THQ Nordicより発売中のプレイステーション4、Xbox One、PC用ケモノ系オープンワールドアクションRPG『バイオミュータント(Biomutant)』。粗削りながらオープンワールドの魅力が凝縮された、ハマれる人はとことんハマれる、そんなゲームです。
本作の発売直後、よくも悪くも話題となったことといえば、“日本語ローカライズの品質”について。端的に書くと、何を伝えたいのか飲み込みづらいテキストが多々見受けられ、その多くがナレーションによって読み上げられることで、じつに珍妙な味わいが醸し出されていたのです。筆者がファミ通.comで執筆したレビューでも、この点には言及しています。
そんな本作に、当初から告知されていた音声の再収録を含む、日本語修正のアップデート(パッチ1.7)が、2021年11月5日、ついに適用されました。
本稿では、アップデート前のゲームからのキャプチャー画像と、アップデート適用後のゲームから新たにキャプチャーした画像を比較して、日本語がどの程度改善されたのか、比較・検証してみたいと思います。
ちなみに、現在プレイステーション4版『バイオミュータント』は、PlayStation Storeにて定価の25%オフとなる5,692円[税込]でセール中。さらにPS Plus加入者は35%オフとなる4,933円[税込]で購入できます(セール期間は2021年11月29日 23:59まで)。
比較・検証結果を見て「これならプレイしてみたい!」と思えた方は、これを機に購入を検討してみてはいかがでしょう?
『バイオミュータント』(PlayStation Store)ゲーム冒頭のテキストを比較
まずはメニュー画面のテキストを比較してみましょう。ひとつ目の画像がアップデート前、ふたつ目の画像がアップデート後。続けてそれぞれのテキスト部分の拡大画像です。
こうして比較してみると、文字のサイズ自体も大きくなって、見やすくなっていることがよくわかります。ただ、ここに関してはテキスト自体はほぼ変わっていない模様――と思いきや、よく見ると「トライブたちを団結させる」が、「トライブたちを団結させるか」となり、脱字が修正されていることが確認できます。
そもそも、ここのテキストはアップデート前から意味が明瞭でした。修正がほぼ不要な部分も、しっかり再チェックが成されているということでしょう。
つぎに比較するのは、主人公の内に潜む“闇”が話し掛けてくる、印象的なシーン。
「お前の陰の側」が「お前の暗き一面」に。そして後半のテキストはまるっきり変わっており、“闇は主人公の今後の行動によって、強くなりも弱くなりもする”というゲームシステムに関わる説明が、飲み込みやすくなっています。
この直後のイベントシーンのテキストも比較してみましょう。
ナレーションによる主人公の呼び方は、すべて「お前」から「君」に変更されている模様。なんだかちょっと偉そうだったのが、対等な関係っぽくなって、少し好感度が高まりますね。それから、突然登場した“プレデター”という名称は“捕食者”に変わって、意味合いがわかりやすくなりました。
ジャグニ・トライブ首領との会話時のテキストを比較
ジャグニ・トライブの首領“エミュー”との会話でも、いくつもの修正が見受けられました。もっとも印象的だったのは、ジャグニ・トライブとの同盟関係の申し出を断ったときに表示されるこちらのテキスト。
エミューの台詞と、これに対する選択肢に注目です。アップデート前は、エミューの台詞に登場していない“石の要塞”のことを、主人公がいきなり脈絡なく聞きはじめる形になっています。アップデート後はエミューの側から“石の要塞”を話題にしているため、自然なやり取りに変化。安心して聞いていられる会話になりました。
回想パートのテキストを比較
最後に、主人公の幼少時代を回想するパートのテキストを、2箇所ほど比較してみましょう。まずは回想に入った直後に表示されるテキストから。
アップデート前のテキストはどこを取っても聞き慣れない文言ばかりですが、これが全面的に耳馴染みのある言葉に修正されています。「昔々の遙か過去…」という表現は聞いたことがありませんが、「遙か遠い昔…」なら、昔話でよく耳にしますよね。
続いてはスクラップ拾いのイベントで、ギズモと会話をするときの選択肢を見てみましょう。
幼少時代の回想であることを考えると、アップデート前の「やぶさかではない」、「我々の義務だ」といった主人公の言葉のチョイスは、ちょっと相応しくない気がしますよね。アップデート後の「手伝ってもいいよ」、「自分たちの役目だね」のほうが、子どもらしい言葉づかいだと感じます。
結論:物語への理解が高まるテキストに。なお、愛すべき“味わい”は健在
ここまでの比較・検証で、『バイオミュータント』は日本語修正のアップデートによって、会話の内容が大幅に理解しやすいものになっていることがわかりました。誤字の修正や、シチュエーションに合わせたニュアンスの調整も十分に行われており、ついに現代の水準に見合ったクオリティのテキストで、本作が楽しめるようになったのです。
画像ではお伝えできませんが、もちろんこれらのテキストに付く音声も、新たなテキストに合ったものに変わっていました。このあたりが気になって手が出せずにいた方にも、安心して本作をプレイしていただければと思います。
ちなみに、戦闘時に表示される技名フォントや、プレイヤーたちから“バイオミュータント構文”として親しまれている独特の言い回しについては、“理解の妨げにならない範囲”で、そのまま残されています。
こうした部分で再び不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、これらは『バイオミュータント』をすでにプレイしている我々にとって、もはや本作の魅力と切っても切れない個性。これからプレイする方も、数時間ほど体験したころには、きっとこの唯一無二の味わいが癖になってしまっているはずです。
本稿が誰かにとって、このゲームをプレイするきっかけになれば幸いです。
『バイオミュータント』(PlayStation Store)