大阪に本社を構えるゲームスタジオ“X PLUS(エクスプラス)”のブースでは、2022年リリース予定の自社開発タイトル『Bat Boy』(バットボーイ)がプレイアブル展示されていました。一見、よくある8ビットコンソールオマージュの2Dジャンプアクション。実際にプレイしてみるとまったくその通りだったのですが(笑)、ところどころに非凡さを感じることができました。

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『Bat Boy』Steamページ

“大抵のことはフルスイングで解決!?

 プレイヤーキャラはバットを背負ったヒーロー“バットボーイ”。攻撃ボタンを押せば正面方向に瞬時にバットをスイングします。バットで敵を近接攻撃しつつ、ジャンプで地形を乗り越えて右へ右へと前進……がプレイの基本となります。

 特徴は、バットが単なる鈍器ではない点。“スタープレイヤー”と称される一部の敵キャラは、バットボーイに対して野球にちなんだ攻撃を正々堂々(?)仕掛けてきます。具体的にはボールを投げるというごくシンプルなものですが、ボールがバットボーイの体に当たるかどうかのところでスイングすると、遠距離攻撃としての“打球”を打ち返せます。これにより、離れた位置にいるスタープレイヤーを直接倒せるだけでなく、打球方向を打ち分けることで画面上のさまざまな位置にいる敵を撃退できるのです。スタープレイヤーの中にはバットボーイの打球をさらに打ち返す者いて、シーンによっては“熾烈な打撃戦”が展開することも。2Dアクションゲームのギミックとしてのおもしろさはもちろんですが、野球の体裁を最低限とっているがゆえのコミカルさが、感じられます。

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左上の敵キャラはただの雑魚……ではなくスタープレイヤー。一定方向に一定間隔でボールを投げ続けるだけだが、ステージが進むにつれて高いスキルを持った敵が登場するようになる。

 ボール打ち返しが象徴するように、本作は“タイミングのよいアクション操作”が重視されています。たとえば高所に移動するためのジャンプ台にしても、ただ乗ればいいのではなく、ちょうどいい高さでスイングしないと跳躍できない……など、ちょっとした部分でも小気味よい連続操作が要求されるのです。デモ版で体験できたステージボス戦も、ただの力押しや単純なパターンのくり返しだけではなく、しっかりとした立ち回りと若干のアドリブが要求される、手応えのあるバトルを楽しめました。

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日本在住海外クリエイターの技術を結集した意欲作!

 このような調整にした張本人は、本作のゲームデザイナー兼プログラマー、セリヒオ・マタ氏。個人ゲームスタジオSonzai Gamesの代表であり、X PLUSのパブリッシングで『Super Sami Roll』をリリースしているセリヒオ氏の、日本製ゲームへの深い愛情と造詣が、『Bat Boy』をゴリゴリのアクションゲームマニア仕様に仕立てたようです。

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2021年7月にSteamでリリースされたばかりの『Super Sami Roll』(Nintendo Switch版も発売予定の模様)。『モンキーボール』や『Marble Blast』に多大な影響を受けて制作されたという本作は、転がりとジャンプ、舌伸ばし(ワイヤーアクション)を駆使してフィールドを駆け抜けるハイスピード3Dアクションゲーム。Bitsummit会場では『Bat Boy』の隣のブースに出展されていたが、セルアニメ調のオープニングムービーが某ハリネズミゲームのそれの雰囲気を醸し出している点を、記者は見逃さなかった。
『Super Sami Roll』Steamページ

 ブースにいたグラフィックデザイナーのシィナ・ファルーギ氏に、なぜ野球をフィーチャーしたのか尋ねると「日本人は野球が好きな人が多いから」という回答。日本のレトロ2Dジャンプアクションのオマージュタイトルとしてはちょっと珍しい舵の切りかたです。シィナ氏によれば、ステージが進むごとに、バットボーイのアクションがが増えるとともに、野球以外のスポーツをモチーフにした敵もどんどん登場するとのことで、混沌としたゲーム世界を楽しめそうです。

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『Bat Boy』のビジュアル全般を手がけたシィナ氏。前述のセリヒオ氏とともに日本の在住期間が長く、文化の理解度の高さがうかがえた。
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