珠玉のタイトルをピックアップ!

 世界中が激動の年となった2020年。ゲーム業界としてもオフラインイベントの中止など多大なダメージを受けた年ではありましたが、そんな現実に負けないくらい素晴らしいゲームがたくさん出た年でもありました。

 そこで今回は、2020年に発売された新作や移植によって大きく話題を呼んだ作品まで、自分が遊んで強く心に残った珠玉の6作品を選出。ぜひとも遊んでもらいたいタイトルを紹介したいと思います。ぜひ、この機会にお手にとってみてください!
 
 なお、紹介している作品以外にも、自分が以前に書いた“【この夏遊びたいインディーゲーム7選”のほうでもオススメの良作を取り上げています。興味がある人は、こちらもどうぞ!

『グノーシア』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS Vita
  • 発売元:Nintendo Switch版はプチデポット、PS Vita版はメビウス
  • 開発元:プチデポット
  • 価格:Nintendo Switch版は2750円[税込] PS Vita版は2526円[税込]

 2020年の国産インディーゲームを語るうえで、絶対にはずせない作品があります。そのひとつが『グノーシア』。2019年にPS Vitaで配信されたひとり用人狼ゲーム+SFノベルとでもいうべき本作は、配信されるや否や口コミで大ヒット! 2020年4月にNintendo Switch版が配信されてからも、しばらくのあいだダウンロードランキングの上位に残り続ける人気タイトルとなっていました。パッケージ版の発売や海外版の配信も決まり、その人気はとどまるところを知りません。

 なぜそこまで話題になったのかと言えば、当たり前なのですが単純におもしろいからです。本来は、リアルで人を集めて行うパーティゲームの“人狼”をひとり用のシミュレータとしてうまく構築しているのはもちろん、ただ人狼を遊ぶだけのゲームではありません。むしろ、人狼部分はコマンドRPGによる戦闘のようなもの。ループする世界から脱出するため、何度も何度も人狼をくり返し、乗員たちの秘密を知り、エンディングまで向かっていく流れが本当に美しい! システムをガッツリ使った仕掛けや語り口も見事で、コレばかりは遊んで体験してほしいとしか言えません。

 もちろん、人狼が苦手な人でも大丈夫です。遊んでいくうちに初手で使うと便利なコマンドが使えるようになりますし、乗員たちのクセや傾向もわかり、イベントも発生して……といけないいけない。語りすぎてしまうところでした。これ以上は、余計な情報を入れずに遊んでみてください!

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
『グノーシア』公式サイト
『グノーシア』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp)

『Into the Breach』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PC
  • 発売元:Subset Games
  • 開発元:Subset Games
  • 価格:Nintendo Switch版は1620円[税込]、Steam版は1520円[税込]

 もしも自分が無人島に持っていけるゲームをひとつだけ選べるとしたら、候補として挙げたいくらいハマったターン制ロボットストラテジーの傑作です。ルールはカンタン。たった3機のユニットを動かして敵を倒しつつ5ターン耐えるだけ。フィールドも8×8マスと狭く、この手のジャンルにしては驚くほどコンパクトですが、人によっては一生遊べてしまいそうなほどの奥深さを持っているのです。

 自分も気がついたらずっと遊び続けてしまう恐ろしい中毒性のある作品だったので、自主的に封印しました。それくらい好きな人は一生好きになれるタイトルです。自ターンの開始時に敵の行動がすべて予測できるので、理不尽さはゼロ。敗北はすべて自分の選択ミスです。相手に攻撃が当たると1マス押し出せる兵器を使って敵を同士討ちさせたり、敵の出現地点に陣取ってダメージと引き換えに出現を抑えたりと、敵が撤退する5ターン後までどうやって凌ぐのか考えながら戦うのが、もう凄く楽しい! 知恵熱が出そうになるくらい頭が沸騰するのですが、そこがよいのです。

 クリアーしたあとも新たな兵器を持った機体で挑み、難易度を変えて楽しみ、いつまでも遊べてしまうのでお休みの日にじっくりプレイするのにピッタリ。この記事を書くのに、久しぶりに再プレイしてまた時間が飛んでしまいました。ああ、恐ろしいゲーム……。

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
『Into the Breach』ニンテンドーeショップページ 『Into the Breach』Steamページ

『カニノケンカ -Fight Crab-』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PC
  • 発売元:Nintendo Switch版はカラッパゲームス、Nintendo Switchパッケージ版はマスティフ、PC版はPLAYISM
  • 開発元:カラッパゲームス
  • 価格:Nintendo Switch版は2400円[税込]、PC版は1980円[税込]

 対戦と海鮮を求める者たちにオススメのカニ格闘アクション。登場するキャラクター(?)は、全部……いや、シャコなども混じっていることはいますが、全部カニです。これは唯一カニ。いや、唯一無二ですね。

 カニどうしが戦うと聞いて地味なのでは……と思う人がいるかもしれませんが、とんでもない! この世界のカニは不死身なので何をされようが死にませんし、ロケットブースターで飛び回ったり、剣で殴ったり、ビーム兵器で暴れまわったりします。ド派手過ぎる。カニとはいったい……。

 不死身で死なないカニどうしなので、対戦の勝敗は一定時間相手をひっくり返すこと。攻撃してダメージを与えてひっくり返せば勝利! 本当にコレだけのシンプルなルールなのですが、カニを動かすことへの不慣れな感覚も手伝って思わず手に汗を握るほど、対戦が熱い!! オフラインはもちろんオンライン対戦も実装されていますし、対戦系のゲームが好きな人にはうってつけのゲームですよ。お正月料理の豪華なカニを食べながら遊びたいかも。

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
『カニノケンカ -Fight Crab-』公式サイト
『カニノケンカ -Fight Crab- 』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『カニノケンカ -Fight Crab-』Steamページ

『A Short Hike』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PC
  • 発売元:Whippoorwill
  • 開発元:adamgryu
  • 価格:Nintendo Switch版は850円[税込]、PC版は820円[税込]

 ここまでは長いお休みなどにピッタリの、長時間遊べるゲームを紹介してきましたが、それとは打って変わって短時間で終わるのが『A Short Hike』。空を飛べる鳥の少女、クレアが山の頂上を目指して冒険するアクションアドベンチャーです。1回のプレイ時間は平均1時間から2時間。タイトル通り、とてもショートなハイキング。ボリュームにすると短くて驚くかもしれませんが、中身は驚くほどに濃い!

 「ホークピークの山頂まで登る」という目的はあれど、その行程でどこに移動して何をしてから進むのかはプレイヤーの自由。登頂に必要な“黄金の羽根”を集める過程で、釣りをしたり、バレーボールのようなミニゲームで遊んだり、マラソンのお邪魔をしたり……小さな箱庭サイズの世界に、オープンワールドのゲームを遊んだような満足感があります。山を駆け巡ってサブクエストをこなし、頂上にたどり着いたときの充足感は言葉にできません。

 登場するキャラクターたちも気持ちがよく、主人公のちょっとした冒険とそこにまつわるストーリーにも満足。早く駆け抜けるとあっという間に終わってしまうゲームですが、噛み締めるようにじっくり遊んだり、クリアー後も思い返すようにプレイしてみることをオススメします!

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
『A Short Hike』ニンテンドーeショップページ 『A Short Hike』Steamページ

『Chicken Police - Paint it RED!(チキンポリス)』 

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PC、PS4
  • 発売元:THQ Nordic ジャパン
  • 開発元:The Wild Gentlemen
  • 価格:Nintendo Switch版とプレイステーション4版は2310円[税込]、PC版は2000円[税込]

 渋くてカッコイイハードボイルドな雰囲気に、ボリュームもそこそこある良質な推理アドベンチャー。そう書くとよくある推理ゲームのように見えますが、通常とは大きく異なる点として登場人物が全員擬人化された動物という独特すぎる作品です。主人公たちも鶏頭の刑事。出てくるセクシーな女性も猫や犬だし、いわゆる“人間”は存在しません。徹底してます。

 しかしながら、コレがすごくおもしろい! 推理ゲームとしても練られていますし、ハードボイルド世界へのこだわりかたがおふざけではなく真面目に考えられていて、鶏の刑事たちが頼もしい奴らに見えてくるんですよ。殺人事件を“殺獣事件”、人生を“鳥生”と言い換えていたり、“獣が人のように生きている世界”を単語から演出していてシビれます。おふたりさん……ではなく、お二羽さんと声をかけられてみたくなりますね。

 扱っている題材が大人向けかつ、時折アダルトな部分があるので子ども向けではないのですが、良質なノワールフィルムを見るようにウイスキーを傾けつつ、静かに遊びたくなる良作です。

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
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『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、(PC版、PS版は近日配信予定)
  • 発売元:フライハイワークス
  • 開発元:ハッピーミール
  • 価格:2000円[税込]

 センパイ(主人公)と相棒の刑事・ケンが、各地方の犯罪を解決していくファミコン風旅情ミステリーシリーズの第2弾です。前作の『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』が、見た目だけではなくしっかりとレトロ推理アドベンチャーの良さを継承したゲームになっていたので、本作も期待して買いました。

 そして、結構なボリュームだったのですが一気にクリアーしてしまいました。いやあ、やっぱりこのシリーズはいいですね。各地方の風景を再現した背景のグラフィック。ご当地の食べ物をいっしょに食べながら捜査する地に足の着いた刑事の描写。毎回、二時間ドラマのサスペンス風なストーリーなのですが、二時間程度では終わらないボリュームがあります。

 本作では、一度読んだテキストのスキップや撮影した写真のアルバム機能。クリアー後にミニゲームを自由に遊べる機能(ゲーム中、スマホコマンドを使うとミニゲームが遊べるのです)など、前作で欲しかった要素も搭載。ボリュームやシステム面でも前作よりパワーアップしています。ただ、もっとも魅力的な部分が出てくるのは話が一気に動く配信(ネタバレ)禁止期間の3日目以降なので、実際に遊んでもらわないとお伝えしづらい部分も。最初は観光案内のゲームか!? と思うほどのんきな感じで驚くかもしれませんが、話が動き始めるとグイグイ惹き込まれるのでぜひ自分の目で確かめてみてください。それから、できれば前作から遊んでもらえるとうれしいですね。話は直接繋がっていないのですが、より楽しめるので遊んでおいたほうがいいですよ。

『グノーシア』や『凍える銀鈴花』など、強く心に残った珠玉のタイトルを紹介【2020年おすすめインディーゲーム6選】
『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』公式サイト
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