ツインスティックを手掛けたタニタが、新たな会社を設立しゲーム機の制作に着手!?

 体組成計や活動量計などといった、さまざまな計測機器を通して人々の健康作りに貢献する健康総合企業のタニタが2020年4月1日、同社の公式Twitter(@TANITAofficial)にて新会社“サウザンスマイルズ”を発表。ゲーム機を作っているという書き込みが行われていた。

 公開タイミング的にエイプリルフールのネタではないかとも思われたが、タニタといえば一昨年に突如、『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機』専用ツインスティックを開発すると発表。

 クラウドファンディングを利用して、製品化を実現させてしまったという実績があるだけに、今回の発表ももしかすると真実なのかもしれないと思い、真偽のほどをタニタに直撃。

 すると、新会社設立は本当のことで、Twitterで呟かれていたゲーム機も、実際に製作しているとのこと。ゲームメーカーではないタニタが、今度はいったい何をしようとしているのだろうか。担当者に話をうかがってみた。

――4月1日に新会社“サウザンスマイルズ”を発表されましたが、これは本当のことなんですか?

担当者本当です。じつは、サウザンスマイルズは昨年の8月に設立したのですが、今年の1月に開催されたCES(Consumer Electronics Show)2020に、タニタという名前を伏せて出展もさせてもらいました。

――タニタ名義ではなく、新たな会社としてCESに参加されていたのですね。どういった経緯で、新会社を作られたのでしょうか?

担当者弊社社長の谷田(千里)はもともと、チャレンジングなことをしたいという発想の持ち主で、これまでにもいろいろなアイデアが出ていたのですが、健康総合企業のタニタとしては実現が難しいというものが多くありました。そんなところに、CES 2020でベンチャー企業が集うという企画がありまして、このゲーム機を開発したいという社員のチャレンジを谷田が後押しするかたちで、新しくベンチャー企業を立ち上げました。

――会社名のサウザンスマイルズですが、こちらはどのような意味があるのでしょうか?

担当者Thousandには、“無数の”や“多数の”という意味があります。またThousand Milesは、“数えられないほどの距離”や“どれだけ離れていても”という意味を持っています。これに少し手を加えて"thousandsmiles"という造語にし、“たくさんの笑顔をつくる”会社にしたいという意味を込めました。じつはもうひとつ、別の意味もあるんですけどね(笑)。

――今回発表されたゲームコンソール機ですが、これはどういったものなんでしょうか?

担当者これは楽しんで計測するというコンセプトを具現化すべく製作した試作機で、プレイヤーの生体情報を取り込み、その情報をもとに選択されたキャラクターを使って楽しむアクションゲームとなっています。プレイヤーの体組成データによってキャラクターが決まるのですが、ビジュアルは全部で9タイプあり、力の強さや身軽さといった身体能力が異なります。ゲーム内容は、自動的に走っていくキャラクターを操作して、障害物を回避しながらゴールを目指すというシンプルなものとなっています。

こちらが、サウザンスマイルズが製作したゲーム機。両サイドにあるグリップ部が体組成データを計測するセンサー部。天板部分についているキーパッドは、身長などの数値の入力に用いられる。

プレイヤーの生体情報によってキャラクターの性能が異なるというのが、このゲームの肝になっています。たとえば細身のキャラクターは障害物を避けやすく、ガッシリとしたキャラクターは力があり、障害物を壊すことができるといったように、それぞれに特徴があるのですが、普通にゲームを遊ぶ際のキャラクターセレクトとは異なり、自分の体組成データが反映されるという点で、より親近感を持ってもらえるということを意識して作りました。

プレイヤーの身体情報に基づき、右上のウィンドウにある9タイプの中からゲームキャラクターが選ばれる。左から右に行くにつれ体がガッシリとしていき、また上から下に行くにつれ足の長さが短くなっていくなど見た目が変化。それぞれのキャラクターによって能力も異なっている。

――タニタの体組成計の技術を盛り込んだゲーミングコンソール機というわけですね。

担当者当社はこれまでの製品を通じて、さまざまな身体情報を計測するという技術と知見を培ってきましたが、それらは計測機器への応用が主でした。でも、これらの情報をエンターテインメントに応用したらおもしろいことができるんじゃないかということで、何ができるのかを確かめるために用意したのが、このコンソール機というわけです。

ゲームはアクション制のあるオートランタイプとなっており、障害物を回避したり敵を倒すなどしながら、ゴールまで駆け抜けていく。身体情報によって選択されたキャラクターは、パワーや俊敏性の高さなど、身体情報によってキャラ特性が異なってくる。

――今回のコンソールやゲームは、自社で開発をされたのですか?

担当者基本的にはそうです。ただ、試作機ということと、CESの出展に間に合わせるため、弊社の製品の部品や市販のゲーミングコントローラなどを流用して、急いで作りました(笑)。

――まったくの新会社としてCESに出展されてみて、反響はいかがでしたか?

担当者エンターテインメントと健康管理を結びつける新たなコンセプトということで、多くの企業に声をかけていただきました。ただ、私たちはこれまでもタニタとしてCESに出展しているので、なかにはタニタだと気がつかれる方もいらっしゃいましたが(笑)、これまでにないおもしろい取り組みとして興味を持ってもらえましたね。

――見た目は完全にゲーム機そのものですが、ゲームメーカーからもお話はありましたか?

担当者ゲーム関係の企業の方からもお声がけいただきました。健康に関心を持ってもらうのに、ゲームを取り入れるのは最適な手段だと思っています。また、アミューズメント施設やイベントでの利用などまで含めれば、さらにおもしろい展開ができるのではといった期待もあるので、積極的にお話をさせてもらっています。

――タニタは過去にもセガサターン体組成計を手掛けられるなど、ゲームファンにも“はかる”きっかけを提供してくれましたが、そこから先に踏み込んで、楽しみながら計測するという試みは非常におもしろそうですよね。

担当者タニタという会社は、非常に真面目なモノ作りをしています。“セガサターン体組成計”は、ゲームが好きな人たちに健康面にも気を配ってもらえる計測機器を提供できないだろうかということで開発したものになります。ただ、こちらはあくまでも体組成計測のための計測機器でした。今回は新たに起業したベンチャー会社になるので、もっとエンタメ方向に振った挑戦ができるものと思っています。

――健康とゲームの組み合わせということで、今後が非常に楽しみですね。この先はどのような展開を考えられていますか?

担当者CESの出展を終え、興味を持っていただいた企業と今後についての話し合いを進めていこうとしていたのですが、現在の状況下では細かな打ち合わせが難しいこともあり、まだ具体的な企画などは進展していません。ただ、試作機を用意してそれで終わりというわけではありませんし、会社を立ち上げた以上は当然、収益化も検討していかなければなりません。まずは、これからいっしょに取り組めるパートナー企業を見つけて、ひとりでも多くの方が楽しく健康に興味を持ってもらえるような取り組みを目指していきたいですね。