2021年11月17日に電撃的にリリースされた『ルインドキング:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー』(以下、『ルインドキング』)。ライアットゲームズ内のパブリッシングレーベル“Riot Forge”が送る最初のタイトルのひとつで、世界的人気を誇るPC用オンライン対戦ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、『LoL』)の世界をモチーフにしたRPGだ。
本レビューでは、『LoL』歴約9年のライターがじっくりと遊んでみた感想をお届けする。これまでは、テキストだけで知ることが多かったチャンピオン(プレイヤーが操作できるキャラクター)のバックボーンを、ボイス付きのリッチなRPGで楽しむことができる本作。いつものチャンピオンたちの、いつもとは違う面が見られる本作は、『LoL』ファンにはたまらない作品となっている。
バックボーンがしっかり練られているだけに、“ファンタジーRPG”としての世界を堪能するのもいい。『LoL』が気になっているプレイヤーの入門作品として、RPG好きにもぜひともおすすめだ。というわけで、本作の魅力を詳しく解説していこう。
ストーリーはやや『LoL』ファン向けか
『LoL』はリリースされて約12年が経っており、登場するチャンピオン(プレイヤーが操作できるキャラクター)の数は150人以上。『ルインドキング』ではチャンピオンの中からミス・フォーチュンやイラオイ、ヴィエゴ、ガングプランクらを中心とした物語が展開され、仲間としてブラウム、パイク、アーリ、ヤスオなども登場する。
各チャンピオンのことをまったく知らなくても、どういった背景の人物なのかは『ルインドキング』だけでわかるようにはなっているので心配は無用。とはいえ、深く理解するなら『LoL』の知識も必要かな、とも思ってしまったのも事実。
この作品から『LoL』やその舞台“ルーンテラ”に足を踏み入れるプレイヤーは、公式サイトのユニバース(世界設定や物語)を見ながら遊ぶと楽しいだろう。
一方で、(私のような)『LoL』ファンなら、チャンピオンたちの会話の端々から『ルインドキング』には登場しないチャンピオンや地方の様子なども垣間見え、ルーンテラへの探求欲や理解度は増していくばかり。イラオイ好きのプレイヤーにはあまり出会ったことがないが、本作をプレイすれば以前よりイラオイのことが好きになってしまうはず……。
おもな舞台はビルジウォーターとシャドウアイル
ルーンテラはいくつもの地方に分かれており、『ルインドキング』の物語はビルジウォーターとシャドウアイルを中心にくり広げられる。ビルジウォーターは荒くれ者の海賊たちが激しく縄張りを争う港町。シャドウアイルは“黒き霧”に覆われている呪われた島々だ。
かつて、シャドウアイルは先進的な文明が存在する“ブレスドアイル”として知られていたが、ある事件をきっかけに破滅に追いやられてしまう。ミス・フォーチュンたちは、ビルジウォーターに迫る黒き霧の秘密を解き明かすべく、シャドウアイルへと旅立つことになるのだ。
ちなみに、仲間になるブラウムはフレヨルドという地方、アーリとヤスオはアイオニアという地方のチャンピオン。彼らがなぜビルジウォーターにいるのか、という点も注目してほしいポイント。筆者は、仲間のチャンピオンが公開になったとき、すぐに2020年の『LoL』イベントのムービーを思い出した。
血塗られた刃の縁(えにし) │ 精霊の花祭り 2020 シネマティック
また、公式ツイッターでは『ルインドキング』がどの時期のストーリーなのかも明らかにされている。発表によると、滅びの王と称されるヴィエゴの野望が光の番人に阻まれる前、いかにして彼がルーンテラに現れ出でたかが語られるとのこと。
『LoL』ユニバース内の“燃え盛る波濤”と“黒い霧、運命の女神”には『ルインドキング』に関わる部分がある。これらのストーリーを熟読しておくと読んでおくとより楽しめるだろう。
伝説を愛するすべての人にお知らせ:
『ルインドキング:リーグ・オブ・レジェンド・ストーリー』はヴィエゴについて、また、彼がどのような経緯でルーンテラの世界に顕現したのかを明らかにするオリジナルストーリーです。… https://t.co/LBfKEdAlO4
— ルインドキング (@RiotForgeJP)
2021-11-18 11:00:01
ゲーム部分は王道RPG
ゲーム部分は、チャンピオンを操作してフィールドを探索し、街の人々との交流やショップでのアイテムの売買などをしつつ物語を進めていく。まさに王道RPG。
バトルについてはつぎのセクションで解説するが、ターン制ということでアクション要素はなく、じっくりと腰を据えてプレイ可能。この“いかにも”なRPG感が、個人的にとても気に入っているポイントだ。
ダンジョンにもいろいろなギミックが用意されていて、プレイしていて飽きない作りになっている。仕掛けを解いて奥に進む、といった定番のものはもちろん、装備品を預けるとどこかわからない場所にワープし、それを見つけると預けた装備品がパワーアップする、といったユニークなギミックもあった。
調べられるオブジェクトがハイライトされる“スキャン”の機能もあるので、快適に探索できる点もうれしい。
行動順の調整がカギを握るターン制バトル
本作はシンボルエンカウント制で、フィールドにいる敵に触れるとバトルに突入。バトルは、各キャラクターがコマンドを選択し、行動順に沿って実行していくターン制だ。
選んだコマンドによって実行するまでの時間やつぎに動き出せるまでのタイミングが変化し、それらの様子はコマンド選択時に確認できる。
単純にコマンドを選択してそれを眺める、というだけではなく、工夫しがいがあるのが『ルインドキング』のバトル。チャンピオンごとに、コマンドの特性も大きく違い、どういった組み合わせでパーティを運用するか、というのにも多くのプレイヤーが頭を悩ませることになるだろう。
各チャンピオンには得意とすることがあり、ミス・フォーチュンやヤスオは攻撃、ブラウムやイラオイは防御向け。『LoL』で言うところの“ロール”(役割)がそのまま反映されると思っていいが、イラオイは仲間の体力回復技などが使える点が、『LoL』のイメージとは違っておもしろい。また、ブラウムやイラオイは簡単に敵の注意を引くことができるので、どちらかひとりは必ずパーティにいれるようにしていた。
敵も役割が分かれていることが多く、バトル中に細かな情報のチェックができる点も本作ならではの要素。難易度(いつでも変更可能)を上げれば、ザコ戦でもかなり緊張感があるバトルを楽しめる。
一方で、バトルをスキップできる“ストーリー”という割り切った難易度を用意しているのも、物語だけ見たい派のプレイヤーにはうれしい要素だろう。
『LoL』ファンだけでなく、RPGファンにもおすすめ
チャンピオンたちのバックボーンが描かれるRPG、というだけで『LoL』ファンには間違いなくおすすめできるが、バトルシステムの完成度の高さも特筆モノ。
『LoL』を知らないプレイヤーには、若干説明不足かなと思う用語などはちらほら見られるものの、気になるワードが出てきたら、設定資料集を読む感覚で公式サイトを読むのもいい。
もちろん単体の作品としてストーリーも十分に満足できる仕上がりだ。本作が気に入ったら、ぜひとも『LoL』やほかの関連作品などを追ってみてほしい。
いまのおすすめは、Netflixで11月7日より公開されたばかりの『Arcane(アーケイン)』というアニメ。これは、ピルトーヴァー、ゾウンという地域が舞台で、『ルインドキング』でも街の人の会話などでちらほら名前は登場。本作は『LoL』をより深く楽しむためのバフアイテムと言えるだろう。
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ゲーム概要
タイトル:ルインドキング:リーグ・オブ・レジェンド
発売日:2021年11月17日
ジャンル:シングルプレイ用ターン制RPG
プラットフォーム:Nintendo Switch、Xbox One、PS4、PC(Steam、GOG.com、Epic Games Store)(※)
価格:3090円[税込]、デラックス版(※):4100円[税込]
※PS5、Xbox Series X|Sも発売予定。
※デラックス版には各キャラクター用の“滅びのスキン”、“破滅のスターターパック”、追加アイテムが含まれる。