人気アニメ『サムライジャック』の新たな物語を綴る本格アクションゲーム『サムライジャック:時空の戦い』がDMM GAMESより、Nintendo Switch、PS4、PC向けに2021年1月21日発売予定。
本作は、2001年(日本では2002年)から放映されたカートゥーンネットワークのオリジナルアニメ『サムライジャック』をアクションゲーム化したもの。2017年に放映された完結編“シーズン5”から派生する“時空の戦い”が描かれることになる。
ソレイユが開発を手掛け、『DEAD OR ALIVE』シリーズや『NINJA GAIDEN』シリーズなどに携わった松井宏明氏がディレクターを務めるということで、アクションの快適さやダイナミックさはお墨付きだ。
ここでは、ディレクターの松井宏明氏に、本作の見どころやアクションのこだわりについて聞いた。
松井宏明(まついひろあき)
ソレイユ ディレクター(写真左)
※写真右は原作者のゲンディ・タルタコフスキー氏
――本作のコンセプトを教えてください。
松井原作アニメのさまざまな記憶にできるだけヒットさせるゲームだというのが、いちばんですね。まずファンの皆さんに喜んでもらいたい、さらに原作をよく知らない人も『サムライジャック』世界の入口にご案内できたら最高です。
そして原作の物語のその先、まだ誰も知らない新しい戦いが時空の狭間に展開し、新しい希望を斬り拓く、そんなコンセプトです。
――すでに発売されているPC(Steam)版の反響はいかがでしょうか?
松井とてもいいです。期待した以上にファンの皆さんがとても喜んでくれているのが伝わってきて、ホッとするというか、評価点も見るとそれ以上に驚いています。うれしい言葉がたくさんレビューに寄せられていて、今回の開発ミッションは成功だったと実感しているところです。遊んでくれている皆さん、盛り上げてくれている皆さんに感謝申し上げます。
――開発にいたった経緯を教えてください。
松井アニメの“シーズン5”がすごく盛り上がった流れで、(アニメ制作会社の)Adult Swimさんも「よしゲームを作ろう!」となったんだと思います。そこでゲーム化担当の方が、アクションゲームの開発実績があるスタジオを探していた中で、お話できる機会がありました。
やはり私たちがいままで作ってきたチャンバラ系のアクションタイトルを評価していただいたのだと思います。ノウハウだけでなく、私たちがサムライやニンジャに強い思い入れを持ち続けてきたことも大きかったはずです。ソレイユとしても、もともと海外に視野を持っていたので、サムライジャックの存在感がわかりましたし、魅力的でした。会ってお話をしながら、わりとスムーズな流れで開発にいたることになりました。
――開発するうえで重要だったポイントは何でしょうか?
松井いくつもありますが、アクションゲームとして中庸的なバランスにすることは重要でした。昔からのたくさんの『サムライジャック』ファンを念頭に置いて、良質なアクションフィーリングの中で、誰もが遊べる間口を持たせると同時に、本格的なバトルアクションゲームとしてハードコアユーザーも楽しめる噛み応えを備えることも重視しています。
そして、『サムライジャック』ワールドの魅力を伝えられる十分な量感と題材を盛り込むことも、けっこうなスピード開発だった中では強く意識するポイントでした。
――アクションでこだわったポイントはどこでしょうか?
松井動きの中に原作アニメのニュアンスを再現すること……けっこう特徴的でそれがないとやっぱり納得できませんね。走っているシルエットを見るだけでジャックとわかる、そういう動きのこだわりです。
スピードとメリハリのアレンジ度合としてはわりと重み重視で、ジャックなりの剛性感やどっしり感を表現しました。それでいて操作がスムーズである点は、つねに大事なこととしてこだわっているポイントです。
触っていて軽快で、便利なアクションの追加にも力点があって、“ラッシングガード”は私の推しアクションです。ちょいとしたものですが、バンバン活用してほしいです。遠い位置から一気に距離を詰め、頭上の敵までレンジ攻撃できる。このムーブの中でアグレッシブにパリングもしてしまう、お手軽で安全、開放感のあるダイナミック機動です。
――原作を知っているとより楽しめる部分はどこでしょうか?
松井すべてのステージが原作で登場するロケ―ションなので、全部です。たとえば原作の序盤で登場する“ビートルドローン”の鉱山だとか、男梅みたいなロボット種族“ケルティックデーモン”が巣食っている骸骨城“ブーンの城”の3Dマップを踏破できるのは、知っている人ならより楽しいはずです。そういうステージがずっと続きます。もちろんアニメの完全再現とはいかないので、あるいはそうしたアレンジの違いも楽しめるかもしれません。
そしてキャラクターです。原作にはとても多くのキャラクターが登場しますが、中でも印象深いところを今回のゲームでも登場させています。アメリカでのお披露目でスコットマンが登場したときに、会場がワッと湧いたのには興奮しました。
もちろんストーリーを知っていることは、物語をより感慨深いものにすると思います。果てしない戦いのその果てに展開する一幕になっているので、ジャックの苦悩とともにあれば気分もひとしおでしょう。
――原作とのストーリー的なつながりはどうなっているのでしょうか?
松井シーズン5の最終盤の一幕から派生するつながりです。魔王“アク”が予定された未来に抗い、時を遡って運命に介入し、ジャックの勝利ルートが突き崩されるわけですが、その混沌の中でジャックは真の勝利に向かって戦うことに……。
シーズン5はアニメ作品として完全で究極的なものなので“時空の戦い”は単にシーズン5のゲーム化ということではなく、シーズン5を踏まえた新しいストーリーレイヤーとして作ることになりました。シーズン5と旧シリーズ全体を合わせたタイムラインの中に、さらに“時空の戦い”の物語が加わります。
『サムライジャック』の世界自体が時空を超える物語なのですが、今回はさらにアクの邪悪な意図がジャックの体験する時空に底意地悪く干渉してきます。アクの方から時空を操って積極的な心理攻撃を仕掛けてくる点では、アニメシリーズにもない本気で悪どいアクになっています。アクとしても後がなかったんでしょうね(笑)。
――本作のストーリーには原作のクリエイターが関わっているのでしょうか?
松井はい。原作のメインライターのダリック・バックマンさんが書き下ろしてくれたのですが、肝のタイミングでは日本にしばらく滞在して、朝から夜まで膨大な擦り合わせをしながら夜中にシナリオを進めて、というハードなミッションで。デジャヴューが錯綜する複雑な絡みをシンプルに描き出す手腕がさすがです。
ものはゲームですから、プレイヤーのがんばりによってストーリーが現実となり、正伝となってゆくものです。ダリックさんはそのことを理解していて、ジャックがレベルアップしていく姿をゲーム然とした様式の中に描写したわけですが、まさにゲーム用のシナリオとして仕上げてくれたんです。
そしてシーズン5で究極的な物議を醸さざるを得なかった、心情的には解決しようがない運命の深遠に踏み込んでゆき、その先の光明を見出してくれました。
――ゲーム内容について、アニメ制作サイドからの要望などはありましたか?
松井まず原作のゲンディ・タルタコフスキーさんからアートスタイルや色のイメージ、キャラクターのポリシーなどについてリクエストをいただきました。健康的な緑の草原や青空はこの世界にはないのだとか、シンプルだけど興味深い指針がありました。まあ、ゲンディさんの哲学が原作アニメに顕されているのだから、そこから汲み取れることのもろもろが要望の塊で。創作物とか創作者の真価ですね。
会社的なことで言えば、わりと想像が当たっていたせいかガチガチな感じはなくてけっこう自由にやらせて貰ったと思います。もちろんゲームプレイについてもいろいろな意見や要望がありました。ただ、Adult Swim Gamesのスタッフとは緊密に連携していて、いっしょに開発してた感じです。日米間での行き来もあって。
パブリッシャーとして要件とするタイトルの位置づけから、バトルシステムのディテールまで、「原作のこのセリフを入れてくれ」とか、柔軟にコミュニケ―ションしていました。スタッフそれぞれの専門的な視点を持ち寄って、たいへんな中でも楽しいゲーム開発でしたね。
――ファンや読者に向けてメッセージをお願いします。
松井『サムライジャック』が好きな方は、もちろんきっと楽しんでいただけると思います。ちょっと知ってるという方も、初めて聞いたという方も、この機会に『サムライジャック』の世界に飛び込んでみてもらえたらすばらしいです。
原作アニメにもぜひ注目してみてください。数ある海外のアニメの中でも独特な存在感を放っていて、神レベルで支持されている特別なアニメシリーズだと思います。運命を変える戦いに勝利して、ゲームオリジナルのエンディングまでがんばってたどり着いてほしいですね。
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