『MOTHER』のお店が始まりました

 2020年12月14日、東京・渋谷の渋谷PARCO8階でイベントショップ“MOTHERのことばとおみせ。展”が開幕。

 書籍『MOTHERのことば。』の販売を記念したもので、RPG『MOTHER』シリーズのグッズを販売したり、作中に登場する印象的な言葉や開発資料、貴重なアイテムが展示される特別展となっている。本稿では内覧会の模様をリポートする。

 内覧会が行われたのは開店3日前のことで、店内は設営作業の真っ最中。写真は一部開店時とは異なる部分があるかもしれない点はご容赦ください。

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渋谷PARCO8階、MOTHERのことばとおみせ。展会場入口。大きな本『MOTHERのことば。』がお出迎え
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多くの人のちからを借りて、ようやく3冊セットの本ができたら、
思った以上にうれしいきもちになりました。
ページをめくるたび、ことばが目に入るたび、
私たちは『MOTHER』を思い出すことができます。
大げさじゃなく、きっと、ぜんぶのページをたのしめます。

そう、私たちはきっと、
もっと『MOTHER』のことを、思い出したかったんだ。

本ができあがった記念に、『MOTHER』のことを
たくさん思い出せる場所をつくりました。
あちこちに『MOTHER』のことばやグッズをたくさん並べました。

どうぞ、たくさん思い出してください。
じぶんのなかにあるたくさんの『MOTHER』のかけらたちが、
きっと、きらきら輝きはじめると思います。

(引用:MOTHERのことばとおみせ。展 会場のご挨拶より一部抜粋)

壁にテキスト

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選ばれた壁の言葉は、プレイヤーの思い出を揺り起こすものばかり。でんきスタンドに関する言葉から始まるところも、すてきだった。
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 最初の見どころは、壁や天井からぶら下げられた『MOTHER』作中に登場するセリフやテキストたち。シリーズ第1作『MOTHER』の冒頭に出る“でんきスタンドは もう うごかない”といった印象的な言葉がプリントされていたり、取り付けられた液晶にはゲームの名場面が映し出されていたりする。

 壁を眺めるだけでゲームの思い出が蘇り思わずニヤニヤしてしまう。見るだけでニヤニヤしてしまう壁というのは珍しいと思うので、『MOTHER』ファンはぜひ足を運んで壁を眺めてニヤニヤしてほしい。

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フォントの選び方ひとつとっても、この言葉を発した存在を想起するような感じで、見ているだけでもうれしくなってくる。

 チョイスされているのは、どれも『MOTHER』らしくて趣深いものばかり。これらの言葉はどのように選ばれたのだろう。スタッフの人に訊きたいな……。

 あっ、あそこにいるのは!

永田泰大 氏(ながた やすひろ)

ほぼ日刊イトイ新聞乗組員。『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』では『MOTHER』関連の監修など、『MOTHER』についていろいろやっている。元週刊ファミ通編集者。年季の入った愛読者の方には“風のように永田”というペンネームが有名かもしれません。

 永田さんだ! 永田さんはほぼ日刊イトイ新聞で、“ほぼ日MOTHERプロジェクト”に深く関わっている人。永田さんに訊いてみよう。

――ごぶさたしています、お元気でしたか(以下、時候の挨拶としばらく日本シリーズの話があったが、割愛)。ところで、この壁の言葉はどのようにして選んだのですか。

永田ファンのあいだで『MOTHER』の話をするときに、話題に上がりやすい言葉やセリフ・シーンを『MOTHERのことば。』から抜粋したという感じですね。

――ただ並べるだけでなく、レイアウトも凝っていますね。これらも永田さんの手で?

永田今回のイベントは、MOTHERプロジェクトチームが中心になって、ほぼ日曜日のチームでアイデアを出し合いながら企画・制作を行いました。

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店内には糸井重里氏直筆のメモもさりげなく展示。コーヒーブレイクの手書き原稿!

――当時の開発メモや貴重な展示もたくさんありますね。あっ、あんなところにも。

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――壁を見たり、この空中ブロックを見るだけでも楽しいですね。

永田奥の方には、コレクターの方からお借りしたレアな『MOTHER』グッズの展示コーナーもあるんですよ。

――えっ、見たい見たい!

レアアイテムがずらり

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ファンならその価値がわかってしまう、すっごいグッズの数々。右のTシャツから海外グッズまで……コレクターの方の協力もあったそうです。
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スロットブラザーズを題材にしたアナログゲームなも! 永田さんによれば、海外で作られたものなのだとか。
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 ショップの奥には、当時使用されたポスターやゲームカセット、攻略本、販促POPまで、いまでは手に入らないレアなアイテムが見られるコーナーが設置。こちらは見るだけで、手に取ったり購入したりすることはできないが、「あっこれ見たことある!」とか「これ初めて見た!」と思うグッズがたくさん置いてある。

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 先日、復刻販売が発表された『MOTHER2』のスカジャンも展示されている。試着はできないけど、実物を直に見られる珍しい機会なので、購入を検討している方は一度チェックしてみては。

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伝説のスカジャンも展示されていました。

グッズも豊作

 教室ひとつぶんくらいの大きさの会場で、大きなスペースを占めているのがグッズの展示販売。新アイテムも含め、『MOTHER』グッズが多数並んでいる。それらを一挙紹介しよう。

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どせいさん ひざたけぬいぐるみ(展示のみ。購入はオンラインショップにて)
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MOTHER ゲップーぬいぐるみ。2530円[税込]。とてもやわらかい。
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MOTHER ぬいぐるみ どせいさんとおうち。2750円[税込]。
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アクリルキーホルダー(『MOTHER』/『MOTHER2』/ゲップー/どせいさん/ネス)各1320円[税込]。
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MOTHER 真鍮のピンブローチ(スターマン/どせいさん)各4400円[税込]。
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『Pollyanna』2640円[税込]/Pollyannaとどせいさんコットンバッグセット(イベント限定)2860円[税込]。
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MOTHER A3ポスター(CAST/てきかいぎ/どせいさん)各1100円[税込]。MOTHER ポストカード3枚セット。495円[税込]※どちらもイベント先行発売
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ほぼ日ホワイトボードカレンダー2021(MOTHER)。フルサイズ 2860円[税込]/卓上サイズ 1650円[税込]
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ほどよくバラけたMOTHERカンバッヂ。(ランダム封入。イベント限定発売。ひとり2個まで)517円[税込]
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MOTHER ぬいぐるみ どせいさん パスケース。3190円[税込]。
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ほぼ日手帳カバー MOTHER/CAST(Leather ver.)。11000円[税込]。ヌメ革のカバー。使い続けるとしだいにこなれてきて飴色に変化する。右で持っているのは、本商品を実際に使っている『MOTHER』大好き担当編集者・藤川Qの私物(手も藤川Q)。1年くらいで、こんなに色が変わるんですね。

 写真で紹介した以外にもグッズはたっぷり用意されている。商品一覧はこちら。

商品一覧

  • Pollyanna:2640円
  • Pollyannaとどせいさんコットンバッグセット:2860円/イベント限定セット
  • MOTHER A3ポスター(CAST/てきかいぎ/どせいさん):各1100円/イベント先行発売
  • MOTHER ポストカード3枚セット:495円/イベント先行発売
  • ほどよくバラけたMOTHERカンバッヂ。:517円/MOTHERのおみせ 限定発売
  • MOTHER BIG長袖Tシャツ (オレンジ/ダークネイビー):8580円/新発売
  • MOTHER ぬいぐるみ どせいさん パスケース:3190円/新発売
  • MOTHER ぬいぐるみ どせいさんマスコット:2200円/新発売
  • MOTHERのことば。(シールブック付き):8888円/新発売
  • アクリルキーホルダー(『MOTHER』/『MOTHER2』/ゲップー/どせいさん/ネス):各1320円/新発売
  • クリアファイル(ニンテン/リュカ/ネス/ポーラ/ジェフ/プー):各550円/新発売
  • MOTHER Tシャツ(ロゴ/RED/LとS):各4950円
  • MOTHER Tシャツ(ロゴ/WHITE/SとLとLL)各4950円
  • MOTHER ゲップーぬいぐるみ2530円
  • MOTHER どせいさんコットンバッグ660円
  • MOTHER ぬいぐるみ どせいさん「ひとをだめにするです。」3465円
  • MOTHER ぬいぐるみ どせいさんとおうち2750円
  • MOTHER ビーズチャーム(クラウスとセーブガエル/スターマンとあるくキノコ/どせいさんとプレゼント/ニンテンとアナ/ネスとパパ/フライングマンとおはか/ポーラとぬいぐるみ/リュカとヒモヘビ)/各2530円
  • MOTHER ビーズチャーム(マジックバタフライ):854円
  • MOTHER フランクリンバッヂ3850円
  • MOTHER シルバーネックレス(MOTHER EARTH):19800円
  • MOTHER 真鍮のキーリング(ロゴ)7700円
  • MOTHER 真鍮のピンブローチ(スターマン/どせいさん):各4400円
  • ほぼ日の永久紙ぶくろ MOTHER(BLACK/RED/どせいさん):各1760円
  • やさしいタオル(どせいさん/シャワー):3300円
  • やさしいタオル(どせいさん/ハンド):1320円
  • やさしいタオル(ネスと自転車/シャワー):3300円
  • やさしいタオル(ネスと自転車/ハンド):1320円
  • ほぼ日の下敷き MOTHER/どせいさん オリジナルサイズ用:396円
  • ほぼ日の下敷き MOTHER/なかまたち weeksサイズ用:440円
  • ほぼ日の下敷き MOTHER/ネス カズンサイズ用:528円
  • ほぼ日の下敷き weeks用(MOTHER2):440円
  • ほぼ日の下敷き オリジナル用(MOTHER2):396円
  • ほぼ日ホワイトボードカレンダー2021(MOTHER)フルサイズ:2860円
  • ほぼ日ホワイトボードカレンダー2021(MOTHER)卓上サイズ:1650円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/1994/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/CAST(Leather ver.)/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):11000円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/MEMORIES/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/ここはマジカントのくに。/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/タイルのどせいさん/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/どせいさん(おしのび・とりつり・はしごごっこ)/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3850円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/はしごごっこ/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):4950円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/はしごごっこ/カバーのみ(カズンサイズ用・A5):7150円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER/ゆくてをふさがれた!/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER2/3ばんめのばしょ(ミルキーウェル)/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • ほぼ日手帳カバー MOTHER2/Pixel Patterns/カバーのみ(オリジナルサイズ用・A6):3080円
  • MOTHER/たびのなかまたち weeks(1月・月曜はじまり):2640円
  • 手帳本体 オリジナル(1月はじまり)[月曜はじまり]:2200円
  • 手帳本体 カズン(1月はじまり)[月曜はじまり]:3850円

※価格はすべて[税込]。商品は売り切れになる場合があります。在庫(完売情報)については、ほぼ日曜日のツイッター(@hobo_nichiyobi)で毎日閉店後に更新予定。

 ……とまあ、たくさんの『MOTHER』グッズが並べてある。

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――永田さん、中でもイチオシのアイテムは、どれでしょう?

永田それはもう、『MOTHERのことば。』です。この展示会自体この本の発売を記念して行われたものですから。

『MOTHER』のことば。

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『MOTHERのことば。』(3冊1セット)。8888円[税込]。

 『MOTHERのことば。』は、RPG『MOTHER』シリーズのテキストをほぼすべて収録している本。イベントテキストやキャラクターのセリフはもちろん、本シリーズ独特の雰囲気を生み出す戦闘テキストや街のグラフィックについても、余すところなく収録している。

 これ1セットあれば『MOTHER』のすべてを手にできる。まさに『MOTHER』本の決定版といった感じだ。お店のいちばん奥手に展示されており、実物を手に取って中身の閲覧も可能。

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『MOTHER』、『MOTHER2 ギーグの逆襲』、『MOTHER3』が1冊ずつにまとめられ、3冊1セットになっている。ゲーム3本ぶんでこの値段と考えると、相当オトク。というか、ゲームが本になったかのような凄みがあります。
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中身はこんな感じ。1ページ2段組みになっており、ゲームのテキストが延々と書かれ、ストーリーや会話の分岐まで網羅されている。ゲーム雑誌の編集者的立場から言うと、コンセプトも内容も、制作にかかる労力を想像しても、他に類を見ない、とんでもない本です。マジで。

 「会場までいけねーよ!」という遠方の方は、特設サイトで試し読み&注文が可能なのでぜひチェックを。

『MOTHERのことば。』特設サイト(『MOTHER』プロジェクト公式サイト)
『MOTHERのことば。』の購入はこちら (Amazon.co.jp)

――これはちょっと、すごいですね。ゲームのテキストがほぼすべて収められていて『MOTHER』というゲームがそのまま本の形になっているようなもので、これを買えばずっと『MOTHER』全作を手もとで持っていられるという。いや、もう、素直にお聞きしますが、どうやって作ったんですか。

永田ねえ……。いや(笑)、MOTHERプロジェクトチームで作ったんですけど、中身の校正、チェックはゲームを実際にプレイして、掲載されていることばが合っているか確かめる必要があります。そこで、その“プレイ&チェック”のメンバーをネットで募集し、応募してくださった『MOTHER』ファンの方といっしょに作りました。それ以前の制作段階では、1ページに2段のテキストで組むというレイアウトが固まるまでは相当に試行錯誤を重ねましたね。

――表紙の色も“マザーレッド”というか、独特の赤色で。

永田これも、ゲームのパッケージの赤色を分析して、再現しているんです。『1』の赤は、わざとちょっとくすんだ色味にして、プレイヤーが持っている印象、ゲームのカセットが経年劣化でちょっと変化して、ファンの中にある赤色はこんな色なんじゃないかなというのを目指しました。ただ、見本が刷り上がったとき、印刷所の人からは「並べたときにそれぞれの色が違うと、印刷ミスかな? って思われちゃう」って言われましたけど。

――「違います、わざとなんです」と(笑)。それにしても『MOTHER』尽くしの本展は、展示やグッズ、そして『MOTHERのことば。』まで、ファンにはたまらないイベントになりますね。

永田本当はゆっくり見てほしいんですけど、日によっては整理券抽選などで入場制限をしたり、会期の後半になると売り切れのグッズも出てきてしまうと思います。でも、売り切れていても展示は2021年1月11日まで続くので、展示だけでも楽しめますから、ゆっくり見たい方は来年でも来てもらえればうれしいです。きっと思い出すだけでもニコニコとなる場所だと思いますので。ぜひお越しください。

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レジの後ろには“エスカルゴ運送”の飾り箱にはいった『MOTHERのことば。』が山積み。しかも、ここに書かれた言葉は、ダンジョンにいるときに配送を頼まないと聞けないセリフだったり。

直筆メッセージもチェック

 この『MOTHERのことば。』の見本が展示されているすぐ横には、『MOTHER』制作に深く関わった3名のサインと直筆メッセージ(2003年にイベントで書かれたもの)が展示されていて、それがまたとても胸を打つ。その実物はこちら。

手書き

 糸井重里氏、任天堂の宮本茂氏、そして故・岩田聡氏からのメッセージが展示されているのだ。「時を超えて、楽しんでください」――。まさにゲーム『MOTHER』と、この展示イベントにふさわしいひと言になっているのではないだろうか。

記者の目

 『MOTHER』は言葉のゲームだとファンは言う。糸井重里氏の手により一字一句練り上げられたテキストは、どこを取っても、ユーモアとあたたかさと独特の味わいに満ちていて、プレイヤーの記憶に強く残る作品となっている。

 この展示会はその“ことば”にフィーチャーした書籍『MOTHERのことば。』のイベントで、店内を彩る『MOTHER』ワードは、いずれもニヤリとしてしまったり、ゲームを思い出して胸にグッと来るものばかり。この言葉を眺めるだけでも楽しい。そのうえレアアイテムの展示や、新発売のグッズも山盛り。『MOTHER』ファンはぜひ足を運んでみてはいかがだろうか(感染症対策に十分気をつけつつ)。

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スタンプもあります。

イベント概要

  • MOTHERのことばとおみせ。展
  • 会期:2020年12月14日(月)~2021年1月11日(月・祝日)
    ※2020年12月31日は11時~18時の時短営業、2021年1月1日は休
  • 時間:11:00~21:00
  • 入場料:無料
  • 場所:渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」東京都渋谷区宇田川町15-1
  • ほぼ日曜日 イベントページ

※2020年12月14日(月)および混雑時は整理券対応。整理券配布の詳細はほぼ日曜日のイベントページにて。

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山盛りのどせいさんがキミを待つ。