PCゲーム販売プラットフォームSteamを提供するValveが、ポータブルなPC系ゲーム機“Steam Deck”を発表した。2021年12月にアメリカ・カナダ・ユーロ・イギリスで、それ以外の地域では2022年発売予定としている。
日本時間の2021年7月17日午前2時から予約を開始する予定で、参考までに海外価格は64GBモデル(eMMC)が399ドル、256GBモデル(NVMe SSD)が529ドル、512GBモデル(NVMe SSD)が649ドル。なおUSBポートや外部ディスプレイへの出力端子などを備えた公式ドックも別売り予定となっている。
Introducing Steam Deck: powerful, portable PC gaming starting at $399. Designed by Valve, powered by Steam. Shippin… https://t.co/dF354xWL87
— Steam (@Steam)
2021-07-16 02:00:53
ValveがPC系の携帯ゲーム機を作っているらしいという噂はまことしやかに流れていたが、今回正式に発表された形。値段はそれなりにするが、そのスペックはなかなか強力かつユニークだ。
主要なスペックを追っていくと、まずはプレイステーション5やXbox Series X|Sにも採用されているZen2/RDNA2アーキテクチャーのAMD製プロセッサーを搭載。高速なLPDDR5メモリーを16GB搭載しており、中位モデル以上ではNVMe SSDのストレージを持つ。
またOSにはLinux系の自社製OS“SteamOS”を採用しており、すでにSteam上にあるSteamOS用のLinux対応ゲームに加えて、Windows向けゲームはValveが共同開発するProtonエミュレーターを通じて対応する模様。またデスクトップ環境としてKDE Plasmaを利用可能となっている(つまりゲームだけでなくLinux系コンピューターとしての使用が可能)。
そして操作系統では、現代的なコントローラーのひと通りの入力に加えて、背面のカスタマイズ可能なグリップボタンや、ジャイロ入力、そしてマウス操作を念頭に設計されたゲーム向けのトラックパッドなども搭載。かつて販売されていたSteamコントローラーで培われた手法が活かされている印象だ。
プレイ時間は「大抵のゲームで数時間のプレイ」で、軽いゲーム等の場合は「約7〜8時間の使用」(公式サイトより)としている。なお、ドックや本体の各種ポートから外部モニターに接続したり、USB接続のコントローラーをつなぐといったことも可能となっている。公式サイトに掲載されているスペックは以下。
- プロセッサー AMD製 APU
- CPU: Zen 2 4c/8t、2.4~3.5GHz(最大448 GFlops FP32)
- GPU: 8 RDNA 2 CU, 1.0~1.6GHz(最大1.6 TFlops FP32)
- APU power:4~15ワット
- メモリー: 16 GB LPDDR5 RAM(5500 MT/s)
- ストレージ
- 64 GB eMMC(PCIe Gen 2(1枚))
- 256 GB NVMe SSD(PCIe Gen 3(4枚))
- 512 GB高速NVMe SSD(PCIe Gen 3(4枚))
- すべてのモデルに高速microSDカードスロット搭載
- 入力
- ゲームパッドコントロール A/B/X/Y、十字キー、L&Rアナログトリガー、L&Rバンパー、表示&メニューボタン、割り当て可能な4個のグリップボタン
- サムスティック 静電容量方式フルサイズアナログスティック(2本)
- HDハプティクス
- トラックパッド 32.5mm触覚フィードバック付き角型トラックパッド(2個)
- Steamコントローラと比較して55%遅延を低減
- クリックの強度を設定できる感圧式
- ジャイロ 6軸IMU
- ディスプレイ
- 解像度 1280 x 800px(アスペクト比16:10)
- 読みやすさを追求した光学結合LCD
- 7インチ(対角)
- 輝度 400 nit(標準)
- リフレッシュレート 60Hz
- タッチ対応
- 環境光センサー
- 接続
- Bluetooth 5.0(コントローラ、アクセサリ、オーディオに対応)
- デュアルバンド無線Wi-Fi、2.4GHzおよび5GHz、2 x 2 MIMO、IEEE 802.11a/b/g/n/ac
- オーディオ
- 没入感のあるリスニング体験を実現するDSP内蔵ステレオ
- デュアルアレイマイク
- 3.5mmステレオヘッドフォン/ヘッドセットジャック
- デジタル出力 DisplayPort over USB-C、標準USB-C、またはBluetooth5.0を介したマルチチャンネルオーディオ
- 電源
- 入力 45W USB Type-C PD3.0電源
- 40Whrバッテリー。2~8時間のゲームプレイ
- 拡張
- microSD UHS-IはSD、SDXC、SDHCに対応
- コントローラやディスプレイとの外部接続 DisplayPort 1.4付きAltモード対応USB-C:最大8K @60Hz または 4K @120Hz、USB 3.2 Gen 2
- サイズと重量
- 298mm x 117mm x 49mm
- 約669グラム
- ソフトウェア
- SteamOS 3.0(Archベース)
- KDE Plasma
早期予約購入できるアカウントを絞る転売対策も
また販売ページにFAQが掲載されていたので、そちらの気になるトピックもフォローしておこう。(※2021年7月16日午前8時追記)
- 予約には5ドルかかる
- ちゃんと購入する意思がある人からの需要を把握し、ローンチに向けた供給を調整するため
- 最初の48時間に予約できるのは2021年6月までにSteamで購入した人のみ
- 要は転売屋がこれからアカウントを作って買い占めるのを防ぐため
- さらに予約できるのは1アカウント1台まで
- 予約登録するとキュー(待機列)に入り、順番が回ってくると招待メールが来てオーダーが確定可能になる
- オーダーの割り振りは2021年12月から開始予定
- オーダー可能になった時に購入できるのは予約を行ったモデルのみ
- 製品そのものに対する決済はオーダー確定時に行われる
- キャンセル可能
- 予約から30日以内は予約時に使った支払い方法を通じて直接返金される。それ以降はSteamウォレットへの返金になる
- 期限内にオーダー確定させなかった場合も返金対応
-
予約は地域別に実施
- まずはアメリカ、カナダ、EU、イギリスから。それ以外の地域は今後発表予定
- 予約キューの処理やオーダーへの移行開始時期も地域によって異なる
- 他OSやサードパーティ製ソフトもインストール可能