Koch Media(コチメディア)より2021年9月9日に配信を予定している新作ストラテジーゲーム『Dice Legacy』。ハードはNintendo Switch、PC(Steam)。

 本記事ではメディア向けに配信された『Dice Legacy』を、いち早く遊んでみたプレイレビューをお届け。なお、今回のビルドではメインシナリオのみの実装となっており、製品版とは異なる仕様とのこと。プレイはPC版でおこなった。

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『Dice Legacy』Steamページ

ダイス=ユニットの独特なシステム

 プレイヤーは謎に包まれた未知の世界を舞台に、町を築き社会を繁栄させながら、世界の謎を解いていく。世界設定的には中世ヨーロッパのような感じではあるが、蒸気の概念があるので、中世よりもちょっと先の時代といったところだろうか。ゲームはリアルタイムで進行し、ゲーム速度の変更・停止も可能。

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 特徴的なのが、タイトル名にもなっている“ダイス”だ。プレイヤーは食料や木、鉄などの資源を取得して建物を建設したり、新たな資源を産み出しながら町を繁栄させていくのだが、それを行うのにダイスが必要になる。

 ダイスは端的に言ってしまうと、ユニットである。ゲーム画面下にダイスのスロットがあり、各ダイスを選択して、指示を出していくという感じ。ダイスは6面にそれぞれ行動アイコンが描かれている。その行動アイコンと合致するエリア・建物に置くことで行動させるというシステムだ。たとえば建設なら建設アイコン、木の収集がしたければ収集アイコンが出目となっているダイスを選択し、その場に置く。

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 1度使用したダイスは暗転表示され、使用不可能になる。ロールする(ダイスを振る)ことで暗転が解除され、再度使用可能。ロールは、スロットに収まっている全ダイスをロールするが、使用していないダイスの場合は出目をロックすることもできる。また、基本的にはダイスを何かしらに使用すると、その行動に何十秒か掛かる。

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ロールすることで
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すべてのダイスの体力が1減り、再度使用可能になる

 ダイスにはそれぞれ体力数値があり、その回数使用するか、またはロールすることで1ずつ減っていく。ゼロになると、そのダイスは消滅。つまり、ユニットが死亡してしまうということだ。

 ダイスは最大12個保持することができ、“家”という建設物にダイスとダイスを置くことで、新たなダイスを産み出すことができる(正確には農民ダイス×農民ダイスで、農民ダイスが生まれる。詳細は後述)。感覚的には、ユニットどうしが結婚して子どもが生まれた、という感じだろうか。また、建設物“調理場”にダイスを置き、資源“食料”を使用すると、ダイスの体力が回復する。

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ダイスはこのように、建物などに置いて使用する
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調理場の場合ならばダイスを置き……
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画面左の資源枠から資源を持ってきて……
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置いて使用するという感じ。

 つまり、ダイスの出た出目に合わせて行動を指示し、資源を回収しつつ、うまくダイスの体力を維持していくのが、本作の基本となる。これが本作のキモであり、独特なシステムながらもなかなかにおもしろい。とはいえ、言葉で説明しても、システムに慣れるまでは実際にプレイしてみないと、理解するのはやや難しいだろう。

 なおゲームのマップは縦スクロール型で、奥へ奥へと領地を広げていく。領地は、“地区役場”を建設することで広がっていく。領地を広げていけばいくほどに、本作の世界の謎が解かれていく、という仕組みだ。

何者かによる襲撃もあり

 じっくり考えてロールを抑えながらダイスを使用していくのもいいのだが、本作はターン制ではなくリアルタイム進行。ゲームを進めていくと原住民らしき者たちが突然町を襲撃してくることもあり、対処せずにいると建物を破壊されてしまう。

 ダイスの出目“戦闘”が出たダイスを敵ユニットに置くことで、敵ユニットを排除できる。敵ユニットには制限時間があり、その制限時間内にダイスを置かなくてはならない。なので、ダイススロットに“戦闘”の出目がない場合は、短時間でロールをくり返す必要があるのだ。ロールをくり返して、うっかり体力の低いダイスを消滅させてしまった、なんてことにもなる。

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敵ユニットが出現したら…
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戦闘の出目を持つダイスを配置。
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そうすることで敵を排除できる。

 また、戦闘に出したダイスは、ときにヒビが入り“負傷”状態となる場合がある。負傷状態で再度負傷すると、ダイスが消滅してしまう。負傷状態のダイスは、“薬局”を建設し、そこで資源“薬草”を消費することで回復可能だ。

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負傷したダイス

ダイスのクラスと知識

 ダイスにも種類(クラス)があり、最初は全部“農民ダイス”。農民ダイスを建設物“学校”に置いて食料を消費することで、教育を受けて“市民ダイス”となる。市民ダイスは“収集”の出目がなく、“狩場”での食料収集や“森林”での木材収集を担当できない。代わりに、“知識”を得るのに必要な“研究”の出目、小麦生産などに必要な“労働”の出目が多い、という特性を持っている。

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ダイスの出目はクラスによって分かれており、かつダイスそれぞれに“2個ぶんの労働力を持つダイス”など、個性が付く場合もある。

 知識は技術ツリーで使用することができ、取得すれば“小麦の収穫量アップ”など、さまざまな恩恵を得られる。農民ダイスは“研究”の出目を持っていないので、市民ダイスをある程度作る必要があるのがポイント。

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知識の生成には時間もダイスも多く掛かるが、そのぶん効果の高い恩恵が受けられる。
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 また、各ダイスはクラスのヒエラルキーで分かれており、それぞれ別の幸福度で管理されている。幸福度は基本的にダイスが消滅すると下がり、ダイスが増えると上がる。ほかにもいろいろな条件があり、たとえば一定周期ごとに“評議会”が開催され、そこでさまざまな政治施策を発令できる。施策は各ダイスのヒエラルキーに紐づいており、選んだ施策によって幸福度が上下する。

 ほかにも“商人”、“修道士”、“兵士”といったダイスがあり、たとえば“兵士”ダイスならば戦闘の出目が多く、バトルで活躍しやすいという特性を持っている。が、資源回収などにはまったく向いていない。自分でダイスのバランスを考えて、転職させていく必要があるのもおもしろいところ。

極寒の冬を乗り越えよう

 時間経過による季節の概念も存在し、おおまかに分けると夏、冬の2種類。夏は小麦を栽培することができ、基本的にデメリットなどは存在しない期間。

 冬は小麦が栽培できないので、食料を溜めこんでおく必要がある(狩場などでの調達は可能)。また、ダイスを行動させると、確率でダイスが“凍結”する場合がある。凍結すると、そのダイスは冬の期間中に一切何もできなくなってしまうので、かなりのデメリットだ。

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下のふたつが、凍結したダイス

 “凍結”を防ぐには周囲の建物の暖房となる“蒸気発生器”を建設する必要がある。また、小麦からビールを生成し、“酒場”でビールを飲ませることで、凍結の解除も可能だ。対策も貴重な資源を使用する必要があるため、冬はとても厄介な存在となっている。

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シナリオの多様性にも期待

 以上が、『Dice Legacy』の大まかなゲーム性となっている。慣れるまでは時間が掛かるが、コツを掴めばこれまでにない新感覚のストラテジーゲームを体験できた。通常の町づくり系ストラテジーゲームでは資金の調達や食料が時間経過で消費されたりするが、本作は時間経過で浪費される素材がなく、リアルタイムながらもじっくりと戦略を考えられるのが良い要素だと感じた。また、ダイスを置く、資源を置くといった操作感覚がアナログゲームに近しい要素で、なんだか気持ちイイのも個人的には評価点。

 今回体験できたのはひとつのメインシナリオのみだが、製品版ではさまざまなシナリオが用意されているとのこと。ゲームの根本は変わらないが、おそらくさまざまな条件のもと、『Dice Legacy』を遊べるのではないかと予想。

 発売は2021年9月9日ともう少し先になるが、気になる人はぜひダウンロードして遊んでみてほしい。

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