皆さんは、好きになったゲームの“英語版”を遊んだことがあるでしょうか。キャラクターが日本語をしゃべる日本製のゲームが、英語に翻訳されて海外でも発売されることは昨今まったく珍しくないですし、日本語と英語の音声を最初から両方収録している作品もたまに見かけますよね。

 筆者(編集部のアトラス担当・川島KG)は、プレイステーション2の時代から、『ペルソナ3』や『ペルソナ4』などの英語版を個人輸入して遊んでいました。あのころは輸入版の入手がそれほど容易ではなく、日本と北米ではリージョンコードも違ったので、北米仕様のゲーム機を用意しないと遊ぶことができなかったけれど、いまでは輸入版を取り扱っている大手通販サイトや専門店などで気軽に買えるうえ、プレイステーション4は基本的に北米向けのソフトも日本仕様の本体で遊ぶことができます。あぁ、いい時代になったなぁ……!

 というわけで、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』も北米版が発売されたので、コツコツと絶賛プレイ中。ファミ通読者の皆さんならこのゲームをご存じの方も多いかと思いますが念のため紹介すると、悪しき大人によって未来を奪われそうになった少年少女たちが、“心の怪盗団”を結成して世直しに挑むRPGです。

 本作の何よりの魅力は、高校生としての日常を謳歌する“表”の顔と、世間を騒がせる怪盗という“裏”の顔を使い分ける、濃密な二重生活にあります。絆を育む相手によっては恋人関係になることもできるけど、僕の推しは佐倉双葉なので、彼女以外とはあくまでも友人としての関係を保っています。双葉のどういうところが好きなのかについては語ると小論文になってしまうので割愛しますが、今回申し上げたいのは、北米版の彼女もキュートでたまりません! という事実です。

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 たとえば、とりわけ印象深いシーンのひとつに「さ、さあ、盗め!」というセリフがありまして(上の写真)、英語ペラペラになっても彼女の声はとってもラブリー♪ 同じセリフで2度おいしいわけですよ。なおかつ、セリフがどのように翻訳されているのかを確かめるのも、北米版を遊ぶモチベーションになります。たとえば、「カ、カレシー、ヒマしてる?」という悶絶必至のひと言があるのですが(双葉と恋人関係になると言ってくれる)、これは英語で「Hey there, hot stuff. You got some time?」と訳されています。これを日本語に戻すと、「やっほー、イケてる彼。ちょっと時間ある?」みたいなニュアンスになります。ぐあぁああーーーーーーこれまた、悶・絶!

 ほかにも、「… シクヨロな! カ、カレシぃ♪(...You I love, b-boyfriend!)」とか、「離れなくてもいい権利…ほしい。(I want the right to not have to leave you.)」などなど、英語を日本語に戻したときの味わいも含めると、北米版は2度どころか3度おいしいと言えるでしょう。

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このセリフも至高。「KG」のところを皆さんのお名前に置き換えてご想像ください。

 もちろん、ほかの仲間たちのセリフも興味深いです。日本語と同様、英語の言い回しにもキャラクターの性格がよく表れていて、たとえば坂本竜司(主人公の悪友ポジション)は、スラングや短縮表現を多用します。「これが、俺のペルソナ… こいつはいい…!」という能力覚醒時のセリフは、「Wassup, Persona... This effin' rocks!」と訳されていて、WassupはWhat's up(どうよ?)の短縮表現。effingはf○ckingの婉曲表現ですね。こういう、教科書には載っていない“生きた英語”って、勉強になるぅ~!

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あの竜司が英語ペラペラというだけでもう面白い。
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このシーンも英語になると、また新たな味わいが……!

 そして、竜司とは対照的に、『ザ・ロイヤル』で新登場するキャラクター、芳澤かすみちゃんの英語はとっても丁寧。まさにお手本のような言葉遣いで、先輩である主人公に接してきてくれます。彼女は、同じく本作の大きな追加要素である“3学期”において物語に深く関わるのですが、ネタバレになるので詳しくは伏せておきますね。彼女がどんな言動を見せてくれるのか、皆さんご自身でぜひ確かめてみてください。

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多くのプレイヤーがときめいたであろう、修学旅行でのシーン。可愛さしかない。

 自分、年下の女の子に弱いので(笑)、『ペルソナ5』にはいなかった後輩ポジションのかすみちゃんも、すごーくかわいいんですよね。そのおかげで、彼女との会話では、とある大切な選択をする場面で、すごーーく悩みました。……え? けっきょく、かすみちゃんと双葉のどちらが本命なのかって? 僕が女の子を呼び捨てにするのは、ただひとりの特別な相手だけですよ。

 なお、修学旅行のシーンにもありますが、人名に付く“~先輩”や、“~君”などの言い回しが、北米版では“-senpai”、“-kun”といった具合に、そのまま訳されているのも特徴的です。また、“Aojiru(青汁)”や“Bento(弁当)”などの単語も意外とそのまんまだったりして、「これで英語圏のプレイヤーに通じるのか……!?」という発見が多々あります。そういった特徴は、『ペルソナ4』や『ペルソナ3』の北米版でも同様でしたが、こういう翻訳を通じて、海外のユーザーが日本の言葉や文化を知るキッカケにもなるのでしょうね。キャラクターのセリフやメニュー画面などの表記はすべて英語ですが、街の看板や駅の電光掲示などは日本語のままなので、あくまでも“日本を舞台としたRPG”としてのローカライズがなされているのです。

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路線図の日本語なども、敢えてそのまま。パッと見だと国内版みたい!
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日本語版を経験済みでも、敵シャドウとの会話などでは少し苦労するかも……

 というわけで、日本語版を経験済みという皆さんも、実質的な2周目を北米版でプレイしてみるのはいかがでしょうか。大ボリュームの作品ではありますが、「これは勉強だ」と自分に言い訳しながら遊べますよ!

 
 ……あ、それと、
 最後にちょっぴり宣伝させてくださいませ。『ザ・ロイヤル』も調査対象に含めた新アイテム、“『ペルソナ5』みんなで作る調査報告書 Vol.3”が、アトラスDショップアニメイトでただいま絶賛予約受付中です。ここにしか載っていない、キャラクターやストーリーなどにまつわる調査結果(ペルソナチームからの回答など)が詰まっていますので、こちらもぜひー!

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※海外のPlayStation Storeで配信されているタイトルを購入するには、その国のPSNアカウントが必要です。また、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』日本国内版のセーブデータを、海外版に引き継ぐことはできません。

※当記事は、週刊ファミ通2020年7月2日号で掲載したインプレッションに加筆したものです。