ゲームで10年前をゲームで振り返る
いまから10年前、2011年に販売本数が上位だった人気タイトルと当時話題になったゲームやハードを改めて紹介。ゲームを通して10年前を振り返っていく。
2011年と言えば、東日本大震災が記憶に新しい。3月11日、三陸沖の太平洋を震源とした超巨大な地震が発生。それに伴う津波と余震は、東日本一帯に甚大な被害をもたらし、福島第一原子力発電所事故も引き起こした。日本を大きく揺るがした一連の災害は、エンターテイメント業界にも大打撃を与える。イベントなどの自粛を余儀なくされ、春先に発売が予定されていた多くのタイトルは、発売延期となった。
人々が手を取り合い、復興に向けて取り組む中で、ゲーム業界では明るいニュースも。それは次世代携帯ゲーム機のニンテンドー3DS(2月26日発売。以下、3DS)と、プレイステーション Vita(12月17日発売。以下、PS Vita)の登場である。
任天堂とソニー・コンピュータエンタテインメント(当時。以下、SCE。現ソニー・インタラクティブエンタテインメント。以下、SIE)がくり広げた携帯ゲーム機のシェア争いは、新たなハードに引き継がれていった。
また、2011年はソーシャルゲームの市場規模が前年比の2.7倍となる2794億円に急成長し、オンラインゲーム市場を超える一大勢力に。その後の成長を続けるのは、読者もご存知の通りだが、このあたりから、ソーシャルゲームに費やす筆者・ジャイアント黒田のお小遣いの割合も増えていったと思う。皆様もお小遣いのご利用は計画的に……。
2011年に販売本数が多かったタイトルは?
そんな2011年の販売本数のランキングは、新しいハードの人気を裏付ける結果となった。集計期間は、2010年12月27日~2011年12月25日まで。数値はすべてファミ通調べとなっている。多くのゲームファンに支持された販売本数トップ5のタイトルと併せて、編集部が独断で選んだ2011年の話題作を大公開!
なお、1991年にファミ通読者が選んだ人気タイトルや、2001の販売本数のトップ5などもまとめているので、まだ記事を読んでいない方は、併せてチェックしてほしい。
1位『マリオカート7』(ニンテンドー3DS)/108万2391本
2011年12月1日に任天堂から発売された3DS専用のレースゲーム。
その名の通り、シリーズ7作目のタイトルだが、『マリオカート』といえば、『スーパーマリオカート』、『マリオカート64』、『マリオカートアドバンス』といった具合に、タイトルにハードの名前が含まれていることが多かった。それを踏襲しなかった物珍しさと、「7作も出ていたのか」という驚きも手伝って、本作のタイトルは印象に残っている。
本作の特徴は、新たに空中や水中のエリアが追加されたこと。グライダーを展開しながら空中を滑空したり、スクリュープロペラを使用しながら水中を進んだりする姿は新鮮だった。カートをカスタマイズできるのもミソ。フレームとタイヤ、グライダーの3つのパーツを組み合わせて、自分好みのマシンにセッティングする新しい楽しみも増えた。
プレイヤーキャラクターは全17人。新たにジュゲム、ハナチャン、メタルマリオ、ハニークイーンが追加された。また、レースを盛り上げるアイテムは全部で18種類用意されており、ファイアフラワーとスーパーこのは、ラッキー7(セブン)が初めて登場。筆者は7つのアイテムがキャラクターの周りに一度に出現する、ラッキー7の無敵になったような感覚が大好きだった。実際には、サンダーなどを食らうとすべてのアイテムを落としてしまうので、無敵ではないんだけど……。
2位『スーパーマリオ 3Dランド』(ニンテンドー3DS)/104万2511本
2011年11月3日に任天堂がリリースした『スーパーマリオ 3Dランド』が2位に輝いたことで、同年の販売本数ランキングは、『マリオ』関連のタイトルがワンツーフィニッシュを決めた。タイトルの発売がどちらも年の瀬に近かったことを考慮すると、圧倒的な追い上げでランクインしたことに。やはり『マリオ』の人気はすさまじい。
本作は、3Dのステージを冒険するアクションゲームで、ゴールポストに到達するとクリアーできる。ステージには、3DSの機能を活用した遊びも存在。立体視を用いた騙し絵のような仕掛けや、ゲーム機本体を傾けて操作する望遠鏡などが実装されていた。また、『スーパーマリオブラザーズ3』で初登場した“たぬきマリオ”が、本作で復活を果たしたのも印象的。久しぶりのたぬき姿に、喜んだファンも多いだろう。
3DSで人気を博した本作は後継作も作られた。2013年11月21日に、コースを一新し、4人同時プレイが可能になった『スーパーマリオ 3Dワールド』がWii Uで登場。2021年2月12日には、ネコの国を舞台にした完全新作“フューリーワールド”追加した、『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』がNintendo Switchで発売されている。
『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp)3位『モンスターハンターポータブル 3rd』(プレイステーション・ポータブル)/102万1457本
2010年12月1日にカプコンから発売された、PSP向けの『モンスターハンター』シリーズの3作目。なお、102万本という上記の数字は2011年のあいだでの売り上げ本数。2010年と2011年の売り上げを合算では450万本超となっていた。ちなみに、カプコンの発表によると、本作はその後も売上をさらに伸ばし最終的に累計販売本数490万本を達成している。
本作では、最新作の『モンスターハンターライズ』と同じく和風の世界が舞台。温泉観光地“ユクモ村”を拠点にモンスターと壮絶な戦いをくり広げる。
使用可能な武器種は、『モンスターハンターポータブル 2nd G』に登場したすべてのタイプに加えて、『モンスターハンター3』で初登場したスラッシュアックスが実装され、当時はシリーズ最多となる12種類に。また、オトモアイルーも引き続き登場し、ハンターと同じように武器や防具を作成して装備させることができるようになった。
アドホックモードを使った通信プレイもパワーアップ。最大4人でクエストに挑めたほか、ふたりプレイ時はそれぞれ1匹ずつオトモアイルーを連れていくことができた。累計販売本数では450万を超えるだけあって、筆者の周囲にも本作のハンターだらけ。いつでも狩りの誘いに応えられるように、カバンの中にはつねにPSPが入っていた。
4位『モンスターハンター3(トライ)G』(ニンテンドー3DS)/80万9322本
3位に続いて4位にも『モンスターハンター』シリーズのゲームがランクイン。2011年12月10日に3DSで発売されたタイトルで、“G”の名の通り、『モンスターハンター3』をアップグレードした内容になっている。パッケージを飾ったのは、新モンスターの“ブラキディオス”で、既存の亜種モンスターも追加された。
本作は、『モンスターハンター3』の特徴であった水中ステージが実装されているのもポイント。双剣や狩猟笛、ガンランス、弓でも水中戦が可能になり、久しぶりに水中での狩猟を堪能したファンも多いだろう。ちなみに、筆者はガノトトスの復活にニヤリとした。
3DSでは初のシリーズタイトルであったが、下画面にはタッチスクリーンを活かしたカスタマイズ機能が実装された。マップやアイテムポーチなどを移動できたほか、仮想の十字ボタンや大型モンスターに視点が向くターゲットカメラを追加でき、狩猟生活をサポートしてくれた。さらに、周辺機器の拡張スライドパットにも対応。操作性が向上することから、愛用していた方も多いのでは?
5位『ファイナルファンタジーXIII-2』(プレイステーション3)/69万7146本
『ファイナルファンタジーXIII-2』は、2011年12月15日にスクウェア・エニックスから発売されたプレイステーション3(以下、PS3)、およびXbox 360用のRPG。2009年12月17日に登場した『ファイナルファンタジーXIII』の続編にあたり、前作から3年後の世界を舞台に、ライトニング(前作の主人公)の妹・セラと未来からやってきた青年・ノエルの活躍を描く。
本作は、シリーズで初めてマルチエンディングを採用。いくつもの時空エリアが連なる“ヒストリアクロス”と呼ばれる拠点から、さまざまな時空エリアを行き来して歴史を改変することで、異なるエンディングが楽しめた。エンディングの内容は、正統なものからクスっと笑えるものまでバラエティー豊か。物語は、続編の『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』(2013年11月21日発売)へと続き、この作品をもってライトニングの物語は完結する。
前作を踏襲したバトルシステムは、“シネマティックアクション”という演出と、モンスターを仲間にできる要素が加わり、爽快感と戦略性がアップ。とくに後者のシステムがユニークで、仲間にできるモンスターの数は約150種類にもおよんだ。モンスターどうしを合成してアビリティを継承させることもできたので、夢中になってモンスターを育成した人も多いはず。
トップ5以降の注目タイトルをピックアップ!
ここからは、惜しくもトップ5入りを逃したタイトルから思い出に残る作品を紹介。当時夢中になったタイトルがないかチェックしてみよう。
『みんなのリズム天国』(Wii)/63万3429本
2011年7月21日に任天堂がリリースしたWii用のリズムゲームなのだが、ほかのシリーズ作品と同じく、ふつうのリズムゲームとは一線を画す内容になっている。公式が定めるジャンルは、“ノリ感ゲーム♪”。リズムにのってタイミングよくボタンを押すだけで、50種類以上のリズムゲームが楽しめる。
たとえば、“レスラー会見”のリズムゲームでは、プレイヤーは覆面レスラーを操作。リズムにのりながら、女性レポーターの質問に答えたり、記者の要望に応えてポーズを取ったりしていくと、ステージをクリアーできる。評価を上げれば、新しいリズムゲームがつぎつぎと登場していく仕組みだ。
画像だけでは魅力が伝わりにくいのだが、レスラーのコミカルな動きや、記者の「こっち見てー」という掛け声など、この不思議な空間に引き込まれる要素が散りばめられており、中毒性は高め。短時間でクリアーできることも相まって、お気に入りのリズムゲームを夢中になって遊んだ方も多いハズ。
『テイルズ オブ エクシリア』(プレイステーション3)/63万2151本
2011年9月8日にバンダイナムコゲームス(当時。現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたPS3用のRPGで、『テイルズ オブ』シリーズの15周年記念作品。シリーズ初のダブル主人公や、キャラクターデザインをいのまたむつみ氏と藤島康介氏が初めて共作で手掛けたのも話題となった。
ストーリーは、ゲーム開始時に選んだ主人公の視点で進行。どちらか一方でしか見られないイベントや、同じイベントでも異なる視点で楽しめる展開が用意されており、両方の主人公でプレイすることで、物語の全容が明らかになる構成に。戦闘もふたりの主人公が協力しながら戦う“DR-LMB(ダブルレイド・リニアモーションバトル)”を採用。ふたりのキャラクターを同時に操作しながら戦うリンクモードも用意され、高度な連携が楽しめた。
なお、2012年11月1日には本作の1年後の世界を舞台にした続編『テイルズ オブ エクシリア2』が発売された。続編だけで楽しめる作りになっているものの、本作のパーティーキャラクターも参戦するので、ファンならより堪能できる作りになっている。
『龍が如く OF THE END(オブ ジ エンド)』(プレイステーション3)/40万9949本
セガの人気アクションアドベンチャー、『龍が如く』シリーズのスピンオフ作品。初回生産版はパッケージが箱仕様になっていて、表には「がんばろう、日本!」の標語が掲載され、売り上げの一部を寄付する取り組みも行われた。
物語の舞台こそシリーズおなじみの神室町だが、敵は極道やチンピラではなく、なんとゾンビ。プレイヤーは、主人公の桐生一馬、秋山駿、真島吾朗、郷田龍司を操作し、歓楽街を埋め尽くすゾンビたちと死闘をくり広げる。ほかの作品と同じく、俳優の起用も行われており、ゾンビ役にテリー伊藤さん、デビット伊東さん、エスパー伊東さんが起用されたのも話題になった。
戦闘システムは、新たにガンショットバトルを採用しており、主人公ごとに専用の銃器が使用可能に。街中で入手した銃器や爆発物も使用でき、敵を圧倒する爽快感が味わえた。また、おなじみのヒートアクションは、ヒートスナイプに変化。一度に多くのゾンビを殲滅したり、パートナーと協力して強力な技を放ったりする要素も戦闘のいいスパイスになった。
『AKB1/48 アイドルとグアムで恋したら…』(プレイステーション・ポータブル)/36万2059本
人気アイドルグループ、AKB48のメンバー登場するゲームの第2弾で、2011年10月6日にバンダイナムコゲームス(当時。現バンダイナムコエンターテインメント)からPSP用ソフトとして発売された。“究極の恋愛妄想ゲーム”と、メーカーに名付けられたジャンルの通り、物語は“AKB48のメンバー全員がプレイヤーのことを好き”というすごい設定でスタート。本命のひとり以外を振って振って振りまくるという、AKBファンにとっては夢のような内容となっている。
本作の舞台は常夏のリゾート“グアム”。公式サイトに書かれた“今度は…水着だ! 南国だ!!”に嘘偽りはなく、ゲーム本編には、AKB48メンバー全員(参加メンバーは、2011年6月20日時点のチームA、K、Bの48名)が水着姿で登場。しかも、収録されたスチルはすべて新規撮り下ろしという気合の入れっぷり。南の島ならではのシチュエーションも、水着の魅力をいっそう際立たせてくれている。
ちなみに、撮影はメンバー全員がグアムに来訪して実施したとのこと。本作の制作発表会に出演した大島優子さんは、「今回は、映画撮影並みのスケールで撮影させていただきました。じつは今回夢がかなったんです。それは、ハーレーを10台以上従えた撮影で、ロングハマーにも乗れたこと。ハーレーはサイドカーにも乗れて、夢が叶って楽しかったです」とコメントを残している。制作費がいかほどだったかは想像もできないが、実現できてしまうあたり、AKB48の人気、おそるべし。
『レイトン教授と奇跡の仮面』(ニンテンドー3DS)/35万4344本
3DSのローンチタイトルとして開発された、『レイトン教授』シリーズの作品で、第2シリーズの2作目にあたる。2011年2月26日にレベルファイブからリリースされた。“奇跡の紳士”が恐ろしい事件を引き起こす街“モンテドール”を舞台に、レイトン教授が新たなナゾに挑む。
シリーズ初の3DSのタイトルということで、レイトン教授やルークたちを3Dポリゴンで生き生きと表現。おなじみのアニメーションも立体視に対応しており、新鮮な気持ちでプレイできた。多湖輝教授が監修した新作のナゾだけではなく、きょくげいウサギやねじまきロボ、うりきれショップといったミニゲームが多数収録されているのもうれしい。
2013年2月6日には、本作をベースに新たなアニメーションやエピソード、ナゾを追加した『レイトン教授と奇跡の仮面プラス』が、ダウンロード専売タイトルとして登場した。この作品は、2022年1月11日9時59分まで開催されている“レベルファイブ ウィンターセール”の対象商品で、キャンペーン中は500円(税込)で購入できる。興味のある方は、この機会をお見逃しなく!
『DARK SOULS(ダークソウル)』(プレイステーション3)/33万4302本
『DARK SOULS(ダークソウル)』は、2011年9月22日にフロム・ソフトウェアから発売されたPS3用のアクションRPG。世界中で“死にゲー”ブームを巻き起こした、『Demon's Souls(デモンズソウル)』の流れを汲む作品のひとつであり、現在3作品が展開されている、『ダークソウル』シリーズの記念すべき最初のタイトルである。
『ダークソウル』の名を聞いて最初に思い出すのは、やはり極悪なゲーム難度。プレイヤーの心を折りに来る要素がこれでもかと用意されており、“ソウル”(経験値であると同時に、お金の役割を果たす重要なもの)をロストして、何度絶望したことか。話題作だからと生半可な気持ちで手を出したことを後悔したのは、筆者だけではないはず。
また、非同期型のユニークなオンライン要素も特筆すべき点。ほかのプレイヤーが死亡した場所に血痕が残り、その死に様を確認できたほか、ヒントメッセージを書き記せたりすることができた。本作に細かな調整を行った『ダークソウル リマスタード』が2018年5月24日に複数のハードで発売されているので、“死にゲー”を体験したい方はお試しあれ。
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