【このすば】アニメ『この素晴らしい世界に祝福を！』ダメ人間ばかりだけど最高のファンタジー生活！【アマプラおすすめ作品】

　アマゾンプライムビデオにてアニメ『この素晴らしい世界に祝福を！』（『このすば』）のシリーズ作品が見放題配信中です（2021年4月現在）。

　2016年に第1期が放送された本作は、すでに流行を見せていた“異世界転生作品”アニメ化の人気をさらに確かなものにした作品と言えます。では、多くの異世界転生モノとちょっと異なる、『このすば』ならではの魅力とはいったい何だったのでしょう？

　本稿では、この点について改めて紹介していこうと思います。

希望を抱いてスタートした異世界生活！ けれど思ってたのとなんか違う……？

　アニメ『この素晴らしい世界に祝福を！』の原作は暁なつめ氏が執筆、三嶋くろね氏がイラストを手掛けた同名のライトノベル。角川スニーカー文庫より2013年から刊行され、本編は2020年に発売された17巻で完結しています。

　また、家庭用ゲーム、スマートフォンアプリなど複数にわたりゲーム化も行われており、最新作『この素晴らしい世界に祝福を！〜この欲望の衣装に寵愛を！〜』がNintendo Switch、プレイステーション4用ソフトとして2020年9月に発売されています。

あらすじ

　主人公の引きこもり少年・佐藤和真（声：福島潤）、通称“カズマ”は新作ゲームを買いに行った帰り道でちょっとした事故に遭い、あっけなく死んでしまいます。

　死後の世界で出会った女神・アクア（声：雨宮天）からファンタジー世界への転生を提案されたカズマは、「ひとつだけ好きなものを持って行っていい」というルールを告げられることに。

　自分を小馬鹿にするような態度のアクアにひと泡吹かせたくなったカズマは、なんと異世界へと持っていくものとして“アクア”本人を指名。呆気にとられたアクアは、そのままカズマといっしょに異世界へと転送されてしまいます。

　引きこもりだった前世とは異なり、優れた才能を与えられて大活躍できるかもしれないとの期待を抱き異世界へと降り立ったカズマ。しかしギルドで能力適性を見てもらうと、ほとんどの能力が極めてふつうであることが判明。職業の選択肢も限られるということで、無難に“冒険者”を選びます。

　一方のアクアは、女神だけあって全体的に能力が高く、上級職含むさまざまな職業を選択できるものの、知性が低く、“運”のステータスが最低レベルというなんだか残念な結果に。ここでアクアは回復・支援魔法に長けた万能職“アークプリースト”を選択。

　のちに仲間になる“アークウィザード”のめぐみん（声：高橋李依）、“クルセイダー”のダクネス（声：茅野愛衣）もともに上級職。カズマ以外は全員が上級職という、スペック的には非常に強力そうな4人パーティを結成するのですが、じつはこのめぐみんとダクネスも思いも寄らない大きな欠点を抱えていて……？

　こうして4人のダメ冒険者たちの、“くだらなくも最高な異世界生活”が幕を開けるのです。

もと引きこもりと“駄女神”と、ダメで愉快な仲間たち

　そんな『このすば』の特徴は、とにかく楽しい登場人物たちのやりとりの数々。

　カズマ、アクア、めぐみん、ダクネスの4人パーティは問題だらけ。“魔王討伐”という目標があるものの、そんなことは夢のまた夢といった感じで、ちょっとしたクエストの達成もままなりません。

　カズマはほか3人のダメダメっぷりに手を焼き、とくに後先考えない行動でつぎつぎに騒動を巻き起こすアクアに対しては「駄女神」と呼ぶなど辛辣。対するカズマも人としてあまり褒められないクズっぽい行動も多く、アクアたちに「クズマ」、「ヒキニート（引きこもり+ニート）」などと罵られます。

　誰かが余計なことをしたせいで本来もらえるはずだったクエストの達成報酬がもらえず、なかなか貧乏生活から抜け出せなかったりと、毎回、異世界転生モノとしては破格といえる低レベルな困難に見舞われるカズマたち。

　しかし悪態を付き合ったり、喧嘩したりしながらも、お互いの欠点を認めつつおもしろおかしくやっていける仲間たちのことを、みんななんだかんだで大切に想っている様子。苦労も多い彼らですが、ときに羨ましいほど生きいきとしています。

　そしてごくたま～に、その凸凹な個性がカッチリハマったときの4人は、世界の危機を救ってしまうレベルの偉業を成し遂げてしまうことも（ただしその後、必ず何らかのオチが待っているのですが……）。

　作中の大半を占めるくだらないやりとりにゲラゲラ笑っているうちに、気づけばきっと、彼らから目が離せなくなっていることでしょう。

数々のギャグシーンのおもしろさは、細部のクオリティの高さがあればこそ

　カズマたちのくだらないやりとりが、テンポのいい演出と、コミカルなアニメーション、そして声優陣の振り切った演技によって描かれることで、本作は気軽に楽しめるギャグアニメとして、非常に品質の高い作品に仕上がっています。

　とくにアニメーションは、躍動感たっぷりに動き回り、つぎつぎに表情が変わるキャラクターたちが作品の楽しい雰囲気を引き立てており、静止画では分からない魅力に満ちています。

　一方で攻撃魔法のエフェクトなどの作画は非常に迫力あるものになっていて、その説得力がギャグシーンとのメリハリも生み、作品の見応えを大きく高めている点も見逃せません。

　主要なキャラクターたちを演じる声優陣の演技もとてもすばらしいのですが、とくにカズマを演じる福島潤さんは、笑いを誘うアドリブのおもしろさも大きく、クズでスケベなカズマを憎めないキャラクターにしてくれている絶妙な演技は必聴です。

　また、本作以前は清純なキャラクターを演じることの多かった雨宮天さんはアクア役によって、その後演じる役柄の幅を大きく広げたと言えるでしょう。

　とにかく楽しく、ノリがハマれば一気に観れてしまうこと請け合いのアニメ『この素晴らしい世界に祝福を！』。ちょっと下品でスケベなシーンも多い点は人を選ぶかもしれませんが、それも本作ならではの持ち味のひとつです。

　周囲の評価や価値観に縛られず、生きいきと自分らしく毎日を過ごすカズマ、アクア、めぐみん、ダクネス。彼らはもしかしたらあなたに、楽しく生きていくための活力を与えてくれるかもしれません。

テレビアニメ第2期、劇場版もアマゾンプライムで見放題！

　アニメ『このすば』は現在、第2期（『この素晴らしい世界に祝福を！2』）までが放送済み。また、仲間のめぐみんとそのライバル（？）、“ゆんゆん”にスポットが当たる劇場版『映画 この素晴らしい世界に祝福を！紅伝説』も2019年に公開されています。

　これらの作品もすべてアマゾンプライムビデオで見放題配信中（2021年4月現在）となっています。第1期に夢中になれたら第2期、劇場版ともに楽しめるはずなので、こちらもぜひご視聴ください。