オンラインRPG『黒い砂漠』の開発・運営で知られる韓国Pearl Abyss(以下、パールアビス)が2018年に日本法人Pearl Abyss JP(以下、パールアビスジャパン)を設立して約3年が経とうとしている。
『黒い砂漠』シリーズはPC、プレイステーション4、Xbox One、スマートフォンでサービスされており、世界各地でヒットを記録している。日本においては2015年5月8日にPC版の正式サービスがスタート。2021年8月23日にはPS4版が2周年を迎えた。
また、2019年に収集オープンワールドアクションアドベンチャー『DokeV』(ドケビ)や新たなフラッグシップタイトル『紅の砂漠』を発表(どちらもPC/コンシューマー両対応)。PCゲームの開発・運営から歴史が始まったメーカーではあるが、今後はコンシューマー向けの展開も強化していくという。
とはいえ、まだパールアビスジャパンのことをあまり知らない読者も多いだろう。そこで、同社代表取締役である李同校(イ・ドンギョ)氏に日本法人設立の経緯などを、社員の方には社風や働きかたについて話を伺った。
李同校(イ・ドンギョ)
パールアビスジャパン代表取締役。文中では李。
GM岩ガニ(GMいわがに)
『黒い砂漠』運営チーム所属。文中では岩ガニ
南(みなみ)
マーケティングチーム所属。文中では南。
※取材は感染対策を徹底したうえで行っています。
優れた発想は安定的な生活環境から生まれる
――始めに、パールアビスジャパンの成り立ちについて教えてください。現在はどんな事業を行っているのでしょうか?
李 3年前の2018年に『黒い砂漠モバイル』のサービス提供を目的に設立されたのがパールアビスジャパンです、韓国のパールアビスが開発しているゲームの日本語ローカライズと運営、CS(カスタマーサポート)、マーケティングなどサービスに関するほぼすべてを担当しています。
――パールアビスジャパンの規模について教えてください。どのような職種の方が何名くらい働いているのでしょうか?
李 現在の従業員は50人くらい。運営、マーケティング、CS、ローカライズ、経営支援、コンテンツ制作チームで分けられています。
――現在の従業員は50名とのことですが、リモートワークが推奨されているなか、いまの出社率はどれくらいでしょう?
李 時期によりますが3割ほどを維持しています。どうしても社内のネットワークからしか作業ができない運営チームなどについては、出社スケジュールを調整するなど、コロナ禍での安全を意識した業務環境作りを目指しています。
――パールアビスジャパンのスタッフは現地(日本)での採用が中心でしょうか? それとも韓国からの出向が中心ですか?
李 全員が日本国内での採用です。現地での優秀な方を採用して力になっていただく。今後もパールアビスが各国に法人を作る際にはこうした方針を採用する予定です。
――たとえば給与以外に毎月一定額を自由に使えるプリペイドカードが別途支給されるなど、福利厚生のシステムが非常にユニークで手厚いと伺いました。これは日本独自のものですか?
李 パールアビスがいつも心得ているのは、社員のみんなが仕事に集中できる環境を作ることです。
優れた発想は安定的な生活環境から生まれると思っています。会社に入ったらできる限り安定した余裕のある生活ができるように支えてあげることを目指しています。このポリシーはパールアビスグループ全体の方針になっていて、福利厚生の方針もだいたい似ています(※)。
※福利厚生の詳細は後半の社員インタビューにて。
日本の冒険者の声を聞き、開発へ届けるのが役割
――韓国に拠点を置くパールアビスとはどのような会社でしょうか?
李 世界最高のゲームを作ることを目指している、ゲーム開発会社です。創業者のキム・デイル自身が直接開発したゲームエンジンは非常に優れた性能を持ち、弊社のゲームはすべてこれをベースに開発しています。韓国だけに止まらず、世界的に見ても、開発力は高い水準にあると自負しています。
――創業者自らがゲームエンジンを開発しているんですね。簡単でけっこうですので、キム・デイルさんのプロフィールを教えていただけますか?
李 キム・デイルは『RYL Online』や『C9』などを開発したことでも知られる韓国でも屈指のゲームクリエイターです。ゲームエンジンを開発しただけでなく、いまも『黒い砂漠』などの開発を最前線に立って率いています。
――日本法人を設立した意図について教えてください。日本法人を作ったということは、それだけ日本市場を重視しているということなのでしょうか?
李 そうですね、日本市場の重要性をパールアビスでも認識しており、より日本現地に合うサービスができるように日本法人を設立することになりました。
冒険者様の声を直接聞き、それを精査して韓国に拠点を置く開発チームに伝えたり、独自の運営イベント、プロモーション施策も執り行っています。日本市場だけに集中できる法人ですね。今後のタイトルももちろん日本法人を通じて発売、サービス提供させていただく予定です。
――李同校(イ・ドンギョ)さんの経歴を教えてください。これまでにどのようなゲーム・事業に関わってこられましたか?
李 僕はPC版『黒い砂漠』の日本におけるサービスの立ち上げ直後から、日本国内サービスのPM(プロジェクトマネージャー)として携わってきました。その後は『黒い砂漠モバイル』やコンソール版のリリースからサービスまでを担当していて、経歴のすべてが『黒い砂漠』と関連しています。
――パールアビスは2020年9月に創立10周年を迎え、グローバルの累計売上が2兆ウォン(約1790億円)を突破したと発表がありました。好調の要因はなんだと考えていらっしゃいますか? また、日本での調子はいかがですか?
李 大前提としてひとつの国だけを考えるのではなく、全世界の冒険者の皆様がどう楽しんでくださるかをつねに悩みながら開発し、サービスしてきたからだと思います。
もちろんサービス圏域によって求められる特性は違います。全世界をターゲットとしながらも、そういった地域ごとの特性を把握するために冒険者様の声を聴くことも最優先して行っています。
日本でもPC、モバイル、コンソールと、さまざまなプラットフォームでサービスが安定して提供できており、日本にマッチしたサービスをお届けできる体制になっております。
本社・支社の関係ではなく、あくまでもオフィスのブランチ
――先ほどの質問でも、日本現地によりマッチしたサービスの提供を考えられていると仰っていました。たとえば日本独自のイベントやサービスを考案される際に、心がけられている点や、ほかの国と変えている点などはありますか?
李 公式YouTubeチャンネルを運営していて、そこで毎週日本独自のコンテンツを皆さんにお届けしています。
また、何か新しい企画を立ち上げる際は、どういう目的でどういう層の方々が楽しめるかを意識して、そこに適した形で幅広い話題を発信しています。
たとえば、先日は“風水師”の方をゲストにお呼びして、『黒い砂漠』のゲーム内に風水的に運気のよい家を建てる「運気最強ハウスを造ろう」という動画をYouTubeで公開しました。かなりの再生数を記録し、多くの人から「おもしろかった」と高評価をいただけました。
運気最強ハウスを造ろう 前編【黒い砂漠】
――韓国パールアビス社との関係性について、もう少し詳しくお聞かせください。それぞれが独立した動きをしているのでしょうか。それとも日本での反応などをフィードバックした密な連携をとっているのでしょうか?
李 パールアビスでは海外に法人を設立した場合、それを“支社”と呼ばず、あくまでも“海外オフィス”という形をとっています。
要するに、本社と支社の関係ではなく、同じパールアビスとして仕事する、日本にあるもうひとつのオフィスということになります。ひとつの会社だからこそ取れる早い対応と密な連携が特徴だと思います。
――日本での裁量権について教えてください。日本での展開(PRやイベント)はすべて日本で決定しているのでしょうか?
李 グローバル共通で展開するPRやイベント以外はほとんど日本で考えて、動いています。もちろん、その中で密な連携を取って施策を実行します。
代表自らもYouTube動画に出演
――パールアビスはPCゲームのイメージが強いと感じています。PS5等の新世代機に新作を投入するなど、コンシューマー向けの展開はどう考えていらっしゃいますか?
李 『黒い砂漠』のIPはPCから誕生したものの、モバイルからコンソールまで展開しております。さまざまなプラットフォームでのサービス経験で得たものを土台にし、今後の新作はコンソールとPCをメインにした展開になる予定です。
――オンラインゲームはプレイヤーとの信頼関係が大切と言われています。今後、どのような施策を行いたいと考えていますか?
李 昨今の情勢もあり、しばらくオフラインイベントを開催できていないのですが、今後は冒険者様に直接お会いできる場を増やしたいと思っています。年内にも『黒い砂漠』だからこそできる形を実現できると思いますので、楽しみにしてください。
――ユーザーとメーカーを結ぶものといえばYouTubeがありますが、李同校さんが出演する『黒い砂漠』のYouTube動画がいきなりMADムービーになって驚きました。そうとうハートが強くないと、あの企画にGOサインは出せないと思うのですが……。
2周年記念!偉い人のインタビュー【黒い砂漠モバイル】
李 最初に、担当者から企画の内容を聞いた瞬間は悩みましたね。でも、企画意図を聞いて誰よりもその動画には僕が出た方が完成度が上がると納得しました。もちろん、冒険者の皆様の印象に残ったらうれしいんですが、僕の演技が下手で企画のおもしろさをうまくいかせてないのが正直ちょっと悔しいです……。
――ゲーム会社の代表なのにインタビューで演技のクオリティを反省する人はファミ通.com史上初だと思います。
コンシューマー市場での成功はファンダム形成がカギ
――『紅の砂漠』など新作の展開について教えてください
李 開発は順調に進んでいます。日本のユーザーの皆様にもプレイしていただける日を楽しみにしています。発売時期等、具体的な展開については今後別途紹介させていただけるとうれしいです。
――『紅の砂漠』は日本でもコンシューマーにも注力していくと伺っています。日本ではモバイルゲームの市場が強く『黒い砂漠モバイル』も好調ですが、日本のコンシューマーに注力する意図を教えてください。
李 仰る通り近年はモバイルプラットフォームの躍動感がすごいですが、「最高のゲーム」を目指して開発し、サービスを展開するとなると、やはりコンシューマーは外せないと思っています。
とくに日本のコンシューマー市場はさまざまな名作が生まれてきて、数多くのファンがいる大事な場所。ここで認めていただくことが大事だと思っています。
――日本のコンシューマー市場に斬り込んで行くための工夫は何か考えられていますか?
李 日本のコンシューマー市場で成功するにはファンダム(fandom=ファン発信の世界・文化)形成が大事だと思います。
うちのゲームのどういう所を好きになっていただけて、ファンになっていただけるかをつねに意識し、そのためのメディアミックスを通じた広がりや、コア層を集めるためのコミュニティー活性化に注目しています。
――日本のゲーム業界の中でパールアビスジャパンとしては、どういう立ち位置・方向性を目指していくのでしょうか?
李 パールアビスジャパンとしていうよりは、パールアビスとしてはつねに楽しくプレイできて、最高の経験ができるゲームを作る会社で長く日本のユーザーに愛されることを目指しています。みなさんこれからも『黒い砂漠』をはじめ、パールアビスのプロダクトをよろしくお願いします。
――ちなみに、プライベートでも『黒い砂漠』をプレイされていますか?
李 もちろん僕もプライベートでもプレイしています、個人的にはキャラ育成させるのが好きで、いろんなキャラクターを経験しながら、全クラスをLV60まで育てることを目標にして楽しんでいます。
社員さんに聞きました。弊社の福利厚生はここがスゴい!
この記事を作成するにあたって、編集部から聞かされたのは「パールアビスジャパンは福利厚生がスゴい」という点。え、そっち? と思いはしたものの、たしかにざっと書き出されたその施策の一覧を見てみると、驚くほど充実している。
【パールアビスジャパンの福利厚生(一部)】
- 食費支援
- 誕生日お祝い金
- 歯科治療支援
- 不妊夫婦支援
- 家事掃除支援
- 養育支援金
たとえば専用供給業者が週に2回も新鮮な野菜やフルーツをオフィスに届けてくれる“パントリー運営”や、入れ歯やインプラントまで含んだ“歯科治療費支援“、ひとり暮らしの未婚社員が部屋の整理や掃除をプロに頼める“家事掃除支援”などなど。その項目数は軽く10を超えていた。
興味が湧いたので、2名の社員さんから話を伺うことに。PC版『黒い砂漠』の運営チームに所属するGM岩ガニさん(文中では岩ガニ)と、マーケティングチームの南さん(文中では南)だ。
――まずはどんなお仕事を担当されているのかをお聞かせください。
岩ガニ 『黒い砂漠』は毎週アップデートしている状況で、それの準備が中心です。弊社にダイレクトに届く意見をはじめ、SNSやネットでのユーザーの動向を取りまとめて、韓国の日本対応運営チームといっしょにそれをどう反映させていくかを検討したりといった仕事をしています。
――Twitterをはじめとしたネットの反響をちゃんとチェックしているんですね。
岩ガニ やはり意見を広く拾い上げることは大事だと思っているので、定期的にチェックしていますね。
『黒い砂漠』はユーザーに寄り添うことを大事にしていて、意見を汲み取る努力もしていますし、たとえば翌週のアップデート情報を動画でまとめて公開したりといったことも行っています。社内にスタジオがあるので、そうした動画は内製できますし、生の配信も手軽にできるんです。
――南さんはマーケティングチームの所属ということですが。
南 部署名はマーケティングチームなのですが、弊社には広報という部門がないので、マーケティングだけでなく、プロモーションや広報活動も行っています。コーポレートサイトの運営や、こうした取材対応などもマーケティングチームの仕事ですね。
たとえば、半年ごとにグローバルに向けてロードマップなどを発表する放送があるのですが、そのローカライズなどは、運営チームとマーケティングチームが協働して担当しています。
基本的に、弊社が発信する情報のほとんどにマーケティングチームが関わっていますね。社外に向けたものだけでなく、社内報も経営支援室と協力して作成しています。いまはコロナ禍で運営チームなどを除くとみんなほとんど出社しないので、最近は社内報で社員紹介をしています。どういう人かわかっているほうが、いっしょに働きやすいかなと思いまして。
社員の胃袋をつかむ会社
――本題の福利厚生について聞かせてください。皆さんがもっとも利用されている制度はなんですか?
南 いちばん身近なのは食費支援です。出社している全員の昼食代が一定額まで支給されます。やむを得ず残業するときには夕食代も昼食代より少し多めに出ますね。
岩ガニ その金額を目一杯使おうとして、誰もが最初は食べ過ぎちゃうんですよ。みんなその金額内に抑えようとせず、少し足してでも美味しいものを食べようとして失敗しますね。
南 使った金額が支給額を下回ると、損した気分になっちゃいますよね。
岩ガニ みんなその分でサイドメニューを追加したりして、どんどん太っていく人多かったですね(笑)。
――いかに支給額ぎりぎりまでランチを楽しむかというメソッドが共有されたりしているんですか?
南 ありますね。支給額ぎりぎりでちょうどいい量を楽しめるお店とかにみんな落ち着いていきます。マクドナルドだと「このセットにこのサイドメニューを組み合わせるとギリギリ支給金額内以内におさまる」といったことに詳しい人もいます。食べない不健康よりは、みんな前向きに食べることを選びますね。
岩ガニ 「胃袋をつかむ会社」みたいなところはありますね(笑)。
お小遣いの支給や手厚い子育て支援も
――ほかによく活用されている制度はありますか?
岩ガニ やっぱり“福祉カード支給”ですかね。毎月一定額が自動で支給されるプリペイドカードが支給されているんです。
南 このカードは使い道には規定がないんですよ。美容室で使ってもいいし、旅行に行ってもいいし、食事につかってもいいし、誰かへのプレゼントを買うのも自由です。領収書も必要ありません。
――まさに「お小遣い」ですね。残高はどんどんプールされていくんですか?
南 そうですね。使わなければどんどん貯まっていきます。
岩ガニ 一応、期限だけは決まっていて、2年以内に使わないと失効しちゃいます。あとはひとり暮らしで未婚だと利用できる“家事掃除支援”を喜んでいる人も多いみたいです。
南 結婚して子どもがいる社員だと、さらにいろいろな制度が利用できます。未成年の子どもがいると支給される“養育費支援”、子どもが小学校に入学したときにカバンや文房具、お祝い金が支給される“子女小学校入学プレゼント支援”、国内外の区別なく、大学の学費を支援する“子女学資金支援”子どもの年齢ごとにいろんな支援があるんです。
女性からすると出産後に職場に復帰する際に、生まれた子どもをどこに預けるかという点がじつは重要で。認可保育所に入れずに認証保育所を利用するとなると、給与のけっこうな割合が保育園に消えてしまうんですよね……。でも、“養育費支援“制度があれば(保育園にかかる出費を気にしなくていいので)職場へ復帰がしやすいと思います。
岩ガニ 男女問わず育児休暇が取れますしね。ちょうどいま、何ヵ月か会社の仕事をお休みして育児に集中している男性社員もいますよ。子育てはしやすい環境だと思います。この制度ができたときに「子どもを作ろう」って決めた社員もいますね。
南 不妊治療をサポートしてくれる“不妊夫婦支援”もあるんです。これはかなり珍しい制度じゃないでしょうか。ほんとは国がすべき支援という気もしますが、金銭面で治療を諦めなくていいほどに手厚くサポートしてくれるのはうれしいですね。
――(資料を見ながら)大学の学費支援は留学する場合でも出るんですね。
南 パールアビスでは韓国以外の現地法人を支社ではなく、海外オフィスという扱いでグローバルに展開しています。社員から見ても、世界っていう単位で動いていて、地域へのこだわりがない感じはしますね。
手厚い福利厚生は終身雇用制への回帰か
――個人的に気になったのが“歯科治療支援”です。高額なインプラントの治療費も補助されるんですね。
南 歯が痛いと仕事にならないよね、というシンプルな理由でできた制度です。
――いや、たしかにそうなんですけど、だからといってそこを手厚くサポートしてくれる会社はあまりないと思います。
岩ガニ そもそもの話として、福利厚生制度のほとんどは韓国のパールアビスをベースに、日本に適用させただけなんです。で、なぜ韓国で制度が充実しているかというと、創業者のキム・デイル本人がバリバリの現場出身者なので、自分が開発作業に打ち込めるようにという動機から考えられたと聞いています。
南 日本にはないペット保険の補助制度もあるんですよ。それがうらやましくて。
(大学の学費を支援する)“子女学資金支援”は今年になって作られた制度なんです。韓国でも日本でも、そのときの時勢にあったものが適宜追加されていっていますね。
たとえばワクチン休暇もそうですね。職域接種こそしなかったものの、接種後に2日間、有給休暇とは別で2日間までの休みがもらえます。
――近年では日本でもIT企業を中心に、転職を重ねてスキルやキャリアを構築していくようなケースがだいぶ増えていますよね。でも、御社の福利厚生の制度からは、なるべく長く、できれば一生働き続けてほしいというような意志を感じます。一周回って昭和の時代の終身雇用システムの理想型とでも言いますか。
岩ガニ 韓国では有能なエンジニアの引き抜きが激しくて、それを防ぐという意味はたしかにあると思います。
南 たとえば『黒い砂漠』はもう6年も続いていますし、最近のIPは息の長いものが増えています。その歴史をなるべく古くから知っている人がいたほうが運営しやすいという面もあると思います。
――たとえば社員同士の会食などを補助する“社内親睦会支援”など、一般的な会社の福利厚生制度に比べて、より深く、退社後の私生活の部分をどう充実させるかという視点の制度が多いですよね。
南 子どもがいる家庭に対する支援が厚いので、たとえばお子さんが生まれて外で働くことを諦めてしまったような人には、弊社はすごく挑戦しがいのある会社だと思います。実際、私も子どもが3歳のときに入社したんですよ。育児がたいへんで一度は諦めてしまったことをまた挑戦させてもらっています。
岩ガニ 男性にとっても家事掃除支援など便利な制度はありますし、パールアビスジャパンはライフワークバランスを考えた働きかたが実現できる会社だと思います。プライベートの心配が減る分、ゲームの運営に集中してきたいですね。そういえば、南さんは元同僚とも夜な夜なゲームしてますよね。
南 そうですね、昨日も夜3時までしてました(笑)。サークルみたいなものはありませんが、私に限らず同じ趣味を持つ社員は自然とオフでも遊んでいるようですよ。
画面写真提供:みみみ(テスタロッサ)