ヨーロッパ大手パブリッシャーであるKoch Media(コチメディア)が、新レーベル“Prime Matter”を立ち上げ、初発表タイトルを含む13本のラインアップを明らかにした。
まずは、Koch Mediaのことを少しおさらいしておくと、同社は、スウェーデンEmbracer Groupの傘下にて、THQ Nordicなどとは兄弟会社にあたるパブリッシャー。ゲームブランドであるDeep Sliverなどを擁し、『シェンムーIII』や『Maneater』などを手掛けていることでもおなじみだ。昨年(2020年)10月には日本法人を設立し、日本市場に向けてますます攻勢を仕掛けようとしている。
先日行われたプレス向けのオンラインブリーフィングでは、CEOのクレメンツ・クンドラティッツ氏が「このレーベルは世界中の才能ある開発チームが手がけた、没入感と多様性に富んだゲームをカバーしています。開発者たちと協調し、当社の25年のグローバルでの経験を生かして、ゲームの可能性を最大限引き出すよう努力してきました」と抱負を語った。クレメンツ氏が語る、“Prime Matter”レーベルの精神は以下だ。
- 世界中の素晴らしいゲーム開発者の手による没入感と多様性に富んだ数々のゲームを提供することを目指す。
- 多様な世界中のスタジオとゲーム開発に対する異なるアプローチに光を当てつつ、素晴らしいストーリーでプレイヤーを夢中にさせ、ゲームで信じられない瞬間を生み出すこと。そして何よりも楽しさを提供すること。
というわけで、“論より証拠”とばかりに公開された11タイトルを紹介していこう。クレメンツ氏いわく、「これから紹介するゲームは、プリアルファやアーリーアルファ、場合によってはプリプリアルファの状態のタイトルもある」とのことで、「そんな状態でだすな!」という感じだが、それだけ気合が入っているということなのだ。
ちなみに、これらのラインアップの日本展開に関しては、『King’s Bounty II』が8月24日に発売されることは発表済み。『Gungrave G.O.R.E』も日本展開は確定。『キングダムカム・デリバランス』も、プレイステーション4とPC版はDMM GAMESよりリリースされているので、Nintendo Switch版も期待できるのかな……という感じ。そのほかは一切明らかにされていない。吉報を心待ちにしたい。
『Payday 3』
Starbreeze Studios (スウェーデン)
- エネルギッシュな一人称視点協力型シューティングシリーズの最新作。
- プレイヤーは、ハリウッドを舞台に、伝説のギャング“Payday”の一員として世界的な犯罪者となり、強盗を実行する。
- 誰もがPaydayから期待する協力マルチプレイヤーあり。
- リリースは2023年。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機を予定。
『Crossfire: Legion』
Blackbird Interactive(カナダ)
- SmilegateとPrime Matter により発売予定。
- 近未来の世界大戦と派閥争いをテーマにしたRTS。
- スピード感あるアクションとフルカスタマイズ可能な武器で敵を倒す。
- リリースは2022年予定。プラットフォームはPC。
『Painkiller』シリーズ新作
- 2004年にポーランドのスタジオPeopleCanFly開発でリリースされたFPSの最新作。
- 詳細は一切明かされず。
『Kings Bounty II』
1C Entertainment(ロシア)
- ターン制ストラテジーRPG『King’s Bounty』シリーズの最新作。
- Prime Matterレーベルでリリースされる最初のタイトル。
- 日本国内でも、Nintendo Switchとプレイステーション4向けに8月24日に発売予定。
『Scars Above』
Mad Head Games (セルビア)
- 新規IP。
- 厳しい悪夢の世界で孤独な主人公が生き延びようともがく、ダークSFアクションアドベンチャー。
- 舞台は、目も眩むまでに美しいが、恐ろしい悪夢を伴う惑星。恐ろしいモンスターたちを倒していく。
- リリースは2022年。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『Codename Final Form』(仮題)
Reikon Games(ポーランド)
- 新規IP
- サイバーパンクアクション『Ruiner』を手掛けたReikon Gamesによる最新作。
- 未来に生きるサイバーヴァルキリーとして人類の滅亡阻止を目指す、新機軸のFPS。
- ポストサイバーパンクの世界観で、仲間のロボティック救済チームと組んで未知の敵勢力と戦う。
- リリース日は未定。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『Gungrave G.O.R.E』
IGGYMOB (韓国)
- スタイリッシュな三人称アクションシューター。
- 死から蘇ったガンマン&夢のアンチヒーローであるグレイヴを操作して、数々の敵を血なまぐさい弾丸のバレエでなぎ倒していく。
- 近々、さらに詳しい情報が明らかにされるとのこと!
- リリースは2022年。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『Dolmen』
Brazilian Massive Work Studio(ブラジル)
- 新規IP
- 2016年に開発に着手し、いまは最終段階。
- 近未来SFとラヴクラフト的なコズミックホラーが組み合わさった、新作ホラーアクション。
- 2022年リリース予定。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『The Last Oricru』
GoldKnights (チェコ共和国)
- 新規IP。
- 遠く離れた惑星バーデニアを舞台にした三人称視点のアクションRPG。
- 主人公のシルバは、宇宙船が難破して中世時代のようなこの惑星にたどり着く。
- 惑星では大規模な市民戦争が起こっており、シルバも巻き込まれることに。
- プレイヤーの選択によりストーリーが大きく変化するマルチエンディングを採用。
- 協力プレイに対応。
- リリースは2022年。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『Echoes Of The End』(仮題)
Myrkur Games(アイスランド)
- 新規IP。
- ユニークなファンタジー世界が舞台の、ストーリー重視のシングルプレイヤーアクションアドベンチャー。
- 主人公は己の本当の目的を探し求めている女性Ryn。
- リリース日は未定。プラットフォームはPC。
『The Chant』(仮題)
Brass Token(カナダ)
- 新規IP。
- Brass Tokenは、トリプルAタイトルの開発者やインディーゲームスタジオで経験を積んだスタッフ、映画関係者など、幅広い職歴のスタッフが集まって作った会社。
- 独特な雰囲気を持つ三人称視点のサイコホラーアドベンチャー。
- 舞台は太平洋岸北西部の呪われた離島。主人公が意識を広げるに従い、この場所でカオスや苦しみを生み出しているものの醜い真実を知ることになる。
- バトルは、武器は一切使わず、精神的、カルト的なアイテムをクラフトして戦う。超自然なエネミーも肉体を持ったエネミーもいるので、生き残る、相手を倒す、脅威から逃げるなど、いろいろな戦略を用いることができる。
- リリースは2022年を予定。プラットフォームはPCと家庭用ゲーム機。
『Encased』
Dark Crystal Games(ロシア)
- エイリアンの文明に隠された秘密を解き明かすというミッションに挑む、クラシックなテイストのRPG。
- 現在Steamで早期アクセスが配信中。
- 2021年9月リリース予定で、プラットフォームはPC。
Nintendo Switch版 『キングダムカム・デリバランス』
Warhorse Studios (チェコ共和国)
- Saber Interactiveとの協業。
- 中世ボヘミアを舞台に、史実をベースにした神聖ローマ帝国の壮大な世界を冒険するRPG。
- 不当に命を落とした両親の仇を討つべく、主人公ヘンリーの復讐譚が描かれる。
さらに、このほかにも、Warhorse Studiosの新作や、Nine Dots Studio(カナダ)の次世代機版『Outward』、Taleworlds(トルコ)の家庭用ゲーム機版『Mount and Blade II: Bannerlords』など、さまざまなスタジオから数々のゲームがリリース予定とのこと。
また、本レーベルを含め、Koch Mediaグループは現在、以下の5つのパブリッシングレーベルを有しているという。
- Prime Matter、ミュンヘン本社 (ドイツ)
- Deep Silver、HQレディング (イギリス)
- Milestone、HQミラノ(イタリア)
- Vertigo、HQ ロッテルダム, (オランダ)
- Ravenscourt、HQ ミュンヘン (ドイツ)
なんとも恐るべし! 最後にKoch MediaのCEO、クレメンス・クンドラティッツ氏と、グローバルブランド&マーケティングディレクター、マリオ・ゲルホルド氏のコメントを紹介して、本稿を締めさせていただこう。
Koch Media/CEO/クレメンス・クンドラティッツ氏のコメント
Prime Matterはプレミアムゲームのための新たな拠点として、現在および未来のパートナーにKoch Mediaグループの専門知識、そしてゲームのポテンシャルを最大限引き出すための柔軟なチームを提供します。ビデオゲーム産業のコアは、言うまでもなくエンターテインメントです。Prime Matterはゲーム業界を特別なものにしている基本的な価値観、すなわちゲームが本質的に楽しいものであることに重点を置きながら、活動のすべてを通じて、常に革新的であること、ゲーマーに刺激を与えることを目指しています。
過去25年以上におよぶ歴史のなかで、Koch Mediaは劇的に成長しました。開発とパブリッシングの面でフルサポートを必要とする、最初の一歩を踏み出そうとしている野心的なインディーズ企業から、海外での流通やパブリッシングネットワークを必要としている大きなスタジオに至るまで、パートナーシップの機会が増えれば増えるほど、私たちの弓にもう一本の弦を加えることに意味があると考えたのです。
Koch Media/グローバルブランド&マーケティングディレクター(ゲーム)/マリオ・ゲルホルド氏のコメント
ゲームは開発者の頭脳と心から生まれるものです。Prime Matterは、開発陣の持つ夢やビジョンを支えながら、各スタジオの可能性を最大限引き出すことに重きを置いています。 私たちの主要なバリューの一つは、スタジオをサポートし、彼らがゲーム作品のなかで自分たちを表現するチャンスと自由を与えることです。この業界で最も貴重なIPのうちのいくつかも、クラウドファンディングなど、メインストリームから外れた場所で生まれた、開発者の思いが込められたプロジェクトから始まっています。この歴史が、インスピレーションと才能は、決してステレオタイプによって磨かれるものではないということを示しています。