Gearbox Softwareの新作、『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』。その開発チームにオンラインインタビューを行い、同スタジオの代表作『ボーダーランズ』との違いなどについてアレコレ聞いてきたので、その内容をお届けしよう。
本作は、『ボーダーランズ』シリーズからスピンオフした一人称視点のアクションRPG。プレイヤーはボーダーランズのお騒がせキャラ“タイニー・ティナ”が仕切るテーブルトークRPGに参加し(たという体で)カオスなファンタジー世界の冒険を体感することになる。
なお対応プラットフォームはプレイステーション5/プレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/PCで、2021年3月25日に発売予定。PC版はローンチ段階ではEpic Gamesストアでの独占販売となり、その他のストアでは2022年後半に配信予定となっている。
マット・コックス
『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』クリエイティブ・ディレクター
ケイラ・ベルモア
『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』シニアプロデューサー
“Tiny Tinaとドラゴンの城塞”のアイデアをフルゲームに拡張
――『ボーダーランズ2』のDLC“Tiny Tinaとドラゴンの城塞”を発展させたようなコンセプトですが、本作のプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?
マット“Tiny Tinaとドラゴンの城塞”は評価も良かったですし、ファンタジー設定と私達のゲームのガンプレイや“ルーターシューター”(※)の組み合わせを気に入ってもらえたことがわかっていました。
(※強装備などのお宝を求めて戦闘を繰り返す『ボーダーランズ』シリーズのスタイル)
それで「じゃあ完全に一個のゲームとして作ってみたらどうだ?」と考えたんです。もっと独自のファンタジー要素なんかを入れてね。そうして今作のキャラクタークリエイト(詳細は後述)や、トレイラーにも出ていたクエストとクエストの間に三人称視点で進んでいく“オーバーワールド”といったシステムを考えていったんです。
2つのクラスを混合できるマルチクラスシステム、アクションスキル&魔法、武器など
――キャラクターについてですが、今回はアーマーとか魔法といった要素が入ってくるのがわかっています。プレイヤーが行うキャラクタービルドの上で、『ボーダーランズ3』との違いを教えてください。クラス(職業)システムはどう機能するのでしょうか? クラスのアクションスキルと魔法は異なるのでしょうか? 近接武器の扱いは?
6クラスから2クラス選べるクラスシステム
ケイラそうですね、そういったものが密接に関連しています。
まずクラスは6つあり、キャラクタークリエイトシステムの一番上で選べます。一方で外見のカスタマイズは自分が選んだクラスからは完全に独立して行えます。これもまた私達としては新しいやり方ですね。
そしてゲームが進んでいくと二番目のクラスをセットできるようになります。これが“マルチクラス”と呼んでいるものです。最初に選んだクラスと混ぜ合わせることができるので、バラエティ豊かな選択肢を提供できます。
クラス固有のアクションスキルと、クラスに依存しない魔法
ケイラ次にアクションスキルの話をしましょう。各クラスにはそれぞれふたつのスキルの選択肢があります。
それに加えて魔法があるわけです。魔法は“ミニ・アクションスキル”といった感じですね。さまざまな能力があって、選んだクラスに左右されません。どのクラスでも好きな魔法を使えます。
ちなみに魔法には自分にかけられるものもあります。回復とか防御とか、そういった類のものですね。なのでアクションスキルとはちょっと違った感じにもなります。
トレイラーに出てきたものだと、メテオの魔法があります。要は隕石を降らせる魔法なんですが、私が使っていて特に楽しいもののひとつですね。こういったものすべてがキャラクタービルドの一部になっています。
銃・近接武器・アーマー・アミュレットetc
ケイラそして装備ではもちろん銃があります。銃はこのショーのスターのような中心的存在ですから。発砲のメカニズムもいろいろありますよ。魔法のバレル(銃身)なんかもあります。クロスボウもあります。
そして二番目の武器要素として近接武器があります。今回は近接武器はお宝の一部として集められるものになっています。さまざまなPerk(追加効果)やボーナス値を持っていて、アーマーなどのほかの装備と同じように強化に作用します。
アーマーはクラスに対してブーストしてくれるのですが、装備可能なアーマーが限定されることはありません。クラス依存ではないけど、いくつかのアーマーは自分に少しよく働くといったものです。魔法やアミュレットなどと組み合わせることでステータスを強化したり性能をブーストしてくれることもあります。
幅広いバリエーションのキャラクタービルドが可能に
ケイラキャラクターシートからキャラを育成していくにあたって、こうした装備の数々が取得したスキルなどと影響していくわけです。
その上で古典的なスタイルのDEX(敏捷性)とかSTR(腕力)といったステータス値もあり、ヒーローポイントを割り振っていくこともできます。
なのでとてもいろんな要素がある、自分のキャラクターをいろんな方向に構築していけるしっかりしたシステムになっています。これによってプレイヤーの皆さんに幅広いバリエーションを提供できると思います。
――いま聞いただけでもいろいろと新たな要素が関わってくるわけですが、キャラクタービルドのシステムは複雑になりすぎない、やりやすいものになっているんでしょうか?
マットそうですね、まずはスキルツリーの話をさせてください。各クラスごとにスキルツリーが紐づいているのですが、各スキルツリーを合理化して、シンプルにスキルポイントを割り振っていけるようにしました。ここに関してはよりシンプルで使いやすいものになっています。
そしてそれ以外のほとんどの部分は、すべてギア(装備)に関わってきます。近接武器とか、アミュレットとか指輪とか魔法とか、さまざまなタイプのバレルとかがある中で、自分にとってどの能力ブーストがいいか、じっくり皆さんに追求して欲しいんです。
それらの相互作用を深く探っていくことが出来ます。近接武器なら命中によってスキルのクールダウン(再使用可能になるまでの停止期間)を短縮するものもあれば、魔法のクールダウン短縮なんかもあります。
クロスボウバレルがある時などは、矢が刺さっている状態で近接攻撃を当てるとボーナスがつくなんてこともあります。こうしたゲームプレイ中心のボーナスを特に盛り込むようにしています。もちろん、スキルツリーがもたらすパッシブボーナスもその上にありますけどね。
マルチプレイの仕様など、気になるシステム面
――クロスプレイやクロスセーブ機能はどうでしょうか?
ケイラシステム的な部分についてはまた今後あらためて発表させていただくことになりますが、同系列機種の世代間でのクロスプレイの搭載については予定しています。
――プレイステーション5版やXbox Series X|S版について、より高解像度でハイダイナミックレンジなゲームが楽しめるとされていますが、それ以外のハードウェア固有の機能、3DサウンドやDualSenseコントローラーのサポートなどはどうでしょうか。
マット現世代機版のシステム的な部分についても今後あらためてお話させていただきたいと思います。
――ところでトレイラーの楽曲に日本のBABYMETALの『ギミチョコ!!』が使われていましたが、ゲームには出てくるのでしょうか? それともトレイラーだけですか?
ケイラBABYMETALはトレイラーだけになりますが、メタルと(本作のタイニー・ティナのような)カオスな若い女の子のエナジーの相互作用を大変簡潔に示せる曲として選びました。
ゲームでは我々の作曲チームによるオリジナルサントラが収録されています。……でも私もBABYMETAL好きですよ!
――トレイラーでは頭が大きくなってマップを歩いているようなシーンがありましたが、あれが先程話に出た“オーバーワールド”ですか? つまりああやってクエストとクエストの間を移動していく?
ケイラはいそうです。あれはティナが考えたゲームマップが実体化したもので、ボブルヘッド(※大きな頭がボインボイン揺れる人形)のような姿で進んでいくことになります。
Co-op(協力プレイ)モードだと友達もあそこに出てくる形となります。外見のカスタマイズはあの姿でもちゃんと反映されます。自分のキャラがテーブルトークRPGのコマになったような感じですね。
オーバーワールドにはさまざまなやることがあります。サイドミッションなども用意していますし、ゴールドやルートチェストを見つけることもできます。JRPGみたいに敵に遭遇することもありますね。エンカウントすると短いFPSスタイルの戦闘が待っています。そこでクールなお宝を見つけて戻ってくることもあります。
マップを探索していくと、メインミッションから外れたところにあるさまざまなものに気がつくでしょう。それぞれにミニストーリーがあったり、独自の大きなクエストがあったりします。じっくり歩いてみるのをオススメしたいですね。
サイコロの目によってお宝具合が変わる“ラッキーダイス”
――“Tiny Tinaとドラゴンの城塞”にあったようなサイコロ付きのルートチェスト(宝箱)はありますか?
マットゲームにはさまざまな異なるタイプのルートチェストがありますが、中でも特に“ラッキーダイス”と呼ばれるチャレンジがついているものがあります。
ラッキーダイスは、ワンダーランドのあちこちに落ちているダイスを見つけて振ると目が出て、それによってダイスから出てくるお宝の良さが変わってくるというものです。というわけで今回はゲーム中でダイスを振ってもらうことになります。またそれ以外に白や赤のチェストも出てきます。
――タイニー・ティナは今回の物語の中心になりますが、日本語版の声優はこれまでの『ボーダーランズ』シリーズ作と同じでしょうか?
2K Japanそれはまだお話できない部分ですね。日本語トレイラーで聞こえた声から推測できるかもしれませんが、近々別途発表させて頂く予定ですのでそちらをお楽しみにお待ち下さい。
――協力プレイ時に出てきたアイテムの扱いや、レベルのスケーリング(※敵の強さや落ちるアイテムが各プレイヤーのレベルに調整される)などは『ボーダーランズ3』と同じでしょうか?
マットそれぞれが取れるオプションと、取り合いになるオプションの双方があります。レベルのスケーリングも同様です。同じような形を想定して頂ければと思います。
――文字資料に“一緒に冒険を進める仲間”として、向こう見ずで気ままな“バレンタイン”というキャラと、ルールにうるさい几帳面ロボの“フレッテ”という記載がありました。これらはプレイアブルキャラクターなのでしょうか、NPCのことなのでしょうか?
ケイラ彼らはプレイヤーとティナと一緒に現実世界で卓を囲んでいるNPCです。ソロプレイをしている際でも、友達と一緒にテーブルトークRPGを遊んでいる感覚を与えてくれます。
開発が好きな部分、好きな武器など
――あなたが個人的に好きな部分を教えて下さい。
マット自分は戦闘重視のプレイヤーなのですが、中でも一人称視点での移動アクションの部分が気に入っていますね。
そこに新たな装備や魔法や近接が関わってきます。たとえば、銃を撃ちながら魔法を放つといったことができます。これは強力なので気分がいいですよ。
近接武器なら、範囲外ギリギリの所から発動すると滑り込んで一閃します。走り込んでからスライディング経由で発動するなんてことも可能です。とても滑らかな動きの感覚があります。
なので戦闘や滑らかなアクションが好きな自分のような人には、そのアクションのバリエーションを気に入ってもらえると思います。
ケイラ私の場合は、ゲームプレイももちろん素晴らしいのですが、アート面や雰囲気が本当に好きですね。そこに、キャラクターの外見をカスタマイズでもっと作り込めるところも。
鮮やかで美しいファンタジー世界や、そこにいるさまざまな敵とか環境なども見ていると楽しいんです。なので見た目重視派ですね。
――公式サイトのFAQなどを見ると、すでにシーズンパスが予定されているのがわかります。有料のDLCがあるんだと思いますが、一方で過去の『ボーダーランズ』作品には無料のコンテンツアップデートもありました。今作ではどうでしょう?
マットローンチ後に出していくコンテンツやエンドゲームコンテンツについては確かにいろいろ計画しています。詳細はまた今後になりますが、今日のところは「(ローンチ後については)いろいろある」という程度でお願いします。
――好きな武器などはどうでしょう?
ケイラセミオートマチックのピストルとクロスボウですね。クロスボウは使っていてめちゃくちゃ満足感があります。矢を突き刺せるのが楽しいです。
マット自分はさっきちょっと話が出たメテオを降らせるのもすごく快感があるんですが、やっぱり戦闘の中のコンボがいいですね。
氷魔法のバレルで撃って凍結した敵を、剣に持ち替えて滑り込みながら斬って粉砕する。そういう瞬間がすごくいい感じになっています。
でもそれだけじゃないので安心してください。レジェンダリーなどでユニークな面白い武器はいっぱいあります。それらの効果を言いたくてもまだ言えないだけです。刻々と繋がっていくゲームプレイが楽しいということは言えます。
――『ボーダーランズ』シリーズの“金の鍵”にあたるものはありますか?
マット特殊な宝箱を開ける“マスターキー”というものが登場します。アイデアとしては金の鍵と同じです。
――じゃあまたランディ・ピッチフォード代表のTwitterとか(※定期的に鍵の入手コードが公開される)をチェックしないといけないかもしれませんね。では最後に日本のファンに。
マットまず『ワンダーランズ ~タイニー・ティナと魔法の世界』をチェックしてくれてありがとうございます。まもなくこのゲームを送り出せるのに本当に興奮しています。ちなみになんですが、もし我々の旧作をプレイしていなくても問題ありません。ちゃんとそれはそれとして遊べるものにしています。
ケイラトレイラーを見ていただいた皆さんに感謝したいですね。楽しんでくれたのならうれしいですね。既存のボーダーランズファンのみなさんと、新たなファンタジー寄りのファンの皆さん、どちらもティナのワンダーランドでお会いできるのを楽しみにしています。