CD PROJEKT REDが開発を手掛けるオープンワールドRPG『サイバーパンク2077』。本作はナイトシティと呼ばれる巨大都市を舞台に、主人公Vの物語が一人称視点で描かれることが大きな特徴のひとつ。

 物語の導入部をプレイできたプレビュービルドでも、ゲームの没入度の高さに驚いた。その体験プレイを踏まえ、開発者のひとりであるリードクエストデザイナーのPawel Sasko氏に、本作のクエストについてうかがった。

Pawel Sasko

『サイバーパンク2077』リードクエストデザイナー。
※Pawelの「l」はストローク付き



――プレビュービルドは4時間という短い時間での体験プレイでしたが、それでも本作の没入度の高さを実感できました。

Pawelそれはとてもよかったです! まさにそれが私たちの意図でしたから。

――では、本作のクエストについてお伺いします。プレビュービルドでもいくつかのサイドクエストがプレイできました。平均的なプレイ時間で比較した場合、メインクエストとサイドクエストの割合はどれくらいでしょうか?

Pawelウィッチャー3 ワイルドハント』(同社による開発)では、プレイヤーの方々が我々が作るサイドクエストを高く評価していただけました。本作でもその経験を活かしてサイドクエストをより豊富に盛り込んで、ゲーム内でより強調していきたいと考えています。メインクエストに関しては、『ウィッチャー3』のときに長すぎるという声も多くあり、3分の2程度で十分だったという意見が目立ちました。これらのフィードバックを活かして、『サイバーパンク2077』ではメインのストーリーのボリュームを抑えつつ、その他のサイドクエストやアクティビティなどオープンワールドの探索要素を多く用意しています。その中には、フィクサーからの依頼やサイコハント(賞金稼ぎ)やギャング襲撃なども含まれます。プレイ時間で比較した場合でも、サイドクエストの合計のほうが長くなっているでしょう。その結果、『ウィッチャー3』よりもサイドクエストがメインクエストに与える影響が大きくなっています。

 また、『ウィッチャー3』よりもさらにストーリーが複雑に分岐していくため、プレイヤーの選択がより重要になっていますし、エンディングの数も比べ物にならないほど増えています。ストーリーだけで比較すれば『ウィッチャー3』よりも短く感じる方もいるかもしれませんが、ゲーム全体のボリュームで見れば、プレイヤーがこの世界(ナイトシティ)でできることが圧倒的に多くなっています。

――サイドクエストがメインクエストに影響を与えるということは、やり逃すと後からプレイできないようなサブクエストも当然ありますよね?

Pawelもちろん複数あります。ただ、基本的にはプレイヤーがいつ、どのタイミングでメインクエストを行うのかは自由に設定しています。メインクエストだけでなく、ほかの部分もプレイヤーの行動次第で変化していくため、たとえばその時点で今後のクエストに登場するはずだった人物を殺してしまっていた場合などは、メインやサイドのクエストではまた別の展開が待っています。

――ライフパス専用のサブクエストはありますか?

Pawelはい、あります。クエストだけではなく、シーンという単位で見ても各ライフパス専用のものがありますね。物語を進めていくなかで、プレイヤーが選択したライフパスが“意味のあるもの”であることを強調したいと考えました。ロールプレイをしやすくする(Vに感情移入しやすくなる)ためのものと言ってもいいでしょう。そういう意味で、会話での選択肢を含めてライフパスが影響する部分は多くあります。

――くり返し行ってレアなアイテムを狙うような、ハックアンドスラッシュ的なクエストや要素はありますか?

Pawelあくまでもナラティブ主導のRPGであるという性質上、やはり物語がゲームのメインに据えられています。そのため、くり返し何度も行えるようなものはクエスト単位で見ればありません。ただ、とあるアクティビティでは――これも物語に紐づいていますが、それが終わったあとに訪れてもプレイして賞金を稼ぐことができます。

――クエストの制作やゲームをデザインするうえで、インスピレーションを受けた映画やコミック、ゲームなどの作品はありますか?

Pawel本作の開発を始めるにあたり、映画、書籍、アニメ、ゲームなどさまざまなリサーチを行いました。もっとも影響が大きかったのは、やはり原作である『サイバーパンク2.0.2.0.』(テーブルトークRPG)や、 原作者マイク・ポンスミス氏の著書ですね。ゲームのビジュアルやスタイル面で言うと、『AKIRA』が筆頭にあげられると思いますし、私個人も何度も観るほどこの映画が大好きです。そして、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や『ブレードランナー』の新旧作、『ジャッジ・ドレッド』なども本作に大きな影響を与えている作品です。挙げだすとキリがないのですが(笑)、ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』から始まるサイバーパンクに関する小説や、マンガの『EDEN』などもそうですね。

――本作は一人称視点(FPP/First Person Play)にこだわりを持った作品だと感じました。FPPだから苦労した点や、FPPだからこそ実現できた点などはありますか?

Pawelとてもいい質問ですね! 私自身が本作の会話システムを制作したひとりなのですが、FPPであることから、何よりもプレイヤーの没入感を高めることを意識しました。プレイヤーが実際にVの靴を履いて、ゲームの中に入り込んでいるような体験をしてほしい。それはFPPだからこそできることです。まさにその場に自分がいるかのように、フリーカメラで視点を動かしながら会話するといったことも、FPPならではのゲームデザインだと思います。プレビュービルドでプレイしていただいたメイルストロームのギャング、ダムダムとロイスとの対峙の仕方はまさにほかの視点では体験できないような臨場感が味わえたのではないでしょうか。

 会話だけでなく、ゲームのすべてがFPPであることを前提に作られています。その顕著な例は、ゲームの冒頭でリパードクのヴィクターとのシーンです。実際に自分の眼球にサイバーウェアをインプラントするこのシーンは、まずFPPという概念があったからこそ生まれたものでした。ただし、それは難しい面でもあって、だからこそよりクリエイティブにならざるを得なかった部分が多く、苦労しましたね。とは言え、FPPだからできることに制限があったとはまったく考えていません。どうゲームを見せるか、どう物語を語っていくか、というところに考えかたをシフトさせていきました。

 FPPであるということは、つねにプレイヤーが中心にいます。本作はプレイヤーの行動や選択次第でつねに変化していきますので、そのゲーム性とFPPは見事にマッチしていると思います。

『Cyberpunk 2077』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)

『サイバーパンク2077』関連記事