いよいよ今週2020年4月10日(金)、スクウェア・エニックスからプレイステーション4用ソフト『ファイナルファンタジーVII リメイク』が発売される。本稿では、事前プレイできた担当ライターがその魅力を動画とともにお届け。本稿と動画にはネタバレを含んでいるので、ご注意ください。
『FFVII』オリジナル版が発売されたとき、私はまだ高校生で何ヵ月もかけてじっくりと遊び尽くしたことを覚えている。その後、社会人になったころに『FFVII アドベントチルドレン』を筆頭とした多くの関連作品がリリース。そのほとんどを体験し、私の中での『FFVII』像がアップデートされた。しかし、それすらもう10年以上前の話。
そして、5年前、『FFVII リメイク』の突然の発表。それ以降、新発表がある度に大きな話題となった本作がついに発売される。私のように青春時代にオリジナル版に触れ、よき思い出として残ってる作品に、いま触れるのは楽しみはもちろん、若干の怖さも。果たして『FFVII リメイク』はどんな作品だったのかを、プレイした範囲でお伝えしていきたいと思います。
一切の違和感なく描かれる緻密な世界
最先端の技術で描かれる美麗なグラフィック、と表現するのは簡単だが、私が本作の映像からとくに感じたのは“リアルさ”。ここでのリアルさは、現実世界と同じということではなく、どこかに本当にこういう世界があるのではないか? という生々しさだ。しかも、すれちがう人々は話しかけなくてもおのおのが会話をしている。物語に関わる内容の話が聞こえ、思わず聞き耳を立てることも少なくなかった。また、バトルだけでもいったい何曲あるの!? というくらいコロコロとBGMが変化し、視覚だけでなく、聴覚でも満足感を味わわせてくれる。
スラムでタフに生きる人々、モンスターを追い払う自警団、スラムを見張る神羅の兵士、優雅な暮らしを送る神羅の社員などなど……。人の動きや発言だけでなく、町並みや看板、ポスター、小物などの作り込みにも注目してみると、想像は膨らむばかり。少し足を止めて周囲を観察すれば、ミッドガルという巨大な街にしっかりとした人の営みが築かれていることが肌で感じられる。ちなみに、アプローチは独特だが、ミス・ユースケさんが書いた体験版のレビュー記事にも大変共感したので、ぜひご一読を。
アクションが主体となった歯ごたえのあるバトル
グラフィックやフルボイスなどオリジナル版との違いは多々あれど、バトルもオリジナル版からは大きく変化している。フィールドの移動中、敵に遭遇するとそのままバトルがスタート。左スティックで移動、対応するボタンで攻撃やガード、回避が行える、アクションゲームに早変わりする。巨大な剣を振り回すクラウド、遠距離から銃を乱射するバレット、すばしっこく動き回りながら連続攻撃を叩き込めるティファ、通常攻撃でも魔法を放てるエアリスといった具合に、キャラクターによって手触りがまったく異なり、操作する仲間は瞬時に切り替え可能。どの場面、どの相手で誰を操作するかを考えながら戦うのが楽しい。敵によっては、こちらを拘束する攻撃を仕掛けてくることもあり、捕まった後、瞬時に操作キャラクターを切り替えて救出、といったプレイを考えずにできるようになったりすると、自分の腕前の上達も感じられてうれしい。
これぞ『FF』! というコマンドバトルの要素を残している点も秀逸。コマンドは、時間の経過や攻撃、防御を成功させたときに溜まるATBゲージを消費して実行。コマンドを選んでいるあいだは自動で“ウェイトモード”になり、時間の流れが極めて遅くなるので、ゆっくりと使用するコマンドと対象が選択できる。といっても、完全に時間が止まるわけではなく、ほとんどのコマンドには予備動作が入る点には注意が必要。攻撃を受ける直前にウェイトモードを発動してしまい、とりあえず回復しておくか……とケアルを指示したものの、攻撃を受けたうえにケアルの詠唱を中断される、といった経験をしたので、コマンドの指示はしっかりと状況を見て行う必要がありそうだ。
なお、直接操作していない仲間は、自動で通常攻撃やガードを行うが、ウェイトモード中なら、操作していない仲間にコマンド使用の指示を出すことも可能。ちなみに、アクションが苦手なプレイヤー向けの“CLASSIC”という難易度では、オリジナル版のようにコマンド選択だけでバトルが進められる。
ATBゲージを消費するコマンドは、アビリティや魔法のほか、アイテムの使用も含まれる。そのため、ATBゲージがないときには仲間のHPを回復する手段がない。攻撃に夢中で、ピンチになってしまったのにATBゲージがなく回復できずにやられる、といった経験をたくさんしたので、ATBゲージをどう運用するかが本作のバトルのカギを握っていることは間違いないだろう。
もうひとつバトルを語るうえで外せないのが、“バースト”。敵に攻撃を当てると溜まっていくバーストゲージが満タンになると、その相手は“バースト状態”に移行。しばらくのあいだ無防備になり、与えるダメージが通常よりも大きくなる。ザコ戦はバーストゲージを満タンにしなくても切り抜けぬけられることも多かったが、物語の節目で戦う強敵との戦いは話が別。ちょっとやそっとの攻撃ではびくともしないので、おのずと「いかに手早くバースト状態にして、高威力の攻撃を叩き込むか」ということを考えるようになる。
また、どういった攻撃を当てるか、いつ攻撃を当てるかでバーストゲージの増加量は変化。相手が体勢を崩し、“HEAT”と表示されているあいだはゲージが増えやすくなる。体勢を崩す条件も相手によって異なるため、おのずといろいろな戦いかたを試すことになり、思わぬ発見をしたり、新たな戦術を考えつくこともあった。
オリジナル版にも存在した、“リミットブレイク”や召喚獣の呼び出しといった要素も健在。どちらも専用のゲージが溜まるまでは使用できない大技で、戦況を一変させる効果を持っているだけでなく、演出もド派手。ちなみに、リミットブレイクの発動に必要なリミットゲージは、オリジナル版とは違ってバトル終了時にゼロになるので、あらかじめゲージを溜めておくことはできなかった。
ひと通りバトルシステムを紹介してきたが、ザコ戦でも油断できない相手が多く、個人的にはバトルの難度は少し高めだと感じた。これは、ついついゴリ押ししてしまいたくなる私のプレイスタイルにも原因がある。本作のバトルはアクション部分も多いが、RPGらしく戦略性を持って戦わないと、ジリ貧になってしまう。私の場合は、無理に回避しようとせず、ガードを重視する戦いかたに変えると戦闘不能になることも少なくなった。キャラクター操作の切り替えやコマンド指示など、まだまだ自分のバトルで改善できる点は多く、改めて本作のバトルの奥深さを実感しているところだ。
バトル中にOPTIONSボタンを押し、“バトル直前からやりなおす”を選択すると、そのバトルがスタートする直前の状態に戻れる。弱点属性の魔法をセットし忘れたとき、貴重なアイテムが盗めることがわかったときなど、手軽に再挑戦可能。このシステムのおかげで、いろいろなアプローチがしやすく、本作のバトルがより楽しめるようになった。
幅広い選択肢がある装備システム
マテリアは、『FFVII』を象徴するシステムのひとつで、本作にも登場。武器や防具にある“マテリア穴”にマテリアをセットすると、新たなアビリティや魔法が使えるようになったり、HPがアップしたりする。バトルで“AP”を獲得するとセット中のマテリアが成長する点もオリジナル版と同じで、ランクがアップするたびにグングン性能が上がっていく。マテリアは自由に付け替えが可能で、「エアリスには各属性の魔法マテリアをセットして弱点を突きやすくする」、「タフなバレットにはHPマテリアをセットして長所を伸ばす」など、どのようにマテリアを活かすかはプレイヤー次第。「あれもこれもセットしたくてマテリア穴足りない!」と頭を悩ませるのも20数年ぶり……。ちなみに、パーティーのマテリアを一括でセットし直せる機能も用意されているので、管理は楽ちん。
マテリアは、魔法マテリア(魔法が使えるようになる)、コマンドマテリア(アビリティが使えるようになる)、支援マテリア(組にしたマテリアに支援効果が得られる)、独立マテリア(HPアップや魔力アップなどの効果が得られる)、召喚マテリア(条件を満たすと召喚獣が呼べる)の5種類に大別できる。マテリア穴さえ空いていれば付け替えは自由。防具の穴の数は入手時から変わらないが、武器は後述する強化によって穴を増やせることがある。
武器は、手に入る種類こそ多くないが、強化システムによって長く使っていけるのが特徴。各キャラクターは“SP(スキルポイント)”を持っていて、武器強化画面でSPを振り分けることによって物理攻撃力や魔法攻撃力を上げたり、マテリア穴を増やしたりできる。SPは、武器ごとにキャラクターの最大SP分振り分けられるので、平等に強化可能。最初から持っている武器でも、強化を進めれば新たに入手したものと遜色ない性能にパワーアップ。物理攻撃力が高いもの、魔法攻撃力が高いもの、マテリア穴が多いものなど、武器ごとに特徴付けがされているため、戦う相手やほかのメンバー、マテリアに合った武器にするのがよさそうだ。
寄り道で遊べる要素もたくさん
“なんでも屋”を生業にしているクラウドのもとには、さまざまなクエスト(仕事)が舞い込んでくる。クエストは、クリアーすると報酬がもらえるだけでなく、街の人々との絆を強められ、すれ違うときに「頼りになるなぁ」とか「あいつが噂のなんでも屋か!」と言われたりして、思わずにんまり。また、クエストの中には、街と街のあいだを瞬時に移動できるチョコボ車が利用可能になるものもあったりもしたので、遭遇したクエストはとりあえずクリアーしておいて損はなさそうだ。
ほかにも、フィールドのあちこちにある“神羅ボックス”を壊したり、宝箱から入手できるモーグリメダル集め(とある人物が集めているらしい)やミュージックディスク(ジュークボックスで『FFVII』のアレンジ曲が聞ける)集め、エネミーレポート埋めなど、コレクション要素も充実。私はこの手の要素には弱いので、発売後は徹底的に探しつくそうと決心している。
ジェシーがかわいい
体験版で多くのプレイヤーをメロメロにしたアバランチのメンバー・ジェシー。もちろん私もそのひとりで、今回のプレイを通してジェシー愛はひときわ強くなった。具体的な内容は言えないが、とにかくジェシーという娘は思わせぶりであざといのだ。しかも、オリジナル版でもおなじみのバイクに乗ったままバトルをする場面では、ジェシーとタンデムすることに。バイクバトルは内容をジェシーに審査されるようで、初挑戦のときは「ざんねーん!」と言われた。ジェシーにいいところが見せたくてやり直してみたところ、つぎは「ごうかーく!」。その後のカットシーンも変化するので、その違いはぜひともご自身で確認していただきたい。
全ゲーマーは必ずプレイするように!
物語についても、本作にはオリジナル版のストーリーを知っているからこそ気になるポイント、演出がたくさん用意されていて、いつの間にかに夢中になって没頭した。そもそも、ボイス付きでクラウドたちのドラマが見られるというのがすばらしい! あとは、新キャラクターのローチェ(神羅のソルジャー。クラス3rd)もかなりの個性派で、個人的にはかなりのお気に入りキャラに。トレーラーで話題になったウォール・マーケットでの例のイベントもインパクト抜群。オリジナル版をプレイ済み、もしくはストーリーを知っている人にも間違いなくオススメできる作品です! オリジナル版未プレイ人には、よりオススメ! むしろ白紙の状態から『FFVII リメイク』が遊べるなんてうらやましすぎる!!