2021年10月7日に3gooから発売予定のRPG『アストリア アセンディング』。対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション4、プレイステーション5(Xbox Series X|S版、Xbox One版、PC版はダウンロード専売で、3gooではなくDear Villagersより配信。すでに配信済み)。

 本記事では製品版相当のものを事前にプレイしたレビューをお届けしよう。なお、プレイは開発環境段階のプレイステーション4版でおこなった。

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『アストリア アセンディング』とは?

 本作はフランスのパリで創設され、現在はカナダに籍を置く開発会社・Artisan Studios(アルティザンスタジオ)が手掛けた新作RPG(過去には『勇者ネプテューヌ世界よ宇宙よ刮目せよ!! アルティメットRPG宣言!!』などを開発)。

 シナリオは『ファイナルファンタジー』シリーズで知られる野島一成氏、音楽は『ファイナルファンタジー』シリーズ、『十三機兵防衛圏』などの崎元仁氏、アートワークでは『グランブルーファンタジー』などで知られるCyDesignation(サイデザイネイション)の吉田明彦氏と皆葉英夫氏が関わっており、海外発のRPGながらも、日本の著名クリエイター陣の血も混じった、いわゆる“JRPG”を意識したタイトルだ。

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 『アストリア アセンディング』の名を聞く前に、「このゲーム画面、見たことあるような?」と思った人もいるかもしれない。それもそのはずで、2014年に東京ゲームショウで日本ではお披露目され、2015年には海外でスマートフォンのみでリリースされたRPGがそれにあたる。『ZODIAC: Orcanon Odyssey』だ。本作は、『ZODIAC: Orcanon Odyssey』のグラフィックや世界観をベースにしながらも、物語から登場人物設定、バトルやゲームシステム、そのすべてを作り直したタイトルとなっている。

デミゴッド8人の物語

 物語の舞台となるのは、さまざまな人種が入り混じる世界。いわゆる人間の“メリョ”、魚人の“ペスカ”、獣人の“アルクタン”、鳥人の“アウィシー”、トカゲ族的な“ゼフト”といった人種が存在し、この世界の住民は“調和の実”を食べることで、種族間の共存共栄を図り、争いのない平和な世界を実現している。

 しかしこの世界には“ノイズ”と呼ばれる、調和を乱す怪物たちが存在している。それに対抗すべく、この世界には“デミゴッド”と呼ばれる8人の英雄たちが存在する。デミゴッドは任期ごとに、この世界の住民から無作為に選ばれ、超人的な力“ゾディアック・パワー”を得て、ノイズに対抗するのが使命。

 ただし、ゾディアック・パワーを使うには“命”を代償にしなくてはならない。デミゴッドは3年間の任期を終えると、必ず死んでしまうのだ。命を捧げているからこそ、デミゴッドたちは住民たちからまさに英雄のような扱いを受けている。また、デミゴッドは死ぬと、その周囲の家族たちに一生遊んで暮らせるほどの、莫大なお金が報酬として贈られる。

 主人公となるのは、現デミゴッドである、第333期デミゴッドの8人(単純計算で999年続いているということになる)。もう任期は残り3ヵ月といったところで、残りの任務をまっとうしながらも、死を迎え入れる準備段階、といったところ。

 いつものように任務をこなしていたデミゴッド8人だったが、いままで街にノイズが現れたことがないのに、突如街にノイズが出現したりと、各地でこれまでにない異変が起きていく。それはこの世界の調和を乱す前触れで……? というところから、第333期デミゴッドの運命と、物語が動き出していく。

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 ストーリーは章仕立てとなっており、各事件ごとに世界の謎、登場人物たちの過去などが語られていく。死が待つ8人というところから、一見シリアスながらも8人の個性豊かな仲間たちによる会話は見ていて楽しく、かつ本人たちも死をネタに冗談を飛ばすシーンも少なくないので、比較的雰囲気は明るめな印象だ(事件を追うごとにシリアスになるが)。

 ボイスはメインストーリー部分のデモシーンに採用されており、一部会話などはボイスなし。会話劇を見ながらストーリーを進めていき(スキップ可能)、ダンジョン探索、バトルをくり広げてゲームを進めていくのが基本となっている。

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絵画のようなグラフィック

 2Dで描かれたグラフィックは非常に綺麗で、まるで絵画が動き出したかのようなグラフィックを実現している(日本のヴァニラウェア作品の影響を受けていると思われる)。キャラクターの表情や演技はとても豊かで、細かな仕草や滑らかなアニメーションも見どころ。

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 また、種族が多彩なこともあり、主要人物ではない街の人々などもふんだんに用意されていて、これが見ていてなんだか楽しい。獣人のアルクタンの女性はめっちゃセクシーだし、トカゲ族的なゼフトの男性はスラッとしてカッコイイ。街の多彩な風景と相まって、細かいところを見るだけでも楽しめるだろう。

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仲間のひとり、ダグマの妻は何よりもセクシー。

個性豊かな主人公たち

 第333期デミゴッドの面々は、調和の女神・ユノのもとで、世界を調和に導くために戦っていく。デミゴッドたちは専用の会議室を持ち、事件があれば出動して事件を解決する、要は『アベンジャーズ』的な存在だ。8人のキャラクター性と、RPGとしての性能を解説しよう。

ウラン

 第333期デミゴッドのリーダーである、女性のメリョ。衝突し合うメンバーたちに、仲よくしてほしいといつも頭を悩ませている。見た目の印象だとクールな女性騎士のようなイメージだが、実際は温厚かつ物腰柔らかで、どこにでもいるような女の子といった感じ。

 ベースジョブ(※ジョブの詳細は後述)は、隊長。大きな盾と槍を持ち、攻守ともに優れたバランス型という感じながらも、敵の攻撃を引き付ける“挑発”や回復アビリティ“キュア”なども使用でき、盾を駆使したタンク兼サポーターといった性能。

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アレック

 男性のメリョ。調和の女神・ユノのことが好きなようで、ユノに会うことを楽しみにしている。また、リーダーであるウランの立場を羨ましく思っている様子。性格としては気のいい青年といった感じだが、少し几帳面なところもある。

 ベースジョブは、ソルジャー。剣による攻撃を得意とし、基本的には物理攻撃アタッカーという感じだが、アビリティを覚えていくことでさまざまな状態異常攻撃も使えるようになっていく。

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アルパジョ

 男性のメリョで、アラシアの夫。老夫婦でありながらも、現在もアラシアとはラブラブな様子で、アラシアに愛の言葉を贈るシーンも多い。気ままな性格で、軽口や冗談を叩くシーンが多く、ついメンバーたちをイラつかせてしまうこともしばしば。エコとはよくぶつかり合っている。

 ベースジョブは、盗賊。二刀のダガーによる斬撃のほか、敵からアイテムを盗む“スティール”などのアビリティを持つ。また、探索に役立つアビリティも覚えることが可能で、バトルよりもその他の面で役立つことも多い。

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アラシア

 女性のメリョで、アルパジョの妻。冷静沈着な性格かつ、豊富な知識でメンバーを支える、みんなのお母さんのような存在。かつて、アラシアとアルパジョのあいだには子どもがいたが……?

 ベースジョブは、召喚士。バトル中に何かを召喚することで、パーティーメンバーに変わって召喚したもので戦える。召喚できるものは、物語を進めていくと増えていく。アルパジョ、アラシアともに老齢であることからか、育成面ではやや成長しにくい。

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ダグマ

 アルクタンの男性。非常に無口で、無駄な時間が嫌い。ぶっきらぼうな性格ゆえ、メンバーに冷たく当たってしまうこともあるが、その行動や発言はデミゴッドたちを正しい道に導くことも多く、ほかのメンバーでは気づかないような点も察する、鋭い観察力を持つ。

 屈強な体躯を持つアルクタンでありながらベースジョブは、魔術師。多彩な属性攻撃を得意としており、弱点を突くことが得意なため、パーティーには欠かせない存在のひとり。めちゃくちゃ物理攻撃が強そうに見えるが、やっぱり通常攻撃の威力は低い。

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エコ

 ペスカの男性で、第333期デミゴッドの中で最年少。そのため、子ども扱いされることを嫌っており、とくにアルパジョにはよくイジられる。また、ペスカ人はもとは海の生物であったからか、この世界ではやや差別的な目で見られており、そういったイジりかたをされることも。

 ベースジョブは、学者。光属性の攻撃魔法と治癒術を得意としており、攻守に優れた魔法使いという感じ。子どもゆえに序盤のHPは低いが、ステータスなどの成長面では大きく伸びやすい傾向にある。

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クレス

 ゼフトの女性。物腰は柔らかく、見た目からはイメージしにくいかもしれないが、性格は清楚なお姉さんといった感じ。じつは高家の生まれで、家族を大事にしている。他人のぶつかるようなことがなく、メンバーを温かく見守っているため、セリフがちょっと少なかったりする。

 ベースジョブは、フェンサー。物理攻撃に各属性の魔法攻撃が付いたアビリティを得意としており、ダグマと並ぶパーティーに欠かせない存在のひとり。清楚でトカゲなお姉さんが、剣士であるというのがなんともイイ。

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ケイディン

 アウィシーの女性。おしゃべりかつ自由気ままな性格で、ひとことで言ってしまえば鳥人ギャル。軽口を叩いたり人の発言をネタにニヤニヤしたりすることもあるが、他人と衝突することは少なく(エコが怒ったりするが)、第333期デミゴッドのムードメーカー的な存在だ。

 ベースジョブは、探索者。闇属性の攻撃を得意としているが、敵をスロウ状態にしたり、味方にヘイストを掛けたりする、行動順に関わるアビリティを持つ。おもに長期戦となる、ボス戦で役立ってくれる存在。

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バトルはシンプルなコマンド型

 バトルはパーティーメンバー4人で戦う、ターン制のコマンドバトル。キャラクターのステータスによって行動順が決められ、攻撃、防御、アビリティなどといったコマンドを選択しながら戦っていく。基本的なシステムはシンプルだ。敵との戦いは、フィールドで敵に触れることで発生する、いわゆるシンボルエンカウントシステムを採用している。

 ゲーム開始時から、デミゴッド8人全員がメンバーになる。バトル中にはメンバーチェンジが可能で、1回の行動で複数チェンジすることができ、1回でパーティー全員総入れ替えなども可能だ。HPがなくなり倒れた仲間もチェンジができるので、復活アイテムやアビリティを使わずにチェンジでやり過ごすといった戦術も取れる。

 序盤から8名もの仲間を使い回さなくてはいけないので大変と思うかもしれないが、特徴がハッキリとしているので概ね固定メンバーで戦うことになるためご安心を。

 たとえば攻守優れたサポート役のウラン、属性攻撃が得意なダグマ、クレスの3名は固定で、あとのひとりは自由枠という感じ。シチュエーションによっては魔法が通じない敵が現れ、ダグマではなく別の仲間を使うシーンもある。あくまで指針のひとつであって、もちろんパーティーメンバーはプレイヤーの自由に選んでオーケーだ。

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自由自在なフォーカスポイント

 特徴的なのが“フォーカスポイント(FP)”の存在。これはバトル開始時にひとつ、敵の弱点を突くことで増えていき、消費することで選んだコマンドの威力や効果を増やすことができる。ひとつ消費するたびに50%効果が増し、最大4つ消費で200%まで威力などを高められる。

 弱点を突かないと基本はFPが増えないが、コマンド“フォーカス”を使うと1ターン限定のFPが手に入る。1キャラクターの行動を犠牲にして、ほかの仲間の行動を強められるというわけだ。攻撃の威力を高めるのがおもな使い道にはなるが、たとえば状態異常の効果時間を伸ばす、回復アビリティの回復量を増やすことも可能なので、FPの使いどころがバトルの鍵を握っている。

 と言いつつ、ボスの中にはFPの使用を禁止してくるものもいれば、弱点を突けないのでFPを増やしにくい、なんて場面もあったりするため、それぞれのシチュエーションに応じた戦術がもっとも重要だ。

 また、FPは敵にも用意されている。そのため、弱点属性を突かれてしまうと、さらに手痛いダメージが入るなんてことも。FPはマイナス値も用意されており、属性を“吸収”したりするとマイナス値になり、FPを増やしにくくなる。そういったところから敵にFPを使わせない、という戦術も重要になってくる。

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画面右上の数字がFP(左上が敵側)
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画面中央下にあるのが、FPで上がる倍率。2FP消費して100%アップ。
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弱点属性を突いたので、さらに2FP手に入っている。

オプションで弱点を知ろう

 敵の弱点を知るにはアビリティ“スキャン”などを使うことで判明するほか、あてずっぽで当てたりすることで判明する。が、オプション設定に“弱点インジケーター表示”というものがあり、これはデフォルトでオフになっている。

 オンにすることで、つねにアビリティの属性が有効なのか無効なのかバトル中にいつでも確認できるようになる。“スキャン”アビリティが用意されているにも関わらず、なぜこのオプションが用意されているのかはよくわからないが、とりあえず便利なのでオンにしておくことを推奨する(スキャンすると全属性耐性が見られるので完全に無意味なアビリティ、というわけではない)。

 ちなみにバトルで得られる経験値の量をゼロにするなどのオプションもある。おそらく、やり込みをしたいプレイヤーに向けてのものだろう。バトル難易度の選択もあり、中でも“非常に簡単”は、ボスだろうと敵が1発で倒せるレベルに簡単になるので、よほどのことがない限りは使わないほうがいいだろう。ストーリーだけ追いたい、という人にはうってつけの難易度ではある。

ボスバトルはたしかに骨太だけど……

 ボスバトルはやはり骨太な難度を誇り、倒したと思ったら形態変化、形態変化を倒したらさらに形態変化など、いわゆる“初見殺し”なボスも少なくない。昔ながらのRPG的な考えだと、ボスバトルはギミックが用意されており、多彩な戦術を駆使していかに立ち回るのかが重要……ということが多い印象。

 本作のボスはギミック的なものは少なく、どちらかというと、味方を攻撃してしまう“混乱属性”付き全体攻撃、行動不能になる“スタン属性”付き全体攻撃など、けっこう雑な攻撃を仕掛けられることが多い。いきなり味方が全員混乱し、そのまま全滅。いきなり味方が全員スタンし、行動できずにボコボコにされる……など、対策ナシだとかなりキツイ。

 そのため、いかに戦術を駆使して立ち回るかよりも、“いかに耐性を付けるのか”という準備のほうが重要なシステムになっているように思う。もちろん細かい部分では、弱点を突いてFPをいかに活用するのかなどの戦術が重要なのだが、それをこなす前にまず準備が必要になるわけだ。

 そういった耐性アクセサリーは非常に高値だったりして、準備はかなり大変だ。たしかに骨太ではあるが、そこはもう少しうまく作ってほしかったな、と思うところ。そのぶん、ボスを倒したときの達成感はかなり高いのだが。

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アクションありのフィールド探索

 ゲームは2D横スクロール型で、フィールド移動、ダンジョン探索、すべて左右と上下の行き来のみでおこなわれる。ジャンプが可能で、ダンジョン探索はおもに段差や足場を飛び越えていく、ジャンプアクションが多め。ただ、落とし穴などに落ちてもダメージなどは受けず、元の地点に戻されるだけなので、そのあたりは比較的緩い。

 攻撃ボタンで剣を振るうこともでき、敵シンボルに攻撃がヒットすると先制攻撃しやすくなるといった、ちょっとしたアクション要素もある。

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 ダンジョンにはマップ機能もあるが、道の長さとエリアのつながりがわかる程度で、正直見辛く分かりにくい。そのため、あまり使う場面がない。そこはもう少し拡充してほしかった。

 ゲームを少し進めると、すぐにワープが可能になり、街やダンジョンの各チェックポイントにいつでも飛んでいける。探索自体がサクサク進められるため、非常にありがたい要素。また、本作は宿屋の概念がなく、街ではHPとMPが自動回復し、ダンジョンではHPのみ自動回復する。そのため、ダンジョン探索中にMPが減ったら、街へ戻ればいいというのも攻略的にうれしいところ。

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 また、冒険の中で“ゾディアック・リング”と呼ばれるフィールドアクションアイテムを手に入れることもある。これは複数用意されており、おもにフィールドの行けないエリアを解放するために使用する。序盤で入れなかったところに、物語を進めることで入れたりするようになる要素もある。

 最序盤に手に入るリングはエネルギー弾を発射することができ、これにより道を拓くシーンもあるほか、敵シンボルに当てれば敵を動かなくして、シンボルを回避しやすくなる効果も。剣を振っての先制攻撃狙いも含めて、『ヴァルキリープロファイル』を彷彿とさせる要素だった。

豊富な育成要素

 経験値を得てのレベルアップや、装備の変更などはもちろんのこと、本作には多彩な育成要素がある。ちなみに、武器はそれぞれグラフィックが用意されており、変更することで武器の見た目が変わる。

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経験値はパーティー全体に入る

 バトルで勝利すると経験値が手に入り、パーティーメンバー全員に分配される。戦闘不能になった状態でバトルに勝利すると、そのメンバーにのみ経験値が入らない。もしそうなってしまった場合はレベル格差が生まれるので、気になる人は要注意。

 また、物語の中で一定期間、パーティーメンバーが離脱することがある。離脱中には経験値がまったく入らないので、必然的にレベル格差が生まれる。そこは離脱中でも経験値が入る仕組みにしてほしかった。

ジョブについて

 ベースジョブのほかにも各仲間たちはメインジョブ、サブジョブ、サポートジョブの3つを選ぶことができる。たとえばメインジョブは3つの選択肢の中からジョブを選択し、キャラクターが成長する方向性を決めるというもの。

 たとえばウランなら防衛に特化した“ガーディアン”、支援に長けた“ハーネッサー”、属性攻撃が得意になる“黒魔術師”になることができる。ジョブを獲得するには、物語を進める中で得たりするエンブレムというアイテムを消費する。どのジョブを選んでいくのか、誰のジョブを得るのかはプレイヤーの自由であり、人によってかなり展開の異なる育成が楽しめるだろう。

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アセンションツリー

 ジョブにはそれぞれ“アセンションツリー”という、いわゆるスキルツリーが用意されている。バトルなどで手に入るSPを消費して獲得する。おもにアビリティを覚えるために開放していくほか、ステータスにも影響する。

 ステータスは“能力値オーブ”というものをスキルツリーにはめ込むことで、効果を得られる。アップさせるステータスは選択式で、たとえばHPorMP、またはSTR、DEFなどに振るのかなど、ステータス振りもプレイヤーに委ねられている。能力値オーブは外すこともでき、外すとアイテムは無駄になるが、1度選択したステータスも再度振り直せるため、そこまで頭を悩ます必要はないだろう。

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細かなやり込み要素やサブクエスト

 サブクエストも用意されており、街などにいる人物に話しかけることで受注可能。“サブクエストをすべてクリアーしてからメインクエストを進める”といったプレイスタイルもあると思うが、本作のサブクエストはかなり先の道でクリアーできるクエストなども発生するため、とりあえず受注しまくってからメインクエストを進めていったほうが効率がよい。

 “狩り”という討伐クエストもあり、街にあるギルドで受注することで、強力なボス敵と戦うクエストが発生する。クリアーすると、後述の“トークン”が手に入る。

 また、“日誌”というコレクション要素も存在し、アイテムや武器、モンスターやジョブなど、多彩な収集要素を楽しめる。中でもさまざまなお題を達成する“実績”(Xboxシリーズのシステム、PSシリーズのトロフィーとは異なるもの)は、ゲーム内だけで260個も用意されており、多彩なやり込み要素がある。

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あらゆる人が対戦相手“J-STER”

 ミニゲームもいくつか用意されており、その中でもいわゆるカードゲームの“J-STER”は、本作目玉のひとつ。“J-STER”は全世界的に流行っているゲームで、ノイズが描かれた“トークン”を選んでデッキを編成し、戦うボードゲーム。

 ルールは人によっていくつか異なるが、基本は数値を駆使したオセロのようなゲームで、ゲーム中に自分の色のトークンにした枚数の多いプレイヤーが勝利となる。勝利すると相手のトークンを奪うことが可能(負けると奪われる)。

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 対戦相手は世界各地いたるところに存在し、その強さもまちまち。といったところから、『ファイナルファンタジーVIII』のカードゲーム、『ファイナルファンタジーIX』の“クアッドミスト”を彷彿とさせる内容となっている。

 通常のバトルやクエスト報酬でトークンがもらえることもあり、本編を進めながら楽しめるミニゲームになっているほか、本編そっちのけで遊べてしまう要素でもある。

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気になるところがちょこちょこある

 さて、全体的にはシンプルな王道的RPGにまとまっているが、それらが綺麗にまとまっているのかというと決してそうではなく、全体的に気になるポイントが節々にある。

 たとえばテンポ感。バトルではこちらが攻撃した場合、ダメージ数値が比較的素早く出るが、敵の攻撃はワンテンポ遅れてダメージ数値が出たりするため、妙にテンポが悪い。コマンド選択前のウェイト時間、敵の攻撃アビリティ演出が長すぎたりと、変なところで全体的にバトルのテンポを損なっているように思う。

 また、メニュー画面自体のテンポもよくなく、たとえばアセンションツリーでスキルを獲得しようとすると、なぜかワンテンポ置いてから本当に取得するのか聞かれたりと、細かな部分で損をしているように思う(もしかしたらプレイステーション5版などでは発生しない問題かも)。

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 いちばん気になったのが、セリフ回し。これはおそらく英語のセリフを日本語にローカライズしているから発生しているのだと思うが、基本は日本語として正しい文章ではあるし、キャラクター性もとくに損なっているわけではない。ただ、なんだか妙に遠回りな言い回しをしたり、前後のつながりが感じられないセリフなどが少なくなく、どこか違和感のあるセリフ回しが展開されることもしばしば。

 さらに、本作の会話シーンはテキストは飛ばせず、つねに音声をフルで聞く必要がある。それはかまわないが、セリフの音声の後ろが途切れてつぎのセリフにいくシーンが中盤から多々あった。おそらく日本語音声と英語音声の違いなどの問題で発生しているのだと思うが、さすがにドラマ性が失われてしまう要素。

 ちなみに人と会話したあとに動けなくなり、再起動するハメになったことが数回ほどあった。本作はオートセーブに対応しているのでさほどダメージはなかったが、“ロード中に関係のないセリフ音声が入る”など、バグらしきものが所々に散見されるため、そこも含めて、発売後はアップデートなどで直していってほしい。

 なお、3gooによると、今回プレイしたのは開発段階のバージョンであり、またプレイアビリティ改善を目的としたパッチが配信される予定とのことだ。

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命を犠牲に調和の旅を始めよう

 と、気になるところはいくつかありつつも、全体的にはオーソドックスなRPGとして楽しめた本作。ボリュームは非常に多く、40時間以上は確実に遊べるだろう。デミゴッドたちの運命、そして調和の乱れた世界の行方を、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。