ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームを紹介していく連載企画。ライターのウワーマンがいまいちばん推したい作品は、『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』(以下、『ガレ魔女』)です。

【こういう人におすすめ】

  • 3DダンジョンRPGが好き
  • 衝撃のストーリー展開に驚かされたい
  • 多彩なビルドのキャラ育成を楽しみたい

ウワーマンのおすすめゲーム

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』

  • プラットフォーム:プレイステーション Vita、プレイステーション4
  • 発売日:2020年11月26日
  • 発売元:日本一ソフトウェア
  • 価格:プレイステーション Vita版は6200円[税抜](6820円[税込])、プレイステーション4版は7200円[税抜](7920円[税込])
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ハードで濃密なストーリーに釘付け

 3DダンジョンRPGというジャンルのゲームの物語は、どちらかと言えば“あっさり風味”という印象がある。まあ、最近の作品はそう限ったことでもないのだが、それでもメインとなるダンジョン探索の味付けといった範疇に収まる作品が多いんじゃないだろうか。

 『ガレ魔女』の導入は、こう。

 「辺鄙な場所に建つ屋敷“ガレリア宮”。その地下に広がる巨大な迷宮を探索して、正体不明の美術品“奇品”を持ち帰れ」

 いかにもダンジョンRPGにありそうな導入ストーリーなのだが、本作をプレイして驚かされたのは、そのシナリオに対しての力の入れっぷり。ボリューム的にも凄まじいものがあったのだが、長さを感じさせることなく畳み掛けてくる衝撃展開の連続には思わず舌を巻いてしまった。ぜんぜんあっさりではなく、超こってり。正直、この手のジャンルのゲームでここまで唸らされたことはなかったので、ぜひともみんなにも遊んでいただきたいと記事を書かせてもらった次第である。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
ヒロインのユリィカと主人公(頭の上)。ともに迷宮を攻略する。

 とは言え、ネタバレに関わることなので、自分から言えることはもうほとんどない(笑)。若干、ストーリー構成が複雑なきらいがあるため、「ん?」と思う場面が少ながらずあると思うが、いずれ納得できる形で終着してくれるので安心していい。小説やマンガでたとえ話をできれば手っ取り早いが、それだと察しがいい人はピンと来てしまうのでやめておこう。もともとエグい展開などで話題になった『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』の流れを汲むシリーズなので、ストーリー重視なのは当然と言えば当然か。

 キャラクターデザインは、前作『ルフランの地下迷宮』と同様に原田たけひと氏。『魔界戦記ディスガイア』シリーズなどでおなじみのイラストレーターなので、知っている人も多いだろう。かわいらしい絵柄とは裏腹に、“魔女”からイメージされるダークな要素がたっぷりぶち込まれているのは必見。声優さんたちの熱演にも感動した。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
時折挿入される不穏なシーン。物語は徐々にハードな展開へ……。

キャリーオーバーで経験値を荒稼ぎして大興奮

 ダンジョン探索自体もストーリーに負けず劣らず超本格派。操作はサクサクと快適(重要)で、仕掛けだらけの広大なダンジョンは探索のし甲斐がある。もちろんオートマッピング機能を完備。バトルのテンポもよく、強敵もウロウロしているため、つねに緊張感のある探索が楽しめる。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】

 ユニークなのは、バトルで稼いだ経験値を“キャリーオーバー”できる点。経験値をキャラクターに分配しないまま連続バトルすると、どんどん獲得倍率が上昇していく。これを利用すれば、がっぽりと経験値を稼げてしまうのが非常にアツイ。当然ながら全滅するとストックしていた経験値はパーになるリスクはあるのだが、ついついチャレンジしてしまう抗いがたい魅力がある。

 経験値のおいしさもいいのだが、序盤はどちらかというとそのスリルに惹かれる感じだろうか。リアル世界の話で、大金を所持して移動する際はちょっと緊張感があると思うが、それに近い体験が筆者を惹き付けているような気がする。前述の強敵に絡まれて逃げられず経験値をロスト、扉を開けたら床がなく何階層も落下して即死でロスト……といった具合に、何度も経験値をムダにしていてもやめられないから困ったものだ。

 中盤以降はパーティ全滅によるロストのリスクは少なくなり、桁違いの経験値稼ぎがメインの魅力になってくる。しかし、死によるロストはなくなっても、今度は経験値を分配しないうちに迷宮から帰還するという、アホみたいな理由でロストするケースが増えてくるから、もう泣きそうだ。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
危険のない場所で連戦していくだけで美味しい。すでに1000万経験値はロストした。
『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
ザコとの連戦に夢中になり過ぎてうっかり強敵に遭遇したときの絶望。

 『ガレ魔女』では、探索中にさまざまなスキルを使用できる。“壁壊し”もそのひとつで、文字通りダンジョン内の壁を破壊してショートカット的に道を切り開けてしまう。ダンジョンもののゲームとしてはなかなか掟破りな行為だと思うが、この能力によって序盤から自由自在に探索できてしまうのが本作の大きな魅力となっている。思いがけない新ルートが見つかったときなどは、なかなかの達成感。宝箱だらけの部屋や目的の奇品が隠されている場合だってある。ほかにもハイジャンプで遠く離れた対岸へ渡ったり、水の中に潜って進んだりと、多彩な能力を使い分けながらダンジョンを踏破していくのは、王道ダンジョンRPGとはひと味違うおもしろさだろう。

 アイテムを厳選するハクスラ(トレハン)的な要素もしっかりある。錬金術で強化できてしまうのでゲーム中はあまり気にしないかもしれないが、それでも強力な武器を入手できたときはうれしいもの。好きな人はいろいろ集めまくってみても楽しいかもしれない。本作ではインベントリに3000個くらいアイテムを入れられるので、荷物がパンパンになりにくい点もありがたい。逆に多過ぎて倉庫がほしい気もするが。

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壁壊しで穴を開けられるのはかなり新鮮な気分だった。
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ポータルを設置してワープも可能なので探索がめちゃくちゃスムーズ。
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新たな技を覚えれば探索範囲がグッと広がるのがうれしい。

果てしない人形兵の育成が燃える

 ダンジョン探索およびバトルは、プレイヤーが作った人形兵を使用して行われる。よくあるダンジョンRPGでは6~8名のキャラクターでパーティを組むと思うが、『ガレ魔女』ではタイトルに“魔女ノ旅団”とあるくらいなので、最大40体もの人形兵でパーティを組む。ただし、人形兵は“カブン”と呼ばれる5つの部隊(各カブン最大でアタッカー3名、サポート5名)に所属していて、基本は一括操作されるため感覚的には5人パーティと同等といった程度となっている。特別に指示を出さなければ“戦う”すら選ばなくていいので操作自体は非常に楽チンだ。多数のちびキャラが飛び交うバトル演出はなかなか見応えもあって気持ちいい。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
人形兵の配置をいじりまくり。セーブ&ロードできるようになるのは助かる。

 しかしこの40体ほどの人形兵は、プレイヤーが1体1体作る必要があるため、育成自体は非常にタイヘン。そう、果てしなくタイヘンではあるのだが、その育成が本作では途轍もなくおもしろく魅力的なものになっている。当然、複数ある職業ごとに多種多様なスキルが設定されているのだが、本作では“魂移し”を使って転職すれば、覚えたスキルは基本すべて使うことが可能。レベルは1に戻ってしまうものの、ステータスの伸びも大きくなってより強力なキャラクターへと成長するというメリットがある。

 いやらしいことに(?)、理想のスキルを備えたキャラクターを育てるには複数の職業を経験しなければならないように設計されているので「つぎはどの職業にしようか?」と試行錯誤するのが、この上なく楽しい。「敵をスタンさせやすい前衛チームが作りたい」、「グループに連続攻撃できる後衛を育てよう」、「魔法使い系も2カブンくらい必要か……」、「サポート特化のキャラもいるな」などなど、人数が人数だけに構想を練っているだけでもすぐ時間が経ってしまうほど夢中になれる。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
成長タイプや性格なども細かく設定可能。オートにお任せもできるので安心。
『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
覚えたスキルのオンオフも数が増えてくるとヤバイことになる(笑)。

 上記のような話を聞くと、恐らく「レベリングがたいへんそう……」と思うかもしれないが、“キャリーオーバー”の存在を思い出してほしい。本作は経験値稼ぎ自体はめちゃくちゃ簡単。むしろレベル99で3~4回魂移しをする程度なら、レベルのほうがすぐカンストしてしまってつぎの転職まで手が回らないといった状況になるだろう。難度をハードにすれば経験値の獲得倍率がグンと跳ね上がるため、格下のザコを連戦していてもかなりの経験値が稼げてしまうほど。このおかげで、魂移しという聞くだけだと面倒にも思える育成要素が非常に楽しいものになっているのが素晴らしい。いわゆる“転生”的なシステムを採用しているゲームは数多くあるものの、筆者はわりと挫折しがちだったため、本作でしっかり体験できたのはうれしかった。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
総レベルが400を超えて成長が遅くなっても、まだまだ一気に上がって気持ちいい。

やり込み要素も当然たっぷり

 オーソドックスな3DダンジョンRPGと比較すると『ガレ魔女』はかなり風変わりに感じる部分があるため、案外ノータッチという人も少なくないかもしれない。そういう人にはぜひ『ガレ魔女』を体験してもらいたいところ。くり返しになるが、ダンジョン探索だけでも十分満足できるうえに、ストーリーがとくに素晴らしくてオススメだ。

 日本一ソフトウェアのタイトルだけに、クリアー後もいろいろとやり込めるようになっているのでその辺りも魅力的。いちおうの決着がつくまででも相当のボリューム感で、ボイス入りのセリフを飛ばなさい筆者のようなタイプのユーザーは、プレイ時間がヤバイことになるんじゃないかな。一部、アイテム収集がちょいと面倒な部分もあるのだけど、がんばってやり遂げただけのリターンはあるのでチャレンジしてみてほしい。

『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』予想を超える展開のストーリーは2020年最大のインパクトだった。総勢40体の旅団を率いるバトル&育成も激アツ【年末年始おすすめゲームレビュー】
魔女嘆願で多彩な機能をアンロックできるのが、いいモチベになる。
ファミ通.com編集者&ライターによる年末年始おすすめゲーム