サービスから3周年を迎えたエレクトロニック・アーツのFPSバトルロイヤル『Apex Legends』。ますます成長を続ける本作の開発を手掛けるRespawn Entertainmentの開発チームに、これまでのサービスの歴史を振り返ってもらった。実装済みの各マップのデザインの意図やコントロールモードのコンセプトなど、興味深いトピックも飛び出した。

Steven Ferreira

最初期から開発チームを指揮し、2021年12月からはゲームディレクターとして開発を統括。

Evan Nikolich

2021年9月からRespawn Entertainmentに参加。おもに本作のゲームデザインに関して開発チームの舵を取る。

ゲームをよりよくすることが最優先

――これまでのサービスを振り返って、印象に残っていることはありますか?

Steven毎シーズン、プレイヤーの皆さんの反応に驚きを感じています。皆さんの反応を見ることは、『Apex Legends』を作るうえでもっとも幸せで、かつ落ち着かないことです。

 これまでを振り返ると、当初シーズン4で新レジェンドとして登場を予告したフォージと、レヴナントの手による彼の早すぎる突然の終焉(※)を作りあげたことは、開発チームにとって非常に満足のいく出来事でした。

※シーズン4にて登場が予告されていたフォージ。しかし、登場前に公開されたトレーラーでレヴナントに殺されてしまい、彼の代わりにレヴナントがゲームに登場した。

 私たちはどのシーズンでもコンテンツに情熱を傾けていますが、残念ながらときにはアップデートの内容が公開前に漏洩してしまうことがあります。

 その点シーズン4では、漏洩した情報の多くは実際のアップデート内容とは異なるものだったので、皆さんはレヴナントが登場するとは予想していなかったはずです。皆さんに驚きと恐怖を与えることができ、とても楽しかったです。

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――レヴナントのあの登場は驚きました。フォージの命日から約1年半が経ちましたが、いまだに彼のことを覚えているプレイヤーも多いと思います。

Stevenありがとうございます。もうひとつ、“スカルタウン”がシーズン5で海に沈んだことも、誰も予想していなかったと思います。この変更は“ゲームをよりよくすることが最優先であり、プレイ体験を向上させ続けるには、すべての要素を公平に捉える”という、我々の開発の精神を表していると思います。

『Apex Legends』開発陣インタビュー。つねにプレイヤーに驚きを与えるために動いてきた3年間

 それからアッシュについても、“壊されし亡霊”クエストで存在をほのめかしてから、シーズン9で“アリーナ”の支配人として再登場させ、シーズン11で正式に“Apexゲーム”に参戦するという流れは皆さんに驚いていただけたと思います。

ゲームプレイにも新たな驚きと楽しさを

――これまでのアップデートの中では、マップの追加もかなり大きな要素だと思いますが、新マップを作るときにはどのようなことを意識されるのでしょうか。

Steven新たなマップの実装は、当然、開発チームにとっても重要な出来事です。新しい要素の導入や、それぞれのマップを象徴するテーマの追加を通じて、ゲーム全体に影響を与えるために、マップの中に多くの新たなコンテンツを一度に登場させます。

 たとえば、“ワールズエッジ”をリリースした際には、“POI”(戦闘が起きやすい場所)の間隔が広がった大きなマップにおいて、各地を動き回る列車の登場がプレイヤーの降下地点や移動にどのような影響を与えるかを見ることができました。

『Apex Legends』開発陣インタビュー。つねにプレイヤーに驚きを与えるために動いてきた3年間

 浮遊都市であるオリンパスは、近未来的な都市のマップなので、それまでの自然あふれる景観のマップでのプレイとはひと味違う感覚でゲームを楽しめるようになったと思います。また、プレイヤーが落下死する危険な奈落を追加したことに加え、本作初となる操縦可能な乗り物“トライデント”や“フェーズランナー”の登場で、マップ上の移動方法も増えました。

『Apex Legends』開発陣インタビュー。つねにプレイヤーに驚きを与えるために動いてきた3年間

 “ストームポイント”でも、過去のマップから学んだことを活かし、戦闘のペースの向上や、漁夫の利を狙う相手部隊との遭遇のバランスを取れるような新たな取り組みに挑戦しています。プレイヤーの移動を容易にする“グラビティキャノン”や、主要なPOIをマップの外周に配置したほか、マップの中心にはあえてまばらにPOIを配置しました。その中で、“プラウラー”や“スパイダー”といった、プレイヤーの命を狙う存在を点在させています。

『Apex Legends』開発陣インタビュー。つねにプレイヤーに驚きを与えるために動いてきた3年間

――たしかに、ストームポイントではマッチ中の動きが大きく変わった印象がありました。POIの配置の影響だったのですね。

Steven昨年、シーズン8の最中にはプレイヤー数が1億人を超え、開発チームにとってのマイルストーンになりました。私たちは『Apex Legends』にすべてを注いできましたが、それでもやはり、1億人以上の方に遊んでいただけたことはいまだに実感が湧きません。

 この3年間には、語り尽くせないほど多くのことが起こりましたが、今後もプレイヤーの皆さんを驚かせることを楽しみにしています。

コントロールは初心者でも楽しめる間口の広いモード

――シーズン12では新モードとなる9対9の“コントロール”が登場しましたが、どのようなコンセプトで作られたのですか?

Evanこれまで『Apex Legends』では、3対3で戦うことをコアな要素として、それを軸にマップのレイアウトやレジェンドのアビリティをデザインしてきました。ただ、その現状と違った何かができないかということもつねに考えていたんです。

 その点において、コントロールは前から試してみたいと思っていたことで、開発もずいぶん前から進めていました。コントロールではバトルロイヤルのように一度倒されてしまっても、それでおしまいというわけではありません。何度もくり返し戦いながら、アビリティや武器を使う練習ができます。それに、味方の数も多いので、バトルロイヤルに比べてプレイヤーが感じるプレッシャーも小さいと思います。

 そういった意味で、初心者の方にもよりカジュアルに『Apex Legends』を楽しんでいただける場になると考えています。

『Apex Legends』開発陣インタビュー。つねにプレイヤーに驚きを与えるために動いてきた3年間

――レジェンドのアビリティなどの調整で苦労されることは?

Evanつねにゲームプレイにおける環境をチェックしています。トレンドがどうなっているか、盛り上がり過ぎているところはないか、逆に盛り上げるべきところはないかなどに目を配り、全体のバランスを取っています。

――『Apex Legends』はほかのゲームに比べて、競技シーンと一般のプレイヤーの距離が近い印象があります。競技シーンが盛り上がっていることで、バランス調整において何か影響はありますか?

Evan当然ですが、プロゲーマーがプレイするゲームは、一般のプレイヤーがプレイしているのと同じものです。お気に入りのプロゲーマーのプレイを見て刺激を受け、一般のプレイヤーの皆さんもプロのようにスキルを磨いてほしいと思っています。

 もしプロゲーマーが違うゲームのように戦っていたらそういった体験はできなくなってしまうので、武器やレジェンドのアビリティなどのバランス調整にはかなり気を使っています。

――日本のプレイヤーにひと言メッセージをお願いいたします。

Evanプレイしていただいて本当に感謝しています。日本のファンの皆さんからは、我々の想定以上のリアクションがあるので、私自身その反応をとても楽しんでいますし、開発チームにとっても大事なコミュニティーのひとつだと思っています。

Steven日本でも多くのプレイヤーの皆さんに楽しんでいただいていることがとてもうれしいです。『Apex Legends』の物語、レジェンドたち、そして皆さんのゲームに対する情熱と興奮が、最高のバトルロイヤル体験を今後も作り続ける決意をさせてくれます!

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