今回お届けするのは、自分の“影”と協力しながら進む少女が主人公の『Shady Part of Me』。推薦者は、“影のほうしかないタイプ”だというライターのまさん。
【ライターまさんのココが推し】
- 2Dと3Dの空間を生かした秀逸なギミック
- 思わず応援したくなる、少女たちの心境を描いたストーリー
- 絵画のように芸術的で、じっくり見たくなるグラフィック
光と影が織り成す少女の旅路
まばゆい“光”を恐れる少女と、その影として存在する少女。『Shady Part of Me』は光と影のふたりの少女が協力し、ともに“出口”を目指す作品だ。絵画のような世界と、想像力を刺激する物語はとても美しく、印象的な体験が待っている。
『Shady Part of Me』ニンテンドーeショップページ 『Shady Part of Me』PS Storeページ 『Shady Part of Me』Microsoft Storeページ 『Shady Part of Me』Steamページ2Dと3Dの空間が自在に切り換わるゲーム体験
本作では、3D空間でパズルを解く“少女”と、2Dの横スクロール形式で進む“影”のふたりを切り換えながら、出口を目指して進んでいく。少女と影の切り換えは、いつでもボタンひとつで行える。試行錯誤しながらふたりをゴールへ導いていこう。
■密接にかかわるふたつの世界
時を巻き戻しながら解法を探るアーティスティックなパズル
少女たちはゲーム中に時間を巻き戻し、いつでも好きな場面からやり直す能力を持っている。パズルを間違えて物を動かせなくなったり、落とし穴に落ちてしまったりといった、どうしようもない状況になっても、この能力を使えばやり直しが可能だ。ゲームオーバーもないので、気軽にプレイできる。
■“詰み”の状況を巻き戻してなかったコトに!
“影”の世界の少女
“影”の世界は、平面の2Dアクション。ジャンプや壁登りなどで障害物を避けつつ、出口へ向かおう。光の世界の少女を動かして、道を作ってもらうことも重要だ。
■重力が反転することも!?
“影”の 世界で動ける少女と “光”の ある世界の少女を切り換えて進もう!
3Dでできた現実に近い空間が光の世界。“光”が当たる場所には入れないので、うまく避けながら影の少女をサポートしよう。
■光を避けつつ影を助ける
■物を動かして影側のルートを確保!
【特別企画】開発元Douze Dixièmesプロデューサー サラ・フォースケード氏に聞く
サラ・フォースケード氏
Douze Dixièmes
プロデューサー
少女と影が2Dから3Dに切り換わるアイデアはスタッフをひとつにしてくれた
――まずは本作を開発されたDouze Dixiemesスタジオについて、詳しく教えてください。
サラDouze Dixiemesはインディゲームスタジオで、2017年に7人の仲間により設立されました。Douze Dixiemesという名前はフランス語で10分の12という意味ですが、じつはいい名前を考えても見つからなかった、あるとても非生産的な晩が生み出した結果なんです(笑)。そして後から世界のほかの地域ではほぼ発音不可能であることがわかり、本当に申し訳なく思っています……。
――本作は、Douze Dixiemesさんのデビュー作だとお伺いしていますが、どのような経緯でスタジオを設立されたのでしょうか。
サラ私たちは10年以上前からの知り合いでいっしょにビデオゲームを作ろうという話は何度もしてきましたが、実行には至りませんでした。それが、時間を見つけて小規模なゲームを作り始め、2年後くらいに完全にそちらに移行することができました。
それまでの仕事を辞めて、貯金をはたいてスタジオを作りました。当初はほぼ無給で働き、ほかの仕事もしつつ、政府の補助金も得られたので、ゲーム制作に当てました。その後、Focus Home Interactiveと出会ったのですが、私たちのやっていたことに興味を持ってもらったようで、資金供給と援助を受けることになりました。このコラボレーションはとてもよい結果をもたらしてくれたので嬉しく思っています。
――2Dと3Dが自在に切り替わるゲーム性と、とても芸術的なグラフィックのセンスに驚かされましたが、本作が開発された経緯を教えてください。
サラ少女と影が2Dから3Dに切り換わるというのは、このゲームを作ろうと思ったときに最初に出てきたアイディアです。これだけは4年の開発期間を経てもまったく変わっていません。スタジオの設立を決断した際、最初のゲームは私たち全員の心に訴えるものにしたいと思いました。ビデオゲームの嗜好がそれぞれ異なる7人をまとめるのはたいへんでしたが、このコンセプトは私たちをひとつにしてくれました。
――少女と影のボイスは『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られる女優のハンナ・マリーさんが担当しておられるそうですが、ハンナさんを起用した経緯について教えてください。
サラハンナさんの起用はFocus Home Interactiveさんからの発案で実現されたことで、とても感謝しています。結果には非常に満足していますし、皆さんもそう感じていただければいいなと思っています。
――本作にはビジュアル面で並々ならぬこだわりがあるように感じられます。絵画の世界を3Dで歩くような独得のビジュアルは、どのような発想で開発されたのでしょうか?
サラ本作のアートディレクターは鉛筆画スタイルの大ファンで、マルク=アントワーヌ・マチュー、ミロ・マナラ、メビウス、そして伊藤潤二といったすぐれた作者から影響を受けています。このような“描画の中のゲーム”を作れるようになりたいと思っていたので、気づいていただきとても嬉しいです。レンダリングデベロッパーとアートディレクターが何度も意見を交換した結果できたものです。精神科医と会話をしている少女によってゲーム全体が描かれていくという発想ですね。彼女が新しいパズルシートを取るたびにワールドの新しい部分が描かれます(ゲームのチェックポイントのような感じです)。
――本作は、少女たちの会話を通して語られる物語にも興味を惹かれる作りになっていると感じました。このような形で物語を描いたのは、どのような意図があったのでしょうか。
サラプレイヤーがある雰囲気を感じられるようにしたいと思いました。キャラクターが感じるものを感じてもらう一方、どのようにそれを感じるのかはこちらからは指示しません。これは少し難しいこともあり、もっとわかりやすいストーリーのほうがよかったと思うプレイヤーもいるでしょう。
最終的に少女に何が起きたのかは限定せず、彼女の癒しのプロセスのナラティブにフォーカスすることにしました。これはゲームのプロダクションに当たり非常に大きなジレンマでした。プレイヤーの皆さんがナラティブデザインにどう反応されるかはこれから教えていただかなくてはなりませんね。
――日本のプレイヤーから見ても、日本語のローカライズも自然だと感じられました。どなたが翻訳されているのでしょうか?
サラ翻訳はAllCorrect Groupが担当しました。日本語の翻訳を担当された方のお名前は残念ながらわかりません。
自然に感じていただいてとても嬉しいです。すべてのテキストは英語で書いたので、フランス語への翻訳はとてもよくできているのがわかりました。日本語もきちんと翻訳されているのはとても嬉しいですし、いい兆しですね。
日本語の“シャドウ・フォント”はいちばん好きです。とても美しくシャドウワールドにぴったりです!
読みやすさは保ったままで“手書き”の感じを出したいと思いました。うまくいくといいなと思っていましたが、私たちが判断するのは難しいです。
――最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
サラ本作が日本で評価されとても嬉しく思っています。
私たちが本作の開発を楽しんだように皆さんにはこのゲームを楽しんでいただきたいと思います。日本のプレイヤーの皆さんのご意見やフィードバックをお聞きする日が待ち切れないです。最初にファンアートを送ってくださったのは日本のプレイヤーなのですが、とても励まされました。
ありがとうございました!
Shady Part of Me
- メーカー:Focus Home Interactive
- 開発:Douze Dixièmes
- プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC
- 配信日:Nintendo Switch版は2021年2月25日配信、プレイステーション4版は2020年12月11日配信、Xbox One版は2020年12月10日配信、PC版は2020年12月11日配信
- 価格:Nintendo Switch版とプレイステーション4版は各2090円[税込]、Xbox One版は2100円[税込]、PC版は1780円[税込]
- ジャンル:アクション・アドベンチャー
- CERO:全年齢対象
- 備考:ダウンロード専売