2Kとマーベル・エンターテイメントが2022年3月に発売するプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、Nintendo Switch、PC用ソフト『マーベル ミッドナイト・サンズ』。
本作は、闇の勢力に対抗する地球最後の防衛線であるミッドナイト・サンズの一員として、マーベル・ユニバースの闇と戦う新作シミュレーションRPGだ。現時点でウルヴァリン、ゴーストライダー、ドクター・ストレンジにアイアンマンなど、マーベル・ユニバースの人気キャラクターの登場が確認されている。
そんな本作の開発を手掛けたFiraxis Gamesのクリエイティブディレクター、ジェイク・ソロモン氏と、マーベルのバイス・プレジデントであるビル・ローズマン氏にインタビューをする機会を得た。本稿にて、『マーベル ミッドナイト・サンズ』が開発された経緯や気になるゲームシステムの内容をお届けしていこう。
Jake Solomon氏(ジェイク・ソロモン)
Firaxis Games クリエイティブディレクター
Bill Rosemann氏(ビル・ローズマン)
マーベル バイス・プレジデント
ハンターは性別から人種まで選べるプレイヤー自身の分身となるキャラクター
――まずは、本作の開発が始まるまでの経緯を教えてください。
ビルそもそもの始まりは、Firaxis Gamesの手掛けた『XCOM』をMarvel Gamesのジェイ・オングがプレイしたことでした。ジェイは『XCOM』をとても気に入り、協力してゲームを作れないかとFiraxis Gamesにアプローチをかけることになったのです。
幸い、私もジェイクもマーベルのコミックを読んで育った世代で、好きな作品も共通していたこともあり、話はスムーズに進みました。
――ということは、マーベル側から本作の企画を持ち掛けたのですね。
ジェイクその通りです。私もマーベルコミックを読んで育った世代なので、本当に夢のような話でした。Firaxis Gamesとしても、とてもうれしいアプローチでしたね。マーベルのキャラを使ってゲームを作れるというのは、私自身、チームにとっても大きなチャンスでした。
――今回、マーベルのゲームを作るにあたって、『ミッドナイト・サンズ』を選んだ理由はどういったところにあるのでしょうか?
ビル『ミッドナイト・サンズ』はスーパーナチュラル(超自然)のヒーローが多く登場する作品です。彼らはマーベルの中でもダークサイド側のヒーローで、近年あまりスポットライトが当たってきませんでした。ですので、こうしてオリジナルのゲームを作ることでスポットを当てたいという気持ちがあったのです。
――ということは、登場ヒーローについてはマーベルサイドで細かく指定をしたのでしょうか?
ビル登場ヒーローのリストについては、両社で提案をして決めていきました。好きなヒーローがゲームにふさわしいキャラ、ストーリーに適した者を二社共同で選んでいます。最初のアイデアとしてFiraxis Gamesから、アベンジャーズとスーパーナチュラルのあいだに自分が立てるという考えのもと、ハンターというキャラが提案されました。
――ハンターはFiraxis Gamesの提案で生まれたキャラクターだったのですね。
ビル両サイドのヒーローのあいだに立つというアイデアはすばらしいものでしたので、そこから緊密に協力して制作していきました。
――ハンターというオリジナルキャラを作るにあたり、こだわった点はありますか?
ビルすでに8000以上いるマーベルのキャラとの違いを際立たせるために、持つパワーや生い立ち、戦う動機なども細かく考えました。また、ハンターはプレイヤー自身にハンターをカスタマイズしてもらい、性別や人種、髪型を決めてプレイするという形にしています。
ジェイク私としては、プレイヤー自身にマーベルの世界に入り込んで遊んでほしいと考えています。マーベルユニバースに新たなキャラを加えてもらえるのは光栄なことなので、マーベルサイドとしっかりと協力して進めていきました。
――ハンターがカスタマイズできるとは聞いていましたが、性別や人種まで選べるとは思いませんでした。公開された映像から女性のキャラというイメージを持っていましたが、選んだ性別や人種で映像も変わるのでしょうか?
ジェイクその通りです。性別や人種を好きなように選び、ストーリーの世界に自分自身で入り込んでプレイしてもらいたいです。
――本作のゲームジャンルは、最初から決めていたのでしょうか?
ジェイクそうですね。本作を作るにあたって、マーベルのキャラといっしょに過ごしながら遊ぶことをコンセプトとして考えてジャンルを決定しました。
私たちは日本のゲーム、『ペルソナ』や『ファイアーエムブレム』から大きな影響を受けています。キャラと交流を深め、ともに戦いながら関係を構築するというコンセプトはすばらしいものでした。それを、マーベルのキャラクターでやりたいと考えたのです。
――シミュレーションRPGはゲームジャンルの中でもコアな部類ですが、マーベルサイドからジャンルに対する要望などはなかったのでしょうか?
ビル当初はさまざまな案はありましたが、実際にゲームを作るのはFiraxis Gamesです。ですので、彼らが専門知識を活かせるシミュレーションRPGというジャンルをこちらから提案しました。
――それはやはり、『XCOM』の実績があったからこその選択でしょうか?
ビルそうですね。私たち自身が『XCOM』の大ファンでしたので、Firaxisの持つ専門知識をマーベルで活かしてもらいたかったのです。
――マーベルファンの中には、ゲームに触れたことがないという人も多いかと思います。戦略RPGの難度は高いイメージがありますが、本作は難しいですか?
ジェイク多くの人にプレイしていただきたいので、幅広い難易度を用意しました。ゲームに慣れていないマーベルファンでも遊べるレベルから、高難度まで想定して作っています。
――公開された映像の中で、会話の選択肢を選ぶようなシーンがありました。この選択によってルートが変わるようなことはありますか?
ジェイクストーリーの基本の展開は決まっていますが、選択次第でほかのキャラとの関係性に影響を及ぼすことはあります。
――本作のヒーローたちはいつもの姿だけでなく、ダークな雰囲気の姿でも登場しています。このコスチュームの変化には、どのような理由があるのでしょうか?
ジェイクヒーローの姿は、ハンター(プレイヤー)との関係性、ストーリー展開によって変化します。友情を育むことで、見た目にも変化が現れるかもしれません。また、見た目だけでなく使える能力にも違いが現れます。
――関係性が変わるようですが、いわゆるマルチエンディングではない?
ジェイクストーリーの流れは決まっていますが、そのなかでどの経路を辿ってエンディングに辿り着くか、キャラとどんな関係を構築するかがポイントになります。
――味方と敵対関係になるようなことはないのでしょうか?
ジェイク対立することはあり得るかもしれませんが、ストーリー展開そのものを変えるほどのものではありません。