2021年7月29日にカプコンより『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』がリリース。本作はニンテンドー3DSで人気を博した『大逆転裁判』シリーズの2作品と、充実の特別付録を収録した決定版で、Nintendo Switch、プレイステーション4、PC(Steam)にて発売中だ。本作の新要素を中心に、プレイして実感した快適さや魅力をお届けする。
『大逆転裁判』は19世紀末の日本と大英帝国の倫敦(ロンドン)を舞台にしたミステリーアドベンチャー。
弁護士の成歩堂龍ノ介(なるほどうりゅうのすけ)は、大探偵のシャーロック・ホームズたちの力を借りながら難事件を調査し、法廷で手強い検事や証人を相手に舌戦をくり広げる。龍ノ介は、『逆転裁判』シリーズの主人公・成歩堂龍一(なるほどうりゅういち)のご先祖にあたる青年だ。
証言と証拠品のムジュンを突きつけるなど、先に発売された『逆転裁判』と同様のシステムを基本線としているものの、『大逆転裁判』はキャラクターや物語が一新されており『逆転裁判』を未プレイでも問題なく遊べる。
乙女とオヤジの涙にキュン! 大画面プレイのススメ
今回の『大逆転裁判1&2』は据え置きゲーム機への移植にあたりグラフィックがより美しくなっている。テレビの大画面はもちろんのこと、携帯モードやテーブルモードで遊ぶNintendo Switch本体の画面でも滑らかさを十分に感じられる。
とくに目を奪われたのはキャラクターの涙だ。潤んだ瞳がキラキラと輝くのがハッキリとわかり、人物の寂しさや感極まったという気持ちがありありと伝わってくる。『大逆転裁判』シリーズには強い乙女が多いのだが、彼女たちがこぼれる涙をこらえる姿はなんとも美しく、「寄り添ってあげたい」、「力になりたい」と思わずにいられない。
瞳に限らず、細かな部分がよく見えるのも大画面のメリット。今回、スリの少女・ジーナの口角がいつもムニュッと上がっているのを再発見したことで、彼女のかわいらしさの秘密をひとつ見つけた気がした。
滑らかなグラフィックは裁判中の臨場感アップにも一役買っている。『大逆転裁判』シリーズは、法廷をさまざまなアングルで映し出すドラマッチックなカメラワークも魅力なのだが、大画面でプレイすると彼らを間近で見ているような気持ちに。龍ノ介が陪審員相手に最終弁論を行うとき、法廷を右に左にと歩きながら話すシーンがあるが、自分も傍聴人として法廷に引き込まれたような錯覚を覚えたこともあった。
選択肢も全自動なストーリーモード
本作で追加された新機能“ストーリーモード”は、テキスト送りだけでなくナゾトキや裁判での選択肢までもが自動で進行する。
詰まってしまったときの救済措置であるが、ハンズフリーで映画鑑賞をするように楽しむこともできる。『大逆転裁判』シリーズをクリアー済みで、改めて物語をじっくり味わいたいという方にもオススメだ。ストーリーモード機能は、オプションで“奥の手”という項目をオンにしておき、ゲーム中に該当ボタン押すことで使えるもの。うっかり発動するなんてことはないので、自力で解きたい人もご安心を。
『大逆転裁判』には証拠品の3Dモデルをグリグリと回転させて調べる場面もあるが、ストーリーモードではそこもオートで行われる。カーソルがスーッと動くのが何だか新鮮だ。
また、事件現場を調査する“探偵パート”も同様で、調べるべきポイントにカーソルが自動で合わさる。ただ、ゲーム進行と関係ない部分を調べることで見られる、龍ノ介たちのユニークな会話が割愛されてしまうので、ここは手動で隅々まで調査しておくが吉。
英語ボイスで倫敦気分。特別付録も見逃せない!
『大逆転裁判』シリーズでは、時折挟まれるアニメやムービーシーンなどでキャラクターボイスが聴けるのだが、本作は初めて英語ボイスも収録。タイトル画面でのオプションメニューで、ボイス設定を英語に変更してみよう。
倫敦のシーンなどは英語ボイスで見ると、雰囲気も抜群だ。日本語版の雰囲気を壊さないキャスティングとなっていて違和感もない。個人的にはイメージがぴったりすぎて驚かされたほど。ちなみに、各話の冒頭のナレーションも英語ボイスになっている。こちらも日本語版同様、渋くてカッコイイ。
「異議あり!」など、ゲーム中でもボイスが流れる部分があるが、そこも英語ボイスになっている。これらをまとめて聴き比べしたいなら、“特別付録”の音楽室で音声を再生してみよう。現在のボイス設定が反映されるので、日本語ボイスを聴きたいときはオプションを切り替えて。ちなみに、この特別付録には“特別法廷”と呼ばれる、ゲームイベントなどでしか観られなかった映像作品も収録されている。当時、会場に足を運べなかったという方は必見だ。
ここまで本作の新たな魅力を挙げてきたが、やはり『大逆転裁判』シリーズの真骨頂はキャラクターとストーリー。ネタバレを避けるため多くを語れないのがもどかしいが、『大逆転裁判』1作目で浮かび上がった大きな謎が『大逆転裁判2』で結びついていく展開に胸が熱くなる。話を進めるほどに、キャラクターたちの心のつながりが太く強く見えてくるのも、たまらないものがある。
もし「アドベンチャーは長くてクリアーする自信がない」と、ためらっているなら先述の便利機能が解決してくれる。食事時にテレビドラマやアニメを観るという方なら、本作をストーリーモードで流すのもアリかと。
『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』は、珠玉のアドベンチャーをよりよい環境や自由なプレイスタイルで遊べる絶好の機会。プレイするなら、いまですよ!