先週海外で行われたBlizzConlineで発表された、ハックアンドスラッシュ型アクションRPGの金字塔が蘇る『ディアブロII リザレクテッド』。本作について判明している情報を、英語のみで配信された開発者によるパネルディスカッションや日本メディア向けに行われた合同インタビューでわかった細かい情報も加え、まとめてお届けしよう。
本作は日本語にも対応し、プレイステーション5/プレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PCで2021年発売予定。公式サイトではPC版テクニカルαテストへの参加募集も行われている。
オリジナルを尊重したリマスター
『ディアブロII リザレクテッド』は、最大4K解像度や7.1チャンネルサラウンドに対応し、当時の2Dスプライトによる擬似3D表現ではなく、資料をもとに新たに作られた3Dモデルと現代的なライティングシステムなどを組み込んだ、『ディアブロII』(2000年)のリマスター版となる。
そのほか、PC用ゲームコントローラーや現代の家庭用ゲーム機でのコントローラープレイに対応していたり(プレイステーション版があった初代と異なり、2はPC/Macのみだったのでコレが初のコントローラー対応)、本リマスターのためにBlizzard側で新録された日本語ボイス&テキストなどのローカライズが施されているのもポイントだ。
当時のゲームではわからなかったディテールも元データから復刻
BlizzConlineで配信された開発陣による解説“Diablo II: Resurrected Deep Dive”では、オリジナル版の開発を行った旧Blizzard Northの埋もれた資料を発掘してリマスター用のデータを作っていった経緯が明かされた。
調査では設定画などはもちろん、当時スプライトを作成するために使われた3Dデータなども発掘し、ゲーム用のデータでは潰れていてわからなかったディテールすらも3Dモデルに起こしなおしているという。またゲーム中の3Dモデルだけでなく、合計27分のプリレンダーのカットシーン映像も同様に元データを利用しつつリマスターを行っているとのこと。
この解説は英語のみで配信されているが、貴重な資料がふんだんに登場するのでファンはチェック推奨。というかギャラリー機能を搭載して可能な限り資料も収録して欲しいのだが、確認したところ残念ながら現時点では予定がないそう。
しかし、複雑な描写に限界があったからこそのやり過ぎな血まみれ描写などが、リマスターで今のゲームのリアリティの感じに留められているのが気に食わない人もいると思う。そういう人は“レガシーモード”でオリジナル版グラフィックに切り替え可能だ。
ただしリマスターの通常モードと異なり、レガシーモードでは英語でのプレイになる点は注意。
画面比較②
#ディアブロIIリザレクテッド https://t.co/qkH2IzH5vJ
— Diablo_JP (@playdiablo_jp)
2021-02-20 14:05:04
70%のオリジナル:ゲームバランスはそのまま。元のグラフィックや、DLCなしにしたプレイ環境なども再現可能
「ではゲームプレイ的な違いは?」というと、本リマスターでは“70%のオリジナルと30%の付加部分”というポリシーを採用しており、中でもゲームバランスに影響するような部分は意図的にオリジナルのままとなっている。
ゲームを動かすロジックも、オリジナルの25fps(秒間フレーム)に合わせた処理を内部的に維持しているそうで、7.1チャンネル対応のサウンドもそこで流れる音データはオリジナルのもの。また本編以外に拡張パック“Lord of Destruction”も収録しているのだが、さらに拡張パックなしの本編のみの状態も再現できる。
そのほか、アイテムをうまく配置して埋めていかないといけないインベントリーなどもそのまま(Stash/収納箱は拡張される。詳細は後述)。
なおオリジナル版同様にMOD(プレイヤーコミュニティ作成の独自拡張)に対応するが、これはオリジナル版のすべてのMODをサポートするわけではない点に注意(※リザレクテッドでは現代のBattle.netを使用するため、セキュリティ上できない処理などがあるという)。
30%の付加部分には単に手間がかかっていた部分の改善点も
30%の付加部分としては、先に挙げたようなリマスター化以外に、プレイの核が変わってしまわない範囲で改善がいろいろと施されている。共有収納箱の導入やゴールドの自動ピックアップなど、単に手間がかかっていた部分などが多い。
- 収納箱が拡張され、共有収納箱(Shared Stash)も導入
- 戦利品を閉まっておける収納箱が6x8マスから10x10マスに拡大
- プレイヤーはどっちみち倉庫用キャラを作って対応していたので、正式な共有収納箱でアイテムを共有できるように
- アドバンススタッツなどユーザーインターフェースの改良・強化
- マジックファインド(アイテムの入手確率向上)などをいちいち計算しなくてもわかるよう、ボーナスの一覧を表示
- そのほか、アイテム性能の比較などもキー一発でできる
- ゴールドの自動ピックアップ機能(Auto Gold)
- いちいち拾わなくてもオンにすれば自動で拾ってくれる
- タイムアタッカーなど、オフにしたい人はオフにできる
- 現行のBattle.netによるネットワーク機能
- より高度にボットやDupe(アイテム増殖)等に対策する
- クロスプログレッションで進行状況を維持できる
- レベル、クエスト、進行状況、スキル、タレントや戦利品などをプラットフォームを越えて持ち込める
- グローバルサーバーで最大8人でプレイ可能。PvP、トレード、チャット、パスワード機能なども対応
- ただしクロスプレイではない
- ラダーシーズン(ランキング)システムもプラットフォームの垣根を越えて対応(※シーズンの対象期間は6ヶ月から短いサイクルになる予定)
- オフラインプレイや、TCP/IP接続でゲームをホストする事も可能
- コントローラーサポート
- PC版でもPC用ゲームコントローラーに対応
- 細かいターンの歩きが可能になったが、内部的な処理は依然としてグリッド(マス目)ベースで行われている
- マウスで場所を指定して発動するのが前提のバーバリアンのリープやソーサレスのテレポートなどは、コントローラープレイ用のデフォルト距離が設定されている
- 『ディアブロIII』家庭用版で足されたような回避アクションのような追加要素はなし
- PC版でもPC用ゲームコントローラーに対応
オリジナル版で遊び続けたければそれも可能
コミュニティへの配慮という点では、オリジナル版の『ディアブロII』はそのまま残るというのもポイントだ。背景を説明しておくと、RTS『ウォークラフトIII』のリマスター版である『Warcraft III: Reforged』では、発売時にネットワーク機能を統合するにあたってオリジナル版で利用できていたネットワーク機能が破棄されてしまい、問題になった。
今回はそういう形の移行はせず、オリジナル版はオリジナル版のままで維持されてそのまま遊び続けられる。『ディアブロII リザレクテッド』では不可能なタイプのMODを使いたいプレイヤーなどはそちらを選ぶことになるだろう。
細かい部分
- 新世代機対応の詳細は未定
- 対応プラットフォームとしてプレイステーション5/Xbox Series X|Sが挙がっているものの、対応内容の詳細はまだ未定(本誌掲載の社長インタビューによるとまだ社内で調整中)
- 初代『ディアブロ』リマスターは既にある
- GOG.comでWindows 10対応や高解像度画面でのプレイに対応したバージョンが配信中(ただしグラフィックのリマスターなどは行われていない)
- 画面分割マルチプレイはなし
- 実際検討はしたものの、非採用に至った