サイゲームスより配信中のゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)。2022年2月24日に、同作が1周年を迎えたことを記念して週刊ファミ通2022年3月17日号(2022年3月3日発売)では、『ウマ娘』の特集記事を掲載。同特集時に実施した、開発スタッフとメディア担当者へのインタビューをお届けする。

※本インタビューは2月上旬に実施しました。

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『ウマ娘 プリティーダービー』1周年記念! 開発スタッフインタビュー。1周年の振り返りや今後の展望、衣装の秘話も
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開発スタッフ

『ウマ娘』プロジェクトに関わる開発スタッフ。(文中は開発)

メディア担当スタッフ

『ウマ娘』プロジェクトに関わるメディア担当スタッフ。(文中はメディア担当)

ゲームとその他のコンテンツがいいサイクルを形成した2021年

――配信1周年おめでとうございます。まずはいまの率直なお気持ちを聞かせてください。

開発入れ換わりの激しいこの業界において、『ウマ娘』が1周年を迎えて盛り上がっているのも、たくさんの方がゲームを遊んでくれているからですし、これまでいっしょにゲームを作ってきたスタッフやクロスメディアコンテンツに関わる人たち、キャストの皆さんには感謝しております。私たちも素直にうれしく思っています。

――配信後、約7ヵ月で1000万ダウンロードを記録するなど大きな反響がありました。この流れは想定できていたのでしょうか?

開発コンテンツの中身、ゲームのおもしろさについては開発中から手応えがありました。ただ、リリース後の実際のユーザー数や売上などの伸びは想定以上の速度でしたね。競馬を題材としていたり、育成シミュレーションという特殊なジャンルでもあったので、正直なところここまでの数字は予想していませんでした。

――ユーザー層もかなり広く分布しているようですが、それは狙っていたのでしょうか?

開発そうですね。もともと競馬好きな人たちだけでなく、競馬を知らない人でも競馬の情熱や魅力をすんなり楽しめるようなものを目指して制作していましたから、幅広いユーザー層を獲得できたのは狙い通りです。

――配信開始後も多くの施策を行ってきたわけですが、なかでもとくに印象に残っているものを挙げていただけますか?

開発配信開始直後の3月末に開始した、テレビアニメ第2期とのコラボ企画ですね。もともとアニメーションの制作にも関わらせていただいていたのですが、企画の段階ですでにゲームとのコラボレーションを提案していたんです。

 たとえば第13話の『ユメヲカケル!』のライブでの振り付けを、ゲームのものと同じにするだとか、ツインターボが活躍する第10話の放送タイミングでゲームにもツインターボのサポートカードを実装するとか。世界線としては別物なのですが、緩やかなリンクを感じさせるように実施しました。実際にアニメからゲームに流れてくる人が増えたり、反対にゲームのユーザーがアニメを観てくれたりといったことが数字に表れて、確実に相乗効果はあったと思います。

――なるほど。音楽番組への進出や配信番組、ライブイベントなど、ゲーム外での出来事で印象に残った出来事もありますか?

メディア担当いろいろあったのでどれかひとつ、というのは難しいのですが、大きかったのはやはり3rd EVENTですね。ゲームが各所で取り上げられるなど、非常に盛り上がっているタイミングで、ゲームのつぎは歌も……と、いいサイクルの中で開催できたのはよかったです。

 スタッフやキャストも数年ぶりのナンバリングイベントで気合が入っていて、その時点で歌える曲は全部詰め込むなど、出し切った感もありました。トレーナーさんたちにもすごく盛り上がっていただいて、これをきっかけにテレビの音楽番組にも呼んでいただけるようになったので、とくに印象に残っています。

『ウマ娘 プリティーダービー』1周年記念! 開発スタッフインタビュー。1周年の振り返りや今後の展望、衣装の秘話も
『ウマ娘 プリティーダービー』1周年記念! 開発スタッフインタビュー。1周年の振り返りや今後の展望、衣装の秘話も

――テレビではNHKの『シブヤノオト』を皮切りに、『FNS歌謡祭』や『CDTVライブ!ライブ!』などにも出演しましたよね。

開発とくに『シブヤノオト』ではTwitterで世界トレンド1位を取るなど、大きな反響がありました。出演の際に衣装も新しく作ったのですが、トレーナーの皆さんも、キャストさんたちからも、全方向から評判がよくて「この衣装を着たいから呼んでください」というアピールがあったくらいです。

――ゲームでは実装予定はないのでしょうか。

開発衣装に関しては皆さんのご要望次第、とだけ申し上げておきます(笑)。

――ゲームやアニメなど、さまざまなコンテンツを手掛ける中で、プロジェクト全体で共通して大事にされていることはありますか?

開発『ウマ娘』は、競馬ファンや競馬関係者の皆さんをリスペクトしているコンテンツです。モチーフもいる。だから、そこで情報として間違えない、裏切らないものにすることは、この1年だけでなくプロジェクトが発足してから守り続けてきたコンセプトでもあります。現在ではさまざまなジャンルでコンテンツを展開していますが、それぞれでスタッフがコンセプトの理解度を上げるところから始めるようにしています。

――どのコンテンツでも競馬愛が感じられるのは、偶然ではないのですね。

開発意識してリテラシーを高めています。じつは配信前、ゲームに関しては大掛かりなブラッシュアップを実施したことがありまして、それをきっかけに、競馬のエッセンスをもっと色濃く注入しつつ、誰でもわかりやすい内容を目指すという現在の形になりました。

――史実の盛り込みに関しては、競馬ファンもうならされることが多いと聞きますが、実際どのようにして採用されているのでしょうか。

開発ひとつアイデアが出てきたら、それをみんなで話し合って入れるようにしています。もちろん、何でもかんでも放り込めばいいというわけではなく、競馬ファンに受け入れてもらえるよう慎重に検討しています。ストーリーの文脈次第なところもありますね。

 単純に事実だけを拾うのではなく、そこから物語をどうやって広げるか。そういったことも考えながら練り上げています。たとえばダイワスカーレットのオークス、ダービーの選択イベントなどはその典型ですね。史実では熱を出して回避しているのですが、ここでウオッカとのifストーリーを導入することで、物語としての広がりを持たせているんです。

つぎの夢を見せるため羽ばたいていく『ウマ娘』

――続いては1周年記念のストーリーイベントを始めとした施策について伺います。まず今回のストーリーイベントは、どういったコンセプトで企画されたのでしょうか。

開発このイベントの企画には、ふたつの軸がありました。ひとつはトレーナーさんたちへの感謝を表したいというもの。報酬や機能の追加や、ストーリーに乗せて感謝を伝えることを目指しました。そしてもうひとつは、今後来たる2周年、3周年へ向けて“つぎの夢を見せたい”というものです。この1年は、皆さんに新しいものを見せるためにがんばっていくつもりです。

――ストーリーの見どころや、注目してほしいポイントを教えてください。

開発新たなウマ娘であるナリタトップロードやキタサト(※キタサンブラックとサトノダイヤモンド)のふたりが主役となって活躍するストーリーとなっています。イベントとしてはかなり多くのキャラクターが登場しておりまして、ガッツリ出番のあるウマ娘で12人くらいいます。話数もいつもより多い10話構成で、よりたくさん楽しんでいただけると思います。新しい演出も用意しているので、注目して読み進めていってくださいね。

『ウマ娘 プリティーダービー』1周年記念! 開発スタッフインタビュー。1周年の振り返りや今後の展望、衣装の秘話も

――演出と言えば、1周年記念の新衣装“ニュースターズ・ロゼ”もステキですよね。このデザインのポイントは?

開発デザインは、シナリオ担当が作成した原案に沿って起こしています。全体的な印象としては、きちんとした“セレモニー感”が出るようにしました。配色も白を基調とし、差し色に赤を使う形ですね。また、腰のリボンや赤いスカートのデザインは優勝レイを意識したものになっています。

――これまでになかったタイプの衣装で、さっそくウイニングライブで試してみたくなりますよね。配布はされるのでしょうか?

開発そちらに関しては、近いうちにお知らせができると思います(※)。

※4th EVENT開催記念ということで、2022年3月5日にゲーム内でプレゼントされた。

――夢が広がりますね! ウイニングライブと言えば1周年楽曲『We Are DREAMERS!!』も新たに実装されました。こちらの聴きどころや映像の見どころも教えてください。

開発 この曲には、先ほどお話しした“感謝”や“つぎの夢”といったテーマを込めているんです。改めてウマ娘がどういう存在なのかを考えたとき、彼女たちの、トレーナーたちの、みんなの“夢”を大事にしているものだということで、“夢を見る者たち”というタイトルで皆さんに再提示させていただきました。演出も、『うまぴょい伝説』のステージセットで3人+3人の6人を主軸としたもので、新しい形の歌い分けも用意しています。

『ウマ娘 プリティーダービー』1周年記念! 開発スタッフインタビュー。1周年の振り返りや今後の展望、衣装の秘話も
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――新要素はまだまだあって、サポートカードではナリタトップロードが初登場しました。彼女のデザインについても教えてください。

開発ナリタトップロードについては、やはり史実を大事にしています。見映えのする馬体をしていて、実力も高いが同世代のテイエムオペラオーたちには惜敗続き……という史実の要素を、できる限り落とし込んだつもりです。

 デザイン的には、胸に紫山形の模様を入れるなど、もとの勝負服がわかるようなものにこだわっています。ただ、色合いについては同じピンクの勝負服のサクラ軍団と被らないようにしました。あとは耳飾りのひとつ星は菊花賞の1冠を示しています。

――耳カバーがシースルーになっているのは、何か由来があるんですか?

開発それは引退式でつけていた白いメンコが由来になっています。ほとんど着用しなかったので、気付く方も少ないかもしれませんね。

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――気付きませんでした……。トップロードと同時に配信されたSRサポートカードの面々についても解説をお願いします。

開発[鼓動が速まるクールダウン]メジロライアンはトレーニングのあいだの休憩している雰囲気がテーマです。[一等星を目指して]アドマイヤベガはストイックに研究をしている姿を描きました。基本無表情な彼女ですが、このイラストではライバルのテイエムオペラオーの研究をしているせいか、少し険しい顔になっているんですよ。[響け!模範的あいさつ!]サクラバクシンオーは、おなじみの日課であるあいさつ運動の様子を切り取っています。

――アドマイヤベガの表情など、意外な仕込みがあるんですね。いまこの記事を見て『ウマ娘』を始めようかなと思っている読者もいると思います。そんな人たちに向けてアドバイスをいただけますか?

開発攻略的なところはファミ通さんの『ファミ通presents ウマ娘研究会!』を観てください。初めてプレイする方は、まずは好きなキャラクターを育成するところから始めるといいと思います。最初は失敗もするかもしれませんが、何度でもやり直せるし、やればやるほど魅力やゲームの深さがわかってくるので、キャラクターたちと遊んでいるような感覚で楽しんでほしいですね。

――それでは、今後のプロジェクト全体の展望についても教えていただけないでしょうか。

開発1周年のタイミングで記念アニメが発表されましたが、これに合わせてさまざまな展開を仕掛けていく予定です。2021年の展開をもっと発展させたような仕込みをしている最中ですので、楽しみにしていてください。

――最後に、トレーナーの皆さんへのメッセージをお願いします。

開発ここまで来られたのはトレーナーの皆さんのおかげです。『ウマ娘』は競馬と同じで、さまざまな方に支えられてできているコンテンツですが、つくづく愛されていると感じています。ありがたいことに知名度も上がってきたので、これからは心に残るIPを目指して努力し続けるつもりです。

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