DMM GAMESから2020年11月26日に発売される、PS4/XBOX ONE用のリアルライディングシミュレーター『RIDE 4』。本稿では、いち早く体験した現実世界でもバイク乗りのライターが、その手触りを忖度なく語っていく。

『RIDE 4』ゲームプレイトレーラー

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とにかく丁寧に作られているという印象のバイクレースゲーム

 ひと昔、いや、ふた昔くらい前までは新ハードが登場したタイミングでは、たいていレースゲームがすぐに出たものだった。もちろんそれなりに売れたということもあるし、高い処理速度や描画能力を要求するレースゲームは、新ハードのベンチマーク測るうえで最適だったということもあったのだ。

 そんな流れも廃れて久しい。「レースゲームファンとしては不遇の時代だなあ」なんて思っていたら、PS5やXbox SeriesX❘Sが出てからわずかというタイミングで、『RIDE』シリーズ最新作が出た。別に次世代機向けというわけじゃないけれど、ぜんぜんいいです。

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?

 この『RIDE』というゲームは、言ってみれば“立身出世! 世界最高峰のレースに挑むライダーのシミュレーター”といった感じのゲームだ(これは筆者の感覚で、公式には“リアルライディングシミュレーター”となっている)。わかりやすくクルマで例えるなら、『グランツーリスモ』や『Forza motorsports』のバイク版というのが筆者の認識だ。

 世界基準ではかなりの人気シリーズなんだけれど……ココは日本。「再び流行りが来て欲しいものの、一向に復調の兆しが見えないレースゲーム」×「クルマよりも“離れ”が進んでいるバイク」という図式にある日本という地で、よくぞ出してくれたとまずは賞賛したい。じゃあ、本作をドライに評価したとしたらどうなのかと言えば、お世辞抜きによくできているのだ。

 お世辞で本稿を書いていると思われないために、ややきびしめに本作を語っていこう。映像が美しいだの、バイクのモデルが美しいだのは、もはや当たり前で。当然本作もそこは楽勝でクリアーしている。オジサン的には、いにしえの2ストロークエンジンのカン高い排気音がバッチリ再現されているのは涙ものだったりするのだけれど、それもあえて当然と言おう。

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
風光明媚な景色やバイクの作り込みなどは、昨今のレースゲームの基準を楽勝で満たしている感じ!
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2ストロークの懐かしいバイクに乗れるのも、ゲームならではのよろこび。リアルで買って維持費とかを心配するのもナニなんで……ゲームで走らせるくらいが丁度いい?

 バイクの収録数が250以上というのは、ツボを押さえたラインナップが最低限フォローされているという台数だ。日常の足であるスクーターとか、旅バイクに乗っている人にとっては「自分の乗っているバイクがない!」と感じるかもしれないが、バイクレースに挑戦し、より上のカテゴリーに挑戦していくという本作の前提を考えれば、やむなしだ。それにしては旧車やオフロード車、さらに超マニアックなメーカーの車種を収録し、よくこの台数まで増やしたものだと感心する。

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バイク史を語るうえで外せないバイクもけっこう収録。これは当時、レースマシンを軽くデチューンして、ほぼそのまんま市販車にしちゃった伝説のバイク。
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筆者の愛車であるZX-6Rは同年式のものこそなかったものの、だいたい同じスペックの最新型が収録されていた。スーパースポーツ車に乗っている場合のメリットを享受できて、素直にうれしい。
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ヌルいバイクファンの筆者にしてみれば、「このメーカー知らないけど!?」みたいなところもあったりして。勉強不足を痛感する。
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もちろんマシンセッティングも自由自在。パーツを購入することで、より詳細なカスタムが可能になる。筆者の場合、タイヤ以外はあまり気にせず乗るタイプだけど、ベストタイムを追究しだしたら……ここに手を出し始めるのは必然。

 サーキットやコースに関しては、収録数は34で及第点の数字。バイクレースが市民権を得ているヨーロッパが中心だ。むしろ全体の割合で言えば、日本のサーキットがけっこう多めに収録されていることに驚く。

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
国際サーキットでもないのに筑波サーキットが収録されていたり!
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
日本の峠道をイメージしたようなコース。たぶん架空だけれど、“峠あるある”みたいな要素がコースに入っていておもしろい。

 さらに、実在のパーツメーカーや、バイクアパレルメーカーとタイアップし、さまざまなカスタマイズに対応。マシンやヘルメットのペイントなどもかなりの自由度でカラーリングすることが可能なのだが、筆者的には自由度が高すぎて頭がアワアワする系のヤツ。得意な方は頑張みていただきたい。まあ、このあたりも昨今のレースゲームによくあるヤツだ。

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パーツやヘルメットなどは、実在のメーカーが販売しているものを中心に収録。筆者は、“本気で欲しいもの”でついまとめがち。
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さまざまな形状のレイヤーを重ねて、マシンのカラーリングをカスタムするタイプ。きっと宅配バイクなんかを作る人が出てくるんだろうな……!

 前述のように、マシンやコース、ギアに関しては筆者的には合格点。気になるのは、「レースゲームとしてはどうなのか?」というところである。

 ハッキリ言おう。ゲーム中のアシストを効かせなければ、けっこうムズい。でも、それはゲームとして難しいというより、「バイクのコントロールってそもそも難しいよね」っていう部分に起因するもの。要するに、バイクをちゃんとシミュレートしているから難しいのだ。逆に言えば、アシストのおかげでだいぶラクに走れるようにフォローされていると言ってもいいだろう。そして、操作が難しいからこそ、自身の腕前を高め、うまくコントロールできたときの人馬一体感が得られるわけで! この快感は、レースに興味がある人やバイクが好きな人であれば、きっとわかってくれるハズだと信じている。

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コースと適切な走りかたを覚えるまでは、“自動ブレーキ”や“走行ライン”などを有効にしておくことをオススメ。
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
うまく走れるようになるコツが、実際のバイクにかなり近い点も白眉。進みたい方向のかなり先を見て、そこにスティックを倒してアプローチしていくと、わりと思った通りのラインで曲がってくれる。
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
ライバルとの接触の影響を受けて、コースアウトしたり転倒することも少なくない。それも難しさの要因なんだけど……バイクのレースってこういうものなんだよなぁ。まあ、こんなクラッシュをするのがゲーム中でよかった!

 そして、腕を磨くために最適なのが、“キャリア”モード。何となく名前からも察することができるかと思うが、このモードはレースに出場して好成績を残しながらポイントを貯め、そのポイントを使ってどんどんバイクを増車しながら新たなレースに挑戦していく、というモードだ。レースに出場するためには、設定されたお題をクリアーして“ライセンス”を獲得しなければならないが、その過程で腕前も自動的に引き上げられるという流れになっている。これは『RIDE』シリーズ定番の要素だが、より楽しく遊べるように進化しているように思えた。

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
設置されたパイロンのあいだを、目標速度以上で通過していく。淀みなく順番に走れれば、ベストラインを通過することにつながるのだが……1~2箇所はハズしてしまうこともしばしば。まあ、それでもクリアーはできるんだけど!

耐久レースと天候変化! これらが『RIDE 4』をより魅力的にした!!

 さて、ここまではシリーズを重ねて正統進化した部分を中心に語ってきたが、ここからは『RIDE 4』ならではの要素について言及していこう。

 まず挙げたいのは、耐久レースという要素が追加されたこと。現実世界でも、市販車をベースに改造を加えたマシンで耐久レースを行うEWC(世界耐久選手権)というものがあるのだが、それをモチーフにしたかのようなモードだ。耐久レースの中には“24時間”なんてものもあるので、夜間走行や給油のためのピットインなどの要素もレースに加わってくることになる。驚いたのは、リアルガチの24時間の耐久レースも可能だということ。控えめに言ってどうかしている(褒め言葉)。さすがに長くても、プレイ時間は1時間くらいがいいかな……。

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
最短でもリアルな時間で20分は走る必要がある耐久レース。職業ライダーでない筆者の集中力なんて、1分も持たないんですけどね!

 そして、耐久レースの醍醐味をより再現できるようにという思惑があってのことか、天候がランダムで変化していく“ダイナミックウェザーシステム”も追加された。これにより、「レース中に雨が降ってきたのでタイヤを換えにピットイン」なんて事態が発生するわけだ。

 バイクレースのファンやバイクに乗っている方ならご存知と思うが、タイヤがふたつしかないバイクはクルマの数倍は雨に弱くい乗り物。まして雨天のレース時にはレインタイヤを履かなければまともに走ることすら困難になる。だからこそ、この天候変化でレースの展開がガラリと変わることになり……おもしろくなるというわけだ!

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
序盤はドライだったのに……雨! タイヤもヘタってきたし、さっさと雨用のタイヤにチェンジするしか!!
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
ピットでタイヤ交換と給油量を指示。この作戦が吉と出るか凶と出るか……的な楽しさが増したわけだ。
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
雨で夜とか、バイク的には地獄みたいなコンディション。実際なら、絶対に走りたくはない。
『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?
雨がやむに連れて、ベストラインが乾いていく様子まで再現されていてステキ。コチラは雨用のタイヤを履いているので、あえてベストラインを外してタイヤを労ってみたりして!(効果があるかは不明)

 この耐久レースが本作の魅力をグッと引き上げることになっていると筆者は感じている。これまでシリーズ作を遊んだことのない人でも、「耐久レース目当てに買って損はないよ!」という感じ。そういう人が何人いてくれるかが気になるところだけれども……。

 先にも述べたが、おそらく日本国内においては、小さなパイにアプローチしてくれているのが本作。しかも、作品自体のデキの話で言えば、不足していると思えるような部分はほとんどなく、かなり良質なタイトルと言っていいものだ。レースゲーム、あるいはバイクという文化を盛り上げる応援という意味でも、どちらかのファンであれば購入してもいいのではないかな、というのが筆者の率直な感想。そして、それで後悔することはないと思われる。正直、これで満足できなければ……世のバイクレースゲームで満足できるものなんて、ないんじゃないかなあ?

『RIDE 4』先行レビュー。この至上のバイクゲームをレースゲームとバイクのファンが支えなくてどうするの!?

『RIDE 4』INSIDE RIDE 4 トレーラー EPISODE 1

製品概要

タイトル:『RIDE4
ジャンル:リアルライディングシミュレーター
ハード:PC(機能限定版)/ PS4 / XBOX
発売日:2020年11月26日予定
PS4版 価格:7980円[税抜]
XBOX版(ダウンロード版)価格:7955円[税抜]
DMM GAME PLAYER版 発売価格: 5480円[税抜]