サイゲームスより配信中のiOS、Android、PC(DMM GAMES)対応ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)。2022年2月24日に、同作が1周年を迎えたことを記念して週刊ファミ通2022年3月17日号(2022年3月3日発売)では、『ウマ娘』の特集記事を掲載。同特集時に実施した、矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)と立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)へのインタビューをお届けする。

※本インタビューは2月上旬に実施しました。

矢野妃菜喜(やの ひなき)

3月5日生まれ、兵庫県出身。声優デビュー前から歌手としても活動中。おもな出演作に『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(高咲 侑役)、『SELECTION PROJECT』(美山鈴音役)など。(文中は矢野)

立花日菜(たちばな ひな)

6月14日生まれ、宮城県出身。アニメ、ラジオなどで活躍中。おもな出演作に『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(市井舞菜役)、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(久川 凪役)など。(文中は立花)

オーディション時からこだわり抜かれた設定

――まずはそれぞれの役に決まったときのことを振り返っていただけないでしょうか?

矢野アニメなどのオーディションでは、用意されたセリフでいくつか演技をしてみて、それで終了ということが多いんです。でも、キタサンブラックのオーディションでは、幼少期の声と成長後の声の演じ分けを細かくディレクションしていただきながら、長時間にわたって演技していたことが印象的でした。

立花私は最初、サトノダイヤモンドかマチカネタンホイザで受けようと考えていて、事務所のマネージャーさんに相談していたんです。そうしたら即「ダイヤでいきましょう!」と言われて。マネージャーさんは「ダイヤならいける!」と確信していたみたいです。

――まさにその予感は正しかったわけですね。

立花おかげで、いまこうしてここにいられます(笑)。オーディションでは妃菜喜ちゃんと同じように、幼少期との演じ分けを細かくやらせていただいていました。それから歌唱審査では(メジロ)マックイーンさんの『はじまりのSignal』が課題曲だったのですが、こちらもダイヤちゃんの雰囲気に合わせた調整を細かく指示されました。「オーディションなのに、こんなにキャラクター感を見ているんだ」と驚きましたね。いまも歌のレコーディングでは、このときの経験をもとに、雰囲気作りを大事にするようにしています。

矢野私も課題曲は『Never Looking Back』でしたが、同じようにかなり細かいディレクションがあってすごく印象に残っています。

――その後、正式に役が決まってからはどのメディアの収録を行っていたのでしょうか?

矢野ゲームより先にテレビアニメ第2期の収録がありましたね。あと、いちばん最初に録ったのが『うまぴょい伝説』だったんですよ。

立花いままで歌ったことがない雰囲気の楽曲でしたね(笑)。先に仮歌をいただいて練習をしていったのですが、「これはセリフなのか、歌なのか……」なんてことを考えながら収録していました。私たちは仮歌がMachicoさんが歌う(トウカイ)テイオーさんのものだったので、もっと元気な感じだったんです。もともと独特な歌なのに、よりそれぞれの個性が入るソロバージョンはどうなるんだろう、と当時もオタク目線で気にしていました。

矢野私は(キャラクター的にもキタサンブラックに近い)テイオーさんですごく参考になるなぁ、と思っていました(笑)。

『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?

――そのテレビアニメ第2期を完走して、改めて『ウマ娘』に対して感じた思いは?

矢野以前、私はアニメコラボカフェのキャストをしていた時期があったのですが、その期間に『ウマ娘』とコラボしたことがあって、当初から『ウマ娘』のことは気になっていたんです。その作品に自分が出演した、ということがうれしくて。しかもすごくいい立ち位置の役もいただいて……。自分の声が乗っているけど、毎回号泣していました。しかも、その後さらにすごいブームになって。

立花私も毎回「いいアニメだな」って視聴者目線で泣いていました(笑)。アツい話の中で、キタちゃん、ダイヤちゃんが癒やし枠、ギャグ枠として出てくるんです。それが作品全体の差し色になっていたんですよね。そんな中、最終話ではいきなり成長した姿でトレセン学園に入学することになって、それからのことを想像して感動していました。

――将来を感じさせるシーンでしたね。

矢野ふたりして感動していたのですが、成長後の姿でのセリフもあったので、その演技もしなければいけなかったんです。でも、それまでずっと幼少期の演技を続けてきたところだったので、「どう演じるんだったっけ?」とふたりしててんやわんやしていました(笑)。

――その後ゲームの大ヒットもありましたが、おふたりの周囲の反応はいかがでしたか?

立花いろいろな人に会うたびに『ウマ娘』のことについて話し掛けられるようになりました。声優仲間でも、仕事と関係なくハマっている人がたくさんいて「これが社会現象なんだなぁ」と、ただただ驚きました。

矢野ゲームが更新される日でなくても、Twitterでトレンド入りすることがあるみたいですからね。そこまで来ると、自分が出演しているのに、どこか他人事のような気分になってしまいますね。

『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?
『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?

1周年記念アニメで描かれるふたりの素顔

――続いては1周年記念で制作されたアニメ作品、“ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』1st Anniversary Special Animation ”について伺いたいと思います。まずは台本を読んでの最初の印象は?

矢野台本をいただいて開いてみたら、いちばん上にキタサンブラックの名前があったんです。まずはそこに驚いて、さらに読み進めていくとキタサトのお話になっていたので、驚きと喜びとでいっぱいになりました。

立花『ウマ娘』のアニメは絵コンテの時点ですごくかわいい絵が描かれているので、それを目にして「また『ウマ娘』が始まるんだ」と実感が湧いてきましたね。

矢野『ウマ娘』のアフレコは、キャラクターやセリフが多いこともあってかものすごく速いテンポで進んでいくので、ひさしぶりだと、ついていくのがたいへんなんですよ。それも『ウマ娘』らしいと実感できるところでした。

――動いている画を観て、パッと目に付いたところがあれば教えてください。

矢野感動するところはいっぱいあるのですが、真っ先に挙げるとしたらやっぱりギャグ要素ですね(笑)。監督は「これでも抑えたほうだ」と言っていたのですが、周囲から総ツッコミを受けていました。

立花階段をジャンプして飛び越えたりとか。ツッコミどころは随所にあるんですよね。

――ギャグ要素というと、同じく先輩ウマ娘のサクラバクシンオーとキタサンブラックとの絡みも、注目すべきシーンですよね。

立花初絡みでしょうか?

矢野収録は私たちが最初だったようで、バクシンオーさんの反応というか、どんな感じで絡んできてくれるのかは想像で補いながら演技をしていました。

立花バクシンオーさん、本当にかわいくて、それ以上におもしろいですよね(笑)。

――あのシーンでは最終的にキタサンブラックが走り去っていってしまうのですが、あのときはどんな気持ちだったのでしょうか?

矢野純粋に驚いていたと思います。どこかつながっているような、シンパシーを感じてはいるのですが、いまは逃げようと(笑)。

立花「いまじゃない!」って。

――アニメにはサクラバクシンオーやチーム<スピカ>のほか、チーム<カノープス>の面々も登場します。彼女たちへの印象は?

矢野4人揃ったときのわちゃわちゃ感がかわいいな、と感じています。

立花それぞれマイペースを貫きつつも、4人揃うとすごいテンポでしゃべり出すんです。それでいて、どこかのんびりした空気を感じさせるのが彼女たちの特徴だと思っています。そんなところがかわいいんですよね。

『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?
『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?

ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』1st Anniversary Special Animation

――そんな個性的な先輩たちも待つ学園生活ですが、あの後ふたりにはどんな未来が待っていると思いますか?

矢野キタちゃんはチーム<スピカ>に入って、マジメにトレーニングをしながらも、まわりの個性的な先輩たちに振り回されるのかなぁと思っています。

立花ダイヤちゃんもキタちゃんといっしょにいるんでしょうね。でもふたりとも、振り回されることをイヤだと思わず、むしろおもしろそう、楽しそうと感じるタイプかなと。1周年記念のストーリーイベントでも、先輩たちといっしょに楽しんでいましたから。

矢野確かに、ダイヤちゃんはバクシンオーさんの圧にビックリしているキタちゃんを見て「なんだか元気な先輩に絡まれてたねぇ」って言っていたくらいだし。

――アニメのラストにはおふたりが歌うエンディングテーマ『Ambitious World』も流れます。どういった感じの曲なのでしょうか?

矢野まさに“キラキラ、青春、爽やか”といった感じの楽曲です。とにかくポジティブで、マイナスな言葉はまったく出てきません。

立花ふたりのユニット曲なのですが、オープニングテーマ、主題歌のような“主人公感”が強く出ている楽曲だと思います。2番に「輝きってどんな色をしてるの」という感じの歌詞が出てくるのですが、その言い回しがダイヤちゃんぽくて好きですね。彼女の探究心の強さや、マックイーンさんへの思いも感じ取れるのではないでしょうか。もちろん、キタちゃんにとってのテイオーさんへの思いも。

――収録ではどのようなディレクションがありましたか?

矢野やっぱり、キラキラ青春みたいなところは改めて指示があったと思います。

立花ダイヤちゃんはお嬢様なので、いつもは伸びやかな感じを意識しているのですが、今回はキタちゃんといっしょなので、よりウキウキ感強めで歌わせてもらいました。

ステージ上でも募るテイオー、マックイーンへの想い

――4th EVENTにはおふたりも出演される予定ですが、練習はたいへんではないですか?

矢野何より合わせる機会がないのが難しいところですね。キャストの皆さんが忙しいというのもありますが、やはりコロナ禍の影響はまだ大きいです。一度にレッスンに参加できる人数を絞らざるを得なかったり、先生とマンツーマンだったりすることもあります。

立花出演する舞台によって立ち位置や歌割りが変わることもあるんですよ。それぞれで自分の動きと全体の動きを覚えないといけないので、だいぶ頭を使います。

――むしろ新曲を覚えるほうが楽かもしれませんね。

立花キャストの中には2日公演でフルに出演されている方もいて、やっぱり1日目と2日目で立ち位置が変わったりすることが多いようなんです。私たちはまだ2日公演でフルに出たことはないのですが、いつか2日間とも出演できたら、うれしい一方でその試練が待っているんだな、といまからドキドキしています(笑)。

――つぎの公演で「これはやってみたい」という楽曲はありますか?

矢野先ほどもお話しした、1周年記念アニメのテーマ曲『Ambitious World』です。

立花早く皆さんの前で歌ってみたいですね。

――既存の楽曲でとくにお気に入りだったり、歌ってみたいものはありますか?

矢野Ring Ring ダイアリー』ですね。これは3rd EVENTのときにも歌ったのですが、テイオーさんと歌える唯一の曲だったんです。舞台では(トウカイテイオー役の)Machicoさんから視線を逸らさず、ずっと見つめ続けていました。そのことが印象に残っています。

立花私はやっぱり『木漏れ日のエール』です。Twinkle Holidayでもキタサトで歌わせていただいたのですが、3rd EVENTでは本家のマックイーンさん×テイオーさんが披露してくれたんです。合間の振り付けも完璧で、ゲネプロ(※本番前の通し稽古)でそれを見て泣いてしまったので、本番ではあえて絶対に見ないようにしていました。

矢野ステージの上がオタク心をくすぐるもので溢れ返っていて、自分の心を平静に保つのが本当にたいへんでした(笑)。

立花3rd EVENTではマックイーンさんとどうしても絡みたかったので、全員曲のときにダイヤちゃんなりにアピールをしていました。現地にいたトレーナーさんたちの何人かが気付いてくれていたようで、すごくうれしかったです。ほかにも、キタちゃんとダイヤちゃんが隣に並ぶ曲では、お互いに見つめ合う振り付けを当日に妃菜喜ちゃんと相談して入れてもらったりしていました。

――ライブでは臨機応変にそんなこともしているのですね。キタサト以外でもそういった遊び心を入れているキャストさんもいらっしゃるでしょうし、舞台上で見るところがありすぎて現地観戦組はたいへんですね。

立花本当にそうですよね。

矢野目が足りないんですよ。

――ファン目線でのコメントありがとうございます(笑)。そうなると、客席にもマルチアングルのモニターが欲しくなってきますね。

矢野今回は中継のカメラがもう1台増えるみたいですよ。上手側だけでなく、下手にも。

立花そうなんだ。楽しみですね!

――『ウマ娘』のイベント、ライブではいつもいっしょにいる印象があるおふたりですが、いつからそんなに仲よくなったのでしょうか。

矢野じつは私たち、出会ってから仲よくなるまでかなり時間が掛かっているんです。

立花ふたりともけっこう人見知りで、まともにしゃべれるようになるのに半年以上は掛かったんじゃないでしょうか。

矢野コロナ禍ということもあって、お互い「ご飯に……」とさえ言い出せなくて。

立花毎週「あっ……お疲れさまです」みたいなあいさつを交わすだけでした(笑)。

――まさに“他人行儀”の見本のようなやり取りですね……。

矢野アニメでは収録がいつもいっしょで、ご飯に行く時間もあったはずなのに結局1回も行かずに終わっちゃいました。

立花その後、ライブに出るようになってそのためのレッスンが始まってから、少しずつ接近していった感じですね。だから、仲よくなったのはじつはここ半年くらいなんです。

矢野でも、ふたりでセットで動くようになって、ライブや収録の後、皆さんにいっしょに写真に収まってもらえるようになったんです。誘いやすくなったみたいですね。

――今後ライブなどで実現させてみたいことはありますか?

矢野とりあえずはキタサトとテイオーさん、マックイーンさんの4人のユニットで、ライブで歌ってみたいですね。専用の楽曲がなくてもいいんです。この4人で歌うことに意味があるというか……。

立花私もいつかマックイーンさんとふたりで『はじまりのSignal』を歌えたらいいな、と思っています。

――それでは最後にトレーナーさんたちへのメッセージをお願いします。

矢野ついにキタちゃんが育成ウマ娘として実装されて、トレセン学園入学後のストーリーが描かれます。皆さんにもようやくキタちゃん自身が努力して走っている姿をお届けできるようになりました。キタちゃんが主人公しているところをたくさん見て、かわいがってあげてほしいです。

立花ダイヤちゃんについては、登場するたびに違った印象を与えてきたと思います。ホンワカしたお嬢様なところだけでなく、自分の夢、家族の夢に対する真摯な姿勢だったり、年相応に子どもっぽいところもあったりと、いろいろな表情を持っています。そんなところを見て楽しんでいただけたらと思います。

『ウマ娘』1周年記念! 矢野妃菜喜さん(キタサンブラック役)&立花日菜さん(サトノダイヤモンド役)インタビュー。1周年記念アニメで描かれたふたりの素顔とは?

 週刊ファミ通3月17日号(2022年3月3日発売)では、『ウマ娘 プリティーダービー』を22ページにわたって特集。本インタビューのほかにも、ファミ通.comで行ったトレーナーアンケートや徳井青空さんインタビュー、開発スタッフインタビューなど、さまざまな企画が盛りだくさんとなっているので、要チェック。

Amazon.co.jpで購入 ebten(エビテン)で購入 BOOK☆WALKERで購入 Kindleで購入