ライブドアニュースは、ゲームの世界観を各分野の専門家に語ってもらう動画コンテンツ“ゲームさんぽ”について、歴史シミュレーションゲーム『三國志14 with パワーアップキット』を早稲田大学文学学術院の教授・渡邉義浩さんと二松学舎大学文学部講師・仙石知子さんが解説する動画を全3話にわたり公開する。

 第1話は2021年10月30日(土)、第2話は11月3日(水)、第3話は11月6日(土)にライブドアニュースYouTubeチャンネルにて公開される。

以下、リリースを引用

ゲームの三国志から現実の三国志の歴史を聞く動画公開

映画やゲームで見る三国志は史実ではなく小説がベース?歴史の脚色から文化を学ぶ

  • 使用タイトル:三國志 14 with パワーアップキット(発売元:コーエーテクモゲームス)
  • 解説者:
    ・早稲田大学理事・文学学術院教授 渡邉 義浩(わたなべ よしひろ)
    ・二松学舎大学 文学部 講師 仙石 知子(せんごく ともこ)

 ライブドアニュース(運営:LINE 株式会社)は、ゲームで描かれた世界を現実に即して各分野の専門家に語ってもらう動画コンテンツ「ゲームさんぽ」をYouTube上で提供しています。今回、古代中国を舞台にした時代小説“三国志演義”と史実の三国時代をベースにした時代背景のなか、君主のひとりとなって大陸制覇を目指す歴史シミュレーションゲーム『三國志14 with パワーアップキット』(以下、三國志 14)を、早稲田大学文学学術院の教授であり、史実の三国志に関する書籍も多数出版している渡邉義浩さんと二松学舎大学文学部講師であり、三国志演義に関する書籍も多数出版している仙石知子さんが解説する動画シリーズを全三話にわたり公開いたします。第一話は10月30日(土)、第二話は11月3日(水)、第三話は11月6日(土)のそれぞれ18:00にライブドアニュースYouTubeチャンネルで公開されます。

 第二話、第三話はそれぞれ公開時間に下記ライブドアニュースYouTubeチャンネルにて公開されます。

3世紀の三国時代と14世紀に書かれた小説の三国志演義は内容に違いが。日本では演義の内容が主流

 現在伝えられている三国志は、歴史書に残された現実の3世紀の中国の三国時代に起こったことと14世紀に書かれた三国志演義という小説の内容が入り混じって伝えられています。 「三國志14」は三国志の登場人物が多数登場し、その説明には史実のものと三国志演義のものの両方が併記されています。動画では、渡邉さんと仙石さんがそれぞれ史実の専門家、三国志演義の専門家として人物の背景を説明していきます。渡邉さんは史実と三国志演義の違いは 3 割程度とし、日本では三国志演義を更に翻訳しフィクションを加えた漫画などの解釈が主流で、国内のゲームのルーツは三国志演義といえると解説します。

1
2
3
4

ゲームのパラメーターから知る武将の背景

 「三國志14」では、武力や知力、魅力などのキャラクターのパラメーターが数値で表示されています。三国時代の 「蜀」という国を率いた 「劉備」は、三国志演義では人徳があるが弱い人物で周りに支えられた形で描かれていますが、ゲーム内では武力がやや高めに設定されています。渡邉さんは、劉備は史実では傭兵隊長も努め、武力にも長けており、その点が反映されているのではと指摘します。また、宗教家として農民反乱を率いた「張角」という人物は魅力が98と設定されており、宗教家は信仰者を引きつける力があるので魅力が高く設定されているのだろうといいます。

5
6

三国志演義から学ぶ、物語を面白くドラマティックにする秘密

 動画では、史実と三国志演義の違いが多数紹介されると同時に、その部分がなぜ変えられたのかという理由も併せて紹介されます。三国志演義では劉備が福耳だったことを強調して書き、幸福の相を持っている人物なので今後成功するであろうという印象を読者に与えたりする手法があったことや、蜀の中でも対立する派閥や階級があったもののマイルドに表現し、劉備の人徳のもと全ての人がまとまっているような記述に変わっていることを指摘します。また、中国では孔子と並ぶほどの信仰の対象である武の聖人の 「関羽」を信仰する集団が三国志演義のパトロンになっていたことから、関羽は別格の扱いであったことも指摘します。他の武将が討った人物も三国志演義では関羽が討ったとされたり、関羽の勇猛さを表現するために、出陣前に出された酒がぬるくなるまでに討ち取って帰ってきたといった文学的表現が追加されていることが説明されます。このように三国志演義では物語を面白くするためにヒーローを作ったり、仲間や友情という部分を強調して書かれていたりと現代の物語作品に通じるような手法が使用されていたことがわかります。

7
8
9
10

三国志から学ぶ人生観や格言も多数登場

 現代まで語り継がれる三国志の名言や感動のストーリーも多数登場します。三国志の時代では統一を夢見て多くの人物たちが戦いを繰り広げられますが、結果的に誰も統一は成し遂げられずその後長い分裂時代に入ってしまいます。そんな中で、後の世に残る新しい制度や政策を多数残した 「曹操」の 「老驥櫪に伏すとも志千里に在り」という詩が紹介されます。この詩は、かつて早かった馬が年老いて馬屋に寝てしまっていても、志を失わなければそれはいつまでも残るという意味であり、志のために戦った当時の人達の思いを表現しています。

 また、劉備が義兄弟の誓いを結んだ関羽が討たれてしまったために、目の前の戦いを捨てて関羽の仇をうちに行き、結果的に死んでしまったというエピソードも紹介されます。劉備を知性でサポートした軍師の 「諸葛亮」は三国志演義では死んでしまうから仇討ちはやめるべきだと劉備を止めましたが、史実では止めようとしなかったと説明されます。三国志演義では悲劇を予知しているかのような諸葛亮の完全性が出ているが、史実では劉備や関羽の絆に入ることができないと止められなかった諸葛亮の心情が出ていると、史実と三国志演義それぞれの味わいの違いもわかります。

11
12