ありのままの現実世界に近い農業ライフを送れる農業シミュレーションで、北米、ヨーロッパでとくに人気を集め、eスポーツにも採用されているほどの人気シリーズ『Farming Simulator(ファーミングシミュレーター)』。そのナンバリング最新作となる『Farming Simulator 22 (ファーミングシミュレーター 22) 』が、PC版の前作『19』からは約3年の時を経て、この11月に発売されることになった。
発売日、及びシーズンパスの予約開始も発表された先日、メディア向けにゲーム紹介とこだわりを語ったプレゼンが行われた。今回、そんなとことんリアルな世界を追求したそんな作品の魅力を、プレゼンの内容からどどーんとお伝えする!
『ファーミングシミュレーター 22』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『ファーミングシミュレーター 22』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)グラフィック、サウンドの改善でリアリティーが数段レベルアップ
まずプレゼンで自信をもって語られたのが、大小さまざまなエンジンの改善。最大の変更は視差オクルージョンマッピング(parallax occlution mapping / POM)の導入で、これにより3Dグラフィックの見た目が大きく改善し、すべての描写がリアルスティックになったとのこと。農作物や空、地面、土といったものはもちろんのこと、たとえば水やりを行ったあとの水を含んだ土や農機が通ったことで舞い上がるホコリ、新たに導入された四季に雪や葉色変化の描写など、リアリティーを追求する作品らしい改善が行われていた。
さらにリアリティーにおいては音、サウンドも大きく力を入れた要素とのこと。というのも、ファンからのフィードバックで「サウンドにパワーがない」「重みが足りない」「重機を使っている感覚がない」といった声があり、開発としてその強化を欠かすことができないポイントとして取り組んだからだという。結果、サウンドは過去の作品からの積み重ねによる制作ではなく、完全なリワークになったとのことだ。
これにより、農機・マシンごとに違ったエンジン音となるばかりか、重機操作時のギアごとの違いや、収穫や裁断を行うときに起こる金属と金属の触れる音、さらに一人称、三人称と変えられる視点において、一人称では車内にいる状態になるのでエンジン音が抑えめでこもった状態になり、三人称では車外の斜め上からの視点になるので迫力ある音になるなど、多種多様、状況ごとの演出も行われることも確認できた。開発者は、「ファンが要望した、重機を動かしている実感が味わえるはずだ」と語り、そのクオリティーに自信をのぞかせていた。
ちなみにPC版においては、Logitec G27やFanatec、Thrustmasterといった特殊なデバイスでの操作も想定され、プレイヤーの好みに応じてよりリアルに農機・マシンを操作する感覚を味わえることもできるとのこと。グラフィック、音、操作デバイス、あらゆる環境を追求し、よりリアルな世界にいざなってくれるのだ。
新たな作物にぶどう、オリーブ、ソルガム(モロコシ)を追加
今作では新たな作物として、ぶどう、オリーブ、ソルガム(モロコシ)の追加が明らかになっている。その中で今回はぶどうに焦点をあて、さまざまな要素が解説された。
ぶどうについては新しい農作の工程が必要となる新システムになり、『19』で導入したランドスケーピングルーツを大きく改善し、使いやすくするだけでなく新たな要素を追加したとのこと。『19』までは土地を耕し、種を植えて、育つのを待ち、収穫して保管するという流れだったが、ぶどうでは新たに棒状の支柱を使って育てていく工程となる。
それに加えて、ぶどうの育成に合わせた新しい農機も追加される。長年コラボしているNew Hollandのなかでもぶどうの収穫に特化したNew Holland Braud 9070Lがそのひとつになる。
特徴として、一直線、一定間隔で植えられるぶどうの支柱のあいだをうまく通る必要があり、大きめの部類に入るこの農機の中央を支柱に合わせ、タイヤ部は支柱と支柱のあいだを通るように操作する必要がある。もちろん支柱にタイヤがあたると進めなくなる衝突を起こすので、繊細な操作が必要になる農機であり、この点は現実世界をもちろんそのまま再現したものになっている。また、収穫後の配達においても特殊な農機が必要となり、このために新追加したのがFuhrmannという特殊トレーラーを扱うメーカー。本シリーズで初めて登場するブランドで、ぶどうを傷めずに扱える特殊装置が搭載された農機となる。
またぶどうの栽培においては、農薬散布、剪定といった工程もある。ぶどうを収穫しても一度植えていれば再び成長し、実を付ける。ただし適切な手入れが必要で、そのひとつが剪定となる。収穫後、つぎのサイクルに再び大量の実を付け、そしておいしいものにするための大切な工程で、黄色に枯れてしまった葉を刈り取るだけでなく、余分な枝を切り取ることで再びそれを実現する手法だ。
また、栽培中の初期状態からの肥料・農薬散布も重要な工程のひとつ。ぶどうの病気を生み出すかびを抑制する防除の効果を与えて、雨から実を守り、カビの発生を抑制してくれたり、有害な虫の付着を防いでくれたりする。人体に影響のない範囲で使用することで、元気で質のよいぶどうを作ることができる、これまた重要な工程のひとつとなる。
これらの作業用に追加された農機・マシンがFendt 211 VarioとHardi Mercury 4000。前者が剪定用のものでぶどう畑用に作られた小型のトラクター。後者も小型だが、オリーブにも使える農機。円状の全方位に一気に散布をしてくれるすぐれものだ。
大きな新要素のひとつ、生産チェーンで収穫物をパンやジュースに加工
本作の目玉のひとつとなる生産チェーン。前作までは収穫したあとに製粉所に運べばお金になり終了だった。本作では収穫後の穀物・果実を使って二次生産を行えるというのがこの新要素の生産チェーンで、たとえば小麦を使うとパンを焼けたり、ケーキを焼けたり、ぶどうを使ってジュースを製造することができる。
さらに生産した商品は街に出荷し、販売することができ、そしてそれによりお金を得ることができるというのがミソ。利用しないことも可能ながら、お金を得ることで新しい農機・マシンを買ったり、農地を充実させることができたりするため、本作を進める上では欠かせない要素になっていると言えるのだ。
今回デモのあったぶどうを使うとレーズン、またはグレーブジュースを作ることができるが、加工できる生産所、レシピは収穫した農作物・果実で変化する。
たとえばベーカリーという生産所ではパンやケーキを焼くことができる。パンは小麦粉だけで作ることができるが、ケーキの場合小麦粉、砂糖、牛乳、卵、バター、いちごが必要だったりする。また、製造時間もそれぞれで異なり、パンの場合は15分、ケーキの場合は5分でできあがるなど、商品ごとの特徴やコストが変わってくるのが特徴だ。この、たくさんのレシピを作ってお金を稼ぐ、コンプリートするといったことも、本作のひとつの楽しみになっている。
また、小麦を挽いて小麦粉を製造する生産所では、収穫・保管した小麦を使って、自動的に小麦粉へと変えてくれる。製造された商品はロットごとにまとめられ、パレットに置かれるのが特徴で、自動でここまでは作ってくれるものの、出荷・販売するにはトラックに載せる必要があり、その際もこれまた初登場となるJungheinrichのフォークリフトを操ってBergmannのトレーラーに積載する、なんてことも行う必要がある。とてつもなくリアルな世界が作られている。
余談ではあるが、ぶどうを使ってワインを作れるかという質問が飛び交ったが、ワインの要素を入れるとレーティングが全年齢でなくなる可能性があり、そのレーティングを開発はとても大切にしているため、取り入れないだろうと語っている。ただし、このゲームはMod(追加要素・機能を加える)要素もあるため、ユーザーが取り入れてくれるだろうとのことだった。
新ブランドに新しい要素石拾い用など魅力的な多数の農機、マシン
本シリーズで登場する農機・マシンへのこだわりも相当なもの。たとえば、なんと8月5日にCLAASが全世界に新しく発表した収穫機CLAAS Trion 750の実装をひと月も待たずに実現したり、新しいブランドを取り入れたり、古くからの人気ブランドをより魅力的に仕上げたりと、計り知れない熱意と情熱で開発が行われている。開発者によると、今回採用したCLAAS Trion 750については、「本当に出たばかりなので実際に手に入れて稼働させている人は少ないと思うが、CLAASとコラボでき、いち早く取り入れられたことを誇りに思う」と語っている。
そのほか、新しいブランド・農機ではMACKのトラックがあり、このマシンの特徴は旧型のトラックで大型のハンドルとカセットプレーヤーが特徴。John Deere 9620RX チェーン式の新型トラクターやZetor Crystal HD170というトラクターもあり、「これらすべてのトラクターは1対1の比率で実際のトラクターの大きさを表現していて、ゲーム内の大きさの感覚を実世界と同じものとしてリンクしている」とのことだ。
そのほか、新要素であるストーンピックは、耕した土地に転がる石を取り除くというもので、そのための農機がELHO Scorpio。農作物を育てる前の土地を育てるという段階においても、さらに奥深い要素と農機が追加されている。
新要素では季節も。気になる情報をピックアップ
最後に、今回のプレゼンでちらっと話題になった気になる点をまとめて、この記事は終わりにしよう。新要素盛りだくさんでストイックなまでに農業のリアリティーを再現している本作。今後の情報も要チェックだ!
- マップは、エルムクリーク(アメリカ合衆国)、アルペン地域(ドイツ、オーストリア、スイス)、オーベルロン(フランス)
- 街に出るための車道では、『19』で指摘を受けたクルマの行き来、スピードが遅いという点を改良。早くすることにした。合わせて、マップ、その地方にマッチしたクルマを出すようにしている。フランスではフランス、アメリカならアメリカ
- 早期購入特典はパッケージ版では必ず同梱されるが、デジタル版では発売日以降の特典はないので、早めの購入がオススメ
- 季節の概念を導入。これまでどの時期でも作れた農作物に対し、適切な育成時期・期間という概念を加えた。またビジュアルエフェクトでその季節を楽しんでもらえるとも思う
- 時間の早送りのほか、1ヵ月単位のスキップ機能も加えている
- 季節の概念があって農作物が育成できない時期であっても、毎月なんらか行える要素はある。動物の世話をしたり、林業に勤しんだり。年中育成できるポプラ草やオールシード・ラディッシュというものもある。スキップしてお休みするのもありだ