2020年9月17日(木)、“PlayStation 5 ショウケース”が開催され、プレイステーション5(以下、PS5)の価格や、発売日が公開された(詳細は下記の記事を参照)。

 その発表のあと、ファミ通.comでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)の代表取締役社長を務めるジム・ライアン氏にインタビューできる機会を得た。PS5発売も迫る中、ライアン氏は「睡眠時間が足りません(苦笑)」と、当然ながら多忙な様子を見せつつ、お話はスタートする。短い時間ではあるが、PS5がより楽しみになる情報をいくつか聞くことができたので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

ジム・ライアン

ソニー・インタラクティブエンタテインメント代表取締役社長(文中はライアン)。

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ライアン氏が語る、PS5発売に至るまで

ライアンインタビューの前に、まずは私たちが考えるPS5の展開について、“PlayStation 5 ショウケース”で発表された内容に至るまでのお話をさせてください。

――はい、お願いいたします。

ライアン2013年に発売されたプレイステーション4(以下、PS4)から7年が経過し、現在は1億人を超えるプレイヤーたちに愛されるハードとなりました。その7年のあいだに、テクノロジーも進化し続けました。テクノロジーの進化というのは、私たちにとってはゲーム体験を一変させることができるものならば重要である、そう考えて取り組んできました。そして、そのテクノロジーを活用するタイミングは、プラットフォームを世代交代させるときです。

――それが、PS5であると。

ライアンそうです。PS4からPS5に世代交代する、というのは非常に大きなことです。もちろんそのテクノロジーをPS4に取り込むなど、いろいろな方法があると思いますが、今回の最新テクノロジーを取り込むのは、PS5という形がいちばんだと考えています。

 ただ、これからはレガシーハードとなるPS4ではありますが、私たちはPS4とPS5両方のプレイヤー層にフォーカスして皆さんにアプローチできると思っていて、成功すると確信しています。なぜかと言いますと、私たちが持つ14のデベロッパーから構成されるワールドワイドスタジオがあるからです。

――なるほど。

ライアンPS4は今年で7年目にも関わらず、ワールドワイドスタジオのおかげで、PS4でしか体験できないようなゲームを多数送り出せました。これはとても大事なことで、PS5が発売されたとしても、今後PS4でゲームを遊び続ける人は、何千万人といることでしょう。

 一方で、1億人いるPS4のユーザーの中にも、PS5の発売を心待ちにしているプレイヤーも少なくないはずです。PS5でしか味わえないゲーム体験が待っているわけですから。そこでもやはりワールドワイドスタジオの存在が大きく、いままで以上に数多くのローンチタイトルを生むことができました。

 そのたくさんのゲームをいち早く皆さんにお見せしたい、という思いから、今回“PlayStation 5 ショウケース”を放送したのです。

――たしかに、驚きのタイトルラインアップでした。

ライアン私も驚いています。3ヵ月前にもショウケースを公開しましたが、3ヵ月前のティザームービーなどと比べると、どのタイトルも驚くほどの進化を遂げていて、しかも新作情報も飛び出したりと、私としても期待が持てる内容でした。

 しかも、ゲームのバリエーションが非常に豊かでした。ファーストパーティーはもちろんのこと、サードパーティーや日本のゲームパブリッシャーなどのおかげで、たくさんのタイトルを紹介できました。

 そしてもうひとつ、皆さんにぜひ伝えたいのが、後方互換性についてです。

――気になるところです!

ライアン皆さんに喜んでもらえると思っていますが、PS5ではPS4のゲームも遊べます。そして、現在発売されているゲームを、すべてテストしてチェックしていますが、99%の互換性があることを確認していて、私としても非常にうれしく思っています。

――現状でも、ほとんどのPS4タイトルが遊べると。

ライアンそうです。だからこそ、今回“PSPlus”加入者向け特典として“PlayStation Plusコレクション”を発表することができたのです。このコレクションは、PS5購入者かつPSPlus加入者ならば、厳選した18タイトルすべてを遊んでいただけます。

 そこで考えていただきたいのですが、たとえばこれを読んでいる読者の方が、もしPS4を持っていない中で、PS5を買ったとしましょう。PS5を買えば、PS4を象徴するような名作たちが付いてきて、しかもPS4はタダでもらったようなものです(笑)。もちろん、それらのゲーム本編は追加費用なしで遊べるとはいえ、PSPlus自体は有料サービスですが。

――そう考えてみると、PS5はかなりお得ですね(笑)。

ライアンそうでしょう(笑)。このお話の最後に、PS5というハードウェア自体のアピールをさせてください。いちばん重要視したのは、PS5が真の意味で「次世代機ハードを買うんだ!」と確信してもらえることです。

 まずPS5とPS5デジタル・エディションの違いですが、PS5はUltra HD Blu-rayドライブを搭載し、デジタル・エディションにディスクドライブがない、というだけの違いしかありません。

 また、たとえば4Kモニターを購入した、というときでもPS5には4Kモニターへの互換性もあります。長いスパンで現行機となることを、確信して買っていただけると思います。

 もうひとつ重要視したのが、ゲーム開発者たちに制約のない開発作業にあたっていただくことです。PS5のゲームを開発する皆さんにお話を聞くと、皆さん「これはいい」と褒めていただきました。

 すべてにおいて妥協せず取り組んだ結果、皆さんに納得いただける価格設定にもできたと思います。

――日本国内でも「予想より安い」という声が多く挙がっていました。

ライアンありがとうございます。おかげさまで、PS5は49980円、PS5デジタル・エディションは39980円という価格設定にできたことに満足しています。さらに、発売日は2020年11月12日となりました。今回初めて、日米同時発売にできたこともうれしく思っています。

 以上が、私がPS5について伝えたかったことです。長くなって申し訳ないのですが、それでは改めてインタビューをお願いいたします。

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――ありがとうございます。まず“PlayStation 5 ショウケース”を終えて、ゲームファンの反応をどのように感じましたか?

ライアンどういう反応があるのかドキドキしながら見ていましたが、皆さんに喜んでいただけたようで何よりです。とくに、価格設定についての反響が大きかったですね。また、発表されたゲームの反響も多くありました。

――日本ではとくに『ファイナルファンタジーXVI』の発表に、大きな反響がありました。『ファイナルファンタジーXVI』について、ライアンさんはどのような期待を寄せていますか?

ライアンスクウェア・エニックスさんとは、初代プレイステーションにて1997年に発売された『ファイナルファンタジーVII』から、緊密な関係を続けてきました。PS5になっても、今後もスクウェア・エニックスさんとのパートナーシップが継続できることに、心が躍る気持ちです。

――また、先ほどのお話のように、価格設定も驚きの声が大きかったです。デジタル・エディションは39980円と、現在のPS4 Proと同じ価格ですし。実際、この価格設定は“攻めた”ものですか?

ライアン私たちは39980円という価格が、非常に良い値段であることを知っています。最初にプレイステーション4を発売したときも39980円でしたし、仰ったようにPS4 Proも39980円です。PS5のローンチのときにも、絶対に39980円にしようと努力しました。ディスクドライブのないバージョンではありますが、努力したおかげで39980円という価格設定にできたことをうれしく思っています。

――お話ではPS4タイトルが99%の互換性がある、というのも驚きでした。ちなみにPS1、PS2、PS3タイトルとの互換性というのはあるのでしょうか?

ライアン私たちはPS5に特化したエンジニアリングを心がけて、デバイスを作り込んでいきました。その中でも、PS4はすでに1億人ものプレイヤーがいますから、やはりPS5でもPS4タイトルを遊びたいだろう、と考えて、PS4互換性を導入したものです。そこを実現しつつ、並行して高速SSDや新コントローラー“DualSense(デュアルセンス)”を取り入れることに注力しました。ですので、残念ながらそれらの互換性までは、実現に至りませんでした。

――ありがとうございます。いよいよ予約開始となりますが、世界的にも問題視されている、いわゆる“転売”についての対策は考えていますか?

ライアン私たちが目指すのは、小売店の皆さんと協力して、できる限りひとり一台、PS5を買っていただくことです。ですので、おひとり様1台まで、ということになるでしょう。ただ、たとえば1台購入してから、もう一度お店に行って列に並び、またもう1台買う、というのは止める方法が難しく、もしかしたら止めることはできないかもしれません。ただ、たとえばひとりで何十台も購入する、という行為はできる限り止めていきたいです。

――では最後に。新型コントローラー“DualSense(デュアルセンス)”の機能などは実際に触れてみないとなかなか感覚が伝わらないと思うのですが、PS5を心待ちにしているプレイヤーが、事前にPS5に触れる機会というのはあるのでしょうか? 

ライアン新型コロナウイルス感染拡大という問題がある中で、いちばん大きな問題がそこです。我々としても、DualSenseはとても自信の持てるデキになったと思っていますし、皆さんにいち早く衝撃を味わってもらいたいと思っています。しかし、新型コロナウイルス影響下の中では、密にならないようにしつつ、社会的に許される機会を設けるというのは正直に言って難しいです。

 ただ、発売日が近くなったころに、たとえばファミ通さんのようなメディアの方々には、なんとか触っていただいく機会を設けたいと考えています。その興奮をぜひ記事にして、皆さんに届けていただければ幸いです。

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[2020年9月18日12時17分修正]
記事の一部表現を修正いたしました。