Tango Gameworksが放つ完全新作はかなり“濃い”!
東京の地理がいまだにわからない、上京者の西川くんです。ベセスダ・ソフトワークスより2022年3月25日発売予定のプレイステーション5/PC向けアクションアドベンチャー、『Ghostwire: Tokyo』(ゴーストワイヤー トウキョウ)。この完全新作の開発は『サイコブレイク』シリーズを手掛けたTango Gameworksです。
本記事では、プレイステーション5版の製品版を遊んだプレイレビューをお届けします。なお、プレビューイベントでのレビュー記事も公開されているほか、撮りおろしの動画もあるので、あわせてチェックしてみてください。
Ghostwire: Tokyo 発売記念プレイ動画
主観で進むアクションアドベンチャー
本作は主観視点で進む、箱庭型のマップを舞台にしたアクションアドベンチャーで、いわゆるFPSのプレイスタイルに近い感覚で遊べます。プレイヤーは主人公・伊月暁人(いづき・あきと)の視点で舞台となる現代の東京を探索しつつ、敵を倒しながら自分を育成したり、さまざまなミッションをこなしながらゲームを進めていきます。
最初に断言しておきますが、本作は純粋なアクションゲームです。Tango Gameworksが『サイコブレイク』シリーズを開発していたことや、これまでに公開されたトレーラーやビジュアルなどから本作をホラーゲームと思っている人も、少なくないかもしれません。幽霊が題材に取り上げられているので、ほんの少しのホラー要素はありますが、あくまで物語や演出は万人が楽しめるものになっています。怖いのが苦手という人も、少しだけご安心を(あるにはあるので……少しだけ)。
Tango Gameworksといえば三上真司氏が設立した開発スタジオなので、本作も三上氏がディレクターを務めていると思われるかもしれませんが、『Ghostwire: Tokyo』はTango Gameworksの木村憲司氏がディレクターを担当した作品です。三上氏も“監修”的な立ち位置では関わってはいるそうですが。
これまであまり情報が明かされず、発売が間近になったころからプレイ動画などが公開されるようになりました。筆者としては、発表されたときから「おもしろそうだけど、どんなゲームなのかな?」とつねづね気にはなっていたのですが、今回、実際に本編を遊んでみた結論から言うと……メチャクチャにおもしろいゲームでした!
では、数多くの要素を含んだ『Ghostwire: Tokyo』を紐解きながら、そのように断言できる理由をレビューしていきましょう。まずは、物語と登場人物について。
ホラーじゃない! これは王道の少年マンガだ
物語は主人公の暁人が、入院している妹・伊月麻里(いづきまり)のもとへ向かっている最中の出来事から始まります。暁人は東京・渋谷駅前のスクランブル交差点で交通事故に遭い、瀕死の状態になってしまいます。そこに現れたのが、謎の霊体です。
その霊体が暁人に憑依すると、その力のおかげか、暁人は息を吹き返します。しかし、暁人の頭に声が響き渡ります。声の主である霊体は“KK”と名乗ります。この霊体、どうやらゴーストハンターの様子。パニックになる暁人を横目に、謎の霧が渋谷を覆い始めます。
霧に包まれた人々は、一瞬にして消えてしまいます。しかし、これもKKの力なのか、暁人は無事です。ますます混乱する暁人をよそに、KKは暁人の身体を乗っ取ろうとします。
必死に抵抗する暁人ですが、スクランブル交差点の街頭モニターに突然、般若の面を着けた謎の人物の映像が流れます。「人類を救えるのは私だけ」と言い放つ般若とKKには因縁があるようで、KKは般若を止めるために暁人の身体を使おうとしたのです。
般若の野望が妹の麻里をも標的にすることを知った暁人は妹のために、そしてKKは般若の野望を止めるために……。お互いの利害が一致したふたりは、渋々ながら協力することを誓います。
KKは自然の力を操る能力を暁人に授け、暁人は持ち前の正義感で目の前に現れる、この世の者ならざる存在“マレビト”を打ち倒していきます。そして、般若を追うために闇と霧に包まれた東京を駆けていくのです。
……というように、本作では事故で死にかけた主人公が謎の力で蘇生し、霊となった相棒と協力して超常の力で敵を倒していくという、なんとも少年マンガのような王道のストーリーが展開します。これがもう、すごくいい! もちろん般若の目的やKKの狙いなど複雑な要素も絡んでいきますが、“暁人とKKが妹と東京のために戦う”という大筋はシンプルで入り込みやすく、プレイを進める動機にもなりました。
さらに、物語の中ではこの世とあの世が入り混じるようなシーンがよく見られるのですが、これがTango Gameworksらしさ満載で、奇妙かつ不気味な演出がとてもすばらしいんです。このあたりにホラーっぽさをに感じる方がいるかもしれませんが、筆者としては大いに楽しめました。
ふたりの“バディ”感に注目
暁人はいたってふつうの、どこにでもいる22歳の学生です。KKは年齢不詳のゴーストハンターで、口調はぶっきらぼうですが、やさしい一面も持つ“イケオジ”。序盤は、とにかく妹を早く助けたい暁人と、一刻も早く般若を倒したいというKKがぶつかり合うこともありますが、戦いを積み重ねていくうちに友情のような絆が生まれ、お互いを認め合うようになっていきます。
このいわゆる“バディ”感が、プレイしていて楽しくなるところです。本作の会話は暁人とKKのやり取りが大部分を占めており、暁人がヘマをすればKKがツッコミを入れたり、足りない知識をKKが補ってくれるだけでなく、暁人のぼやきにKKがぼやきで返すなど、そのやり取りが細かく、バリエーションも多くておもしろい。
重ねる会話の中から暁人やKKの人となりが見えてくるのもユニーク。暁人は“女郎ラーメン”という某店を模したであろうラーメン屋が好きなようですが、KKは「最近のラーメンはよくわかんねぇ」、「俺には食い切れねぇ」とつぶやいたりします(笑)。ゲームの本筋とは関係のないセリフたちが、キャラクターの人間性を自然と深めてくれます。なにより、井上和彦さんが演じるKKの声が超カッコイイ!
本作ならではの舞台、“東京”
暁人たちが探索するのは現代の東京です。ゲーム開始時は渋谷駅周辺がメインとなっていますが、“鳥居”を浄化することで霧が晴れ、新たな探索エリアが広がっていきます。なお、霧に入ると継続的なダメージを受けるので、無理やり探索することは不可能です。
渋谷には駅前のスクランブル交差点から、渋谷カゲリエ(ヒカリエ?)、429(109?)、スポーツ街(センター街?)といった、実際にあるスポットをモチーフにした名所が多数存在します。渋谷駅や渋谷カゲリエにいたってはミッションのステージになっているので、中に入ることも可能です。
マップは、現実の渋谷を忠実に再現しているのではなく、あくまでゲーム的におもしろくプレイできるようにチューニングが施されています。いろいろな地域がギュッと圧縮されていると言うか、東京の各地にある名所がひとつの“箱庭”に詰め込まれているイメージで、本作独自の“東京”が生まれています。たとえば、渋谷駅から北に進むと、ちょっと離れた場所に台東区の谷中銀座をモチーフにしたと思われるエリアに出会ったり、中心からそこそこ近い距離に東京タワーが現れたりします。
忠実再現ではないとはいえ、歩くだけで「ああ、あそこは確かにコンビニだよね」とか「あの交番だね」など、渋谷に行ったことがある人ならばなんとなく思い浮かぶ部分も多く、東京をよく知っている人ならば、より楽しめることでしょう。筆者は渋谷周辺ならある程度はわかるので、現実とリンクさせながらプレイできました。つまり、雰囲気やイメージはよく表現できているということです。「もっと東京にくわしければ、絶対にもっと楽しめるんだろうな……!」と悔やんでいる部分です……(苦笑)。
中まで入れる建物はそこまで多くはありませんが、一軒家やオフィスのような屋内の空間がメインミッションやサイドミッションの舞台になることはたくさんあります。渋谷駅の地下通路にも入ることができますが、ゲーム的なダンジョンになっているのもユニークです。渋谷駅は行くたびに何かしらの工事をしていたり、新しい通路ができていて、実際にダンジョンじゃないですか?
なお、箱庭型のマップの探索範囲はかなり広い。それでいて、ビルの屋上などに上がることが可能なので、さらに探索範囲が広がります。徒歩移動だけはやや苦労するかもしれませんが、ファストトラベルができるので、その広さが苦になることはありませんでした。
また、ビルの上には階段を使うだけでなく、妖怪の“天狗”にワイヤーを引っかけて一気に上がることができます。これが便利で爽快。ただ、気になる点が……上空で天狗は羽音と鳴き声を放っているのですが、けっこうな数がいるので、正直「うるさい」と思ったことも(苦笑)。もちろん、上空にいるのをわかりやすくする狙いがあると思うのですが、アップデートで音量を少し下げてほしいかも。
ちなみに、本作はリアルに表現された建物の上に登ることができるので、高所恐怖症の人はご注意を。落下ダメージがないので、けっこうな高さから落下できます。飛び降りなければ行けない場所もあるのですが、筆者も何度か高所から落ちた際の「うっ!」となる不思議な感覚を味わいました。
元素の力で怪異を祓え
暁人は、自然の力を弾丸のように発射する“エーテルショット”を駆使して“マレビト”を倒していきます。エーテルショットは属性を持っていて、ゲーム開始時は風属性のみですが、火属性、水属性を持つ攻撃をかなり序盤から使用可能となります。属性とありますが“この敵にはこの属性が効く”というようなものではなく、攻撃の特徴が変わるものです。なお、属性ごとに手の動きが変わります。これまたカッコイイ。
通常攻撃は連射しやすいのですが、威力は低めです。攻撃ボタンを溜め押しすることでチャージショットとなり、属性ごとに異なる強力な攻撃をくり出せます。端的に言うと、風属性はシンプルなハンドガン、火属性は範囲攻撃にすぐれたバズーカ、水属性は近距離向けの強力なショットガンというイメージでしょうか。
そもそも照準(レティクル)がブレることもなく大きいので、敵を撃つのはたやすいでしょう。また、狙いを付けることで強いエイムアシストも効くため、敵を狙いにくいと感じることは少ないはず。ただし、動きが素早いマレビト相手では、そう簡単にはいきませんが。
ダメージを蓄積させていけば敵は倒せますが、これだけで終わらないのが本作。ここに“コアを引き抜く”というアクションが加わるのです。敵にダメージを与えていくとその身体に穴のようなものが開いていき、マレビトの心臓部であるコアが出現します。これを引き抜くことで、敵に一気にトドメをさせるのです。コアの引き抜きは遠くからでも発動可能で、かつ複数のコアを同時に引き抜くこともできます。
コアを引き抜くときがかなり爽快で、モーションもすばらしいので必見です。トドメを刺す以外にも多彩な恩恵が発生し、コアの引き抜きを効果的に決めていくのが本作における攻撃の基本となります。なお、暁人を成長させれば近距離でコアを引き抜けるようになるので、戦術もさらに広がります。
ほかにも、遠距離から狙い撃てる弓、多彩なサポート効果を得られる御札など、サブウェポン的なガジェットもたくさん用意されています。敵の背後に気づかれないうちにコッソリと近づけば、背中に御札を貼って瞬時に倒せる“即浄”というステルスキルも可能です。
攻撃手段がややこしくないので、シンプルかつわかりやすいバトルが楽しめます。ただ、シンプルがゆえに、やや単調な印象を受けるかもしれません。筆者としては、もう少し攻撃属性がほしかったな、攻撃要素を成長させたらもっと効果が派手になればよかったな、とも思いました。
ただ、マレビトのバリエーションは非常に多く、しかも敵ごとに攻略方法が異なる点は高評価です。終盤に近付けば近づくほど、たくさんのマレビトが入り乱れての戦闘となるので、こちらの行動も考える必要が出てきます。
本作はプレイヤーの攻撃手段というよりも、敵の行動や数で難度を調整しているように感じました。これは、本作が“万人に遊んでもらえるように、戦闘をわかりやすくしている”という方針で調整されているからだとも思いましたね。とはいえ、戦闘を強制される場面も少ないので、敵をスルーしても先に進めるところはありがたいです。
豊富すぎる探索要素!
さて、筆者が本作で最大の魅力と感じたのが、舞台となる東京の探索要素です。膨大に用意された収集要素を進めながら東京を闊歩する、このプレイフィールが非常に快適で楽しく、ついミッションそっちのけで探索したくなります。しかも、先述した通り、探索するたびに暁人とKKの会話が聞けるわけで! では、ここからは探索要素の数々を紹介しましょう。
霊視
まずは“霊視”を説明しないといけません。霊視を発動すると、メインミッションなどの目的地への道しるべが光の線で表示されるほか、周囲にあるアイテムやオブジェクト、敵の姿が透過されて表示されます。入り組んだ東京の街ではこれが必須で、探索を大いに助けてくれます。
エーテル結晶体
街中にはバイクや郵便ポストなど、さまざまなオブジェクトが浮いていて、それらを破壊することで何かしらのアイテムが得られます。これは“エーテル結晶体”というもので、暁人がエーテルショットを放つ際に必要な霊力を回復する役目を果たしてくれます。要は、弾丸を補給するオブジェクトですね。
ほかにも、お金に相当する“冥貨”を得られる壺や招き猫が浮いていることもあります。そうそう、お金を獲得できるエーテル結晶体はコインパーキングによくあるのですが、その理由をKKが作中で語ってくれるので聞き逃さないように(笑)。なお、エーテル結晶体は収集物ではありません。壊しても復活するので、思う存分壊して霊力を補給しましょう。
霊体回収
大消失事件で消えた人々は、霊体となって浮遊しています。この霊体を凝縮した“箱”も浮いているのですが、これを放置しているとマレビトたちに消されてしまいます。暁人たちはそんな人々の魂を救済するため、霊体を回収しながら探索を進めていくことになります。
霊体の回収はゲームのメインとなる収集要素で、霊体はいたるところに浮遊しており、それを“形代(かたしろ)”に吸収することで回収可能となります。形代の所持数によって回収できる回数が決まっているのですが、おもにショップで形代を購入すれば最大数が上がります。
霊体を入れた形代を改造された電話ボックスで使い、渋谷の外にいるKKの協力者・エドのもとに転送して初めて救済成功となります。回収数に応じて経験値と冥貨が大量に得られるので、暁人のシンクロレベルアップにつながります。いたってシンプルな成長システムです。
なお、暁人のシンクロレベルが上がると霊技(いわゆるスキル)ポイントを得られ、体力の最大値が上がるほか、移動や攻撃などを強化できるスキルを、任意で習得できるようになります。戦闘でも経験値は得られますが、少量ゆえ、こちらがレベル上げのメイン行動になるでしょう。
穢れの浄化
これも霊体集めの要素です。フィールドには黒い木のような“穢れ”が存在します。その周囲はダメージ床のようになっており、穢れた部分を歩くとダメージを受けてしまいます。穢れを霊視するとコアが出現するので、攻撃して穢れを浄化すると多くの霊体が現れます。穢れを見つけたら率先して浄化することも基本となります。
印結び
暁人はときどき、霊体が封印されている場所に出くわします。封印は印結びで解除できるのですが、この演出も注目です。印を指で結ぶことになるのですが、プレイステーション5版ではタッチパッドをなぞって印を結ぶという、実際に印を結ぶような感覚が味わえます。
入力がちょっと難しいと感じた場合も、KKに任せれば自動で入力してくれます。KKに任せたからと言ってペナルティはないので、お好みで選んでください。悪霊を祓う際などにも印結びを使用するので、くり返し結んでいれば慣れると思います。
ファイル
東京の人たちは瞬時に消えてしまったため、メモ書きやスマホなどが地面に落ちたままになっています。また、書籍やチラシなどから、さまざまな文字情報を調べることも可能です。これらはすべて“ファイル”として記録されます。消える前の生活の様子がうかがえるので、読むだけでも楽しい収集要素と言えますね。
KK調査資料
街中のあちこちに、KKが書いた調査資料が散らばっています。ファイルと異なるのは、これを調べることで霊技ポイントが手に入る点です。レベルアップせずとも霊技ポイントが手に入る、お手軽な強化手段となっています。なお、調査資料には過去に起きた事件の報告書が読めるので、こちらも併せて楽しめます。
食料
敵に攻撃を受けるとダメージを受けますが、食料を食べることで体力を回復できます。この食料の種類がめちゃくちゃ多くて、集めるだけでもが楽しくなってきます! おにぎりだけで複数の種類があり、焼き鳥やカップ麺、お菓子など、コンビニでもおなじみのものがたくさん出てくるのも親近感。
とくにどら焼き、桜餅、水あめ、みたらし団子といった和菓子や、タコ焼き、焼きそば、たい焼きといった屋台メシなど、日本ならではの食べ物が満載です。このラインアップについては、後述する理由が関わってくるのではないかと勝手に思っています。
なお、ゲームでは“食料”、“飲み物”、“冥土の食べ物”というカテゴリに分かれており、それぞれを3つ装備して瞬時に使用できます。“冥土の食べ物”というのはあの世にある食べ物ですが、“冥おでん”、“冥おしるこ”というややコメディタッチな名前(笑)。あの世の食べ物なおかげ(?)か、食べるとバフ効果が得られるのでよく食べることになりますが。
サイドミッション
街には大消失事件で消滅した人の霊体だけでなく、すでに亡くなっていて地縛霊となった幽霊も存在します。ときには彼らからサイドミッションとして依頼を受けることもあり、達成すると成仏させるだけでなく、さまざまな報酬がもらえます。
報酬には霊体だけでなく、有用なアイテムなどが得られる場合もあります。サイドミッションの数は膨大なので、全部を達成してからつぎへ進むというよりは、メインミッションの息抜きでこなしていくのが個人的にはオススメです。
衣装
暁人の衣装を手に入れることで、見た目を細かくカスタマイズできます。上着、ズボン、帽子などのほか、全身をコーディネートするアイテムも。その中でも、本作は主観視点で進むため、ふだんから目にする手袋がオススメです。ほかの部分をカスタマイズしても見栄えするような場面は少ないのですが、イベントシーンや後述するフォトモードで活きてきますよ! 衣装もいろいろな方法で増やせます。
フォトモード
本作にはフォトモードが用意されており、戦闘中以外なら好きな場所で撮影できます。主観視点だけでなく、暁人をフレームに入れて撮影することも可能で、ポーズとフォトフレームも多数用意されています。
このポーズがまたニクいところで。たとえば“しずまれ、俺の右手”ポーズが用意されていたりして、「やっぱり、このゲームって“そういうところ”も狙ってるんだな!」と感じました(笑)。
ただ、フォトモード中は時間が停止しないので、攻撃を受けると解除されてしまいます。個人的には、口裂さん(口裂け女みたいなマレビト)と撮影したかったので、フォトモード中は時間停止にしてほしかったというのが正直な気持ち。今後実装されるとうれしい部分です。
狸探し
街中には、物に擬態した狸が紛れていることがあります。ヒントは、尻尾が飛び出てしまっていること。これは狸の親分に依頼される一種のサイドミッションで、彼らを見つけることでフォトモードに使用できるポーズが手に入ります。
コレクションアイテム
収集アイテムを集めている猫又にアイテムを渡してあげると、冥貨や衣装などのアイテムと交換できます。このコレクションアイテムも大量に用意されており、アイテム探しに、さらに熱が入ります。
“エリマキトカゲのフィギュア”や“スーパーカーのミニカー”といった過去に流行ったものや、“扇子”や“獅子頭”といった日本古来の伝統的なもの。さらには“呪いのビデオテープ”や“花子さんの包丁”のようなオカルトものまで、その種類は多種多彩。日本ならではのアイテムなのも味わい深い……。
コレクションアイテムを猫又に渡すと、屋台ごとに飾ってくれるので、すべて集めれば豪華な屋台が完成するのもコレクション心をくすぐるところ。なお、コレクションアイテムの場所のヒントは猫又が教えてくれるほか、霊視による透視でも視認できるので、比較的見つけやすいと思います。
妖怪との触れ合い
本作の東京には、いたるところに古来より伝わる“妖怪”たちが存在しています。“鎌鼬(かまいたち)”、“木霊(こだま)”、“座敷童子(ざしきわらし)”など、誰もが耳にしたことのある妖怪が登場します。友好的な妖怪も多いのですが、中には壁を塞いで道を隠す“塗壁(ぬりかべ)”、おそらく人間の尻子玉を抜いている“河童(かっぱ)”など、人間に害を及ぼすものも。とはいえ、敵というわけではありません。
妖怪たちからは“勾玉”というアイテムがもらえます。妖怪によってアプローチは違いますが、何かしらの方法で困っていることを解決したり捕まえることで、妖怪の力の結晶である勾玉をもらうことができるのです。この勾玉はスキルツリーのアンロックに必要なので、重要なアイテムと言えます。
妖怪の数も多く、その出会いではユニークな体験が楽しめるので、オカルトや妖怪好きな人にはたまらないでしょう!
動物との触れ合い
渋谷の人間は消えてしまいましたが、犬や猫といった動物たちは消えなかったようです。野良猫や飼い主が消えてしまった飼い犬など、その立ち位置はさまざま。本作では霊視の力により、そんな動物たちの“気持ち”を知ることができます。ときには探索のヒントを教えてくれることも。また、ドッグフードをあげると“ここ掘れワンワン”の要領で冥貨などを掘り出してくれたりもします。
また、ゲーム的にはとくに意味はないのですが、犬や猫をなでることも可能です。犬と猫の種類も豊富なので、かわいくてついついなでちゃう。KKから「そんなことやってる場合じゃないだろう」と言われることもありますが、カワイイは正義であります!
地蔵巡り
おなじみのお地蔵さまも各所に用意されており、お祈りすることでエーテルショットの最大弾数をアップさせることができます。お地蔵さんにお祈りすると、パーッと後光が差してこちらを向いてくれるのも本作流の演出(笑)。お祈りするとしっかりとご利益があるので、本当にお地蔵さんに感謝ですね。
お賽銭、おみくじ
神社では賽銭箱に冥貨を入れたり、おみくじを引くこともできます。お賽銭をすると多彩なお願いを叶えてくれる効果を選択できます。狸やコレクションアイテムの場所を教えてくれることも。また、全然関係のない「回らないお寿司が食べたい」、「世界平和を祈る」といった、KKが反応してくれるだけの選択肢も出てきますが、そのうち、ついお祈りしている自分に気づくはずです。
おみくじは、引いた結果に応じてバフなどのさまざまな効果が得られます。なかはBGMが流れるだけといった効果もありますが、引いて損はないので!
海外の人に知ってほしい日本の文化だらけ!
このほかにも、BGM収集や装備アイテムの数珠など、とにかくプレイに直結するものからそうではないものまで、収集要素は膨大です。しかも、食料からコレクションアイテムに至るまで、すべてのアイテムに情報を解説するデータベースが用意されています。仏壇”についての解説があったり“令和”と描かれた書の説明まであります。そのこだわりにはすさまじい熱意を感じるのです。
これは筆者の憶測ですが、開発陣はきっと日本の不思議な部分や文化を、本作を通して海外のプレイヤーに知ってほしいと思っているのではないかと。海外の人にとっては意味がわかりにくい部分もたくさんあるので……。このあたりは、日本のプレイヤーと海外のプレイヤーで感じかたが大きく変わると思います。いつか海外のプレイヤーに本作の感想を聞いてみたいですね。
探索による発見こそ醍醐味
ここまで探索要素を解説してきましたが、物語には直接的な関係のない探索も見どころと言えます。街中にあるお店の看板、チラシなどなど……これらもすべてが細部まで作り込まれており、それらを眺めるだけでも楽しいんです。名前の由来を考えたりしながら、ぜひゆっくりと街中を眺めてください。個人的にはこれが楽しくて! マップをゆっくり調べるのが好きな人にはたまらないでしょう。
コントローラーの演出がスゴい
なお、プレイステーション5版は、コントローラーのDualSenseが持つハプティックフィードバック(振動)、アダプティブトリガー(L2、R2ボタンの押す硬さ)に対応しています。本作はコントローラーの演出がゲームの内容にマッチしており、多彩な反応が自然と楽しめるのも評価ポイントです。
ゲーム画面のほとんどが、主人公の暁人の手が映っているシーンです。そのためか、手に起きる現象や触れたものに合わせて事細かくコントローラーが震えてくれるんです。ほとんどのことに反応するので非常に芸が細かいな、と。
エーテルショットでも、まるで火や水を手にまとうような感覚が味わえますし、コアの引き抜き時はアダプティブトリガーがグッと重くなり、ワイヤーを引っ張る感覚が繊細に表現されていて驚きます。逆に、戦闘中はあまりにも振動の頻度が高く、手が疲れるほどでした。オプションで反応をオフにできるので、そこはお好みで選択するといいでしょう。ただ、せっかくなら振動レベルを下げるなどの、オンオフ以外の調整もほしかったですね。
さぁ、東京を駆け巡ろう!
少し長くなりましたが、以上が本作のおおまかな魅力です。東京を舞台にした探索要素、少年マンガ的なストーリーが織り成す壮大なドラマを、オカルトな雰囲気の中で楽しめることにこそ、本作の醍醐味があると言えるでしょう。戦闘に関して、アクションやFPSが苦手な人でも遊びやすい調整になっていることは間違いありません。
東京を舞台にしたゲームは、少なくありません。新宿や横浜を思わせる繁華街、秋葉原で脱がし合い、崩壊した東京で悪魔が……ごほん。とはいえ、どの作品も探索をメインにしているわけではなく、ドラマを描くために用意した舞台という側面が強いように思います。
本作はついに実現した、“現代の日本の街並みを思うがままに探索できるゲーム”です。オープンワールドという言葉から想像されるような広さではないかもしれませんが、横だけでなく縦にも広がる箱庭は体感的に相当な広さです。渋谷を中心としていますが、下町も神社も同居するなアレンジされた東京を探索できます。日本ならではの最新文化、そして古くから伝わる伝統文化が入り混じった、日本らしさに溢れる世界観は最大の魅力と言えるかもしれません。
PCとプレイステーション5対応ですが、プレイステーション5を購入できたという声もちらほら聞こえてくるようになりました。もし手元にプレイステーション5があるなら、ぜひ暁人とKKとともに東京を救いましょう!
なお、PS5版の『Deluxe Edition(デラックスエディション)』(デジタル版)をPS Storeで予約・購入すると「ストリートウェア」衣装パックとコスチューム「忍」、投擲武器「クナイ」に加えて、コスチューム「プレミアムバイクスーツパック」と「般若」がゲットできます。気になる方はチェックを!
PS5版『Ghostwire: Tokyo Deluxe Edition』(デジタル版)をPS Storeで購入する PS5版『Ghostwire: Tokyo』の購入はこちら(Amazon.co.jp)