コーエーテクモゲームスのガストブランドを代表する『アトリエ』シリーズ。来年25周年を迎える本シリーズの記念タイトルとして、Nintendo Switch/PS4/Steam用ソフト『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』(2022年2月24日発売予定)が東京ゲームショウ2021で発表された。
※Steam版のみ2022年2月25日発売予定

 同作は、2015年に発売された“不思議”シリーズの1作目『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』に続く新作という、これまでにないスタイルの続編だけに、注目を集めている。

『ソフィーのアトリエ2』発表記念インタビュー。なぜいま『ソフィーのアトリエ』の続編なのか? 気になる疑問を細井順三Pにぶつけてみた!【TGS2021】
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 そこで今回は『アトリエ』シリーズファン、“不思議”シリーズファンが気になる本作のポイントを、プロデューサーを務める細井順三氏へのインタビューで掘り下げていく。

細井順三氏(ほそい じゅんぞう)

コーエーテクモゲームスのガストブランド長。プロデューサーとして数多くの制作指揮を執る。

“夢”をテーマにしているからこそ描けるソフィーとプラフタのドラマに注目!

――まずは数ある『アトリエ』シリーズのタイトルの中から、『ソフィーのアトリエ』で続編を作ろうとした理由を教えてください。

細井来年で『アトリエ』シリーズは25周年を迎えますので、それにふさわしいタイトルは何かと模索していたんです。これまでガストブランドでは、さまざまなアンケートを行ってきましたが、その中でやはり『ソフィーのアトリエ』の人気がつねに高かったという結果がありました。それに、多くの方から“不思議”シリーズの続編を作って欲しいという声もいただいていました。

 また、ガストショップではゲーム発売後も関連グッズなどの販売を行っていますが、そこでもソフィーとプラフタの人気が高かったんです。そういったタイトルとしての人気が、今回『ソフィー』で続編を作ろうと決めたポイントのひとつ目になります。

『ソフィーのアトリエ2』発表記念インタビュー。なぜいま『ソフィーのアトリエ』の続編なのか? 気になる疑問を細井順三Pにぶつけてみた!【TGS2021】

 そしてふたつ目は、昨年、『ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~』を発売し、主人公が続投する続編というスタイルを好意的に受け入れていただけたと、開発チームとして手ごたえを感じたんです。

 以前、“アーランド”シリーズの続編である『ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~』を発売したときに、「ルルアも好きだけど、やっぱりロロナの新しい冒険が見たい!」というご意見をいただいたこともあり、「皆さんに好きになってもらったキャラクターをフィーチャーしたものを作ろう」ということで、再度ソフィーとプラフタで最新作を作ろうと決めました。

――たしかに、『ルルアのアトリエ』で大人の女性になったロロナを見て、「彼女がメインの物語も見てみたい」という想いは強くなりました。

細井20周年の際の取り組みのひとつだった『ルルアのアトリエ』は“アーランド”シリーズの4作目として発売しましたが、当時、“シリーズを成長させていくうえで、新しい驚きと拡張性を持たせたい”という想いを込めて作った経緯があります。

 そしていま、25周年を目前にして、シリーズの拡張性を考えたうえで、今回は“過去作のキャラクターたちに光を当てて、さらに成長させていく”という試みをしてみたかったんです。その試みが、ソフィーとプラフタのふたりにマッチしているのではないかなと。

――ふたりがどんな成長を見せてくれるのか、ものすごく気になります。なお、サブタイトルに“不思議な夢の錬金術士”とありますが、この“夢”にはどんな意味が込められているのでしょうか?

細井まずは“夢”がテーマの題材であるということですね。物語の舞台となる夢幻世界“エルデ=ヴィーゲ”で、ソフィーはさまざまなキャラクターと関わります。なかには自身に縁のあるキャラクターもいたり。

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 ……詳しくはお伝えできませんが、本作は、ある意味で“不思議”シリーズの起点と言いますか、ゼロの物語になります。

――『ソフィーのアトリエ』の続編ということで、てっきり、『ソフィーのアトリエ』と『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』のあいだの物語を描くのだろうと予想していました。

細井物語の時系列的には、『ソフィーのアトリエ』と『フィリスのアトリエ』のあいだで、ソフィーとプラフタが体験した冒険のひとつという形にはなりますが、“夢の世界の話であり、その世界の中では明確な時系列は存在しない”ということを踏まえて、いろいろ想像していただければと(笑)。

続編だが“エピソードゼロ”でもある。だからこそ新規の人も安心して入れる

――今回の作品で力を入れているポイントを教えてください。画面写真を見ると、キャラクターやフィールドのモデリングが向上していると感じます。

『ソフィーのアトリエ2』発表記念インタビュー。なぜいま『ソフィーのアトリエ』の続編なのか? 気になる疑問を細井順三Pにぶつけてみた!【TGS2021】
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細井グラフィックの進化はもちろん取り組まなくていけない部分ですが、今回、“不思議”シリーズの進化としていちばん重視したのは、ターン制バトルのテンポ感ですね。ここはかなり力を入れました。

 グラフィックやキャラクター表現に関しては、10月に発売を迎える『BLUE REFLECTION TIE/帝』でも力を入れているのですが、ここで新技術を投入したこともあり、『BLUE REFLECTION TIE/帝』でも本作でも、一段階も二段階もクオリティーを上げることができました。

――フィールドも、『ライザのアトリエ2』に倣って、広さや高さなど、スケール感が増していますね。

細井そうですね。ただ『ライザのアトリエ2』と比べると、ライティングは異なります。 “秘密”シリーズは“夏とファンタジーの融合”がテーマで陰影を強くしていますが、逆にこのシリーズはそこまで陰影を意識していなくて、どちらかといえば“幻想的でファンタジーな世界観をダイレクトに感じてもらう”ことに力を入れて調整しています。

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――たしかに、あまり現実では見ないような色使いであるという印象がありますね。『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』でも、とくに絵の中の世界は、ファンタジックな色合いが多かったです。

細井ソフィーのアトリエ2』も“不思議”シリーズの新作であることを意識して作っているので、そちらの傾向が強くなっていると思います。

――ところで、続編となると、やはり「前作を知らないと入りにくい」という悩みがどうしても生まれますが、それに関してはどうお考えですか?

細井未プレイの方でもあらすじを把握できるよう、『ソフィーのアトリエ』のダイジェストムービーを用意しています。もちろん、発売まで前作をプレイしていただいてもいいですし、このムービーをご覧いただければ、前作をプレイしていなくても楽しめます。

 それに、先ほどもお話ししたように、本作は“エピソードゼロ”に近しいタイトルで、“不思議”シリーズの起点となる物語が描かれます。出会うキャラクターも全員が初対面ですので、事前知識がなくても問題ありません。

――しかし、『フィリスのアトリエ』や『リディー&スールのアトリエ』との矛盾が生まれないように、“ゼロ”の物語と設定を作り上げていくのはたいへんなのでは?

細井そうですね。そこの作業には、すごく時間がかかりました。そもそも、開発においていちばん時間をかけたのは、「どの時代を描くのか?」という点でした。たとえば“アーランド”シリーズのように“4”として描くのか、それともスピンオフ的な作品にするのかなど、いろいろなパターンが考えられましたから。その結果、シナリオは3回くらい作り直しています。

――それはなかなかハードな作業ですね。ちなみに、本作の開発が始まったのは、『ライザのアトリエ2』より前なのでしょうか?

細井構想自体はかなり前からありました。ただ、正式にGOサインが出たのは『ライザのアトリエ2』を発表して、その反響があってからでしたね。ですので、本格的に開発が始まったのは、去年の8月、9月くらいです。

――開発開始から発売までは1年数ヵ月と……ガストブランドらしい、いつもの制作スパンですね。

細井それでいて、シナリオの作り直しを重ねたのでたいへんでした(笑)。

――(笑)。作り直しをくり返した結果、物語の世界は“夢の世界”になりましたが、そうしたからこそのメリットや、実現可能になったチャレンジはありますか?

細井まずは時系列、時間軸が現実世界と違うからこそ、これまでの“不思議”シリーズにはいなかったキャラクターを登場させることができました。この『ソフィーのアトリエ2』の世界でソフィーを始めとする登場人物たちに何かがあったからこそ、“不思議”シリーズの過去や未来で何かが起きていく。そういった広がりを感じられる物語は、この世界設定だからこそ実現できたのではないでしょうか。

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 現実世界の時間軸はひとつだけであるがゆえに、不可逆です。でも夢世界では、登場する人物たちは、さまざまなところから来ていてもおかしくない。

――とてもおもしろい設定だなと感じました。これが“秘密”シリーズだったら、「なんだか非現実的すぎるな」と感じそうですが、“不思議”シリーズなので、「前に絵画の中にも入ったこともあるし、“夢の世界”もぜんぜんアリだな」と、すんなり受け入れられました。

細井そうですね。この“不思議”シリーズが持つ独特の世界観だからこそ成立するのかなと思います。

あまり変わらない印象のソフィーだが、じつはいちばんデザインに苦労した

――NOCOさん、ゆーげんさんのタッグは『リディー&スールのアトリエ』以来となりますが、おふたりに本作の話をしたときの反応はいかがでしたか?

細井おふたりとも、「ぜひやりたい!」と好感触でした。だから、本作は“運のいいプロジェクト”だと思っています。

――というと?

細井やはりこのシリーズにはNOCOさんもゆーげんさんも不可欠で、どちらかおひとりだけで進めるのは難しいと考えています。おふたりとも、すごくご活躍されていてお忙しいなかで、本当にタイミングよくスケジュールを空けていただけたのは、すごく運がよかったと思っています。

 そしておふたりともきちんと展望があります。この後、たとえば『プラフタのアトリエ』とか、『ソフィーのアトリエ3』といった新しい“不思議”シリーズ作品を作るなど、さらに拡張できたらいいね! という気概を持って携わってくださっています。

『ソフィーのアトリエ2』発表記念インタビュー。なぜいま『ソフィーのアトリエ』の続編なのか? 気になる疑問を細井順三Pにぶつけてみた!【TGS2021】
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――それは細井さんとしてもうれしいですよね。いっしょに手掛けたキャラクターを、イラストレーターさんが愛してくださっているというのは。

細井そうですね。

――今回のデザインに関して、おふたりにお願いしたことなどはありますか?

細井デザインをお願いする際に、キャラクターの特徴やプロフィールをお渡ししています。それ以降は、基本的にはおふたりのイメージやデザインセンスにお任せしている感じです。すでにおふたりは3作もデザインされていますし。

――『ソフィーのアトリエ』では、NOCOさんにソフィーが住む街キルヘン・ベルの関係者を、ゆーげんさんには街の外から来たキャラクターをデザインしてもらったとお聞きしました。今回分担するにあたり、何かルールはあるのでしょうか?

細井その分けかたのルールは、『フィリスのアトリエ』からは踏襲していません。デザインの担当分けは、男性キャラクターと女性キャラクターがほぼ同数になるようにしました。

――ソフィーは今回、コート姿で登場しますが、『ソフィーのアトリエ』の劇中で着るようになった、黄色の衣装はもう着ないのでしょうか?

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※『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~』より。物語の中で成長したソフィーは、仲間たちから贈られた、さわやかな衣装を着るようになる。

細井その衣装は、ダウンロードコンテンツとして本作のプレミアムボックスに入っています。ソフィーの衣装については、ファンの皆さんから「やっぱり、地味目の衣装のほうがソフィーっぽいよね」と言われることも多く、今回の『ソフィーのアトリエ2』ではコート姿にすることになりました。ただ、前作からあまり変わらない衣装を見て「(ソフィーの)デザインはカンタンだったんでしょ?」と言われることが多いのですが、じつはいちばん難航したデザインがソフィーなんですよ。

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 ある意味、ソフィーのデザインはすでに完成していると言っていい状況です。その完成しているデザインに手を付けるのに、NOCOさんもイラストレーターとしてすごく難しさを感じていらっしゃったようでした。
 ただ、ゲームとしても設定としても、前作との違いはあったほうがよくて。それはもちろんNOCOさんもわかってくださっていて、その“完成しているデザイン”と“前作とは違いがあったほうがいいだろう”の部分で何度もせめぎ合いがあって、決まるまではものすごくたいへんでした。

――たしかに、NOCOさんがそう思われるのもわかります。すでに3作品で、3パターンのソフィーをデザインしているわけですし。

細井どのくらい変化させるか悩ましかったのですが、変えすぎるのもダメだとも思い……これまでのシリーズタイトルで作られた衣装の流れを、今回でもしっかり汲む必要があるなと考え、あえてガッツリは変えませんでした。

――周りのキャラクターたちが、いままで以上に個性的な見た目ですし、ソフィーが少しおとなしめであることで、バランスが取れるという感じもします。

細井そうですね。ラミゼルはけっこう攻めている衣装ですので。

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――これまでのシリーズ作品には、師匠ポジションのキャラクターがいましたが、今回はラミゼルがそうなる?

細井今回は師匠ポジションというキャラクターはいません。錬金術士としては、ラミゼルはソフィーよりも未熟なんです。錬金術の才能に関しては、ラミゼルもソフィーも同じくらいですが。

 現時点ではソフィーのほうが錬金術の腕が立つと思っているからこそ、ラミゼルはソフィーにいろいろなことをお願いしてきます。ラミゼルの思想には「より大きな何かを手に入れたいのならば、得意なことは得意な人が担当したほうがいい」というものがあるんです。

――なるほど。このラミゼルも気になるキャラクターですが、やはりとても気になるのが、プラフタ(人形)と新キャラクターであるプラフタです。同名であるこのふたりの関係性が、やはり物語では重要になるのでしょうか?

細井そうですね、としか、いまはまだ言えないです(笑)。

――なるほど。新たに登場するプラフタのデザインはすごくかわいいです。ウサギ耳も含めて、すごく人気が出そうですね。

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細井私も最初にデザインを見たときに「おお、スゴイ!」と感動しました。3Dモデルもすばらしい出来で、ゆーげんさんと3DCG班が涙を流しながら作り上げました。

――このイラストを3Dモデルに起こすのは、ものすごくたいへんだろうなと思いました(笑)。ちなみに、今回発表されたキャラクターは全員が錬金術士ですが、このことは戦闘にも影響しますか?

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細井今回は、全キャラクターがバトルでアイテムを使えます。ただ、アイテムを装備するにはコストがかかり、錬金術士のほうがより高コストのアイテムを装備できるので、そういった面では強力なアイテムを装備できて有利と言えるかもしれません。

――ちなみに、過去3作に登場したキャラクターが登場することはあるのでしょうか?

細井いえ、今回はソフィーとプラフタ(人形)以外は、全員新キャラクターになります。現実の時系列は関係がない世界なので、企画段階では「成長したフィリスを出そうよ」という話もありましたが……見知ったキャラクターばかりで、スピンオフのように見えるのは避けたかったんです。今回は、きちんとした新しい物語を、シリーズ最新作として描くということがコンセプトとしてありましたので。

――成長したフィリスやリディー、スールを見てみたい気もしますが、そうするとけっきょく誰が主役の物語なのかわからず、焦点がボヤけそうですね。

細井そういうこともあり、過去作のキャラクターは、プラフタ(人形)以外は出さないと決めました。

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戦略性のあるターン制バトルを望む声にしっかり応える形で進化!

――今回力を入れている部分であるという、ターン制バトルのテンポ感について詳しくうかがいます。『ライザ2』のバトルはリアルタイムに進行する形でしたが、本作はシリーズでもなじみのあるターン制を採用した“マルチリンクターンバトル”です。このバトルの魅力と、なぜこの方向で進化させようとしたのか教えてください。

細井今回のバトルのひとつ目の魅力は、シームレスに始まることです。これによって、非常にストレスが軽減されたのではないかと考えています。ふたつ目は、既存のユーザーさんや、ほかのRPGを好きなユーザーさんからいただいていた「ターン制で戦略的なバトルを楽しみたい」という声に応えられるという点ですね。

『ソフィーのアトリエ2』発表記念インタビュー。なぜいま『ソフィーのアトリエ』の続編なのか? 気になる疑問を細井順三Pにぶつけてみた!【TGS2021】

 『ライザのアトリエ2』のバトルは、「アクション要素のあるターン制バトルを体験できる」というコンセプトで設計されたものです。多くのユーザーさんに受け入れられて、とても高い評価をいただけたシステムになったと思います。

 ただ私としては、“不思議”シリーズではその方向性を推し進める必要性は感じなかったんです。ですので、“不思議”シリーズが持っていた戦略性のあるターン制バトルのよかった部分をさらに伸ばしていく形で作れないかと考えました。

 そこでデメリットになるであろうロード時間や、テンポの悪さなどをどう改善していくか、という部分に今回はフォーカスした形です。そのため、『ソフィーのアトリエ2』のバトルは非常にテンポ感を意識しています。

 また、本作のバトルでは、仲間たちはアサルトチーム(前衛)とバックアップチーム(後衛)に分かれていますが、“ツインアクション”と呼ばれる新要素を用意して、前衛のターンがきたとき、前衛と後衛のふたりで行動ができるようになっています。

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 これまでのパーティーバトルでは、ターンごとの選択以外に、プレイヤーができることはそこまでありませんでした。そこで今回は、積み上げたゲージを“ツインアクション”で解放することで、瞬間的に大ダメージを与えられるなど、ユーザーさんが能動的に行えるアクションを用意しました。これらによって、バトルのテンポ感を大幅に改善できたのではないかと思います。

――ひと足先にプレイさせてもらいましたが、「ここでラッシュをかけるぞ!」とツインアクションを使って、実際に大ダメージを与えられると爽快感がありますね。あとは前衛、後衛が協力して戦うパーティーの一体感も、より濃く感じられました。

細井ガストブランドは、ユーザーさんのご意見を都度汲み取り、ファン目線を重要視して新しいものを作ってきたブランドです。『ライザのアトリエ2』のバトルは多くの方に楽しんでいただけましたが、「“不思議”シリーズのようなバトルシステムでもう一度遊びたいよね」、「ターン制のバトルを楽しみたいよね」というご意見も多くありましたので、そのご意見にお応えする形で、「シリーズをしっかりと拡張しつつ、新作を作るんだ」という想いを込めています。

――しかし、このフィールドの広さ・魔物の多さと、シームレスバトルを両立するのは、技術的にもたいへんだったのではないでしょうか?

細井たいへんでしたが、それが実現できないのであれば、このバトルシステムを採用しないと決めていました。シームレスに移行するターン制バトルを導入したRPGは、あまり多くはないと思います。そこで新シリーズとしての進化を、しっかりお見せしたかったのです。まあ、とにかくすべてがたいへんでしたけど(笑)。

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――そうですよね(笑)。つぎに、バトルに並んで『アトリエ』シリーズの核ともいうべき調合についてです。今回は『ソフィーのアトリエ』の流れを汲むパネル調合を採用していますが、その中でも、ライト層に向けた通常パネル、ヘビー層に向けたリバースパネルと、両ユーザーに対応したモードが用意されたのが印象的です。こちらを用意した狙いと、いちばんプッシュしたいポイントを教えてください。

細井まずパネルを分けた理由ですが、コアな遊びをしたい方とカジュアルな遊びをしたい方は、だいぶ分かれ始めているなと感じていまして。“不思議”シリーズのパネル調合は、突き詰めるほど深みが増すシステムとなっています。

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――その深みがおもしろい部分ですが、初心者の方は慣れるまで時間がかかるかもしれません。

細井そこで、いままで“不思議”シリーズを応援してくださっている方に対しては、遊びごたえがあるものをしっかり提供しつつ、“秘密”シリーズで『アトリエ』を知った方や、本作から『アトリエ』を知る方が遊びやすいものを提供するため、今回はこのようにパネルを分けてご用意しました。

――ちなみに、通常パネルとリバースパネルの切り替えは序盤からできるのでしょうか?

細井物語がある程度進むと、切り替えられるようになります。

――ちなみに、リバースパネルはどういった点が、通常パネルより難しいのでしょうか?

細井錬金成分(材料)を配置できる場所が少なくなっています。効果の高いアイテムを作るには、材料の配置を、よりしっかりと考える必要があります。

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――『ソフィーのアトリエ』では、使う釜によってパネルの大きさが変わったりしましたが、そのようなイメージでしょうか?

細井それに近いイメージです。

――材料集めと言えばフィールドですが、今回は特定のアイテムを複数個採取するとレシピを発想する仕組みがあり、ガンガン採取したくなるような仕掛けになっていました。

細井今回は、採取ポイントでボタンを1回押せば、その採取ポイントの素材がすべて採れるようにしています。『ライザのアトリエ』では、採取時に使う道具によって採取物が変わる設計にしていましたが、『ソフィーアトリエ2』はそれをあえてやめています。基本的にはわかりやすくしようと。

 今回はレシピ発想のシステムがありますので、とにかくドンドン採取をしてほしいなと。採取がレシピ発想につながり、調合の幅が広がるという設計にしていますので、あえて採取行動自体は簡易的にしています。

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 採取がおっくうになるとレシピを発想しなくなり、ゲームサイクルがうまく機能しなくなると考えたんです。また、フィールドでの採取以外にも、ミニゲーム的な採取手段を用意していますので、そこは続報をお待ちください。

――採取道具を選択するシステムはなくなったようですが、鎌を作って草を刈れるようにする、釣り竿を作って釣りをできるようにする……などの仕組みは、いままで通りありますよね?

細井はい、それらはこれまでと同じです。

『アトリエ』シリーズ25周年の初陣を切るタイトルをぜひ楽しんでほしい!

――本作では、“不思議”シリーズの『DX』版や『ライザのアトリエ2』のセーブデータ連動で衣装がもらえるなど、発売までに“不思議”シリーズをやり込みたくなる仕掛けもあります。プレイしていて、「これはもしかしたら、過去作で出てきたアレのこと?」と感じるような、いわゆるファンサービス的なネタは盛り込まれますか?

細井多少はありますが、そこまで強くはやろうとは思っていません。先ほどお話ししました通り、本作は“不思議”シリーズの“エピソードゼロ”ですので。

――また、余談になりますが、『アトリエ』の次回作は『ライザのアトリエ3』だと思っていたファンも多いと思います。こちらはどうでしょうか?

細井夏の物語は、まだ終わっていませんからね(笑)。……とだけお伝えしておきます。

――(笑)。では最後に、『ソフィーのアトリエ2』発売を待つファンにメッセージをお願いします。

細井来年、『アトリエ』シリーズは25周年を迎えます。その初陣を切るタイトルとして、今回『ソフィーのアトリエ2』を発表いたしました。本作を発表・制作できたのは、ユーザーの皆さんから本当に熱いご声援をいただいた結果だと思っています。ありがとうございます。楽しんでいただける作品になっていると思いますので、発売までお待ちいただければ幸いです。

 また、『ライザのアトリエ』は、非常に多くのユーザーの方に触れていただきました。本作は“2”と冠してはいますが、“不思議”シリーズの起点となる物語になります。『アトリエ』シリーズが初めて、『ソフィーのアトリエ』は初めて、“不思議”シリーズは初めて、といった方が、この作品からスタートしても楽しんでいただける内容になっていますので、ぜひ手に取っていただきたいです。よろしくお願いいたします。

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