カプコンから2021年5月8日にプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PCで発売予定の『バイオハザード ヴィレッジ』(バイオハザード8)。現在は体験版『BIOHAZARD VILLAGE Gameplay Demo』が各プラットフォームで配信中で、すでに本作の一部をプレイした人も多いことだろう。ひと足先に本編のプレイを終えた担当ライターがネタバレを伏せつつ本作の魅力をお伝えしていく。

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恐怖や探索パートなどメリハリのある展開でプレイ疲れを感じさせない

 『バイオハザード ヴィレッジ』をクリアして感じたことは、恐怖を演出するパートや探索パートなどが比較的ハッキリと分かれている印象。例に挙げると『バイオハザード7 レジデント イービル』(以下、『バイオ7』)は''つねに“何者かに襲われる恐怖を感じながら探索する”という状況がプレイシーンの多くを占めていたと思う。

 この延々と続く緊張感の連続が、恐怖をより助長するので、ホラー好きの人には楽しい部分かもしれないが、あまり恐怖に対して免疫のない方はいわゆる恐怖疲れのようなものを感じていたのではないだろうか。

 しかし本作では「お、なんかやばそうな状況になったぞ」、「クリーチャーに襲われる心配なく探索に集中できそう」というように、クリーチャーに襲われる状況、探索する状況などが比較的明確に分かれている印象を受けた(とはいっても『バイオ』なので不意討ち的な驚きはいくつかあるが)。

 この緩急のおかげで気持ちの切り換えがしやすくなっているので、前作は「怖すぎて無理」とプレイを断念した方も最後までプレイしやすい作りになっているのではないだろうか? 「じゃあ『バイオ』好きな人には物足りないの?」と心配する人もいると思うが、シリーズすべてをプレイしてきた筆者から言えば、まったくそんなことはないと断言する。クリーチャーに襲われるときは『バイオ7』に近い恐怖感があるし、なにより探索に関しては懐かしさを感じる謎や仕掛けも数多く登場し、存分にサバイバルホラーとして楽しめた。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 また、火薬樽などの戦闘時に役立つオブジェの絶妙な配置に感心させられた。武器だけでクリーチャーに立ち向かうのではなく、周囲にあるオブジェを活用することでより楽に戦うことができる。この、オブジェを発見して利用したときのしてやったり感は格別。筆者はクリーチャーの群れとの死闘を終えた後に「あ、こんなところに火薬樽があった」という状況も多々あったが……。慌てずに冷静に周囲を観察することも重要というわけか。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
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 現在公開されているトレーラーなどではドミトレスク城を探索してドミトレスク夫人や3人の娘たちと戦うシーンが観られるが、これは『バイオシリーズ』では王道ともいえる展開。場内を探索しながら謎や仕掛けを解き、強力な武器を入手してボスであるクリーチャーを倒していく。

『バイオハザード ヴィレッジ』3rd Trailer

 城はかなり大きく探索のしがいがあり、ボスを倒したときはかなりの達成感を得られたのだが、ドミトレスク夫人は4貴族のうちのひとり。つぎの貴族はどんな相手なんだろうと思いつつ先へ進むと、そこはドミトレスク城とは別次元の異質の恐怖がふんだんに演出されている場所だった。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 どのような恐怖かはネタバレになるので言えないが、マジで怖い! ホラーに関しては比較的平気な筆者も、この手の恐怖は大の苦手だったので終始ビビりまくり。「このエリアでは探索に集中できるんだな」というわかりやすい展開になっているにも関わらず、ビクビクしながら進めていた。もう雰囲気からして無理すぎる! 助けて!

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 なんとかふたり目の貴族を倒して3人目、4人目の貴族のエリアにも足を踏み入れると、4貴族のエリア、すべてが質の異なる恐怖で演出されていたことがわかった。これは『バイオハザード』恐怖演出の集大成とも言えるのではないだろうか。まさか本作で、これほどまでに多彩な恐怖を感じられようとは。ある意味贅沢の極みなのかもしれない。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 そして筆者は『バイオハザード』シリーズで、初めて泣いた。これまでの作品でも感動したことはあったけど、さすがに泣くことはなかった。しかし本作は泣いた。おそらく筆者の年齢がイーサンに近いことで感情移入したこともあると思うが、子を持つ親世代の人は、ガチで泣くんじゃないかな。

 『バイオハザード ヴィレッジ』はさまざまな質の恐怖を感じつつも、恐怖疲れを感じさせない作りになっており、なおかつストーリーでは超感動モノ。イーサンの物語の完結を見届け、そして何かを予感させる展開は、『バイオハザード』シリーズファンはもちろん、これを機に『バイオハザード』をプレイしてみたいという人もオススメです!

 もちろん『バイオ』おなじみのやり込み要素も豊富。本編を1回クリアすることでアンロックされますが、無限弾薬をはじめ魅力的な報酬がたくさん! 何周もプレイしたくなる要素が盛り込まれているので、筆者もさっそく報酬をもらいまくるために、現在難易度ハードで2周目をプレイ中。本編とは独立したミニゲームの“ザ・マーセナリーズ”も用意されており、本編のやり込みを堪能した後に“ザ・マーセナリーズ”を遊び尽くす予定です。ちなみに本編は、シリーズで比べても屈指のボリュームになっていると感じました。あらゆる意味で最高の『バイオ』だと断言します。

RPGのような楽しみかたもできる自由度の高いサバイバル

 ストーリーの序盤からイーサンの前にたびたび現れる商人デュークからは、アイテムの売買や武器のカスタマイズが行える。必要な資金はクリーチャーを倒して手に入れたり、高額な貴金属などの換金アイテムを手に入れて、それを売却することが基本。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 『バイオハザード』作品の多くでは、クリーチャーを倒しても得られるものがなく弾薬を消費するだけなので倒すのは極力控えて弾薬を温存するという進めかたが一般的だろう。しかし本作ではクリーチャーを倒すと資金を得られるので、クリーチャーを倒す意味が生まれる。そして、換金アイテムを発見すればするほどアイテムの購入や武器のカスタマイズが行えるので、より楽に戦えるようになる。

 「クリーチャーが強くて倒せない」「怖くて先に進めない」という人も、探索に力を入れて換金アイテムを集めまくればクリーチャーを倒せるほど武器をカスタマイズしたり弾薬を潤沢に確保できるし、それによる安心感で恐怖心も抑えられるだろう。もちろん『バイオハザード』シリーズに慣れているプレイヤーならば、弾薬の確保や武器のカスタマイズはそこそこに、緊張感のある進めかたも可能だ。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?

 RPGで例えるならば「ボスが倒せないから、ひたすら経験値を稼ぎレベルアップして強くなってから倒す」という感覚だろうか。「『バイオハザード』を遊びたいけど怖すぎるのは無理」というプレイヤーへの救済がしっかり考えられた作りには好感が持てた。

 さらにストーリーを中盤付近まで進めると食事も登場する。食材を集めることで食事が摂れ、体力上限アップなどの永続効果を得られる。これも前述した資金集めと同様、寄り道して食材をしっかり集めることでイーサン自身を強くできるので、より楽に進めることができるだろう。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
食材を集めている図。こういう時間も恐怖を忘れてひと息つける要素になっているのかもしれない。

プレイステーション4、Xbox Oneなどの現行機でも圧倒的なクオリティー

 前回のプレビュー記事を書いたときはプレイステーション5版で体験したが、本記事ではプレイステーション4版でプレイを行った。今回驚いたのが、そのクオリティー。正直、ふつうにプレイしているぶんにはプレイステーション5版と遜色ない質の高さを実感した。もちろん、各ハードの同じ画面を並べて比べれば違いはあると思うし、ロード時間の差などもあるだろうが、ゲームを楽しむことに関しては、明らかな違いは感じられなかった。

 これは、決してプレイステーション5版がすごくないという意味ではなく現行機でも最新ハードに近いクオリティーを実現した開発技術がすごいのだろう。新世代のハードを所持していなくて、プレイステーション4やXbox One版を購入しようか悩んでいる人は、ぜひ迷わずに買っていただきたい。現行機でも『バイオハザード ヴィレッジ』の魅力は十二分に感じられるはずだ。

『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
『バイオハザード ヴィレッジ』ネタバレなしのレビュー。恐怖や探索などメリハリのある展開に注目! そしてPS4版のプレイフィールは?
暗い場所に入ると、イーサンの目が慣れて(瞳孔が開いて)周囲が見えるようになるようなど、細かい演出もさすが。村を照らす日の傾きが、ストーリー進行とともに変化するところなどにも注目してほしい。