2020年末より、Web上を横断して展開してきた参加型ミステリー作品『Project:;COLD』。
本作は、登場人物たちが各人でTwitterにアカウントを持って情報発信をしていたり、YouTubeに動画をアップしたりと、“あたかも実在している人物であるかのような”形で物語がリアルタイムで描かれていく謎解きコンテンツ。その物語も非常に刺激的かつ驚きに溢れたものだった。なにしろ、全員が“血の人形の呪い”によって次々に死んでしまうのだから。だと思えば、まさかの100年後の未来からこの未解決事件に干渉し、運命を変えようとする探偵が登場……!
“融解班”と呼ばれる参加者は、SNSなどを通じて融解班同士で情報を交換しながら、この血の人形事件を解明すべく昨年末から事件を注視しつつ、未来の探偵とともに謎解きに挑み、2021年2月7日に公開された動画の内容を持って、すべての謎を“融解”させ、物語は完結を迎えることとなった。
Web上で多数の参加者がさまざまに謎解きなどを楽しみながら、リアルタイムで事件が進行していく……そんなありそうでなかったユニークな『Project:;COLD』だが、その総監督についての情報は、展開当初より長らくスタッフクレジットが伏せられていた。
だが、このたび最後にアップされた動画を持ってエンディングを迎え、エンドクレジットで謎の総監督の正体は、ゲームクリエイターの藤澤仁氏だったことが判明した。
藤澤氏といえば、かつてスクウェア・エニックスで『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』以降、長らくシリーズのシナリオやディレクターを担当し、『ドラゴンクエストX オンライン』の1stディレクターも勤め上げた人物。現在はミクシィの次世代エンターテインメント室室長を務めると同時に、自身でゲームシナリオ制作専門の会社ストーリーノートを設立し、代表としてシナリオ制作に携わっている。さらには、『夏の呼吸』などのオリジナル小説も執筆する作家としても活動中だ。
『Project:;COLD』総監督として、Webを通じて多数の参加者と物語をリアルタイムに紡ぎ上げていったシナリオ展開の手腕も、藤澤氏が関わっていたと思えば納得というもの。
ちなみに、スクウェア・エニックス時代にプロデューサー兼ディレクターとして手掛けた“未来予知”をテーマとしたオリジナルスマートフォン向けタイトル『予言者育成学園 Fortune Tellers Academy』で、予言のための問題制作に関わっていたスタッフのひとりだった眞形隆之氏は、『Project:;COLD』にも、謎解き用の問題制作スタッフとして参加している。
また余談だが、『Project:;COLD』“case.613”の舞台となった神奈川県平塚市は、藤澤氏の故郷でもある場所。
もしかしたら、融解班の中には謎に包まれていた総監督の正体さえも、解き明かしてしまっていた人がいたりしたのかもしれない……?