2021年9月24日より、プレイステーション5(PS5)用ソフト『デス・ストランディング ディレクターズカット』(以下、『デス・ストランディングDC』)がいよいよ発売される。
本作は、小島秀夫氏率いるゲーム開発スタジオ・コジマプロダクションが手掛けたオープンワールドのアクションアドベンチャー(ストランド・ゲーム)。ノーマン・リーダスやマッツ・ミケルセンといった海外の名優が出演するなど、発売前から大きな話題を呼んだ『デス・ストランディング』にさまざまな追加要素を加えた最新作だ。
今回はそんな『デス・ストランディングDC』をひと足早くプレイすることができたので、追加要素などを踏まえつつ紹介。追加要素により、さらに快適にプレイできるようになったほか、より深く『デス・ストランディング』の世界を知ることのできる新たな配送ミッションも登場。ぜひその魅力を確認してほしい。
『デス・ストランディング』をおさらい
まず、『デス・ストランディング』のストーリーについておさらいしよう。舞台となるのは未来のアメリカ。ただし、本作のアメリカでは“デス・ストランディング”と呼ばれる現象が発生し、死者の魂が通る場所“ビーチ”を介してあの世とこの世がつながってしまっている。これにより、本来あの世にいたはずの“BT”と呼ばれる存在がこの世(地上)に座礁し、人間を襲うように。
さらに、デス・ストランディング後には“時雨”(ときう)という、雨粒に触れた対象の時間経過を早め、モノや人を急速に劣化、老化させる雨も降り始めるという始末。これにより人々はBTや時雨から逃れるように都市やシェルターに引きこもり、都市間のつながりは断たれ、アメリカという国も分断されてしまっているという状態だ。
そんな、おちおちと遠出することもままならないアメリカで、フリーランスの配送業を営んでいるのが主人公であるサム・ポーター・ブリッジズ。彼は、アメリカ再建を目指す組織ブリッジズの長官・ダイハードマンと、育ての親であるブリジット・ストランド、そしてその娘アメリの依頼で、アメリカを横断しながら各都市をつなぎ直す壮大な計画を実行することになる。
配送はより楽しく快適に
すでに『デス・ストランディング』をプレイした方はご存知だろうが、本作はキューピッドでアメリカをつなぐだけでなく、荷物をさまざまな場所へ配送し、人々とのつながりを作っていくことも重要。
荷物の重さを考えながら受ける依頼、持っていくものを取捨選択し、配送ルートを考え、荒れ地や険しい山河を越えて目的地へモノを運ぶのが本作の大きな醍醐味となっている。
そんな配送を手助けしてくれるものとして、崖の上り下りが可能になる梯子などを作成できるようになるのだが、『デス・ストランディングDC』では新たに、序盤に受けられるようになった依頼を達成することで、より多くの荷物を運べるようになる装備“サポート・スケルトン”が作成可能に。
『デス・ストランディング』では重量の問題で序盤に持ち運べる荷物が少なく、大きな荷物を背負うとすぐにサムの動きが鈍くなってしまうという側面があったため、この新要素は非常にありがたい。
また、サポート・スケルトンと同時に新たな非殺傷武器として、電撃を放つ“メーザー銃”が解放されるのだが、これも大いに役に立つ。というのも、都市の外にはBT以外に配送物を強奪してくる“ミュール”という集団が存在し、こちらの荷物を奪おうと襲ってくる。序盤は接近戦以外で彼らに対抗できる手段はないのだが、メーザー銃があれば彼らと距離を取りながら電撃で気絶させることが可能に。射程距離はそれほど長くないが、携帯しているだけで心持ちもだいぶ変わってくるはずだ。
さらに、『デス・ストランディングDC』では、ストーリーや配送依頼をこなしていくと上記以外にも“マニューバユニット”や“荷物カタパルト”、“自動追従ロボット”など、便利なアイテムが解放される。
マニューバユニットはバックパックのカスタマイズで装着できるようになるのだが、梯子などを使わず崖や急斜面を安全に降下できるようになる優れもの。最短距離で配送するため、あえて起伏の激しいルートを通るプレイヤーにとって、下り道は落下や転倒のリスクをともなう要注意ポイント。そこを難なく行けてしまうのだから、一度使った筆者は手放せなくなってしまった。
荷物カタパルトは“建設装置”と呼ばれる機材を使って任意の場所に建てることができる建設物のひとつで、大量の荷物をカタパルトから射出して遠くまで飛ばすことが可能。各地に建設しておけば、たくさんの荷物を持ちすぎてしまった際など、配送物を受け渡す配送センターの近くまで持ち物の一部を飛ばし、身軽になった状態で移動できる。
建設物は荷物カタパルト以外にも、障害物を飛び越えるためのジャンプ台、狭い場所や高低差がある場所にも架けられる“カイラル橋”が新たに建設できるようになっている。これらを利用すれば新たな配送ルートを開拓でき、配送の楽しみも一気に増した。
そして、自動追従ロボットはその名の通りサムに追従して荷物を運んでくれる、頼れる存在。重たい荷物を載せても従順に付いてきてくれるため愛着も湧き、いまでは筆者の孤独な配送に癒しを与えてくれる大切な仲間だ。
しかも、自動追従ロボットに乗って目的地を設定すれば、その場所までサムを運んでくれる。障害物を登ったり崖を飛び越えたりはできないが、運んでもらううちにそんな欠点すらもかわいく思えてしまう。
これまで配送で役に立つ様々な追加要素を紹介してきたが、上記以外にも『デス・ストランディングDC』には新たな要素がまだまだ存在する。そのひとつが、“BBポッド”のカスタマイズだ。“BB(ブリッジ・ベイビー)”は、脳死状態の母親から摘出されポッドに入れられた赤ん坊で、BTの位置を把握するためのセンサーのような役割を果たしてくれる。言葉でのコミュニケーションを取ることはできないが、サムのアメリカ横断を助けてくれる大切な相棒と言ってもいい。
『デス・ストランディングDC』では、特定の配送依頼を達成することでBBポッドのカラーが変更可能に。カラーを変えたところで配送に役立つというわけではないが、本作をプレイした人は誰しもBBに愛着が湧くはず。筆者もこの新要素はかなりうれしく、ポッドの色を変えてはBBと記念撮影をして楽しませてもらった。
また、『デス・ストランディング』では大量の素材を納品することで、都市間を結ぶ国道を建設できたが、『デス・ストランディングDC』ではこれに加え、新たな娯楽として“レース場”まで作れるように。レース場では、指定された車両とコースでのラップタイム更新を目指したり、ランキングで世界中のプレイヤーとタイムを競ったりとさまざまな楽しみかたで遊べるようになっているので、息抜きをしたいときなどに利用するといいだろう。
あのキャラクターの意外な事実が明らかに!?
筆者が『デス・ストランディング』をプレイした人にとくに挑戦してもらいたいのが、廃工場に潜入する新たな配送依頼。ここでは配送だけでなく、廃工場を占拠している集団との戦闘なども発生するのだが、工場の最深部では、『デス・ストランディング』についてさらに深く知ることのできる資料が手に入る。筆者はこれに目を通した際、かなりの衝撃を受けた。ストーリーをすでにクリアーしたという人でも、ぜひ『デス・ストランディングDC』に触れていただきたい。
さて、追加要素を中心に『デス・ストランディングDC』の魅力を紹介してきたが、『デス・ストランディング』をプレイしたことがないという人には、やはり濃密なストーリーや人間ドラマを楽しんでほしい。物語の随所に散りばめられた伏線、独特な世界観と没入感を高めてくれるさまざまな演出など、本作のストーリーはどこを取っても魅力にあふれている。ストーリークリアー済みの筆者は今回改めて最初からプレイしたが、「このシーンは後の伏線になっていたのか!」と再発見する場面もあったので、何度も楽しむことができる。
そして、忘れてはいけないのが『デス・ストランディング』ならではの“ソーシャル・ストランド・システム”。世界中のプレイヤーが設置した建築物などの一部が共有されるため、ほかのプレイヤーが立てた梯子のおかげで崖を登れたりと、目には見えなくも確かなつながりを感じることができる。
『デス・ストランディングDC』の発売でこのシステムがさらに盛り上がりを見せるはずだ。多くのプレイヤーが建設物などを各地に建て、アメリカ大陸の様相も少しずつ変わっていくに違いない。
本作が気になっている方は新たな「いいね」の波に乗り遅れないよう、ぜひ実際に遊んで『デス・ストランディング』の世界を堪能してほしい。