桜花スタジオをご存じだろうか? 『荒野行動』や『Identity V 第五人格』などで知られる中国の大手ゲームメーカーNetEase Gamesが、家庭用ゲーム機向けタイトルを開発することを目的に設立したスタジオだ。2020年秋には渋谷にオフィスを設立し、ゲーム開発に取り組んできた。
今回、そんな桜花スタジオの開発チームに対するインタビューが公開された。3つの開発チームに対するインタビューでは、アクションRPG、“熱心なファンがいるとあるシリーズの新型バトルゲーム”、オリジナルIPの協力型アクションゲームが制作中であることが明らかにされた。さらに、桜花スタジオスタッフによる各タイトルへの意気込みなども紹介されている。
以下、そのインタビューをお届けしよう。
以下、NetEase Gamesからのインタビューを引用
個性的な仲間とともに冒険するアクションRPG
2020年7月にNetEase Gamesの下で、家庭用ゲーム機向けタイトルを制作するスタジオとして発足した桜花スタジオ。1年半が経過した今も積極的に採用活動を行う一方で、どんなゲーム制作が行われているのか、多国籍混成チームによる開発がどのようなものなのかなど、その実については謎に包まれたままだ。今回はそんな桜花スタジオの様子を少しでも伝えるべく、特別に社内の各開発チームを回ってスタッフへのインタビューを行った。
まず最初に伺ったのはアクションRPGを作っているというプロジェクトチーム。企画・エンジニアの方々がいるブースへお邪魔した。
――本日はインタビューに応じて頂きありがとうございます。
O氏いえいえこちらこそ。
――まずはどんなゲームを制作中か、可能な範囲で教えて頂けますか?
O氏アクションRPGに分類される、ゲームやシナリオの進行を通じてキャラクターの成長や新しいゲーム体験が増えていくような、シングルプレイの製品を作っています。触っていて気持ちのいいアクションを目指して、活発なキャラクターを操作して楽しめ、立体感を感じられるステージの制作を行っています。まだ詳細は言えないのですが、発表したらきっと驚いてもらえると思います。
S氏雰囲気的には、温かみの強い世界観の中を冒険するゲームですよね。
――おお!アクションRPGといえばコンソールゲームの華ですよね。1つ目から発表が待ち遠しい企画で少し興奮しちゃいますね(笑)。その作品では、技術的・ゲームの仕組み的にはどのようなチャレンジをなさっていますか?
S氏このプロジェクトでは広大なフィールドをシームレスに移動する必要があるため、UE(Unreal Engine)のレベルストリーミングを積極的に活用しています。AIについても多くの種類がいる敵キャラやNPCをどうやって効率的に管理するか、個性を持たせるか、プランナーが効率よくチェックするにはどういう環境が必要なのかなど、絶賛研究中ですね。制作が進行しているプロジェクトは我々だけではないので、未来を見据えた拡張性の高いイベント制御のシステムや、テキスト管理システムなど、今後のコンテンツ拡大も見据えた多くのタスクが進行中です。
――なんとも大がかりなプロジェクトであることが伝わってきました……! そんな開発を続ける中での、今までのキャリアとは異なる新鮮な体験や、何か面白いエピソードなどあったら教えて頂けますか?
T氏文化の異なる広州のスタジオメンバーとのやり取りはやはり新鮮ですね。細かい話は翻訳者の方を挟まないとまだ難しいのですが、社内独自のチャットツールには翻訳機能もあり、簡単な応対であれば言語の違いを感じさせないやり取りが出来るのは素直にすごいと感じました。
K氏たまにその自動翻訳でとんでもワードが誕生した時は、爆笑せずにはいられないですけどね(笑)。一度、ゲームの仕様でよく使われる「ギミック」という言葉が中国語で「オルガン」という意味に翻訳されてしまって、お互いに「?」となりながら打ち合わせに臨んだことがありました。
一同(笑)
――早速いろいろと興味深いお話が伺えました。どうもありがとうございました!
熱烈なファンがいる人気シリーズの新型バトルゲーム
続いて、別ブースで開発しているスタッフ陣に話を聞いてみた。
――お疲れさまです。ちょっと話を聞かせて頂けますか。どんなゲームを制作中なのでしょうか?
E氏熱烈なファンがいる某シリーズの新型バトルゲームです。詳しくは乞うご期待です。
――なんと、あの「〇〇」ですか! それは、たくさんのファンの方に喜んでいただけるゲームになりそうですね。ゲームの仕組みや技術的な面では、どんなチャレンジをされていますか?
I氏本格的で遊びごたえのあるゲームシステムをどなたでも手軽に体験してもらえるような工夫をしています。キャラクターの動きやアクションなどに力を入れています。広州のスタジオメンバーと一緒にゲーム開発を行うという事自体がチャレンジでもありますが、常に新しい発見があって楽しいです。
――「〇〇」の魅力をしっかり表現することに、力を入れられているんですね。どんな人材が、このチームに最適だと思いますか?
E氏組織としてはまだ発展途上の状態なので、『メンバーとの連携を大切にしつつも自発的に動いていける人』が向いていると思います。そういう人に是非参加して欲しいです!
――そういう方に、是非来ていただきたいですね! 開発している中で、今までのキャリアとは違った新鮮な体験は何かありましたか?
I氏&E氏何と言っても中国の仲間と一緒にゲーム開発が出来るのは、今までになかった経験であり、とてもエキサイティングです。これは、絶対に桜花スタジオでしか体験できないです。また日本側は、本当にいろんなゲームに関わってきたツワモノばかりの会社です。いろいろな刺激を持っている人ばかりで、これからどんな化学反応が起きるのかすごく楽しみです。
――エキサイティングな現場だということが、よく伝わってきました。ありがとうございました!
凶悪で巨大な敵と戦う協力型のオリジナルアクションゲーム
3つ目に訪れたのは、試作開発中の超大型完全新規アクションゲームの開発ブースだ。
――お疲れ様です。ここではどんなゲームを制作しているのですか?
J氏オリジナルIPの協力型アクションゲームです。気持ちよくてカッコいいアクションを駆使しながら、凶悪で巨大な敵と戦います。チームで連携しあってクリアしていくことがとても快感なゲームですね。
――オリジナルIPですか!骨太なアクションゲームになりそうで、ワクワクしますね!ゼロから新しいものを生み出されていると思うのですが、どんなことにチャレンジしていますか?
J氏詳しくはまだ言えないのですが、今までにない協力プレイの遊びを提案するべく、新しいゲームシステムを開発しています。チャレンジングな内容ですが、効率的に開発できるように、専用の仕組みを作りながら取り組んでいます。また、新しい戦闘体験を実現するために敵のAI関連のツールにも力を入れています。危険な領域の判定、目的地を定めるツール、そこにたどり着くためのナビゲーション、AIキャラ同士の連携など、ただ“強いAI”を作るのではなく、“チャレンジを与えてユーザーを楽しませる敵”を、ユーザー個人やグループで味わってもらえるように目指しています。
――なるほど、このシステムは画期的ですね。発表されるのが楽しみです! どんな人がこのチームに最適だと思いますか?
J氏3Dアクションゲームが好きな人ですね。ハクスラ系はもちろん、シューター系を良く知る人も大事ですね。レベルデザインやAI技術がとても参考になります。アクションアニメが好きな人もぴったりだと思います。個性の強いキャラクターたちに命を吹き込める、強いパッションを持った人に参加していただきたいです。
――アクションのゲーム性だけでなく、キャラクターも個性的なタイトルになりそうですね。開発をしている中で、今までのキャリアとは違った新鮮な体験は何かありましたか?
J氏私たちのチームの中核は中国広州にあります。「熱気溢れる中国の若いスタッフ」と「ベテランの日本スタッフ」のミックスチームです。私としては勉強熱心な若いスタッフを育てながら制作するのがとても新鮮です。専属の通訳スタッフがいるのでコミュニケーションで困ることもありません。あと、個人的に嬉しいのは”チームビルド費”が毎月支給されることです。チームでご飯や遊びに行ったりするのが自腹ではないのです!
――それは嬉しいですね(笑)。チームの結束力の高さが伺えました。ありがとうございました!
スタジオ長の赤塚氏が語る開発中のタイトルに対する思い
最後に、スタジオ長の赤塚氏に今回の総括としてお話を伺った。
――シングルプレイのアクションRPGから、オリジナルのオンライン協力アクションゲームまで、多岐にわたるジャンルのゲーム開発が進んでいる様子ですね。
赤塚氏そうなのです。スタジオの発足からある程度時間が経ち、何を作るかが決まっていない初期段階ではなく、ガッツリと制作を進めていく中盤の段階まで入っているプロジェクトが増えてきています。
――そうなってくると、積極的に採用活動を行われているのも合点がいきますね。日本人スタッフも多く採用されているそうですが、どのような方がこのスタジオで求められているのでしょうか?
赤塚氏職種でいうと企画・プログラマ・デザイナーなどの開発スタッフからディレクターとなってチームをまとめてくれるような人まで歓迎しています。イメージとしては、「長年の業界経験からゲーム開発のスキルや知識は十分にあるけれども今の制作環境や制作物から離れて、もっと新しい作品や技術にチャレンジしたい!」というベテラン開発者の方々や、「ゲーム業界に入って数年、開発について一通り理解はしたけれども、もっと裁量を持って自由に仕事したりゲームにアイディアを反映させたりしたい!」という若き開発者の方々でしょうか。
――なるほど。プロジェクト内容を伺ったところ、コンソールゲームとしては少なくとも中型から大型の、結構な規模感のタイトル群とお見受けしました。大きな組織となると特有の体制感だったり身動きの取りづらさなどが懸念されるかと思いますが、求める人物像としては新しいことへのチャレンジや自由というのがキーワードなのですね。
赤塚氏そこはやはり新規のタイトルやゲーム制作の流れを生むべく集められた・多国籍混成のチームであるということによる制作環境の違いではないでしょうか。NetEase Gamesには世界中から様々な人材と、それに付随するフレッシュな情報や考え方と先端技術が集まっています。我々はそれを武器に、日本の一般的なゲーム会社ではなかなか進められないような、野心的で面白い企画を作り出していくことを目標としています。そう遠くない未来で、その成果となるタイトルたちを皆さんにお見せできるかな、と、僕自身今からワクワクしています。
――本日は本当にありがとうござました!
最新ビジュアルを先行紹介
最後に、今回のインタビューに合わせて公開された最新ビジュアルを紹介しよう。どの画面がどのプロジェクトに対応するのかといったことは残念ながら明らかにされなかったが、期待しつつ、続報を待ちたい。