『風のクロノア』シリーズをご存知でしょうか。ネコのような獣人のキャラクターが飛び跳ねながらさまざまな舞台を駆け巡り、ステージクリアーを目指していく見た目にも元気でかわいいアクションゲーム。『風のクロノア』をちょっと知っている人たちならそういう印象で語るかもしれません。
しかし、エンディングを見た人たちが口にする印象はちょっと違うはず。「意外と硬派なアクション」と言う人もいるかもしれないし、何より多くの人は「ストーリーが切ない……!」と言うのではないでしょうか。
2022年2月10日、バンダイナムコエンターテインメントから、Nintendo Switchでリマスター版となる『風のクロノア 1&2アンコール』が2022年7月7日に発売されることが発表されました。さらに、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、Steam版の発売も発表され、こちらの発売日は後日公開予定となっています。今回はそれに合わせて、『風のクロノア 1&2アンコール』収録作を中心に、『風のクロノア』を少し振り返ります。
風のクロノア 1&2アンコール 第1弾PV
『風のクロノア』ってどんなゲーム?
シリーズ第1作となる『風のクロノア door to phantomile』は、1997年にナムコ(当時)から発売されたプレイステーション用ソフト。かわいらしい見た目のオリジナルキャラクター&ストーリーに、小気味いいアクションが評判を呼び、2001年にはナンバリングの続編となる『風のクロノア2 ~世界が望んだ忘れもの~』がPS2で発売されました。
ナンバリング以外にはワンダースワンやゲームボーイアドバンスでパズル色の強いシリーズ作が発売されたほか、パーティーゲームやアクションRPGのスピンオフなども発売されています。
1作目、2作目ともに、本作の基本は横スクロールアクション。主人公のクロノアが使える“風だま”で敵を攻撃し、ジャンプで段差やギミックを乗り越えてゴールを目指していく、というのが本作の流れです。
この説明では非常にオーソドックスなジャンプアクションのゲームに見えますが、本作がほかのゲームと異なるのは、風だまを当てた敵を利用できる点。風だまを当てると敵を捕まえることができるため、敵を投げてほかの敵にぶつけたり、捕まえた敵を足場にして2段ジャンプができたりするのです。
そして、システム面での大きな特徴とも言えるのが3Dならではのシステム。本作は3Dグラフィックで表現されているため、横スクロールで進んでいきながらもダイナミックに視点が変化したり、一部のステージで奥行きのある構成になっていたりする部分があります。
そのため風だまで捕まえた敵を画面奥に投げてギミックを発動させる奥行きを感じさせるシーンや、横スクロールで1本道のように進んでいたはずが、いつの間にか同じ場所をぐるっと回り込んでいた、といったステージもあります。この3Dならではの演出がとくに強調されているのが、『風のクロノア2』。本作では、高所から飛び降りるシーン(飛び上がるシーンも)がたびたび出てきたり、スノーボードのような“フロートボード”で滑走するシーンなどで迫力ある演出が採用されています。
かわいいキャラクターと徐々にシリアスになるシナリオ
というのが基本的なシステムの紹介。しかし、本作で一番多く語られるところは、キャラクターとストーリーでしょう。主人公クロノアと、各作品のキーキャラクターの会話劇はほのぼのとしており、かわいらしい見た目なども相まって、見ているだけでも楽しくなります。
『風のクロノア』のキャラクター
『風のクロノア2』のキャラクター
また、クロノアたちがしゃべるファントマイル語(通称“クロノア語”)は、ボイス付きで独特の言語をしゃべるのですが、その世界観もファンが多いポイント。『風のクロノア2』にはファントマイル語でクロノアが歌うボーカル曲もBGMに入っています。ちなみに、初代『風のクロノア』のWii版ではボイスを日本語に変更できたのですが、今回のリマスター版はファントマイル語が標準になっているとか。
……と、ここまで書いてきた要素も確かに『風のクロノア』の魅力ではあるのですが、多くのファンが語るであろう最大のポイントは、ストーリーです。ネタバレになるので詳しい解説は避けますが、かわいらしい見た目と裏腹に、ステージが進むに連れてストーリーはどんどんシリアスに。とくに第1作、初代『風のクロノア』のエンディングは、いま思い出しても涙が……。泣けるシナリオ。これも『風のクロノア』の魅力でしょう。
やり込むほどにシビアなアクション要素も熱い!
ちなみに、筆者個人としては、ファンの多いキャラクターやシナリオと同じくらいゲームのアクション要素も大好きです。
前述の通り、風だまを使った2段ジャンプを活用して進むのが気持ちいいのですが、ステージに隠された収集要素などをコンプリートしようとすると、難度がグッと上がります。
また、初代『風のクロノア』で特定条件で出現する隠しステージ“EXTRA VISION”は、まさにゲキムズ! 風だまで敵を捕まえた瞬間に2段ジャンプをして、その最高到達点にいる敵を風だまで捕まえて、再び2段ジャンプ……といったかなりタイミングがシビアなアクションが求められるのです。
しかしこれができた瞬間が最高に気持ちいい! 25年前はEXTRA VISIONまでできたけど、いまはクリアーできるのだろうか……。
と、ほかにもBGMなど魅力は語り尽くせません。兎にも角にも、Wiiへの移植などはあったものの、現在のハードでは遊ぶことが難しかった『風のクロノア』が、同じくプレイが難しかった『風のクロノア2』とともに復活するのはうれしい限り。キャラクターとしてもゲームとしても魅力があるだけに、これを機にファンが増えて、新たな展開につながることを願っています!