2022年でサービス3周年を迎えた大人気FPSバトルロイヤル『Apex Legends』。爽快感溢れるスピーディーなバトルが人気を博している本作だが、レジェンドたちの個性も魅力のひとつ。ゲーム中のセリフやトレーラーなどで濃密に描かれる、レジェンドたちの関係性やドラマは、どのようにして作られるのか。Respawn Entertainment(以下、Respawn)の開発チームにインタビューを行った。

レジェンドたちが語りだす物語

――レジェンドたちの関係はシーズンを経るたびに深くなっている印象があります。彼らの関係を描くうえで意識されていることは?

Respawn 私たちはレジェンドたちのあいだにあるドラマをとても気に入っています。それぞれに関わり合いがなければおもしろみがないと思うんです。そのため、我々はつねに、新たな衝突や興味深い関係性が明らかになるレジェンドどうしのつながりを模索しています。

 その中でとくに気をつけていることは、レジェンドたち自身の声をよく聞くことです。そうすることで彼らは、自身が何を感じ、何を体験してきたかを私たちに教えてくれます。

 たとえば、ホライゾンはどこまでもポジティブな性格ですが、深い因縁のあるアッシュが彼女の前に再び現れた際には彼女の葛藤を見ることができました。私たちは、ホライゾンは混乱の中にいるものだと思っていましたが、ホライゾンの反応を描写し始めたとき、彼女が自身の感情を教えてくれたのです。それは純然たる怒りでした。

『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」
『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」

 このように、レジェンド自身の声を聞くことは、レジェンドの内面を描いていく際にもっとも興奮する部分です。彼らはつねに我々に語りかけていて、ライターはその言葉を書き留めているだけなんです。

マッドマギーは反抗心の塊

――シーズン12で登場したマッドマギーについて教えてください。

Respawn マッドマギーは『Apex Legends』ならではの反抗心に溢れたサルボの戦士で、チューイングガムを噛んで、いつでも臨戦態勢といったイメージのレジェンドです。

 2022年1月25日に公開した“アウトランズ・ストーリーズ-「ジャッジメント」”で彼女は自分で歯を折りましたが、あの後に歯を治療してくれた歯科医に「ガムを噛むのはもうやめたらどうだ」と言われたとします。それでも、さらにガムを口に放り込んで、戦闘モードに入るのが彼女なんです。

エーペックスレジェンズ | アウトランズ・ストーリーズ - 「ジャッジメント」

『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」
『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」
『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」

――まさに反抗心の塊ですね(笑)。ゲームプレイにおけるコンセプトも教えてください。

Respawn 彼女はゲームプレイにおいては攻撃的なキャラクターです。エリアに陣取った相手部隊を排除しにいくアグレッシブなプレイを楽しむプレイヤーは、彼女のことを気に入ってくれると思います。“W”キー(前進)を押しっぱなし、またはコントローラのスティックを倒しっぱなしにしてプレイしたくなるようなレジェンドなんです。

――オフェンスタイプのレジェンドの中でも、とくに攻撃的な立ち回りが楽しいレジェンドですよね。

Respawn 彼女の戦術アビリティとアルティメットアビリティはいずれもゲーム内の地形に対してユニークな反応をします。戦術アビリティは障害物の片側に張り付きますが、その反対側にダメージを与え、アルティメットアビリティは障害物から鋭角に跳ね返ります。

 マギーを使うプレイヤーがマップを理解すればするほど、より効果的な戦術を展開することができ、驚くようなスーパープレイも可能になるかもしれません。ゲームに登場するオフェンス型のキャラクターの中で、マギーは相手部隊が防衛しているエリアを制圧することをもっとも得意としています。

 ヒューズとバンガロールもアルティメットアビリティを使って同様のことができますが、ふたりとも屋外でその強さを発揮します。一方でマギーの能力は、屋内外のどちらでも相手部隊の排除が可能です。

 彼女の戦術アビリティである“ライオットドリル”は、遮蔽物に隠れている相手をあぶり出したり、扉から遠ざけたり、ときには上や下からの奇襲攻撃にも使用できます。

 その反面、マギーはチームプレイにおける臨機応変な対応は少々苦手としていますが、苦境に立ったときには、彼女のアルティメットアビリティである“レッカーボール”によって、味方の部隊が態勢を立て直すのを助けることもできます。

――とくに注目の掛け合いを教えてください。

Respawn 物語においてヒューズとマギーは複雑な過去を持っており、最高の友人であるとともに最悪の敵です。お互いに大きな愛情と尊敬の念を持っていますが、同時に同じくらいの怒りや失望も感じています。

『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」

 また、ブラッドハウンドとはさらに複雑な関係性になっています。シーズン11で、ヒューズとブラッドハウンドは親しい友人となりましたが、古い親友がほかの人と親しくするのを目の当たりにするマギーはどう反応するでしょうね?

プレイヤーとともによりよいゲームを作る

――新レジェンドの能力はどのような流れで決められるのでしょうか?

Respawn 基本的には、最初におもしろいと思えるゲームのプレイスタイルを考え、そこからそのゲームプレイに合ったアビリティを構築していきます。例を挙げると、ワットソンは“防衛しやすい拠点を作る”というプレイスタイルを、クリプトは“遠隔で監視する”というプレイスタイルをもとにアビリティを考えました。

『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」
『Apex Legends』レジェンド開発陣インタビュー。「レジェンドたち自身の声を聞き、書き留める」

 ほとんどの場合、本当におもしろそうで役に立ちそうな能力にたどり着くまでにさまざまな能力を考えます。最初に思いついたアイデアが最終的にはゲームに合わないという結論にたどり着くこともありますが、そうした試行錯誤によって、新しいゲームプレイを発見できるんです。

 マッドマギーに関しては当初、建物に突入する“ひとりのSWATチーム”というアイデアがありました。このアイデアはとてもエキサイティングだったのですが、時間をかけて検討するうちに、『Apex Legends』のマップはほとんどが屋外であることから、扉を突き破ることが特徴のキャラクターではダメだと判断しました。

 ですが、“遮蔽物に隠れている敵をあぶり出す”というゲームプレイのおもしろさは、シーズン12で登場したマッドマギーにも残っています。

――ユーザーコミュニティーからのアイデアや意見を参考にされることはありますか?

Respawn 開発チームは『Apex Legends』に対するフィードバックをつねに集めています。プレイヤーの意見に耳を傾け、我々が持っている内部のデータやテストプレイの情報を鑑みながら、ゲームデザインとのバランスを取ることを楽しんでいます。

 その過程において、プレイヤーからの声は欠かすことのできない要素のひとつになっています。

――“バトルパス”や“コレクションイベント”などでレジェンドのスキンを実装する際に注意されていることはありますか?

Respawn シーズンごとのレジェンダリースキンを作るときには、そのシーズンに登場する新レジェンドからアイデアが生まれます。

 新レジェンドの背景にある物語や、キャラクターデザインのもととなる芸術性からのインスピレーション、そして、『Apex Legends』の世界での出来事やシーズン全体のストーリーなど、それらのすべてがレジェンダリースキンをデザインしていくうえで参考になっています。

 このアプローチにより、つねに変化するインスピレーションをもとに、毎シーズン新鮮なものを作りだすことができますし、全体的な統一感も生まれます。

――レジェンドの追加ペースはこれからも変わらないのでしょうか?

Respawn いまはまだ具体的なことは言えませんが、『Apex Legends』の世界にとって、レジェンドたちはとても重要な要素だと考えています。いま考えているレジェンドたちをプレイヤーの皆さんにお披露目できるのを楽しみにしています!

――『Apex Legends』のプレイヤーにひと言メッセージをお願いいたします。

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