昨年のE3 2019で、Xbox OneとPC向けに開発中であることが発表され、7月24日に行われたXbox Game ShowcaseでXbox Series Xへの対応が明らかにされた『CrossfireX』は、とても興味深い座組みのタイトルだ。

 そもそも『Crossfire』というのは、韓国のゲーム会社Smilegate Entertainment が開発した、基本プレイ無料のPC向けマルチプレイFPS。2007年のサービスイン以降、全世界で6億5千万人がプレイしたという多くのファンを持つタイトル。日本でもサービスを提供していた時期があるのでご存じの方も多いのではないかと思われる。

 2020年に配信が予定される『CrossfireX』は、オンライン部分は従来どおりSmilegateが担当しつつも、シングルプレイヤーモードにあたるキャンペーンはRemedy Entertainmentが手掛けるという、コラボタイトルとなっている。Remedyと言えば、『アラン ウエイク』や『Quantum Break』、そして最近では『CONTROL』などでおなじみのフィンランドのゲーム会社。上記タイトルを見れば容易に想像がつくかと思われるが、ストーリーや世界観の構築を得意とするスタジオだ。

 そんなRemedyが、既存の他社のIPにシングルプレイ用の世界観やストーリーを構築するというのだから、どのような内容になるのか大いに気になるところ。そんな矢先、『CrossfireX』のキャンペーンの映像が解禁されたのに合わせて、Remedyによるプレゼンが行われたので、その模様をお伝えしよう。

ふたつの民間軍事組織を巡る物語がそれぞれの視点で描かれる

 さて、Xbox One向けに基本プレイ無料で配信予定の『CrossfireX』だが、Remedyが開発しているのは、同作のサービスインに合わせて発売される予定の有料サービス“プレミアムバトルパス”のコンテンツのひとつ。“プレミアムバトルパス”がどのような内容なのかはつまびらかではないが、キャンペーンは、有料コンテンツの目玉のひとつなのではないかと思われる。

 ちなみに、そもそもこのお話は、SmilegateのスタッフがRemedyがかつて手掛けた『マックス・ペイン』シリーズのファンだったことから実現したものとのこと。Remedyにはゲーム業界にもファンが多いんだなあという感じだ。

 「今回のコラボでは、SmileGateと密接に連携を取りつつ、キャンペーンのキャラクターとストーリーを作成しました。もちろん、彼らのユニバースなわけですから。ふたつの会社がいちばん強いところを出し合って協力しています」と力強く語るのは、Remedyのコミュニケーション・ディレクターを務めるトーマス・プハ氏。キャンペーンの目的は、『CrossfireX』の世界に誘うことであるという。

 キャンペーンで展開されるのは、Black ListとGlobal Riskというふたつの民間軍事組織を巡るストーリー。どちらが善でどちらが悪ということはなく、プレイヤーは両方の視点からキャンペーンを経験することになる。

 デモで見せてもらったのは、ルイス・トーレスというキャラクターでのゲームプレイ。トーレスはスキルの高い泥棒でもあり、彼を探すBlack Listにとって重要な人物であり、Global Riskからも追われているという役どころ。Global Riskはトーレスを抹殺したいと思っているが、当のトーレス本人はなぜ自分が追われているのかわかっていないという、謎の立ち位置のようだ。

 バトルの舞台となるのは、トーレスの出身地である“プエト・ヘレナ”という南米の架空の都市で、「この都市は、ブラジルとコロンビアから影響を受けて作っています。南米へのラブレターといったところです」とは、本作にてアートディレクターを担当するミッコ・キンヌネン氏。“ラブレター”というのはなかなかに詩的な表現だが、今回のキャンペーンでは、同じように詳細に作られた、いくつかのロケーションが舞台となっているとのことだ。

 デモでは、トーレスと、彼を執拗に追いかけるジェネラル・マドックス率いるGlobal Riskのメンバーとのバトルが展開。短期間でBlack ListとGlobal Riskのかなり多くの主要メンバーが紹介された。バトルは爽快なスピード感で展開される。プレイヤーキャラクターはそれぞれアビリティを駆使できるようだが、ひとつ印象的だったのが、“コンバットブレイカー”。これはいわゆるバレットタイムで、使用することによって時間がゆっくりと流れ、敵の動きがスローモーションになるというもの。そこはかとなくRemedyらしさを感じさせるフィーチャーだ。

 本作のエグゼクティブ・プロデューサーであるトゥッカ・タイパルヴェシ氏によると、キャンペーンは自社のゲームエンジンであるNorthlightで開発されており、「ストーリーを生き生きと描いています。もちろん描画は60fpsですよ」とのことだ。

画像は配信番組をキャプチャーしたものです。

Remedyのゲームに触れたことのない新しいプレイヤーに遊んでもらえるチャンス

 というわけで、期待も高まる『CrossfireX』だが、最後に3人にお話をうかがうことができたので、以下にお届けしよう。

――SmileGateがキャンペーンの開発をRemedyに依頼したとのことですね。

トーマスその通りです。『Crossfire』は10年以上の歴史があります。SmileGateはこのユニバースを長いあいだ構築してきました。私たちは彼らの資料を詳しく調べて、世界観の時系列をきちんと精査する必要がありました。そして、いわば『Crossfire』の“歴史”をきちんと築きあげて、その設定に合うキャラクターを作り上げました。そして、キャラクターを通して、世界観が明確に捉えられるようにしたんです。

――Remedyはストーリーを重視するスタジオという印象があります。なぜマルチプレイヤーゲームに興味を持ったのですか?

トゥッカSmileGateから、「『Crossfire』ファミリーの一員になって、助けてほしい」という誘いを受けました。彼らが10年をかけて作ってきた世界観を、時系列に沿ってシングルプレイヤーキャンペーンにしてほしいということでした。彼らとの話し合いを重ねていくうちに、「いっしょにやりたい」と意気投合したのです。プロジェクトには5年間取り組んでいます。

 私たちにとってチャンスだと思えたのは、『CrossfireX』が、これまでRemedyのゲームをプレイしたことのない新しいプレイヤーに遊んでもらえるのではないか、ということでした。『Crossfire』は、世界中で非常に多くのファンを獲得しているんですよ。

――もともとあるIPに対して、新たにストーリーを築き上げていくうえで、もっとも注力したポイントは?

トゥッカ時系列全体を理解することですね。彼らがこの世界をどう作ったのかを理解することにもっとも気を配りました。私たちにしてみれば、ほかの人が作ったサンドボックスを使っているわけで、この世界を詳しく知る必要がありました。そこからスタートしました。これまでにあったものを少数精鋭で分析・解剖し、そこから私たちの視点で私たちのゲームとすべくワールドを再構築したのです。さらに言えば、既存のファンが持っている世界観への認識を破壊することなく、これを行う必要がありました。

――キャンペーンが本作にもたらすものは?

トゥッカ『Crossfire』の世界を統合してくれるといいなと思っています。私たちは、彼らが取り組んできたことを検討して、時系列順に構築したわけですが、私たちの仕事が、新旧のプレイヤーにとって興味深いものになっていると嬉しいです。皆さんには、この世界で起こっている闘争や破壊の意味、そしてキャラクターがどんな人物で、どのような動機を持っているのかを理解してほしいです。

――キャンペーンは、ソフトのローンチ後も追加されていくのですか?

トーマス先のことに関してはコメントできないですが、RemedyはSmileGateにシングルプレイヤーキャンペーンコンテンツを長く提供してきました。いつ何をリリースするのかは、彼らとマイクロソフトが決めることになると思います。

画像は配信番組をキャプチャーしたものです。