時を戻す能力を手に入れた少女が主役のアドベンチャーゲーム
いまから5年前の2016年(平成28年)3月3日は、プレイステーション4用パッケージ版『Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』が発売された日。
『ライフ イズ ストレンジ』はフランスのゲームスタジオであるDONTNODが開発、スクウェア・エニックスから発売されたアドベンチャーゲーム。グローバル版は2015年1月から1エピソードずつ配信され、全5エピソードで同年10月に完結。その後、日本語音声を追加した日本版がプレイステーション4とプレイステーション3向けに全エピソードをまとめてリリース。ダウンロード版は、1日先行して2016年3月2日に配信。翌3月3日にはプレイステーション4のパッケージ版が発売されています。
なお、日本版の発売と同日にグローバル版の日本語吹き替えDLCが無償提供され、PCで先に遊んでいた人も日本語音声がプレイできました。
ちなみに、2017年にはiOS版が、2018年にはAndroid版がそれぞれ配信されています。
そんな『ライフ イズ ストレンジ』はオレゴン州の田舎町にある高校で、写真を学ぶ少女・マックスが主人公のストーリー。突然、時間を巻き戻す力を手に入れた彼女が、5年ぶりに再会した親友クロエとともに女子生徒レイチェル・アンバーの失踪事件の調査に乗り出していくという内容です。
時間を戻して選択をやり直すことができるシステムをはじめ、リアルに描かれたアメリカの田舎町、胸の痛むストーリーが話題となって人気作となりました。また、日本版は西尾勇輝プロデューサーをはじめとするスタッフの丁寧なローカライズも特徴で、インターフェースなどのこまかい部分まで原作をしっかり再現。日本での人気を後押ししました。
自分は、いわゆる日本っぽい萌え絵が好きなので、パッケージに描かれたちょっと濃いめのマックスの顔を見てもあまり興味が持てず、発売当時はスルーしていました(笑)。しかし、周囲のアドベンチャーゲームファンがこぞって「絶対にやったほうがいい」とオススメするのでプレイ。そしてまんまとハマってしまい、いまでは人生で好きなアドベンチャーゲームのベスト3に入るぐらいの作品になりました。
主人公のマックスもパッケージだけを見るとバタくさく見えますが(失礼!)、実際にプレイすると愛嬌のあるカワイイ女の子で好きになります。本作では部屋の中にあるオブジェなど、細かい部分まで調べることができますが、そのときのマックスの独り言が、ちょっと芝居がかった言葉だったり、ウィットに富んだジョークだったりしておもしろいんですよね。ゲームを進めていると自然に彼女のことが好きになります。
また、もうひとりの主人公であるクロエは感情的に行動しがちな女の子で、こちらも放っておけないネコのような感じで魅力的です。
冷静なマックスと行動的なクロエは、とてもいいコンビ。異なる意見で衝突し、お互いを理解しようと成長していく姿はエモい……。それだけに本作のラストは心にグッと来ます。
時を戻すというゲームシステムも刺激的でした。飲み物をこぼして借りた本を汚してしまったあと、時を戻してちゃっかりなかったことにするといった基本的なことから、ドラッグの売人の食べている食事を床に落として怒らせたあと、もういちど時を戻して同じことをしてからかってみたりと、お茶目なイタズラもできて楽しかったです。
個人的にこの作品がすごいのは、物事には最良の選択など存在しない、何を選んでも痛みや悩みを伴いながら進んでいくことになるという真実を伝えてくれたことだと感じています。
序盤こそ“時を戻せるなら人生なんて楽勝”という体験させてくれますが、物語を進めていくと、すぐには結果が伴わないものだったり、どちらの選択を選んでも誰かが深く傷つくような展開を選ばされるようになります。そのため、どちらを選ぶべきか本気で悩まされます。
ネタバレになるため書きませんが、エピソード4のクロエのシーンはコントローラーが震えるほどに感情移入してしまいました。こんなの選べない……! でも選ばないとゲームが進まない…!
作品のおもしろい仕掛けとして、各エピソードを終えたときにほかのプレイヤーがどのような選択をしたのか参照できるところがあります。ゲームをクリアーしたあとも、どうして自分がそちらを選んだのか、ほかの人がどうして違う選択肢を選んだのか話したくなるような魅力があります。そのため、いまからでも遅くないので、ぜひ、多くの方にこの『ライフ イズ ストレンジ』を体験してみてもらいたいです。
なお、『ライフ イズ ストレンジ』は本作の3年前の物語でクロエが主人公となる『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』と主人公や舞台を一新した『ライフ イズ ストレンジ 2』も発売されています。
時を戻すシステム自体は『ライフ イズ ストレンジ』のみのものですが、細部まで作り込まれたフィールドや良質なサウンドで彩られた世界観、究極の展開を選ばされる展開など、変わらぬ魅力があります。
『ライフ イズ ストレンジ』をプレイしたら、この2作もぜひ!
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