ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。北埜トゥーンがおすすめするタイトルは、独創的な世界観が魅力のパズルアドベンチャー『There Is No Game: Wrong Dimension』です。
※本記事は『There Is No Game: Wrong Dimension』のネタバレが含まれます。
【こういう人におすすめ】
- 変わった世界観のゲームが好き
- 謎解きゲームを楽しみたい
- 短時間で楽しめるゲームを探している
北埜トゥーンのおすすめゲーム
『There Is No Game: Wrong Dimension』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、PC、iOS、Android
- 発売日:
- Nintendo Switch版:2021年12月16日
- PC版:2020年8月7日
- 発売元:Draw Me A Pixel
- 価格
- Nintendo Switch版:1670円[税込]
- PC版:1320円[税込]
- iOS版:610円[税込]
- Android版:650円[税込]
「ここにゲームはない」と語り続けるプログラムの世界を探索する“非”ゲーム
本作は気になったポイントを調べたり、手に入れたアイテムなどを活用して進めていくポイント&クリックスタイルのパズルアドベンチャーゲームです。そう聞くと「よくある謎解きゲームかな?」と思う人もいるかもしれませんが、本作の魅力は独創的な世界観にあります。
ゲームを起動して最初に登場するのは多数の国旗。言語選択画面になっているようで、カーソルをあわせた国旗の言語で「これが読めるならプログラムを終了しろ!」というメッセージが表示されます。そんな警告は無視して進めてみると、“非ゲーム制作 Draw Me A Pixel”というメーカー紹介に続いて、タイトルロゴと「始めない」の文字が……。
いろいろと気になるところはありますが、とりあえずボタンを押してゲームスタート……と思いきや表示されるのは壁のみ(その前にもいくつか画面がありますが割愛)。何もすることがないので、とりあえず壁を叩いてみると“プログラム”と名乗る謎の声が「ここにゲームはない」と話しかけてきます。
ここから本格的にゲームがスタート。タイトル画面にある「!」を何度も触っていると徐々に動いていき、最終的には「!」の上の部分がブロック崩しのパドル、下の部分がボールのようになり、タイトルの文字を破壊できるようになります。
というように、本作は自分のことを“非ゲーム”と呼んで必死に抵抗する“プログラム”と、そのプログラム(ゲーム)で何としても遊ぼうとするユーザー(プレイヤー)の物語がくり広げられます。この先の読めない独特な世界観が本作の魅力です。
驚きの連続のパズル要素
物語を進めると“プログラム”と“ユーザー”はゲームの世界に迷い込んでしまいます。そこから脱出するために“プログラム”と“ユーザー”は試行錯誤していくのですが、そのパズルがとにかく秀逸なんです。ただ、パズルは解きかたがわかってしまうと楽しみが減ってしまうと思いますが、例を挙げないとおもしろさが伝わらないと思うので、ひとつだけ紹介させてください(記事冒頭にあるPVにも登場しているシーンです)。
たとえば、某有名アクションゲーム風の世界では、勇者を姫が囚われている次元の神殿まで導く必要があるのですが、勇者を直接操作することはできず、プレイヤーは間接的にしか関わることができません。
次元の神殿への道中には大きな草が生えていて勇者が進めないため、まずは“生命の剣”を取りに行くことに。そして、パズル(謎)を解きつつ、なんとか“生命の剣”のあるエリアにたどり着き、台座から引き抜こうとしたところ“生命の剣”が折れてしまいます。折れた剣では草を切ることができないので、何か代用できるものを探すのですが、それがなんとUI(ユーザーインターフェース)の体力ゲージの一部として表示されている剣!? プレイヤーがとある方法で体力ゲージから剣を取り外し、それを勇者に渡すことで先に進めるようになります。
このように常識にとらわれないユニークなパズル(謎)が多数用意されていて、「よくこんなことを思いつくな~」と感心させられっぱなしでした。もちろんヒントも用意されているので謎解きが苦手という人もご心配なく。
筆者は当初、短時間でも楽しめそうなジャンルのゲームということで、空いた時間に少しずつ進めようと思っていたのですが、あまりにおもしろくてゲーム開始からエンディングまで一度も休憩することなくぶっ続けで遊んでしまいました。そこまでボリュームがあるわけではないですが、続きが気になるストーリー、そして「今度はそうきたか~」と驚かせてくれるパズル、どちらも本当に魅力的で夢中になれる作品なので、ぜひプレイしてみてほしいです。