世界が待ち望む注目作を宮崎氏が余すところなく語るロングインタビュー
2021年6月11日(日本時間)に配信されたイベント“SUMMER GAME FEST: Kickoff Live!”。その最後に、フロム・ソフトウェアの完全新作『ELDEN RING(エルデンリング)』(以下、『エルデンリング』)の新たなトレーラーが公開され、発売日が2022年1月21日、対応ハードがPS5/PS4/XSX|S/Xbox One/PCとなったことが明らかになった。
本作のディレクターを務めるのは、『DARK SOULS(ダークソウル)』(以下、『ダークソウル』)シリーズや『Bloodborne(ブラッドボーン)』、そして『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』などを手掛けたフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏だ。
2019年6月にその姿を現した『エルデンリング』は、ゲームに対する揺るぎないスタンスと独自の世界観で世界中のユーザーから愛されるフロム・ソフトウェアの新作として、発表と同時に期待は一気に膨らんだ。
それから2年。ついに『エルデンリング』はその歩みを大きく進ませた。さまざまな形でゲームのおもしろさを提示してくれた宮崎氏は、広大なオープンフィールドでどのような冒険を見せるのか。
宮崎氏が「フロム・ソフトウェアでも最大規模のボリューム」と語った本作の一端が、さらに明らかになるロングインタビューをお届けしよう。
(聞き手:ファミ通グループ代表/林克彦)
『エルデンリング』の目指したところは『ダークソウル』シリーズの王道進化
――ついに発売日と新世代機への対応が発表されました。新型コロナもあって、社会情勢は不安定なままではありますが、無事に発売日を迎えられそうですか?
宮崎そうですね。たいへん長らくお待たせしてしまいましたが、やっと発売日を発表できる段階になりました。スタッフ一同、最後の仕上げ、作り込みに、全力で挑んでいるところです。
―― 今回のインタビューは、2019年6月に『エルデンリング』の開発が発表されたときにゲームの概要を紹介して以来となるので、基本的な情報を振り返りながら、お話を聞かせてください。まず、『エルデンリング』ではどのようなゲームを目指したのでしょうか?
宮崎本作『エルデンリング』の目指したところは、ひと言で言えば『ダークソウル』シリーズの王道進化です。我々がシリーズの制作を通じて培ってきた、アクションやレベルデザイン、あるいは世界観表現などのノウハウを、よりスケール感の大きい、進化したゲームとして結実させたかったのです。
そのためには当然、世界観や物語にもいままで以上の厚みが必要とされるのですが、本作ではそこにジョージ・R・R・マーティン氏(※1)に参加していただくことが叶いました。正直とても幸運で、力強いことでした。
※1:ジョージ・R・R・マーティン(George R.R. Martin)……SF・ファンタジー作家。自身が執筆した『氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)』シリーズを原案とするテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』では製作総指揮・脚本を務める。
――マーティン氏の参加が決まってから、オープンなフィールドの採用を決めたのでしょうか?
宮崎いえ。そういうことではありません。マーティン氏の参加が決まる前から、ぼんやりとした構想はありました。彼の参加は、それを具体化して進めていく、強力な後押しになってくれた、というのが正しいですね。
――どのような経緯でマーティン氏が参加することになったのでしょうか。
宮崎まず、もともと私がマーティン氏の小説のファンだったんです。『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作である『氷と炎の歌』はもちろんのこと、『フィーヴァードリーム(Fevre Dream)』や 『タフの方舟(Tuf Voyaging)』シリーズ、『ワイルドカード(Wild Cards)』シリーズなどですね。で、そのことを弊社取締役の中島(中島英一氏)が覚えていてくれて、ダメもとでマーティン氏にアプローチしてくれたのですが、彼のほうでも『ダークソウル』のことを知っていてくれて、期せずしてお話しする機会をいただけたのです。
――それはうれしいですね。
宮崎まだそのときは確実なビジネスの話ではなかったのですが、そこでの話が盛り上がったこともあり、「我々のゲーム制作に参加してほしい」という大それたお願いを、マーティン氏に快諾していただけたという流れです。
――マーティン氏は直接的に本作の世界観を構築したわけではなく、そのベースとなるものを書いた、と。
宮崎本作の土台となる世界観を構築していただいた、というのが正しい言いかたになるかと思います。マーティン氏に本作に参加してもらうにあたり、彼がとても多忙であることはわかっていましたし、我々としても、本作を強固なストーリーを辿るようなゲームにする意図もありませんでした。また、マーティン氏のビジョンを、我々のゲームの都合で曲げるようなことも、望んではいませんでした。
――いわゆるストーリーラインを追うだけのRPGにはしたくなかったということですね。
宮崎そうしたいくつかの事情、意図により、「我々が作るゲーム本編のはるか昔、その前提、土台となるような神話を書いていただけませんか」という話になったわけです。
――マーティン氏の参加がなければ生まれなかった世界観もあるのでしょうか?
宮崎はい。それは間違いないと思いますね。マーティン氏が書いてくれた神話は、とても魅力的なものでした。神秘的で厚みがあり、キャラクターのドラマは、複雑な血縁と関係性の上に成り立っていました。それは神話であると同時に歴史、あるいは叙事詩でもあり、我々に、いままでにない新しい刺激をたくさんくれるものでした。
祝福された地を追放された“褪せ人”を“王”へと導く物語
――主人公はいるけれど、明確なパーソナリティを持ってはいないのですよね。
宮崎本作は、たとえば『SEKIRO』のような、特定の主人公を想定していません。ユーザーさんそれぞれが自由にキャラクターを作成し、それをプレイするスタイルで、『ダークソウル』シリーズなどと同様であるとお考えください。
――主人公の“褪せ人”とはどのような存在なのでしょうか?
宮崎少し長い話になってしまってもいいですか?(笑)
――もちろんです!
宮崎この世界には“狭間の地”と呼ばれる、黄金樹に祝福された土地があります。その地は、マーティン氏の神話の舞台であり、“デミゴッド”と呼ばれる一族、神たる女王マリカの血を受け、とくに強い祝福を受けた英雄たちが治めています。そして、その“狭間の地”にあるとき、祝福を失くす人々が現れます。
祝福を受けた者は、すべてその瞳に黄金の光を宿しているのですが、その光を瞳から失ってしまった人々です。彼らは、瞳にあるはずの黄金の光が褪せてしまった人々ということで“褪せ人”と呼ばれ、“狭間の地”を追放されてしまいます。本作の主人公となる“褪せ人”は、そうして“狭間の地”を追放された人々の子孫なのです。
宮崎そしていま、黄金樹の祝福の根源たるエルデンリングが砕けたとき、“狭間の地”の外にある“褪せ人”のもとに、かつて失くした祝福が、ふたたびもたらされるわけです。“狭間の地”、エルデンリングへと誘い、その王になれと囁く“導き”として。
――主人公には、かつて追われた“狭間の地”の王となるという目標があるのですね。
宮崎そうですね。それは明確な“祝福の導き”としてあります。本作の世界観的には、それは神の啓示に近いものですが、一方で絶対的なものではありません。“導き”に従うのも、疑問を持つのも、プレイヤーの自由です。
世界観的な側面を離れると、“導き”は最初のガイドという役割もあります。広い世界で何をしたらいいのか、どこに向かったらいいのか分からない、その手掛かりがない、といったことのないように、まずは“導き”がシンプルな指針として存在するわけです。
――プレイヤーが進む道を指し示すガイドとして“導き”が存在するということですね。でも、それに疑問を持って従わなくてもいい。それが本作の自由度のひとつである……ということは、本作もマルチエンディングに?
宮崎はい。エンディングは複数存在しますし、それに至る道筋もかなり自由です。これは本作の特徴のひとつかと思いますが、『ダークソウル』シリーズと比較しても、ゲーム進行の自由度はかなり高くなっていると思います。
――それは期待できますね。
宮崎ボス戦を例にすれば、絶対に倒さなければならないボス、というのもごく限られていますし、ボスを倒す順番というか、タイミングも、プレイヤーに任されている部分が多いですね。
――エンディングに到達するまでのストーリーですが、『ダークソウル』のように断片を集めてプレイヤー自体が物語を構築していくことになるのでしょうか?
宮崎そうですね。ストーリーテリングの基本的な方針は変わっていません。ただ、あくまでも当社比ですが(笑)、物語の基本的な部分はいままでよりわかりやすくなっていると思います。また、断片によって紡がれる物語は、いままでよりも大きく重層的になっていると思います。
――ちなみに、ゲーム内のテキストは宮崎さんが監修を?
宮崎膨大な量なので難しいところもあるのですが、基本的にはすべて目を通すようにしていますし、かなりの部分を直接書いていますね。
古きよきRPGが持っていた楽しさが本作で目指したところ
――先ほど、本作は『ダークソウル』の王道進化を目指したと伺いましたが、なぜ今回、『ダークソウル“IV”』ではなく、完全新規のIPを立ち上げたのでしょうか?
宮崎マーティン氏に本作に参加いただくに際し、『ダークソウル』シリーズの世界観が何らかの制限になることを避けたかったこともありますし、そうでなくとも単純にそのほうが、発想が自由になるかな、と思ったのです。
『ダークソウル』らしさには拘泥せず、また逆に、結果として『ダークソウル』シリーズに似てしまうことも忌避せず、我々が培ったもろもろのノウハウを率直に活かし、新しいダークファンタジーを作ろう、というのが、本作の方向性かと思っています。そういう意味では、直近の『SEKIRO』とは、また異なるアプローチですね。
――本作を構築するオープンなフィールドというゲーム性は、オープンワールドとは異なるものなのでしょうか?
宮崎いわゆるオープンワールドの定義次第とは思いますが……本作のオープンなフィールドは、まず世界と物語のスケール感を増し、それにより没入感を増すためのものですし、世界に膨大な未知と脅威があり、手探りの探索の楽しみと、発見と踏破の喜びをもたらすためのものです。それは、古きよきRPGが持っていた楽しさの一部であると思いますが、本作が目指したのはそういうところです。
――ゲーム性に関してお聞きしたいのですが、ロールプレイを深めるキャラクターメイキングは本作ではどのようなシステムに?
宮崎基本的には『ダークソウル』シリーズにあったものは引き継いでいます。外見のカスタマイズ、武器防具や魔法などの自由な選定、パラメータを選んで上げていく成長要素などですね。
その中で本作の特徴のひとつとしては、『ダークソウルIII』から採用された、戦技の自由度が挙げられるかと思います。本作の戦技の多くは、武器に固定されたものではなく、武器と戦技の自由な組み合わせを試すことができるのです。
――プレイヤーによる武器と戦技の組み合わせが重要な攻略要素になるというわけですね。戦技は武器にいくつも付与できるのですか?
宮崎ひとつの武器に、つけられる戦技はひとつだけです。ただ、戦技は自由に付け替えることができますし、数にしても100程度を用意しています。武器自体も相当な数がありますから、お気に入りの組み合わせを探す楽しみがあると思います。
また、それとは別の新しい話としては、霊体の召喚、といったものがあります。これは、それが可能な場所で味方となる霊体を召喚し、ともに戦うことができる、といったものですが、この霊体もまた、武器防具や魔法などと同じような収集要素であり、装備選択要素となります。
――霊体の召喚は、いままでになかった要素ですね。
宮崎そうですね。霊体は基本的に敵ベースなのですが、それぞれがかなり個性的でして、盾役を召喚して後衛に徹するとか、あるいは逆に弓役を召喚して突撃を補助してもらうとか、霊体を囮として自分は敵配置の背後を突くとか、いろいろと戦略的な活用が可能です。
――霊体にも成長要素はありますか? ボス戦でも活躍できるくらいに……とか。
宮崎霊体の成長要素はあります。武器と同様に、どの霊体を成長させるのか、という選択があるので、ご自身の戦略、あるいは好みに合わせて選んでいただければと思います。あまり役に立たないけど、なぜか愛着が湧く霊体などもいますからね(笑)。
ステルスやジャンプを採用、戦略と工夫で戦闘にアプローチを
――とかく難度の高さを引き合いに出されるフロム・ソフトウェアのタイトルですが、アクションの難度を下げるのではなく、プレイヤーの選択肢を増やして攻略の間口を広げるスタイルを取っています。本作もそれは変わりない?
宮崎そうですね。むしろ本作では、そうした傾向は強くなっています。先ほどの霊体にしても、純粋なアクションのうまさによらず、戦略と工夫で敵を攻略するための要素でもあり、本作ではそうした、戦略的なバトルへのアプローチを重視しています。
ほかにわかりやすいところでは、新しく採用されたステルスなども挙げられるでしょうか。姿勢を低くして草むらなどに隠れ、敵に発見されず近づきスキを突く、といった要素ですね。話は少し違ってしまいますが、新しいアクションとしては、ほかにも騎乗やジャンプなどが挙げられます。
――ジャンプが可能なのですね!
宮崎可能です。ジャンプからの攻撃は重いものになりますし、低い攻撃であればジャンプでかわすこともできます。またそれ以上に、探索の自由度を増す効果が大きいと感じています。
本作では、広いオープンなフィールドと対になる形で『ダークソウル』シリーズ同様に、立体的に作り込まれた城などのマップも存在します。我々はそれを“レガシー”と呼んでいますが、そうしたマップを探索するときの自由度が、ジャンプにより大きく増しているのです。この点は、『ダークソウル』シリーズをやり込んでいるユーザーさんほど、新鮮に感じてもらえるかもしれませんね。
――より能動的な戦術を取るのも可能となりそうですが、ヒリヒリするような重厚で緊張感のある戦闘は健在ということでよろしいでしょうか?
宮崎そこはしっかりと健在です。ご安心ください。先ほど挙げたいくつかの要素のほかにも、たとえば盾受けからそのままカウンター気味に反撃するようなものもあり、多くの選択肢を持つ戦略的で迫力のある戦闘を楽しんでいただけるかと思います。
――選択肢が増えるとなると、ボス戦の手応えも相当なものになりそうですね。
宮崎そうですね。本作でも、ボス戦は特別な体験ですし、ゲームプレイのクライマックスのひとつです。同時に本作では、手強いボスでゲーム進行ができなくなってしまう、といったことを、できるだけ減らすよう配慮しています。
最初のほうでお話しした通り、本作は自由度高くデザインされており、苦手なボスは後回しにしたり、すべてではありませんが、最後まで倒さないことを選択することも可能です。また、マルチプレイについても、ホストになり誰かに助けてもらうハードルを『ダークソウル』シリーズよりも低く設定していますね。
――マルチプレイについては後ほどに詳細をお聞きしますが、マルチプレイをしながら世界をフレンドと冒険することもできるのですか?
宮崎はい。一部例外はありますが、広いオープンなフィールドでも、マルチプレイが可能です。そのままボス戦に突入することもできます。ただし、マルチプレイでは騎乗ができなくなりますので、その点はご注意ください。
――ボスといえば気になったのは、それぞれが独特のデザインになっている印象を受けたことです。
宮崎本作のボスとして特徴的なのは、マーティン氏の神話に登場する“デミゴッド”ですが、彼らは単に強大である、あるいは異形であるのではなく、何らか英雄的、神話的であることを重視しています。“デミゴッド”たちには、どれもしっかりとしたバックボーンがありますので、単にボスとしてだけでなく、キャラクターとして魅力的にしたかったのです。
発見と踏破の喜びをもたらすフィールドは未知と驚異に満ちている
――答えにくいとは思いますが、トライ&エラーは大前提として、本作は『SEKIRO』や『Bloodborne』と比べてどれくらいの難度を想定されているのでしょうか?
宮崎難しい質問ですが、純粋なアクションゲームとしての難易度は、挙げていただいたタイトルよりも抑えられていると思います。
『SEKIRO』との比較がわかりやすいと思いますが、ある脅威にレベルを挙げてから挑む選択肢、そしてマルチプレイがありますから。そうしたことから、難易度についてもっともイメージが近いのは『ダークソウルIII』かと思いますが、そちらと比較しても攻略の自由度、霊体の召喚やステルスなどの新しい戦略的なプラン、そしてマルチプレイのハードルが低いことなどから、“しっかりと手応えはあるけれども、なんとかなる”と言えると思います。
一方で、攻略の自由度が高いことを前提に、と言いますか、それ自体がゲーム進行の決定的に障害にならないよう配慮したうえで、しっかりとハードな手応えのある、恐ろしいボスも用意しています。世界観的にも、そうでなくては寂しいというか、がっかりしてしまう「格」の敵もいますからね(笑)。
――フィールドは相当な広さになっているようですが、プレイヤーはどのようにして物語を進めていくのでしょうか?
宮崎基本的には、かなり自由に探索していただけます。探索した先で何かが起こり、更なる目標が提示されることもあります。
一方で、先ほどお話しした“祝福の導き”が、基本となる選択肢としてあります。それを促すようなNPCなども存在しますので、何をすればいいのかわからない、といったことはないはずです。ただ、“導き”に強制力はなく、本作における自由度とは、まずそれに従わない自由として存在しているわけです。
――寄り道をすることで、ダンジョンのような特殊な場所を発見することもある、と。
宮崎そうですね。ダンジョンのほかにも、NPCであるとか。
――そのダンジョンですが、物語のポイントとなるような大規模の“レガシー”のほかにも、各所に探索できる場所が用意されているのでしょうか?
宮崎“レガシー”と呼ばれる、しっかりと作り込まれた大規模立体ダンジョンのほかにも、中~小規模の作り込まれたダンジョンマップが数多く存在します。城砦、地下墓地、洞窟や坑道などですね。
NPCなども相当数が予定されていますが、現状で多くの人が暮らしている街、村といったものはありません。街や村だった場所はありますが、それはいまや危険な敵のうろつく廃墟になっています。これは、限られたリソースを、我々が得意とするところに集中させる判断ですね。
――“レガシー”はいままでのダンジョンと同じく、立体的で複雑な構造となっているのですか?
宮崎はい。“レガシー”については、『ダークソウル』シリーズなどの作り込まれたマップを思い浮かべてもらって、問題ないかと思います。むしろスケール感は増していますし、ジャンプなどといった新しい要素もあり、探索の楽しさは増しているのではと。
――ジャンプによる探索といえば落下ダメージが気になるのですが……。
宮崎落下関連は、ジャンプによる自由な探索などを前提に、ストレスがないよう調整しています。『ダークソウル』シリーズなどよりも、攻撃などで理不尽な落下がおこらないようになっていますし、落下ダメージなども低めに調整されていますね。
――“レガシー”はいくつくらい存在するのでしょうか?
宮崎我々が“レガシー”と呼ぶ、最大規模のものは6つですね。
――最初から世界の端まで行けるような作りになっているのですか?
宮崎いえ、いくつか関所というか、そこを超えないとその先のマップにはアクセスできない、といった場所はあります。ただし、それを超えるやりかたがひとつではない場合もあり、ここでも自由度はかなり高くなっていると思います。
――RTA(※2)が盛り上がりそうですね。
宮崎とくにRTAを意識している、といったことはないのですが、個人的にはRTAを視聴するのも好きですし、楽しんでもらえるとうれしいですね。
※2:RTA……“Real Time Attack”のこと。ゲームのスタートからクリアーまでにかかった現実の時間を競う競技。
――いままでのタイトルと比較しても明らかにフィールドは広大だと思うのですが、ワールドマップは用意されていますか?
宮崎はい。オープンなフィールドについては、いわゆるワールドマップが用意されています。マップ上で目標を決め、未踏の場所に挑み、マップを埋めていく楽しさがありますね。
一方で“レガシー”については、『ダークソウル』シリーズと同様に、マップはありません。こちらでは、手探りの探索から構造を理解する楽しさ、構造を理解したときの気持ちよさ、といったものを重視しています。
――探索には“霊馬”が活躍しそうですね。
宮崎 騎乗移動は、オープンなフィールドに限定されるアクションですが、かなり気持ちよいものになっていると思います。こちらでもジャンプを駆使して、少々の段差ならガンガンと乗り越えたり、険しい崖を駆け下りていく、といったことも可能ですし、特定の場所では大ジャンプなどもできて、ダイナミックで立体的な探索の楽しさもあると思います。
――ちなみに、アイテムはいつでも作成可能なのですか?
宮崎はい。雑多な使用アイテム、消費アイテムの類は、素材を集めることで探索中の作成が可能になっています。現地でリソースを補充しつつ、その時に必要なアイテムを臨機応変に作成していく、といった体験ですね。ただし、HP回復については、本作でも特別扱いですね。
――時間経過や天候変化の概念は?
宮崎あります。それらはリアルタイムに変化する要素です。ゲームへの影響もあります。たとえば夜であれば、自分も敵も、お互いの視認性が下がっていることで接敵体験と攻略性が変化しますし、夜のほうが視認性が上がる特別な痕跡などもありますし、夜にしか現れない恐ろしい敵といったものも存在します。
ゆるいつながりをさらに深く楽しむためのオンラインプレイ
――いままでのお話を聞いている限り、本作のボリュームはフィールドの広さも含めて相当なものになっていそうですね。
宮崎それは間違いないものと思います。最初に、本作の方向性として“スケール感が大きい”ことを挙げたかと思いますが、少なくともボリューム感については過去最大でしょう。
むしろ現状は、大ボリュームを煩わしいものにしないよう、もろもろ調整していますね。せっかくですから、ユーザーさんに喜んでもらえるものにしたいので(笑)。
――フロム・ソフトウェアのゲームの中でも最大規模になっているということでよろしいですか?
宮崎はい。
――プレイ時間としてはどれくらいを想定されていますか?
宮崎うーん、これ、苦手な質問なんですよね(笑)。あまり寄り道なしでプレイして、30時間くらいを目途に考えていますが、正直まだわかりません。寄り道をしないプレイからの拡がり、奥行きがとても大きい、といった方向性を意図していますね。
――オンラインプレイをするかどうかによってプレイ時間も変わりそうですが、協力プレイや、仕様を調整中という敵対・侵入プレイはあるとして、ほかにどのような要素が盛り込まれそうですか?
宮崎本作では、“幻影”や“死亡血痕、“メッセージ”といった非同期要素について、ユーザーさんが自由にグループを設定できるようにしています。
非同期要素を共有しながら遊ぶ、そうしたグループを設定でき、グループに属する非同期要素が優先配信され、また見た目なども特別になるわけです。こうすることで、直接マルチプレイをするのでなくても、なんとなくゆるくつながりながら、誰かといっしょにゲームをプレイする感覚が生まれれば、と思っています。
――“ゆるくつながっている”感覚を補強するような、いままでより一歩踏み込んだ仕様になるのですね。
宮崎“幻影”、“死亡血痕”、“メッセージ”のいずれについても、いままではつねに“数多のプレイヤーの中の無名のひとり”の情報でしかなかったのですが、それがグループ内で特定の、ある程度は知っていたりするプレイヤーの情報となることで、あるいはそうしたプレイヤーに配信される前提があることで、新たな意味合い、感情の動きがあるのではないか、という狙いがあります。
シンプルなシステムではあるのですが、これがまた、本作の新しい遊びかたにつながってくれることを期待しています。
――ユーザーグループはどのように構築するのでしょうか?
宮崎キーワード制ですね。ユーザーさんは、非同期要素用のグループキーワードを自由に設定でき、そのキーワードを共有しているユーザーさんが、そのグループメンバーとして扱われるわけです。グループの大きさに制限はありませんし、グループキーワードの共有のやりかたも自由ですから、いろいろなやりかた、遊びかたが生まれくれるとうれいです。
――こういった施策が新しいファン層の拡大につながるといいですね。
宮崎そうですね。誰かといっしょにゲームをプレイするのは、やはり楽しいものですから、それをゆるく、ハードルを低く実現したいです。
本作のようなゲームは、“手応えがある”といったこと含め、どうしても構えられてしまうものと思うのですが、オンラインにはたくさんの頼りになる、あるいはともに苦難を楽しむ仲間がいるし、そうした人たちと遊びはじめるハードルはごく低く、気楽にゆるーく考えてもらえるものですよ、ということで、多くの新しいユーザーさんに入ってきてほしいですね。
世界観や物語、キャラクターには興味があるのだけど、なんとなく抵抗が……といった方にも、おすすめできるゲームになればと思っています。
――今回のお話でゲームの内容もだいぶ理解できましたので、期待がさらに高まりました。フロム・ソフトウェアの新しい挑戦、楽しみです。
宮崎ユーザーさんに喜んでもらえるゲームになるよう、スタッフ皆が全力で取り組んでいますので、月並みではありますが、ぜひご期待いただければと思います。よろしくお願いします!