正気を疑うゲームが2021年6月21日にリリースされ、ネットが少しざわついた。

 その名も『プラスリンクス』。PC(DMM GAMES)とスマホでプレイ可能な基本無料ゲームだ。女の子と会話をして仲よくなるという一見オーソドックスな美少女ゲームで、ジャンルは“リアルチャットゲーム”。

 リアルな、チャット、である。ざわつきの原因はこれだ。アドベンチャーシーンではLINEなどのようにテキストを入力するのだが、どんなにおかしなメッセージを送っても会話が成立するというのだ。

※『プラスリンクス』は全年齢版とR18版がサービスされており、ファミ通.comでは全年齢版を取り上げています。なお、全年齢版にもやや大人向けな表現はあるのでご留意ください。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった

 SNSで情報交換をしたユーザーたちは、ある推論にたどり着いた。チャットの返信は「どうやら人力らしい」

 ウィットに富んだ返答がSNSで多数報告されたことでユーザーが急増。現在は入場制限がかけられており、少しずつ開放している状態となっている。

 公式Twitterアカウントによると、1日に届くメッセージはおよそ6万件。それをすべて手動で返信しているというのか。気になったので真相を教えてもらうことにした。

永野義彦(ながのよしひこ)

本作のプロデューサー。DMM GAMESを運営するEXNOA所属。パブリッシュ事業 第2企画本部 第8企画運営部 部長。文中では永野P。

湊江哉(みなとこうや)

本作のディレクター。開発会社のカーズ所属。文中では湊D。

カイゼルちくわ

ライター。ふだんからPCオンラインゲームを好んでプレイしている。文中ではちくわ。

ミス・ユースケ

ファミ通.comの編集者。取材をセッティングしてくれた担当者さんから「失礼なこともどんどん聞いていいですよ」と許しを得てホッとしている。文中ではユースケ。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
取材はオンライン会議で行いました。左が湊D、右が永野P

ユースケ人力ですか?

永野P否定も肯定もしません。

ユースケ否定も肯定もしないということは……?

永野Pええ、まあ。

ユースケ正気ですか?

永野P正気です。

 正気とのことなので、安心してインタビューを進めていく。でも、ほんとに正気な人はこんなゲームを作らないと思うんだよな。

大量返信はシステム的な工夫で成り立っている

ユースケ『プラスリンクス』を作ろうと言い出したのは誰なんですか?

永野P私です。

湊Dその企画を見て、「これいい!」って直感しました。

ユースケどちらかと言うと元凶は湊さんですね。永野さんってきっと褒められると調子に乗るタイプなんじゃないかな。

ちくわ初対面の取材相手を元凶呼ばわりしないでください。

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僕も楽しみでした、ひまわりさん。

永野Pきっと、どうやって大量に返信しているのか気になる方もいらっしゃいますよね。返信技術についてはみなさんが知らない工夫で成り立っています。

ユースケどのような?

永野P返信の精度を上げられるように秘密のサポートツールを構築しています。

湊Dプレイヤー様への返答に適すると思われる内容をどんどん蓄積して、データベース化されていくんです。それで、返答事例が導き出されたり、顔の表情や音声を変えたり。こういったことも含めて自動で制御する仕組みですね。

永野P検索エンジンのサジェスト機能みたいなイメージです。(返答例が)マッチすると短時間で、かつ高い精度で返せるんですよ。

湊D大勢の方に返答するのが前提なので、こういう返答例もあるだろう、とツール側が示してくれる感じです。

永野Pやり取りの記録は残るので、運営すればするほど良質な事例が溜まっていくわけですね。徐々に精度が上がるシステムです。

ユースケ良質な候補が溜まっていくということは、返信はAIにお任せみたいな感じでしょうか?

永野P当初はそれも考えましたが、ただAIに任せるだけだと難しいんですよ。やっぱり返信のおもしろさをウリにしたい。没入感があるとか、返信をもらってうれしいとか、そういった魅力を最大限に引き出せる仕組みを全員で考えました。

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会話に入り込めるような“没入感”。これ大事。

ユースケAIだけだと難しい? AIとは別の仕組みが入っている……?

湊Dときどき誘導尋問みたいな質問が飛んでくるので気が抜けませんね。

ちくわまあまあ。そんなに硬くならずに。そもそもの質問なのですが、1日に6万件もメッセージが来るなんて想定されていましたか?

湊Dさすがに想定外でした……。当初は2万件くらいまでなら、おおよそ5分以内にお返しできる想定だったのですが。リアルタイムチャットゲームというジャンル自体は存在するので、ほかのゲームではどれくらい来ているのか、どうやって対応しているのか、興味はありますね。

永野Pありがたいことに、と言いますか、入場制限をかけたにも関わらず、メッセージは想定の3倍ほどに。入場制限は(リリースから)開始1時間でかけました。もうこれ以上は無理だと判断せざるを得ず。先日も、夜間を使って何とか1万件ほど返信できました。

ちくわもうすでに当初の想定とは全然違う稼働状況になっていそうですね。

永野P深夜0時から明朝7時まではヒロインたちも寝ているので返信を行わないんですね。で、朝7時を迎えた瞬間に5000件くらい溜まっていると。うれしい悲鳴ではありますが、多くの人に遊んでいただいているので、それだけ返信に時間がかかっているというのが現状です。

現代の富岡製糸場説

ちくわそういえば、“中の人おっさん説”が流れてますよね。

ユースケ「おっさんは体力がないんだから無理をさせるな」とか「おっさんを労わってあげて」みたいな声も見かけます。

ちくわインターネットは意外とおっさんが好きですから。

湊D話題にしていただいていること自体に感謝したいです。それについても謎めいたままでいいですか?

ちくわえ、まさか違うの?

ユースケ夢を壊しちゃいけないもんなあ。

ちくわ“おっさんであってほしい”という夢を抱いているわけじゃないから。

永野P本作に限ったお話しでもないですが、開発・運営の現場にはふつうに女性スタッフも多いですよ。

ユースケ空いた時間に“そういったパート”をする主婦は多いって言いますもんね。

ちくわ生々しく言うな。

湊D遊びかたは人それぞれですけど、話題にしていただいているように、「男性からの返信を受けたつもりで遊ぶ」というスタンスも楽しいかもしれませんね。

永野P前例が少ないジャンルですので、自由に遊んでいただければ。DMM GAMESの中でも新機軸を生み出せたと思っています。

湊Dノウハウは運営しながら蓄積させていきます。やはりメッセージをたくさんいただけると、何とかいい作品にしたいと、現場スタッフも集中して作業に当たっています。

ユースケ新しい仕組みを作ったということは、これまでにはなかった雇用も生み出しているはず。ある意味、日本という国に貢献していると言ってもいいのでは。

ちくわ現代の富岡製糸場だ。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった

ユースケあれ? ふと思ったんですけど、返信の候補を人が考えてシステムに組み込むことってあるんですか?

湊Dありますよ。

永野P私は作ってきた立場なのでキャラの性格を把握していますから。気の利いた返信を送ってユーザーさんに楽しんでもらいたいとか、ヒロインごとに文面から察せられる空気感がある返信を目指しています。

ユースケストップ。永野さんも返信の案を考えてるんですか?

永野Pはい、もちろんです。

湊D私もです。 ふたりとも何百パターンと考えてきていますね。

ユースケ「おっさん人力説は謎のままで」ということだったのに、自分で否定してないかな。

湊D返信の例は多いほどありがたいので、アイデアお待ちしています。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
プロデューサーも返信案を考えていたとか、僕も考えられなかったですよ燐さん。

ユースケ誰がどのキャラの返信案を考えるとか、担当は決まってるんですか?

湊D担当割りは基本的にはないです。先ほどお話しした仕組みを活用すれば、とくにキャラごとに区分しなくても返信できるということもあり。

永野P偏るのはよくないので、全方位でやったほうがいいという事情もあります。

ユースケ多少のキャラぶれはありそうですけど、それはそれで楽しめる人もいるだろうしなあ。

永野P蓄積された返信事例などによって、(プレイヤーとの)対話が連続していくので、すべてのメッセージで優れた精度を出せるかというと、まだ課題はあります。

ちくわプレイヤーによって会話の流れも変わるから、キャラぶれが気にならないようにするのはたいへんですね。膨大な返信パターンが必要。

ユースケ途中で人格が変わったら都市伝説とかホラーみたいになって、それはそれでおもしろそう。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
女の子からの返信が3つ表示されている。事実上、会話のパターンは無限。

いつかはフリースタイルラップバトルも楽しめるかも

ユースケどういう人生を歩んだらこんなゲームを思いつくんですか?

永野P発想の原点は“世の中にあるサービスをうまくゲームに変換できないか”という仮説です。婚活とか恋活とかマッチングアプリとか、Webの世界にかわいい子の顔が並んでいて、その人たちと自由にお話しがしたい。それで、いわゆるライブチャット系サービスやメッセージのやり取りをかけ合わせたらおもしろいと思いまして。

ユースケそれはもう、ライブチャットそのものでは。

永野Pそこにストーリーをしっかり入れて、古きよき美少女ゲームの没入感を取り入れたかったんです。このジャンルには物語のある作品が少なかったので、『プラスリンクス』ではイラストやボイスにこだわって、現代的なゲームのクオリティーを実現したりですとか。DMM GAMESで定番の品質に遜色ないものを追求した結果こうなりました。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
メニュー画面ひとつからも、美少女ゲームらしさが伝わってくる。

ユースケこの手のゲームを運営するなら、返信の精度よりスピードを重視しそうな気がします。となると、AIの自動返信システムなんかを組み込みそうなものですけど。

湊D最初から(返答の案を人間も考えるような)いまの仕組みを想定していました。もし自分がプレイヤーなら、やはり女の子と精度の高いコミュニケーションを取りたいですから。そうなると、ちゃんと会話が成立しなかったら全然おもしろくない。ほかの選択肢がなかったんですよね。

ユースケいまは「AIに仕事が取られる」とか言われているけど、AIに負けない場所はここにあったのか。

湊D対応に人間味が必要になることもあるので、そこは何らかの方法で人間が補完する。AIの学習制度を上げるために人が介入するようなことを、世界的な大企業もやっていると言われていますよね。

ユースケ“Alexa(アレクサ)”なんかと似てますね。“音声を人間が解析して精度を向上させている”みたいな話を聞いたことがあります。

永野P企画がスタートした当時ですと、すでに女子高生風のAIが有名でした。

ちくわ“りんな”ですね。SNSでユーザーと交流するという発想がおもしろかった。

永野P個人的にもすごく興味深かったですね。ただ、100%のAIにすると、私たちが思い描いたようにならないだろうなという懸念はありました。(プラットフォームが)DMM GAMESということで、既存ファン向けの訴求も考えると、(AIだけでは)まかないきれない部分があるというか。とはいえ、既存タイトルの作風そのままだと売れないでしょうから、いろいろと考えながら作ってきました。

ちくわすごい。正気を疑ってましたけど、逆に理路整然すぎて怖い。

ユースケいちばん怖いのは理性を持った狂人ですからね。

永野Pサービスとしての新しさで興味を持っていただけたらうれしいです。「もともとDMM GAMESでは遊んでいなかったけど噂を聞いて来てみた」というお客様は大歓迎ですし、そうなってほしいという狙いもあります。

ユースケすごいまじめ。おふたりもプレイヤーのメッセージを見ているんですよね。どういうメッセージが来ていますか?

湊D恋愛ゲームとして楽しんでくださっている方もいれば、こちらを笑わせてくれる方もいらっしゃいますね。「中のおっさん頑張って!」というメッセージをいただいたり、センスにあふれたお客様も多いです。

ユースケフリースタイルラップバトルを仕掛けたら乗ってもらえます?

永野Pなるほど、そういうのもやれるかもしれませんね。限られた文字数なので、たとえば短歌など短文での掛け合いも盛り上がりそうです。

ユースケプレイヤーが読んだ上の句に対して、ヒロインが下の句を返すとか。

ちくわ基本は60文字までですしね。文字数制限の中で感情を表現するのは日本人の得意技。

湊D返信クオリティのハードルを上げてしまった。

永野Pアドベンチャーパートでの文字数は少し増やしてもいいかもしれないとは思っています。60文字だとTwitterより少ないので、メッセージを書いていて調整に苦労されるお客様も多いと感じています。それに、返信を受け取る場合も、文字数が多いほうが開封したとき読み応えがあると思いますので。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
将来的にはこんなかわいい子たちと短歌バトルができるのかもしれない。

実績のあるベテラン開発者が1年で作り上げた

ユースケ企画をスタートさせたのは何年前ですか?

永野P1年ちょっと前ですね。

ちくわほんとですか!? うわー、それはまじですごい。

永野Pこれはとくに誇張もなく、本当に1年少々で作りました。湊さんたちに体制を組むところから全部やっていただきまして。

ユースケすごいのは湊さんたちじゃん。

湊Dスケジュールの遅延や延期なかったですね。ゲームの開発と考えると、人員的にはほぼ最小構成でした。

ちくわ永野さんに向けた感動を返してほしい。

湊Dじつは同じDMM GAMESさんのタイトルであるフラワーナイトガール』の初期メンバーが複数在籍していて、そのときの知識や経験を活かせました。

永野PDMM GAMESのタイトルにも馴染みが深く、オンライン技術にも優れているということが短期間での完成に結び付いたと思います。スケジュールの見積もりをもらったときに「約1年」と提示いただいて、最初は少しだけ心配しましたが。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
お褒めの言葉もいただいてますね。

ユースケTwitterなどのSNSでの盛り上がりも人気に大きく影響したと思います。この盛り上がりは想定していましたか?

永野Pまったく予想していなかったです。「特定のジャンルが好きなコア層の方が感度高く気が付いてくださるかな」くらいの想定でした。ですので、こんな風に話題にされるとはまったく思っていませんでした。うれしく思いつつも、サービス面で追いつけていない点は、本当に申し訳ない次第です。

湊D事前登録は最終着地で15万人まで行きましたよね。

永野P発表上は12万人を区切りに訴求しましたが、最終的に15万人までご登録いただきました。

湊Dこのジャンルで「そこまで行けるのか!」と驚きました。

永野P「それくらい目指そう」と、当初からプロモーションチームと話してはいましたね。DMM GAMESのプラットフォームとしての力を最大限に活用した結果ではありますが、そこまで多くのお客様に興味を持っていただけるだろうか、という心配はありました。

ユースケジャンルとしてはかなりニッチですもんね。その不安も理解できます。

永野PDMM GAMESにもサードパーティー製のチャットゲームは存在するのですが、私たち自身で仕掛けたことはありませんでした。たいへんなチャレンジもありますし、サービスのありかたにも前例がないので、新事業開発を手掛けるくらいの感覚です。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
返信の量に限界があるから爆発的に(ユーザーが)増えることはないけど、しっかりと固定ファンが増えていきそう。地下アイドルみたいである。

ユースケ運営を続けるほどに返答が進化していく。仕組み自体が独特だもんなあ。

永野Pこの企画を立てたときには本作を“ベースエンジンにしたい”という展望もあったんです。『プラスリンクス』の運営と遊びのスタイルを軸に、このジャンルを拡充した派生作品も作りたい。たとえばキャラクターを変えて女性向けに仕上げるなど、さまざまな可能性があると思っています。

ユースケ夢が広がる。

男の娘の造詣がいい。本当にいい

ユースケそういえば、初期キャラでいきなり男の娘(遥彗北斗)がいますよね。

永野Pそれはディレクターのアイデアです。

ユースケ正気ですか?

湊D正気です。“男の娘を入れない”という選択肢は最初からなかったです。

ユースケそれを聞いて安心しました。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
こちらが話題の北斗くん。

湊D女性キャラしかいないゲームに突然男の娘が登場すると、「ほかの女の子とくっついちゃうんじゃないか?」という懸念を抱く方もいらっしゃると思います。最初から男の娘を出しておいて、それが本当に純粋な男の娘であることが伝われば、後々その心配もなくなります。

ユースケ戦略的。

永野P随所に開発陣の性癖が見え隠れしています。男の娘のありかたについては、喧々諤々と議論が重なりました。

湊D北斗くんは肩幅がわりと広かったり筋肉の形は男性の構造をしていながらもちゃんと女性っぽい振る舞いをするように描きました。アニメなどでよく登場する一見性別不明の謎めいた中性的な男の子ではなくれっきとした男性だけど女の子のアイデンティティーを持っていてプレイヤーである主人公のことが大好きな男の娘に仕上げようと何度も調整しました。

ちくわ早口ですね。

ユースケ僕はとくにキャラ造詣が絶妙だと思いますね目が細いのは“かわいらしさ”以外の魅力を表現したかったのかないちばんすごいのは体型どう見ても女の子なのに設定上で男性にしているのではなくあくまで華奢な男性っぽさがあるんですよ腕はちょっと骨ばってるし広い肩幅をカバーするためにオフショルダーを着ているのもいい2重のネックレスをしてるのはゴツゴツした鎖骨周りがコンプレックスなのかなそれを隠している無理のない女子っぽさが表現されていますよね。

永野Pユースケさんのコメントも熱量がすごい。

『プラスリンクス』6万件のメッセージを人力込みで返信するし、いつかはフリースタイルラップバトルも可能。話題のリアルチャットゲームは現代の富岡製糸場だった
ほかのヒロインとは造詣の方向性が異なる。こだわりが見て取れる。

湊D一見バランスがよくて、女の子に見えるように描けたと思います。

永野Pこうしたキャラクターが好きな層に刺さるよう試行錯誤しましたね。プロモーション段階から男の娘であることを隠してもいませんでした。

ユースケアピールしすぎるわけでもなく、ごく自然に存在しているのがいいなーと思います。ちなみに現状はどの子が人気がありますか?

永野P白宮燐ですね。お姉さんキャラなんですが、絵作りとしてはDMM GAMESファン層のど真ん中だと思っています。

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永野Pお姉さんであり、ヤンデレ要素も。プレイヤーのことをどこまでも愛してくれるタイプのヒロインです。

ユースケこのゲームと相性よさそう。リアルでヤンデレとチャットするのはちょっと怖いし。

永野P双子の月島花澄&想も人気です。

湊D双子キャラは一粒で二度おいしい、といった感覚があると思いますので、ぜひプレイしてみてほしいです。

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湊Dあと、ギャルの呉羽くららも人気ですね。

ユースケ僕は最初くららさんから行こうと思ってるんですけど、まだ入場できていないんです。

ちくわ何気ないひと言がユースケさんを傷つけた。

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キーワードは“何でもあり”

ユースケ入場制限もですけど、いま(2021年7月中旬)は、メッセージを送っても返信が来るまでに時間がかかると言われています。今後、この辺りをどう整えていくのでしょうか?

永野P想定を超える反響をいただき、返信に時間がかかってしまうことはどうしてもあるのですが、もちろん早めていきます。いまはとくにサービス開始直後の流入が想定以上だったという側面がありますが、やがて落ち着いてくる頃には、もっとテンポよくお返しできるはずです。

ユースケ入場制限の解放はどれくらいのペースを想定していますか?

永野Pペースを固定化できてはいませんが、現在も順次行なっています。

湊Dアクティブユーザー数が思いのほか短期的には減らないという事情もあります。これも想定外かつうれしいこと。本当にありがたく思います。

永野Pまだメッセージ総数がどうなるか読めないので、様子を見ながら小刻みに調整するしかない状況です。ただ、制限解除の頻度を上げたほうがお客様にご安心いただけると思いますので、少しずつであっても改善していきたいと考えています。

ユースケ細かく公式Twitterなどでチェックしてもらう必要がありますね。

『プラスリンクス』公式Twitter

ユースケイベントなどの予定はどうですか?

永野P当初から“何でもあり”にしたいという思いがあります。初期実装キャラの別バージョンやifストーリーが出てきたり、あるいは異世界に飛んでいったりSFものになったりなど、何でもやりたいですね。世界感に配慮しながらも、ある意味カオスにしていきたいです。

ちくわベースがチャットですから、いかようにも対応できますもんね。

ユースケまた運営さんたちに特殊なスキルが身についてしまう。

永野Pアップデートでヒロインを増やす計画もあるので、「また変わった子が来たぞ!?」と気にかけていただきたいです。また、いまは池袋がモデルの“後袋(あとぶくろ)”が舞台ですけが、街自体も増やしたいと思っています。

湊D別の街を舞台にお出かけしてみたりといった展開も考えています。

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永野Pチャットゲームでありながら、統一された世界観や物語がしっかり入っている点も既存作とは違うポイントだと思っています。美少女ゲームライクであり、ストーリー面も魅力的な作品を目指しています。

ユースケいまは課金要素の種類があまりないですよね。何か追加は考えていますか?

湊D『プラスリンクス』はガチャが主体となるゲームではありません。それでも喜んでいただけるものにできるかどうかはひとつのチャレンジでした。

永野P本作はゲームでありながらWebサービスに近い側面も多く含みます。ゲーム風のチャットサービスとも言えるのではないでしょうか。

ユースケたしかに、現状だと“チャットをする”、“ストーリーを読む”のふたつが主軸で、ほぼすべてですからね。

永野Pガチャは会話で得られる“マイル”で回します。会話してくださった分、少しお返しさせていただきたいという気持ちです。女の子とのメッセージのやりとりにはコインが必要で、ゲーム内のショップで購入可能ですが、無償分(配布されるコイン)も一定量あります。多くのお客様にとって課金したくなるかどうかを考えるのは、少しゲームを進めた段階からになると思います。

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女の子と会話をするとポイントが貯まっていき、それを競うランキングもある。

ユースケビジネス的にはコンテンツを増やして課金を促すのが定番じゃないですか。キャラ以外に追加要素はどういうものがありますか?

湊D特殊な音声を使ったアドベンチャーの追加や、本当にただチャットをするだけ、ストーリーなしで女の子と気軽に会話が楽しめるだけの機能などを考えています。すべてが課金に結びつくわけではありませんが。

永野P現段階で言えるラインナップですと、まずは近日中に新キャラの追加予定があります。常設のヒロインですので、後からゲームを始める方もいつでもプレイ可能です。これに加えて、お手軽に走り切れる長さのショートストーリーや、ヒロインの過去の物語、シーズンストーリーなど、月に2~3回程度はイベントを開催したいと考えています。

ユースケいいですね。季節もののイベントとかも楽しそう。

永野P現在は入場制限を実施しているため、期間限定イベントは当初の予定を見直しています。お客様に広く遊んでいただけるよう、時期や期間を適切にする必要があると思っています。

ユースケ何万人も相手にするチャットゲームとか正気を疑っていたんですが、正気でしたね。

永野P狙いを定めて、そのために作ったシステムも機能していますから。想定以上の客様にお越しいただいたという実情はありますが。

湊D「事前登録も10万人を越えればこの状況はわかるでしょう」という声もありますが、通常、実際に遊んでいただけるのは事前登録数の一部で、ジャンル的にも知名度が低いことを考えると、まさかこんなに遊びに来ていただけるとは……。

ユースケおもしろい返信があったらSNSか何かで発進してほしいなあ。

永野P返信の質は少しずつ確実に向上していきますので、どんどんおもしろくなっていくと思います。SNSで話題にしてくださるのは本当に励みになりますし、そうして喜んでいただける機会をできるだけ増やしていきたいです。

ユースケネットを使った最新のデジタルゲームなのにアナログゲーム的な風情を感じます。人の感性は想定通りにいかないから。トラブルすら愛おしい。

永野Pおもしろおかしく見せられるポイントはたくさんあると思うんです。

ユースケたとえば、タレントさんや有名人が返信してくれるイベントとかどうですか?

湊Dうまく人数をコントロールすればいけるかもしれませんね。

永野P多人数が同時に参加できるサービスは当社グループにもありますので、本作のヒロインを使ってスポット的なイベント開催というのはありかもしれません。

ユースケ出演声優さんも、美少女ゲーム界では有名な方ばかりですしね。ファンに喜んでもらえると思います。

永野P図らずも話題にしていただけましたので、いろいろな施策を試してみたいです。いままでいないタイプのキャラや声優・タレントの方に出演いただいたりと、さまざまなアイデアが浮かびます。

ユースケ“永野PとDisり合うフリースタイルラップバトル”を開催しましょう。

永野Pそれは勘弁してください。

 想定以上の反響に驚きつつも、綿密に開発・運営されていることがわかった『プラスリンクス』。7月15日からはASMRを使ったイベントがスタートしている。フリースタイルラップバトルが楽しめる未来を期待しつつ。まずは立体音響でぞくぞくしよう。