いまから30年前、1991年をゲームで振り返る

 1991年に人気を博した『FFIV』や『ファイナルファイト』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』といった人気タイトルを、当時話題になったゲームを振り返ります。

 1991年。『ウマ娘 プリティーダービー』でも人気のトウカイテイオーが皐月賞と日本ダービーで優勝し、その年の年度代表馬・最優秀4歳以上牡馬・最優秀父内国産馬に輝いた。世界的には、ソビエト連邦(ソビエト社会主義共和国連邦)崩壊というビッグニュースが人々を震撼させた。ちなみに、筆者・ジャイアント黒田の地元・広島県では、広島東洋カープが5年ぶりにセ・リーグ優勝を果たし、地元メディアも周辺も大いに沸いた記憶がある。

 ゲーム業界では、メガドライブ(以下、MD)用の周辺機器“メガCD”が1991年12月12日に登場。MD本体にメガCDを接続することで、従来のROMカートリッジよりも大容量のメガCD専用CD-ROMのゲームがプレイできた。さらに、音楽トラックに収録された楽曲や音声などを使用できるようになり、ゲーム内で重厚なBGMや長尺で鮮明な台詞なども表現可能に。オーディオCDを再生する機器としても活躍した。

1991年にゲームファンを熱狂させたタイトルは?

 そんないまから30年前の1991年に、どのようなタイトルがゲームファンの支持を得たのか。本稿では、当時のファミ通に掲載された“’91年ベストヒットゲーム大賞”の企画をもとに、印象的なタイトルを振り返りつつ、編集部が独断で選んだ話題作や、ハードなども紹介していく。

 なお、“’91年ベストヒットゲーム大賞”は、1990年12月から1991年11月までに発売されたタイトルの中から、ファミ通読者が選んだゲームがランクインしている。

『ファイナルファンタジーIV』(スーパーファミコン)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 スクウェア(当時。現スクウェア・エニックス)を代表する人気RPG『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズの4作目。1991年7月19日発売。プラットフォームをファミコンからスーパーファミコンに移してリリースされたシリーズ初のタイトルで、多くのユーザーがカラフルなグラフィックと高品質なサウンドに魅了された。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 ストーリーも、主人公の暗黒騎士セシルがパラディンに目覚める展開、セシルの親友・竜騎士カインの裏切り、パロムとポロムの犠牲など、子ども心ながらに考えさせられるシーンが多かった。ゴルベーザ四天王の“四天王”という設定も、心惹かれたのを覚えている。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 戦闘システムは、シリーズおなじみの“アクティブタイムバトルシステム(ATB)”を初めて採用。前作までのターン制からリアルタイムに時間が経過し、順番が回ってきたキャラクターの行動を選べるようになったことで、緊張感のあるバトルが楽しめた。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

『ファイナルファイト』(スーパーファミコン)

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 1989年12月14日に登場し、一世を風靡したカプコンのアーケードゲームの移植作。1990年12月21日発売。つぎつぎと出現する敵を倒しながら進むベルトスクロールアクションゲームで、超犯罪都市“メトロシティ”を舞台に、マーシャルアーツの使い手・コーディーと、パワフルなプロレス技を駆使する市長のハガーが大暴れする。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 筋骨隆々の個性の強いキャラクターと、彼らがくり出す多彩なアクションやさまざまなアイテムを駆使した爽快なバトルに、多くのゲームファンが熱狂。“パンチはめ”などの上級者向きのテクニックがある一方で、シンプルな操作で子どもも楽しめた。残念ながら、SFC版はひとり用だったが、ワクワクしながら順番待ちをしたのもいい思い出に。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 また、SFC版は、アーケード版で活躍したガイが登場しなかったことから、1992年3月20日にSFCでガイとハガーを操作できる『ファイナルファイト・ガイ』が発売。人気キャラクターのガイは、『ストリートファイター』シリーズにも参戦を果たした。

『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(メガドライブ)

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 マリオと並ぶ世界的に人気のキャラクター“ソニック・ザ・ヘッジホッグ”こと、通称ソニック。セガのマスコットキャラクターとして知られるソニックが初めて登場したのが、1991年7月26日にMDで発売されたアクションゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』だ。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 ソニックは日本語で“音速”。ヘッジホッグは英語でハリネズミを意味することから、“音速のハリネズミ”と呼ばれることも多い。その特徴はゲームにも反映されており、目にも止まらぬ速さでフィールドを疾走するスピード感が作品のウリ。爽快感を感じさせるBGMも相まって、海外を中心に大ヒットを記録した。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 翌年の1992年には続編(『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』。テイルス好きの筆者はこちらの印象が強い)が登場し、生誕から30年のあいだにさまざまな作品がリリースされた。ソニックの人気はいまも衰えることなく、2022年にはオープンワールド風のフィールドをソニックが疾走する、完全新作の『ソニックフロンティア』の発売が控えている。

『シムシティー』(スーパーファミコン)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 PCで人気を博した街づくりシミュレーションゲーム『シムシティー』のSFC版。PC版に数々の追加要素が実装される形で、1991年4月26日に任天堂からリリースされた。プレイヤーの目的は、とある都市の市長となり、街を経済的に発展させて人口50万人の“メガロポリス”を目指すこと。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 マップ上にいろいろな建物を建設し、産業や交通、災害などの要素に気を配りながら、街を自由に発展させていく。当時、ウォーシミュレーションゲームの主流だった戦略的な要素は少なく、自分好みの街づくりを楽しめるのが画期的だった。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 また、SFC版の追加要素として、春には桜が咲き、冬には雪景色になるといった四季の変化が楽しめたほか、街を襲う“災害”のひとつである“モンスター出現”に、任天堂ならではの演出も。マリオのライバルであるクッパが出現し、街を破壊していくのである。この演出に驚いたプレイヤーも多いだろう。

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『サ・ガ2 秘宝伝説』(ゲームボーイ)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 1990年12月14日にスクウェア(当時。現スクウェア・エニックス)から発売された、ゲームボーイ(以下、GB)用のRPG。前作『魔界塔士サ・ガ』の流れを汲むタイトルで、プレイヤーキャラクターは、人間、エスパー、モンスターに加えて、新たにメカが登場した。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 種族ごとに異なる成長システムがより個性的になる一方で、使用回数に制限のある攻撃手段など、前作の特徴をしっかりと継承。遊び応えがましており、続編としての正当な進化を感じさせてくれた。シリーズファンにはおなじみのキャラクター“せんせい”が、モンスターながら学校の先生として登場し、バトルで活躍してくれるなど、ニヤリとする仕掛けも。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 前作と異なり長らくリメイクされていなかったが、2009年9月17日にニンテンドーDSで『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』が登場。さらに2020年12月15日に、Nintendo SwitchでGB版の完全移植版『Sa・Ga COLLECTION』がリリースされた。後者には、前作と次作も併せて収録されており、3部作が手軽に楽しめる。

そのほか1991年の話題作とハードはこちら!

 ここからは、編集部が独断で選んだ1991年の話題作とハードを紹介。ちなみに、資料室に保管されていた『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のカセットに、“ファミ通”の名前が入っているのはご愛嬌。筆者の周囲には、カセットの後ろに名前を書く友人が多かったと記憶しているが、当時の編集部は前派だった様子。あなたは前と後ろ、どちらに名前を書いていましたか?

『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』(スーパーファミコン)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 ファミコン ディスクシステムで発売された『ゼルダの伝説』、『リンクの冒険』に続くシリーズ3作目として、1991年11月21日に任天堂からリリースされたSFC用のアクションアドベンチャーゲーム。発売が年末に近かったせいか、読者が選んだベストヒットゲームでは上位に入らなかったものの、当時の編集部の評価は非常に高く、アクションRPG賞に輝いている。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 人気のヒミツは、ハードがSFCになったことで、グラフィックやリンクのアクションなどが大幅に進化したから。当時としては美しく表現されたフィールドやダンジョンを、リンクを操作して冒険できるうえ、回転斬りやダッシュ斬りなど、剣だけでもいろいろなアクションがくり出せた。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 さらに、弓、ブーメラン、爆弾などのバラエティー豊かなアイテムが登場し、ものを担いで投げたり、押したり、引っ張ったりすることもできた。これらのアクションを使いわけて、フィールドやダンジョンに隠された謎を解いてストーリーを進める展開に、ドキドキした人も多いだろう。

『遥かなるオーガスタ』(スーパーファミコン)

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 ゴルフゲームと言えば、1997年7月17日にプレイステーションで発売された『みんなのGOLF』を挙げる人が多いだろう。だが、それより6年も前の1991年4月5日に登場し、編集部や日本のゴルフファンの心を鷲掴みにしたタイトルが存在した。それがPCからSFCに移植された、ゴルフシミュレーションゲーム『遥かなるオーガスタ』である。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 ティーアンドイーソフトが手掛けた本作は、3Dポリゴンでリアリティのあるフィールドを再現。カメラの向きを変えると、それに合わせて風景も変化することによって、既存のゴルフゲームとは異なり、臨場感のあるプレイが楽しめた。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 グラフィックだけではなく、ショットやパターの操作方法も本格的。ショットは、打つ方向を決めた後、クラブとスタンスを選択すると操作開始。パワーを決めるバーを止めて、ボールを叩く位置を決定するとボールが飛んでいく。マニア向けの作りゆえに、ゲームの難度は高かったものの、ゴルフゲームを語るうえで欠かせないタイトルである。

『アドバンスド大戦略 -ドイツ電撃作戦-』(メガドライブ)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 1991年6月21日にセガがMDでリリースしたウォーシミュレーションゲーム。当時、近代戦全盛の同ジャンルにおいて、「あえて第2次世界大戦をネタに選んだ企画力」がファミ通スタッフの心をつかみシミュレーションゲーム大賞に輝いた。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 経験値を溜めて兵器を進化させるシステムなど、当時としては斬新なシステムが取り入れられており、第二次世界大戦には登場しない兵器を開発することもできた。独創的な一方で、歴史上実際にあった作戦を反映するなど、マニアのツボは押さえた作りに。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 ゲームの難度も非常に高く、当時のファミ通には「このゲームの本質は、滅びの美学を堪能することだ。個々の兵器は強力なのに、米英軍の物量に押し潰されていくドイツ軍。……泣ける。正直言って1944年以降はぜんぜん勝てないぞ」というコメントが。本作もまた、ゲームが難しかった時代を象徴する1本であるといえる。

『へべれけ』(ファミコン)

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 1990年代に活躍したサンソフトのマスコットキャラクター “ヘベ”。ニット帽をかぶった雪だるまのような姿をしており、語尾に「にょ」や「ぴょ」をつける不思議な生き物だ。ゲーム雑誌に4コマ漫画が掲載され、“へべ”たちが登場するゲームが何本か発売されたので、記憶に残っている人も多いだろう。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 この“へべ”が初めて登場したのが、1991年9月20にファミコン(以下、FC)で発売されたアクションゲーム『へべれけ』である。プレイヤーは“ヘベ”となって、ひとクセもふたクセもある仲間と協力しながら異世界を探索していく。発売当時こそ大きな話題にならなかったものの、その独特な世界観とコミカルなキャラクターなどが徐々に人気を博し、活躍の幅を広げていった。

1991年『FFIV』や『ファイナルファイト』『ソニック』に夢中になる人が続出! 30年前の人気タイトルを振り返る【年末プレイバック企画】

 次回の記事では、20年前の2001年を振り返るので、こちらもお楽しみに!