劇場上映がスタートしたアニメ『ガールズ&パンツァー 最終章』第3話。同作の収録を終えた西住みほ役の渕上舞さんにお話を聞く機会を得た。第3話の見どころを始め、これから『最終章』第1〜2話を観る方へのおすすめポイントなど、貴重な話が盛りだくさん!
渕上 舞 さん(ふちがみ まい)
声優。『ガールズ&パンツァー』西住みほ役や『アイドルマスター シンデレラガールズ』北条加蓮役、『ドキドキ!プリキュア』四葉ありす(キュアロゼッタ)役を演じる。
『最終章』第3話アフレコを終えた渕上さんに直撃
――第3話の内容が気になるところですが、まずは、アフレコについてお聞きしていきます。最近は、テレビアニメのアフレコもブースにひとりずつで行うと耳にするのですが、『最終章』第3話の収録はどのように行われましたか?
渕上私はあんこうチームの5人で収録をしたのですが、同じ建物の別々のブースに分かれて収録をしました。みんなヘッドホンをして、音声はつながった状態で行いました。
――建物自体は同じ場所にいて、さらにオンライン上でつながっている。
渕上そうですね。珍しい形ではありますが、リアルタイムであんこうチームのみんなとやりとりできたのでやりやすかったですね。
――きびしい状況が続きますが、さまざまな工夫をして収録を進めているのですね。
渕上スタジオに同時に入るのは多くて3人くらいで、それぞれのあいだにはアクリル板やビニールカーテンがあります。ほとんどがそういった形でアフレコをしています。いまではこういうやりかたが、なかばふつうになってきていますね。
――そういったやりかたにももう慣れましたか?
渕上新作アニメや、自分がゲストポジションで入っていくときは、正直やりやすくはありません。ですが、その点『ガルパン』はこれだけ長くやってきているので、キャラクターの声や、みんながどういうお芝居をするのかが台本を読み進める段階で自然と脳内再生されるので、ほかの作品に比べるとやりにくさは少なかったですね。
――日常生活ではいかがですか。
渕上そもそも私はあまりアウトドア派ではないので、意外と変わらないかもしれません。お家でのんびり過ごしていることが多いですね。ただ、仕事以外で人と会うことがほとんどなくなってしまったので寂しくはありますね。
――確かに、人と会うのが難しくなってしまいましたよね。
渕上ただ、そのぶんビデオ通話を使ってオンライン上で友だちとおしゃべりをする機会がすごく増えました。月一で会うようなお友だちがいるのですが、その子とビデオ通話で話していると、実際に会ってご飯を食べながら話すのと変わらないくらい盛り上がって、4〜5時間あっという間に経ってしまいますね。
――4〜5時間!
渕上女子のおしゃべりは話題が尽きないんですよ(笑)。それ以外でも、事務所のマネージャーやスタッフさんと話すこともあります。仕事の話とかではなくて、ただただ「私の話を聞いてくれ」という会とかもあります。
『最終章』第1話と第2話 それぞれの見どころは?
――第3話の上映が始まりましたが、まずこれまでの『最終章』第1話と第2話をまだ観ていない人に、見どころなどを紹介してもらえますか?
渕上『最終章』は“桃ちゃんの浪人を阻止する”という目的がまず物語の軸としてあって、「大学への道を開くために戦車道で実績をあげるんだ!」というお話になっています。もちろん、これまでの『ガルパン』に引き続き、今回も個性的な学校が登場します。第1話で登場する、BC自由学園というフランス風の学校だったり、第2話の後半から第3話にかけては、知波単学園という、“突撃”しかできないと思われていた学校の成長が描かれます。そういった、大洗女子以外の学校にフィーチャーしたお話に毎回ドキドキさせられています。
――世界の国をモチーフにした、個性的な他校の存在は『ガルパン』の大きな魅力ですよね。
渕上そこに比例して大洗女子も成長していて、キャラクターたちの戦車道への向き合いかたが変わっていく様も見ていておもしろいですね。
――そんな『最終章』第1話と第2話で、とくに思い出に残っているシーンはありますか?
渕上第1話はサメさんチーム対あんこうチームの1対1の戦いが、あんこうチームの個性が出ていて印象的でした。バー“どん底”でのハバネロクラブの飲み比べシーンでは、華さんの意外な強さも見えたり(笑)。
――みほの弾避けを応用した(?)パンチの回避など、それぞれ予想外の能力を披露してくれる、おもしろいシーンでした。
渕上第2話は、やはりBC自由学園ですね。一瞬のシーンなんですが、マリーが戦車に乗って体をグインと反らせるシーンがあって、「すごくコミカルな動きをするなー」と、印象的でした。あとは、歌を歌いながらマリーを守って押田と安藤がやられていくシーンは胸が熱くなりました。仲間割れのシーンを見せつけられていましたが、最後の最後はちゃんとチームなんだな、というのが伝わってきました。
――あのシーンの淡々とした雰囲気は、覚悟を感じさせて胸に来るものがありました。そんな見どころ満載の『最終章』も、第3話で折り返しになりますが、今後の展開で注目してほしいポイントはありますか?
渕上アフレコが終わった『第3話』以降の展開は私も知らないので、的外れになってしまうかもしれませんが、大洗の目線で言うと、“みんながそれぞれ自分で考えて動けるようになっているところ”です。第3話で印象的だったのが、アヒルさんチームが自分たちで先を読んだうえで、意思表示をしていて。それに対してみほが「アヒルさんお願いします」と、言ってみればボトムアップで作戦が承認されたり。あとは、みんなどこか抜けた感じだったウサギさんチームの中で、梓が、これは“ポスト西住みほ”なんじゃないかと思わせる冷静な指示出しをしていたんです。
――おお、1年生チームのリーダーが!
渕上そういう雰囲気を見ると、みんながちゃんと独り立ちして、みほがいなくちゃ何もできない大洗ではなくなっているなと感じました。
――あんこうチーム以外の大洗生徒にも注目ですね。
渕上第3話以降は、それぞれがより自立して動ける大洗を見られる気がしていて、すごく楽しみです。
――では、逆に第3話のみほについて、注目してほしいポイントはありますか?
渕上最近のみほは、“自信がなくておろおろしちゃう”というところよりも、どっしりと構えられる部分が大きくなってきていて、かつ今回は桃ちゃんのサポートに回っているというところもあるので、より冷静沈着にまわりを見て指示を出せている印象です。私自身もそれを踏まえてお芝居をしているんですが、攻撃を決める瞬間や、立てていた作戦を組み上げる瞬間に放つひと言が、最近は毎回格好いいんです。本当にひと言なので、「こんな台詞です」と言えないのですが、そのシーンが好きですね。
――第3話でも、みほの格好いいシーンが見られそうで楽しみです。
渕上ビックリするシーンだと思います! ただ、最初はよくわからないかもしれません。今回はトリッキーなストーリーになっていて。1回サラッと見ただけだと、ビックリはするんですけど何がどうなったか一瞬理解ができなくなるんです。私自身もそうで、「これって結局なんでこうなったんだろう?」というのが理解できなくなるというか。よくよく考えると「なるほどね!(ポン、と右手で左の手のひらを叩きながら)」と合点がいくような、おもしろいお話になっています。
――それはストーリー全体でのことですか?
渕上戦闘シーンですね。わからなかったときはもう一回観たり、冷静になって考え直してみるとわかると思います。
第3話で描かれる“夜戦”、注目すべきポイントは?
――第3話の戦闘シーンについて、そのほかにも見どころはありますか?
渕上今回は夜戦ということもあって、“光”がポイントになっています。まだ私が音の付いた映像を見ていないので、どれぐらいの迫力になるのかわからないのですが、映像がキラキラしていてとてもきれいでした。あとは、やはり夜戦なのでみんなの様子がいつもと違うんですよね。眠たかったり、見えづらかったり。そんな中でいつもあんまりシャキっとしていない夜型の麻子さんがかなり活躍してくれます。
――朝が苦手な麻子ですが、その真価がついに発揮されるときが!(笑)
渕上麻子さんもそうですが、じつは優花里さんもちょっといつもと様子が違いました。みんなテンションが上がってましたね。
――優花里はいつもテンションが高いイメージがありますが、それ以上に?
渕上それ以上に(笑)。なぜかというと、“いつもと違うこと”をするからです。
――気になりますねえ。第3話では、大洗女子学園と知波単学園以外の試合内容も描かれるようですが、渕上さんが注目している試合はありますか?
渕上黒森峰女学園VSプラウダ高校がいちばん気になっています。黒森峰に決勝戦に出てきてほしいという思いがものすごく強いんです。そして、最終的に黒森峰対大洗の戦いがもう一度見たいですね。実際の本編映像を観ましたが、黒森峰とプラウダだけでなく、各校の戦いがキャラクターの心情の変化まで描かれているので、かなり見ごたえがあると思います。
――ますます第3話が楽しみになりました。すこし脇道にそれますが、無限軌道杯のトーナメントにはない組み合わせで、渕上さんが見てみたいドリームマッチは何かありますか?
渕上BC自由学園VSアンツィオ高校か、BC自由学園VS聖グロリアーナ女学院ですね。まず、BCとアンツィオが戦ったら……すごく騒がしくなりそうですよね(笑)。
――系統は少し違いますがどちらも騒がしいイメージはありますね(笑)。
渕上BCと聖グロは、マリー様とダージリン様の戦いが……。マリー様もいつもケーキを食べてふわふわしてますけど、ピンチのときはだいぶキリッとしていたので、女の戦いみたいな怖さが見られそうですよね。ふたりとも涼しい顔をしているけど、腹の中は煮えくり返っているみたいな(笑)。
――逆境に強いみほと大洗女子ですが、今後に控えるのは強豪校ばかり。ずばり、大洗女子は無限軌道杯を優勝できると思いますか?
渕上思いません!(笑)
――バッサリですね!
渕上いちファンとして考察を楽しんでいるんですが、今回は優勝が目的ではなくて、あくまで桃ちゃんの浪人を防ぐことがいちばんの目標です。なので、大洗ではなく黒森峰が優勝するんじゃないかなと思っています。
今回、まほが外国に行ってしまったので、黒森峰だけが隊長が変わっているんですよね。そういうエリカさんの心境も第3話で描かれています。そこを乗り越えて優勝したらすごくエモいなと思っています。「大洗は負けたけど桃ちゃんは無事に大学に行けたね。エリカさんも隊長として優勝で
きて自分に自信が持ててよかったね」という、大団円になるといいなと思っています。
――「優勝は黒森峰」という大胆予想ですが、大洗女子が今後の無限軌道杯を勝ち抜くために、新たな戦車を追加するとたらどんなものがいいと思いますか?
渕上大洗はカメさんチームの38(t)改やアヒルさんチーム八九式中戦車甲型など、小回りがきく印象の戦車や戦いかたが多いので、黒森峰のマウスのような、ドシッとそこにいるだけでなんとかなるような戦車があると、より戦略の幅が広がるなと思います。
――大型の四番打者というか、まさに大砲が。
渕上そういう意味でも、Mk.IVに乗るサメさんチームが今後どう活躍するのかが気になりますね。
――非常に展開の気になる『最終章』第3話ですが、世情のきびしさもあり多くのファンが期待と不安が入り混じった状態で待っていたと思います。そんなファンの皆さんに本作の注目ポイントを改めてお願いします。
渕上大変お待たせしましたが、ようやく皆さんに第3話をお届けすることができそうです。
今回は本当に目まぐるしい展開で、もちろん知波単との決着もつきますし、ほかの学校の様子も描かれます。日常シーンもはさみますが、ほとんどが戦車戦なので息つく間もない非常に凝縮されたお話になっています。1度では観切れないかもしれませんが、このご時世なのでみなさんご無理のない範囲で劇場にお越しいただいて、体全体で『ガルパン』を感じてもらえたらうれしいです。
作品情報
- タイトル:『ガールズ&パンツァー 最終章』第3話
- 上映日:2021年3月26日(金)より全国劇場にて上映開始
- 出演:渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香 ほか
- スタッフ:監督 水島努、脚本 吉田玲子、キャラクター原案 島田フミカネ、キャラクターデザイン・総作画監督 杉本 功 ほか
(敬称略)