ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。ライターのタワラがおすすめするタイトルはXbox Series X|S、Xbox One、PC用ソフト『Halo Infinite』です。
【こういう人におすすめ】
- オープンワールドが好き、興味のある人
- 15~20時間程度で完結するゲームを探している人
- 撃ち合いの強さが重視される硬派なFPSを遊びたい人
タワラのおすすめゲーム
『Halo Infinite』
- プラットフォーム:Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)
- 発売日:2021年12月9日発売
- 発売元:Xbox Game Studios
- 価格:7590円[税込](マルチプレイは基本プレイ無料)
寄り道込みでも短期間でスッキリ遊べるオープンワールド
『Halo Infinite』は、言わずと知れた名作『Halo』シリーズの最新作だ。ソロで遊ぶキャンペーンモードのほか、無料でプレイ可能なマルチコンテンツのふたつが用意されている。
キャンペーンモードでは、FPSプレイヤーにはおなじみのミッションに従ってステージを進みながら、落ちている銃器などを拾いつつ敵と戦っていく。シリーズを通しての主人公であるマスターチーフの活躍を描く物語も熱く、初めて『Halo』シリーズに触れる人でも理解しやすいのもポイントだ。
そんな本作だが、キャンペーンモードは途中からオープンワールド要素が入ってくるのが最大の魅力となっている。
FPSのキャンペーンモードと聞くと6~10時間程度でプレイでき、ほぼ一直線にストーリーを進めるイメージを持つ人も多いのではないだろうか。個人的には、一般的なRPGなどと比べると、比較的短いプレイ時間になりつつも、しっかりと熱い展開が待ち受けているものが多いというイメージだ。
『Halo Infinite』はそういった要素を損なわず、かつオープンワールド要素でじっくりとやり込めるという選択肢を用意してくれている。
オープンワールドと言っても、把握しきれないほど膨大な要素が盛り込まれているわけではない。すべての要素を回収しながらのんびり遊んでも、おおよそ20時間前後でクリアーできるはずだ。この絶妙なボリュームで、最後まで飽くことなくキャンペーンモードのすべてを堪能できるのが本作のポイント。
もちろん、従来のキャンペーンモードのようにストーリーだけを一直線に追いかけることも可能。しかし、オープンワールド要素も非常におもしろい内容に仕上がっているので、ぜひ寄り道をして遊んでみてほしい。
代表的な要素としては、前線基地の開放などが挙げられる。舞台となる環状惑星ゼータヘイローの各地には、敵が陣取っている基地が多数配置されている。これらの基地を襲撃することで、自分たちの基地として使えるようになるのだ。
解放した前線基地では銃や弾薬の補充、移動手段となる乗り物の要請など、プレイが楽になる要素が盛りだくさん。各地に移動する際の拠点として活用できるので、探索しつつ基地を解放していくのが基本的なプレイ方針になるだろう。
また、本作では仲間となるUNSC(国連宇宙司令部)の兵士を救出することも重要だ。マップ各地で救援信号を出しているので、駆けつけて敵を倒すとプレイヤーに同行していっしょに戦ってくれる。
救出した仲間とともに敵を強襲したり、突破の難しい基地などに乗り込むのも戦略のひとつ。もちろん単独で基地を解放してもいいのだが、撃ち合いが苦手な人でも寄り道をすればするほど簡単に進められるようになる。
そのほか、マップ上に表示された名前付きの敵NPCを倒すとユニーク武器が手に入る、いかにもなオープンワールドらしい要素も。探索や寄り道をするほど強い武器が手に入り、プレイヤー自身も強化できるのでやり応えも抜群だ。
これらのオープンワールド要素をストレスなく遊べる理由として、新たに追加されたグラップルの功績は大きい。腕から射出されたワイヤーを使って素早く移動したり、高所を登れるグラップルのおかげで移動や戦闘が苦にならず快適に動けるのだ。
クールタイムも短く頻繁に使えるため、崖から崖に飛び移ったり、高い壁に囲まれた基地に登って侵入したりとやりたい放題できてしまう。決められたルートを使うことなく、自分の思うがままに移動させてくれるグラップルが、移動や戦闘をより楽しめるものに昇華させている。
ちなみにこのグラップル、非常に多機能で、移動手段には留まらない。落ちている武器を拾ったり、敵に向かって撃てばそのまま急接近できたりと戦闘中も大いに活躍してくれる。
本作では空を飛ぶ敵も多数登場するのだが、グラップルでつかんで強制的に殴り飛ばすアグレッシブな動きで倒すことも可能だ。
また、マップを探索すると集められるスパルタンのコアを使ってアップグレードすれば、グラップルをはじめとする各種機能をさらに強力なものにできる。
これもオープンワールド要素の利点で、各地でスパルタンのコアを集めるか否かで攻略難度が変わっていく。もし敵に勝てなくなったら、寄り道をしてアップグレードをするのがオススメだ。
個人的に好印象だったのが、紹介してきた要素以外にも細部までゲームらしいネタが仕込まれていた点。
たとえば、ストーリーでも攻略することになる巨大な基地があるのだが、この基地から少し離れた位置にある崖には兵士の死体とスナイパーライフルが置かれている。
当然ながらこの兵士に対する言及はなく、なぜ単独でその場所にいたかも不明だ。基地内に囚われた仲間を助けようとしたのか、その仲間といっしょに基地に突入したメンバーだったのか……。
残された武器や遺体を見て自分の中でストーリーを想像する楽しみは、マップを探索しているといくつか見つけられる。目的地を決めずに冒険して何かを発見するのもオープンワールドの醍醐味なので、そういったおもしろさも体験できる。
オープンワールド要素を抜きにして、FPSのキャンペーンモードを見てもグラップルを使ったステージ攻略、強力なボスとの戦いなど熱くなれるシーンが満載の本作。従来のFPSらしいキャンペーンモードが好きな人、オープンワールド好きどちらも楽しめるバランスなので、多くのプレイヤーが満足できるはずだ。
マスターチーフゆえに許される強者の物語
さて、キャンペーンモードでは、前作『Halo 5: Guardians』から1年半後を舞台に大量破壊兵器であるヘイローを起動すべく暗躍するバニッシュトとの戦いが描かれる。
バニッシュトはUNSCに敵対する組織のひとつで、ブルートと呼ばれる種族を中心とした凶暴な戦闘集団。本作ではUNSCの超巨大空母であるインフィニティを襲撃し、数多のUNSC兵士たちを葬っている強敵として立ちはだかる。
ストーリーは、いきなりバニッシュトの襲撃を受けてマスターチーフが宇宙に投げ出されるムービーシーンからスタート。最初は前作を知っていても何が起こっているのか理解できない状況で、少しずつストーリーが紐解かれるため、新規プレイヤーでも物語の内容を把握しやすい。
そんな物語の魅力は何といっても、マスターチーフの強靭すぎる精神と、そんなマスターチーフに振り回される不憫な兵士エコー216の掛け合いだ。エコー216はバニッシュトの襲撃から生き延びた兵士で、マスターチーフとは対比となる存在。家族の姿を映したホログラムを眺めたり、敵の姿に怯える逃げることを提案するなど、常識的な感性を持ち合わせた一般人という印象を受ける。
基地は破壊され、兵士はほぼ全滅。そんな絶望的な状況下におけるふたりの精神性の違いを見るのが物語序盤のおもしろいポイントとなる。
マスターチーフはある使命を帯びて行動しているのだが、傍目から見ると自殺行為に見えてしまう。大量の敵がいる基地にハンドガンひとつで乗り込む展開は、自分の主人公補正を理解しているとしか思えない無茶ぶりだ。
大量の敵を相手に単身で挑んで全滅させてくるその姿は、映画でも頻繁に見る、じつは最強の兵士でした、暗殺者でした系の無双アクションに通ずるカタルシスを感じさせる。もちろん苦戦はするのだが、それはそれとして最終的には勝つだろうという熱い信頼がマスターチーフにはあるのだ。
ストーリーは環状惑星ゼータヘイローを舞台に、大量破壊兵器を起動しようと目論むバニッシュトと、それを阻止するために奮闘するマスターチーフの戦いが主軸として描かれていく。ただ敵を倒すだけでなく、マスターチーフが気絶しているあいだに起こった出来事の謎を知っていったり、かつての仲間との再会など物語として盛り上がる部分もしっかりと用意されている。
味方がほぼ全滅した絶望的な状況からの逆転劇を描くストーリー、マスターチーフのカッコイイ姿が堪能できるムービーシーンなど、プレイ中に楽しめるポイントが満載だ。登場する敵キャラクターも見た目から所持している武器まで個性が強く、つぎはどんな敵と戦えるのか気になって止め時を失ってしまうこと請け合い。
『Halo』シリーズに触れている人ほど楽しめる内容ではあるが、本作で初めてシリーズをプレイする人でも問題なく楽しめるはずだ。
マルチプレイは無料で遊び放題!
キャンペーンモードを楽しみ尽くした後は、マルチプレイも遊んでみよう。もちろんマルチプレイから入るのもアリだが、マルチとキャンペーンモードだとプレイフィールに違いがあるので、ぜひどちらも遊んでみてほしい。
プレイヤーの実力が大きく反映されるランクマッチをはじめ、大人数で遊べるビッグチームバトルなどゲームモードが豊富で、実力を問わず多くの人が楽しめるようになっている。スパルタンスーツのカスタマイズ機能も充実しており、見た目のカッコよさを追求できるのもポイントだ。
シンプルにキルを稼ぐものから、陣取り合戦やアイテム集めなど、遊べるモードも多彩なので本作のマルチプレイは初心者でも楽しみやすい。とくに12VS12で戦うビッグチームバトルは乗り物を使って敵を倒したり、味方をサポートするといった遊びかたもできるため気楽に遊べる印象だ。
これまでのゲームになかったような目新しい要素は少ないものの、昔から愛されてきたFPSの要素が洗練された王道のバトルが楽しめるので、バトロワ系が苦手という人にも向いている。
バトルパス要素もあり、遊ぶほどに新たなコスチュームなども手に入っていくので、長期間ガッツリやり込むこともできる本作。ソロで遊ぶキャンペーンモード、無料で遊べるマルチプレイどちらも遊び応えのある内容なので、ファンだけでなく『Halo』シリーズを遊んだことがない人にもオススメしたい一作だ。