“赤い彗星”と呼ばれた男、シャア・アズナブルは如何にして生まれたのか――。
アマゾンプライムビデオにて配信中のアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』。視聴者からは「1話に詰め込まれている話の深さが尋常じゃない」、「ガンダムをまったく観たことがない人でも楽しめる作品」など絶賛の声が相次いでいますが、ガンダムシリーズの中でも屈指の人気キャラクターであるシャア・アズナブルの生い立ちがわかるという本作。いったいどんな作品なのでしょう?
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア・セイラ編 I 青い瞳のキャスバル』(アマゾンプライムビデオ)新時代のファーストガンダム
原作は、1979年に放送されたアニメ『機動戦士ガンダム』(通称:ファーストガンダム)に新たな解釈を加えて描かれたコミカライズ作品。執筆はファーストガンダムのキャラクターデザイン・アニメーションディレクターを手がけた安彦良和氏が務めており、累計発行部数は1000万部超えの大ヒットを記録しました。こちらのコミックをもとに、2015年~2018年にかけ、全6話構成で劇場公開されました。
主人公はアムロ・レイ……じゃないんです!
『機動戦士ガンダム』といえば、「親父にもぶたれたことないのに!」のセリフが有名なアムロ・レイが主人公。
ですが、本作『THE ORIGIN』はキャスバル・レム・ダイクン、のちのシャア・アズナブルを主人公に据えています。目もとをつねにマスクで覆っているジオン公国軍のエースパイロット。“赤い彗星”の二つ名でおなじみですが、本作のサブタイトルは“青い瞳のキャスバル”と、対をなしたかのような副題となっています。
ファーストガンダムを見たことある人にとってはいまさらですが、じつはシャア・アズナブルは彼の本名ではありません。
本名は、副題にもなっている“キャスバル”というのですが、いったいなぜキャスバルはシャアを名乗ることになったのか……なぜマスクを着用しているのか……“シャア・アズナブル”の物語を丁寧に描いているのが、本作『THE ORIGIN』なのです。
『THE ORIGIN』シリーズは全6話構成となっており、I~Vはアマゾンプライムビデオで観ることができます。
ジオン・ズム・ダイクンの死
I~IVの4話はふたりの兄妹の流転を軸にした“シャア・セイラ編”として構成されています。ここで言う2人の兄妹とは、もちろんキャスバルとその妹・アルテイシア(セイラ)のこと。すべてはムンゾ自治共和国の議長、ジオン・ズム・ダイクン、つまりキャスバルとアルテイシアの父親が急死したことからはじまりました。
彼の死はさまざまな憶測を呼び、ダイクン陣営内部では積年の派閥紛争が一気に爆発。これを好機とばかりに利用し、ムンゾの実権を掌握したのが副議長、デギン・ソド・ザビ率いるザビ家です。
やがてダイクンの妻・アストライアは幽閉され、政変に巻き込まぬよう子どもたちを地球へ逃がそうとしますが、幼いキャスバルはザビ家の兵を前にこう思うのです。「あいつらは敵だ、あいつらが父さんを殺したんだ」と――。
ここからどのように歴史の歯車が回り出し、いかにして“シャア・アズナブル”が誕生していくのか。
ここまではキャスバルの背景や物語について説明してきましたが、本作は作画もすばらしく、アクションシーンやキャラクターの動きもたっぷりとリッチに描かれているため、初めて『機動戦士ガンダム』を観る方も楽しめる『ガンダム』の入り口としても最適な作品だと思います。
ファーストガンダムでは知り得なかった悲しき真実を、ぜひ自分の目でご覧になってみてくださいね。
※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。