュート>ドリブルの順に大きく改善を図りました。

――パスではなくディフェンスなんですね。

木村プレイ時間の約半分はディフェンスをしているので、割合で言うと重要度はかなり高いものなんです。直感的な守備を実現できるよう、守備に関するプレイの優先順位を再検討しました。いちばん大きいところでは、プレスを『ウイニングイレブン』シリーズと同様に×ボタン(※プレイステーション4、5の場合)に割り当て直しています。基本となる操作をやりやすくすることで、そのほかの操作と組み合わせるハードルを下げています。

――そのほかには何か新要素が入っているのでしょうか?

木村チームプレスもぜひ試してみてほしいです。ここぞと言うときに使って相手のボール保持者を囲めばボールを奪いやすいので、そのままカウンターのチャンスとなります。ほかにも□ボタン(※プレイステーション4、5の場合)は新たに“ショルダーチャージ”をくり出せるようになり、相手と並走している場面などでボールを奪えるチャンスが上がります。もちろん、いずれもかなりの量のテストプレイを重ねて調整していますが、これからも都度調整していくつもりです。

――続いて力を入れたのがパスということですが。

木村R2とキックボタン(プレイステーション4、5の場合)を同時押し(R2は最大まで押し込み)することで、“インパクトキック”という通常よりも高速で精度の高い弾道のパスを出せるようにしました。このようなパスというのはいまやサッカー界ではトレンドとも言えるもので、少し先のアップデートでの投入を予定していましたが、前倒しして入れた形になります。いままでにない強いパスを出せるようになったことで、攻撃のリズムが変わります。

――パスだけでなく、シュートでも使えるんですよね。具体的にはどういったシチュエーションで使うのでしょうか?

木村走り込む味方に鋭いパスを出して相手の守備網を破ったり、キーパーに触らせずにゴールを決めたいといった、決定的な場面を作るのに使います。ただ、使っていて気持ちいいし、観ている側をも魅せる、メリットだらけのキックではあるのですが、蹴り出す前に少し狙い澄ますモーションが入ってキックまでに時間がかかるという大きなデメリットが存在します。ですから、密集地帯では使えず、プレイヤーとしてはインパクトキックを使えるようなフリーな状態を作り出すことが前提となるわけです。

――言葉では簡単ですが、どうやればフリーになれるのでしょうか?

木村たとえば、サイドでパスを回していれば相手ディフェンスが集まってくるので、逆サイドの味方がフリーになります。その選手にボールが渡ればインパクトクロスのチャンスです。チョップタッチドリブルで相手を置き去りにできたときも、インパクトシュートのチャンスですね。

木村グラウンダーパス、フライパス、クロス……あらゆるキックを強力にしてくれるので、インパクトキックが使えるようになると得点機会も劇的に増えると思います。

――ふたつのボタンを同時押しと、操作的にも少し難しいものになっているのも「強力だけど簡単には使えないぞ」というわけなのですね。

木村そうですね。ほかにも、R1を押しながらパスをくり出すことで、最初にパスを出した選手が斜めに走り出す“ダイアゴナルラン”をしてくれる“パス&クロスラン”という要素も入れています。これまでも、L1を押しながらパスのワンツーパスでパスを出した選手を前方に走らせることができたのですが、さらに選択肢が増えた形です。 そのほか、より快適性を上げるため、パススピードの調整などさまざまな改善を盛り込んでいます。(※操作ボタンはいずれもプレイステーション4、5の場合)

――これまで伺ってきた操作は、基本的には専用コントローラーが用意された機種に対応したものだと思いますが、ボタン数が少ないハードや、そもそもボタンのないモバイル版ではどうなるのでしょうか?

木村ボタンへの機能の割り当てや操作方法を工夫することで、なるべく家庭用と近い体験ができるように操作体系を調整しています。

新生『eFootball 2022』の魅力を木村プロデューサーに聞く。最新アップデート“Ver1.0.0”では、操作面やグラフィック、システムなど、すべてが大幅に遊びやすいものに生まれ変わった

待望の育成要素が“ドリームチーム”として装いも新たに実装

――さて、今回のアップデートでは待望の新モードが実装されます。名前が変わって“ドリームチーム”となるようですが、これはどうしてなのでしょうか?

木村これまで予定していた“クリエイティブチーム”と基本的な構造が変わったわけではないのですが、よりモードの売りを前面に押し出したネーミングにしようということで名称を変更しました。

――クリエイティブチームから名前以外の変更点はあるのでしょうか?

木村事前に公表していた内容から大きく変更はしていません。以前のmyClubからの変更点としては、選手集めを楽しんでいただけるように、選手をカード化し、さらに選手はガチャだけではなく、GPを使って指名して獲得できるようになっています。

――好きな選手や監督が指名できてしまうということですね。

木村はい。“Player Value”という新しい価値基準がありまして、その価値や能力値によって獲得に必要なGPが異なるので、GPをどのように使っていくかがキモになります。また、育成面でも獲得したポイントを割り振る形で選手を成長させていき、自分の目指すサッカーに合わせてカスタマイズできるようにしています。好きな選手を育てながら、長く遊んでもらえることを重視したシステムだと考えてください。

――選手カードは何種類くらいあるのでしょうか?

木村GPで獲得できる“スタンダード”のほかに、これまでのレジェンドに相当する“レジェンダリー”、直近の試合の成績から選出される“トレンド”、KONAMIが独自にピックアップする“フィーチャー”などがあります。

――やはり強力な選手は課金で手に入れるカードに設定されるのでしょうか……。

木村カードの種類の違いは、デザインだとか専用のゴールセレブレーションが付いていたりとか、ゲームプレイの強さではないところで差別化していく方針でいます。ですから、スタンダードでも有力選手は用意してあります。一方で、能力によって獲得に必要なGPが設定されているため、最初から有力選手をバンバン揃えて力押しする、といったようなやりかたはできません。

――なるほど。課金要素は勝つためではなく副次的な楽しみを広げるためのもの、ということですね。副次的と言えば、ゲーム内イベントなども実施していくのでしょうか?

木村メインとなる“eFootballリーグ”では、28日を1フェーズとして対人戦リーグ戦を開催していきます。ディビジョン制になっていまして、1フェーズの間にできるだけ高いDivisionまで昇格することを目指します。また、今回のアップデートからは基本的に約2ヵ月をひとつの“シーズン”と定義し、そのシーズンのテーマに沿ったイベントも開催します。イメージ的には隔月のサッカー雑誌のような感じでしょうか。今回のアップデートからもシーズンに合わせたゲーム内イベントが開催されますので、ぜひ楽しんでいただきたいです。

新生『eFootball 2022』の魅力を木村プロデューサーに聞く。最新アップデート“Ver1.0.0”では、操作面やグラフィック、システムなど、すべてが大幅に遊びやすいものに生まれ変わった

――さて、今後の『eFootball』シリーズが予定している方向性についても伺えないでしょうか。

木村先ほどもお伝えしたように、“シーズン”の運営は2ヵ月単位で変えていく予定なのですが、そのタイミングで何かしらのアップデートを入れていきます。皆さんに飽きられないようにその都度変更を盛り込むつもりです。イベントについては、オンライン対戦だとか、ドリームチームを使ったCOM戦の結果によって報酬がもらえるような大会だとかを考えています。イベント報酬にするかどうかは未定ですが、レジェンド選手も随時投入していきます。

――それでは最後に、ユーザーへの今後の意気込みをお願いします。

木村昨年(2021年)9月の配信開始以来、半年以上お時間をいただいてしまいましたが、ようやく自信を持って「おもしろい」と思えるものができあがりました。ぜひダウンロードして遊んでいただきたいと思います。以前ダウンロードしたという方も、“バージョン1.0.0”になって大幅に遊びやすいものに生まれ変わっておりますので、ぜひもう一度遊んでいただければうれしいです。よろしくお願いいたします。

新生『eFootball 2022』の魅力を木村プロデューサーに聞く。最新アップデート“Ver1.0.0”では、操作面やグラフィック、システムなど、すべてが大幅に遊びやすいものに生まれ変わった