ゲームをプレイしていて、急ぎすぎていることはないだろうか。重厚なPC用MMORPGでも、ライトなスマホゲームでも、最初こそ初見攻略を楽しむものの、それ以降は効率のいい周回方法を真っ先に考え始める。
「ストーリーがすばらしい」と噂の作品をプレイする場合なんかは、ストーリーの続きが気になるからと、攻略情報を検索して最速で進めたりもする。
このような経験に覚えがあり、少しでも首をかしげたことがあるあなたにこそ、DMM GAMESから2020年7月21日に配信される最新作『巨神と誓女』が必要だ。
本作はPCブラウザとAndroid版で展開予定の基本無料RPG(ゲーム内課金あり)だ。
簡単に説明すれば、巨大な敵“巨神”に、特別な力を持つ女の子“誓女”の力を借りて立ち向かっていく、王道ファンタジータイトルということになる。
しかし、なぜ戦わねばならないのか、“巨神”や“誓女”とはどんな存在なのか。それどころか、そもそもなぜプレイヤーはこの世界に降り立ったのか。本作ではこうした根幹的な部分からして、すべてが謎に包まれている。
そして、そういった謎をひとつひとつ、ゲームを進めていくうちに断片的に手に入ってくる情報をもとに、自ら推測しながら解き明かしていくことになる。
この流れにグッと来るものを感じた知的好奇心が旺盛な人にも、ぜひプレイしてほしい作品だ。
また、スマホゲームで一般的になったいわゆる“スタミナ”が本作には存在せず、遊びたいときにいくらでもプレイ可能。さらに、遊ばずとも放置しているだけでも誓女たちを強化するための素材が集まる、いわゆる“放置ゲー”の要素も持っている。
こうした自分のペースで遊ぶための“自由”について、本作では“7つの自由”が提唱されている。この文言に興味を抱いたという人にも、今回の解説を参考に、ぜひ触れてみてほしい。
なお、本記事の画面写真は開発段階のもの。また、ゲームの性質上、ネタバレは厳禁なので、ぼやけた表現になってしまう点はご容赦いただきたい。
すべてが謎の世界“フレストニア”へようこそ
まずは本作の世界観から解説していこう。本作の舞台となる世界“フレストニア”は、ひたすらにモノクローム(白黒)の風景が広がる虚無の世界だ。
そこに降り立ったプレイヤーは、突如として世界を徘徊する巨大な存在“巨神”との戦いを強いられる。その際に力となってくれるのが、プレイヤーと同じくフレストニアに降り立った“誓女”たちだ。
誓女たちは、これまでの生きた証の具現化と思われる武装“神器”をそれぞれ持つ。強い使命感や何らかの行動指針も持っているものの、記憶の大半が失われている。名前もあくまで彼女たちが“名乗った名前”に過ぎない。
中には「自分は死んだはず」といった旨の発言をしたり、さらにはサイボーグのような誓女やドラゴンとともにある誓女も登場したりなど、その姿や世界観もちぐはぐ。
彼女たちがなぜこの世界に導かれたのか、それ自体も大きな謎のひとつだ。
そして彼女たちが立ち向かう“巨神”もまた、謎だらけの存在だ。呼称や見た目には誓女と同じく統一感がなく、存在理由も一切不明。
巨神たちは戦闘中、不可思議な言葉“巨神の謳”を発する。この巨神の謳を集めることで、それぞれの巨神が持つ物語の章が、ひとつずつ解放されていく。
その内容や世界観もまたバラバラだが、その中には特定の誓女が登場したり、あるいはこの世界の謎に関係しそうな情報も断片的に見受けられたりと、じつに興味をそそられる。
巨神と戦い、その謳を聞くうちに、誓女もまた記憶を断片的に取り戻していく。そうして誓女の人となりが徐々に明かされるほか、記憶の断片をすべて集めることで、ごほうびとして一枚絵が解放される。
こちらにもまた、ほかの誓女や世界そのものの謎に関わりそうな内容のものが含まれており、初見時には「あっ!?」とつい声が出てしまいそうになる、驚くべきものも。
世界観をはじめ、ほとんどが謎に包まれた状態から始まる本作だが、その謎は誓女とともに巨神と戦う中で、自然と、ひとつひとつ解き明かされていくことになる。
本作はゲーム全体が大きな謎解きとなっている。パズルのピースをひとつずつはめ込んでいくような知的興奮要素にゾクゾクする人には、たまらない内容だ。
快適なプレイを支えてくれる“7つの自由”
壮大なスケールの謎解きを楽しむうえで、ゲームの中身もそれを邪魔せず、むしろ謎解きのおもしろさに寄り添うシステムにまとまっている。一貫したテーマとなっているのが、本作が提唱する“7つの自由”だ。
ここからは7つの自由の紹介とともに、本作の基本的なシステム面も解説していこう。
1.スタミナの自由
本作にはほかのゲームで言うところの“スタミナ”にあたる、プレイ回数を縛るリソースがない。曜日ごとにの日替わりバトルに1日2回の出撃回数制限があるくらいで、あとは好きな巨神を選び、いくらでも戦ってドロップ素材を集めることができる。
また、誓女の育成については、戦闘で経験値を得てレベルアップしていく形式ではなく、素材で強化する方式になっている。つまり、無理して育てたい誓女を直接出撃させる必要はなく、文字通り“好きなときに好きなように”バトルすればいいのだ。
2.バトル操作の自由
本作のバトルは、一切画面に触れなくても自動でターンが進行していく。バトルの要は誓女の行動順に一定確率で発生する“リングコマンド”だ。
このコマンドで青いボタン“発動”をクリック(タップ)するか、そのまま放置しておくと、誓女はリングの左に表示されている確率でスキルを発動する。
別の場所をクリック(タップ)すると、ボタンが黄色い“託す”ボタンに入れ替わる。これを押すとスキル発動を見送る代わりに、つぎにコマンドが表示された誓女のスキル発動率がアップする。
また、誓女が巨神の謳に共鳴することで、リングコマンドに3つ目の虹色のボタン“想い出す”が出現することがある。これを選択すると、記憶の解放と爆発的な想いとともに、各誓女固有の強力な技が発動する。
さらに戦闘が進むと、何らかの条件が満たされることで“Ωリング”という別のリングが出現。このリングが表示されている画面を連打すると“シンクロ率”が上昇し、巨神に大ダメージを与える誓女たちの協力攻撃が発動する。
ちなみに、Ωリングからの攻撃はとくに画面を連打しなくても十分な威力が出る。つまり、戦闘中は放置しておくだけでも、リングコマンドで自動で“発動”を選び続け、Ωリングの協力攻撃も発生するオートバトルが展開していく。完全放置しておいても問題ないわけだ。
だが、いざ“託す”も使ってみれば、かなり戦略的に戦える。誓女がスキルを発動すると、ほかの誓女たちも続けてスキルを発動する連続攻撃“チェイン”が発生する可能性があるからだ。
このチェインの発生率や、連鎖率をアップさせるスキルなども存在するので、そういった要となる誓女に“託す”をつなげるのは重要な戦術になる。自動・手動の切り替えも必要なく、好きなように楽しめるのが、本作のバトルにおける最大の魅力だろう。
3.ゲーム難易度の自由
巨神に挑む際には、巨神のレベルをスライダー型のUIで好きなように設定できる。簡単なレベルならスライダーが青色、適切なレベルなら緑色、危険なレベルなら黄色や赤に点灯するので、挑む際の基準もわかりやすい。
4.ストーリーの自由
本作のストーリーには、順序だてて用意されたチャプターなどが存在しない。どの巨神に挑んで謎を追うか、判断はプレイヤーに委ねられている。たとえば、特定の巨神と一切戦わず、謳を集めなかったりしても問題ない。
というわけで、判明していく謎の順番もプレイヤーによってバラバラになるだろう。あるいは特定の謎を知らないために、まったく違った解釈が生まれることもあるかもしれない。千差万別のストーリー展開を楽しめるのもまた、本作の自由さゆえなのだ。
5.少女育成の自由
バトルの自由にもつながる要素だが、本作では誓女たちの育成やビルドについてもかなり幅が広い。
巨神を倒して得た素材で彼女たちが持つ“神器”を強化していくと、“グリフ”という記憶の断片が手に入る。これを各誓女のコスト上限までなら、好きなようにセットできる。
グリフには基礎能力値を上げるものや、戦闘中に一定確率で発動させられる“スキルグリフ”、チェイン発生率アップなどのパッシブ(自動発動)能力など、数多くの種類が存在する。
神器それぞれの固有グリフと自由にセットできるグリフの組み合わせで、誓女のカスタマイズ幅は非常に広い。どのルートの神器を解放して育成していくか、育成計画で大いに頭を悩ませてほしい。
6.遊びかたの自由
本作のメインはあくまで巨神との戦いだが、巨神と戦わなくてもいい自由もある。本作で拠点となっている列車内では、誓女たちが生き生きと暮らしているほか、バトルとはまた異なるコンテンツが用意されているのだ。
まず、列車最後尾の“庭園”では、のんびりリラックスしている誓女たちを眺めることができる。ほかの車両内にも誓女がいたりするので、意外な誓女同士が仲よくしている様子なども見ることができるだろう。
さらにおもしろ要素が詰まっているのが、先頭車両の“ひみつきち”だ。いかにも何か起こりそうなオブジェクトが、ぎっしり並んでいる。
たとえば、“プランター”。素材を植えると作物(?)が育ち、一定時間後に別の素材を収穫できる。
それとは別に、ここでは“不思議な宿り木”で素材を獲得することもできる。対応したグリフを強化できるアイテム“ミスティックグリフ”の中から、いらないものを10個まとめて放り込むことで、ランダムで別素材が出現する。
また、ほかのプレイヤーとスコアランキングで競い合えるミニゲームの筐体が3種類用意されている。時間を忘れて打ち込むのも一興だ。
ゆったりした時間を過ごしたいなら、“ヒストリーメーカー”と“本能の間”も選択肢に入るだろう。これらには、ゲームを進めていくと手に入る各種イラスト素材やスタンプなどを好きなように配置できるお絵描き機能を使用する。
“ヒストリーメーカー”では誓女や巨神のアイコンを自由に並べ、相関図などを組み立てることができる。プレイヤーが解き明かした謎や気になる要素、特定の人物同士の関係性などを、ここに記録して整理しておけば、ストーリーの推測がはかどるに違いない。
“本能の間”では誓女や巨神の、大きめのイラスト素材などを自由に並べて遊ぶことができる。ここで製作したオリジナルの一枚絵が、列車内のモニターに表示される背景画像になったりと、なかなかに遊び心もあふれている。
7.そもそも遊ばなくてもいい自由
巨神とのバトルやミニゲームなど、遊ぼうと思えばいくらでも時間を割ける本作だが、そもそも忙しいときなどには、ログインすらしなくても大丈夫だ。
本作では、これまた謎の存在である緑色の妖精“モフル”たちが、これまで戦ったことがある巨神の素材を集めてくれる。プレイヤーが巨神と戦っていたり、あるいはログアウトしている間も進行する、いわゆる“放置”の要素だ。レアな素材もしっかり集めてきてくれたりするので侮れない。
一生に一度の、やり直しのないゲーム体験を!
さまざまな自由のおかげで、自分のペースで楽しめる本作。そのぶん謎解きや推測に打ち込めるからこそ、外部からのヒントなしでプレイを堪能してほしい。
もっとも、他者の推測を知るのも刺激になるだろうし、従来のRPGのように攻略情報を検索し、最速で謎解きを進める自由もまたある。本作は本当に懐が深い。
また、筆者がとくに気に入ったのが、“気付く”ことの気持ちよさが随所に仕込まれていた点だ。
巨神の謳にはときどきどこかで見たような単語が含まれていて、「まさかこいつは、あの誓女の……?」と気付くことができた。また、誓女の隠された物語を解放してみると、意外な誓女とのつながりが判明し、その誓女の謎が「そういうことだったのか!」と明らかになったこともある。
謎が増えて深まっていくと同時に、順次いくつかは解き明かされていくため、もやもやとした気持ちが積もりすぎることがない。さらに、そうして気付いた要素から推測を重ね、後で物語が解き明かされた際の“答え合わせ”で正解だったときの、脳内を突き抜けるような感覚。これがじつに気持ちいいのだ。
こうした気持ちよさの邪魔にならないよう、快適にプレイできる仕様がしっかりと入っていたのも好印象だった。
パーティーやグリフの自動編成機能が便利なのはもちろん、強化画面で素材が足りないとき、素材の名前の横にある虫眼鏡型のアイコンをワンクリックするだけで、その素材を落とす巨神とのバトル準備に移行できる。こうしたストレスフリーの設計の数々が心地いい。
なお、UIの文字サイズがブラウザでのプレイを中心に想定したためか、Android版だとやや小さく読みづらい印象もあったのが唯一引っかかった点ではあったが、とくにプレイするうえで支障はなかった。
プレイが快適だと、列車内で過ごす誓女たちの豊かなリアクションや、レベルを上げると増えていく巨神の個性的すぎる(というより予想がつかない)攻撃演出などの演出を、余裕を持って受け止められる。
その演出もしっかりと謎解きの鍵になっていたりと、まったくもって油断がならない。
他者と競い合ったり、焦ったりすることもない。先長くともマイペースで、世界そのものに関わる壮大な謎に向き合っていける旅路。自由な本作を、どう遊び、どんな結末へと辿り着くのか。
これまでにない体験やプレイ感覚が味わえること請け合いの『巨神と誓女』。皆さんそれぞれの独自の解釈と物語を、ぜひ刻みこんでほしい。リアル脱出ゲームなどと同じく、答えにひとたび辿り着いたらやり直しが効かない“一生に一度だけの体験”が、あなたを待っている。