2020年3月18日、オンラインカードゲーム『ハースストーン』の新シーズン“フェニックス年”に関する情報が、ついに解禁となった。

 新情報の公開に先駆け、2020年2月下旬にアメリカのロサンゼルスにて“2020 ハースストーン メディアサミット”が開催。フェニックス年の施策が発表されるとともに、新拡張版のカードでの対戦や新環境のバトルグラウンドを体験できた。

 サミットには、日本のインフルエンサーとしてahirunさん、b787さん、蒼汁さんらが招待されており、幸いにも今回のサミットの感想をいただくことができた。日本の『ハースストーン』シーンを牽引する3名には、フェニックス年はどのように映ったのだろうか?

 また、別記事ではサミットでの開発者インタビューを公開しているので、そちらもチェックしてほしい。

b787さん(写真左)
“ハースストーンアジア太平洋冬季プレイオフ”での優勝を始め、数々の大会で好成績を残し続けているプレイヤー
twitter:@b787hs

ahirunさん(写真中央)
『ハースストーン』のイベント企画チームBeerBrickの主催者。日本でも随一の『ハースストーン』情報サイト(https://beerbrick.com/)も運営。
twitter:@ahirunHS

蒼汁さん(写真右)
『ハースストーン』世界選手権の公式実況と解説を兼任するプロストリーマー。“2019 アジア太平洋選手権”でベスト6を記録したこともある実力者。
twitter:@Aojiru2581

ahirunさんによるインプレッション

新拡張版に触れてみての感想やデーモンハンターの使用感、新環境の予想

 最初に触れておきたいのが、やっぱりデーモンハンターの存在ですね。世界中のユーザーから望まれ続けていた新クラスですが、正式リリースから6年になろうとしていた2020年2月の時点でもまったく音沙汰がなく、みんなが諦めていたところでサプライズ的に発表されました。これには、とても驚かされました。

 隣りにいたb787さんや蒼汁さんも、イリダン(デーモンハンター)のトレーラーが出た瞬間は、新しいスキンだと思っていたくらい、新ヒーローの登場というのは想像もしていなかったものでした。

 新たなクラスの存在は、ランク戦に限らず、競技シーンにも大きな変化をもたらすはずです。いつも新鮮なカードを追加してくれる『ハースストーン』の拡張セットがマンネリ化していると感じたことはありませんが、基本・クラシックに強力なクラスカードがある限り限界はあるはずで、そこに新クラスが投入される意義はとても大きいと思います。

 開発側もカード調整には新しいモードを追加する以上のコスト・労力が必要なはずですが、それでも新クラス実装の決断を行ったことにとても感謝しています。

 当初は地味だと思っていた“コスト1・攻撃力+1”というヒーローパワーも、いざ自分自身で使ってみると非常に小回りが利く特性を持ちながら、使いやすいがうえにヒーローの体力がどんどん削られていくというデメリットがしっかり現れていました。

 『ハースストーン』は、“盤面を確保することで優位に立てる”という明確なメリットを提示しているゲームなので、ついつい便利なヒーローパワーを多用しがちですが、そうすると5、6ターン目で体力が20を切ってしまいます。ローグよりも体力管理がシビアで、『ハースストーン』を初めてプレイした頃に感じた体力管理の概念を意識させられるヒーローとなっていました。

 ミニオン、呪文ともに低~中マナに使いやすいものが集中しており、アグロデッキを組みやすいと思わせる反面、ドローソースが少ないため簡単に手札が枯渇してしまう特徴を持っています。

 これには、わかりやすい方向性は示しつつ、簡単に強いデッキは作らせないよという開発者のメッセージを受け取った気がしました。早く好きなだけデーモンハンターをプレイしてみたい気持ちでいっぱいです。

 ワタリガラス年のカードがスタンダード環境から去ることもあり、新環境がどうなるかはまったく予想できません。

 “灰に舞う降魔の狩人”は、カードパワーが高いかどうかは別として、年の初めにしては落ち着いた拡張セットだなと思いました。いままで年の初めの拡張パックは1年、または2年を通して使えるコンセプトカードが投入されていましたが、今年はそうでもなさそうな印象を受けました。

 個人的には、開発陣が口をすっぱくして言っている“拡張ごとの新鮮なプレイ体験”がより強く感じられそうなので、とても楽しみです。

サミットの感想やフェニックス年での変更、栄誉の殿堂入りなどについて

 サミットそのものは、新しい『ハースストーン』の試遊だけでなく、ふだんは話す機会のない開発陣や、日本のメディアの方と話せてとても楽しかったです。レジェンド以外のダブり防止、ランク戦の変更や休眠プレイヤーへのデッキまるごと付与など、ゲーム部分以外でもユーザーへのアプローチをしっかり行う姿勢を見られたのも、とてもうれしい点です。

 栄誉の殿堂入りは、とくに“リロイ・ジェンキンス”、“精神支配技士”の姿を見たときに「ついに来たか」と思いました。“リロイ・ジェンキンス”やローグの“影隠れ”は、殿堂入りがあるだろうと予想していましたが、クラス固有カードより中立カードを優先したのは、個人的にとてもよい事だと思いました。

 同様に、プリーストの変更も素晴らしいと感じました。使いにくいクラスカードが多く、いつも“コンボプリースト”に落ち着く様は遊んでいるほうもそれほど楽しくありません。固有ヒーローパワーがほとんど活躍していないヒーローなので、今回の変更には期待しています。

b787さんによるインプレッション

新拡張版に触れてみての感想やデーモンハンターの使用感、新環境の予想

 フェニックス年の目玉はやっぱり新クラス・デーモンハンターだと思います。自分が『ハースストーン』を始めた頃に噂されていたことがある新クラスなのですが、忘れかけていたこのタイミングでの導入は、予想外すぎて本当にびっくりしました。

 サミットでは実際に新拡張のカードを使ってプレイをさせてもらえましたが、1マナのヒーローパワーなど、いままでにない新要素がとにかく楽しかったです。長い歴史があるほかの9つのクラスにゼロからついていくために、全体的なクラスカードのカードパワーが高くなっている点が印象的でした。

 年度が変わるこの時期は、スタンダードカードが入れ替わることもあって、環境の予想が本当に難しいです。

 今回は、さらにクラスが増えるということで、もう本当に何が起こるかわかりません。正直お手上げですね(笑)。デーモンハンターが注目されるとは思いますが、ほかのクラスにも興味深いカードがたくさんあったのでそちらも注視していきたいですね。

 サミットで開発チームのChaddさん直々に、強いカードの組み合わせやデッキなどを教えてもらうことができました。自分の好みにとてもあったデッキがあったので、それを使うのが個人的にはとても楽しみです。

サミットの感想やフェニックス年での変更、栄誉の殿堂入りなどについて

 中立カードの栄誉の殿堂入りは、少し意外なカードのほうが多い印象でした。

 “精神支配技士”は開発チームが説明されていた通り、試合をひっくり返す力と、使ったり使われたりしたときの楽しさのバランスが合っていないと以前から感じていたので、うれしい殿堂入りです。

 ほかの4枚のカードは役割が固定化されすぎているがゆえの殿堂入りのようですね。どれも古くから馴染みがあるカードたちで、とくに“リロイ・ジェンキンス”は同じ名前の番組に出演したこともあったので、少しさびしいです。

 フェニックス年に導入される変更で、個人的にうれしいのはパック開封アップデートですね。ほとんど『ハースストーン』に課金しない自分は、いままで不必要なカードを魔素に変換しながら必要なカードを集めていましたが、このアップデートにおかげで、解消されそうでうれしい限りです。

 サミットの感想は「とにかく楽しかった!」です。朝から夕方まで会場にいましたが、それだけじゃ足りませんでしたね。「もっと遊びたい!」と終始思っていました。

 新環境をひと足さきに遊べるだけじゃなく、『ハースストーン』の開発チームの方々に会えて直接お話しできる機会は滅多にありません。その場を用意してくれたブリザード社には感謝しかないです。本当にありがとうございました。

蒼汁さんによるインプレッション

新拡張版に触れてみての感想やデーモンハンターの使用感、新環境の予想

 サミットで公開された情報の中では、デーモンハンターの追加がもっとも衝撃的でした。数年前の開発陣のインタビューでは、新クラスの追加は検討していないという話もあったので、想定もしていない方向からのアップデートに思わず叫びました。イリダン・ストームレイジ。彼こそ圧倒的悪のカリスマ。

 新能力“異端”も独特の性能。マリガンやカードのプレイといった基礎的な要素に工夫が求められる、おもしろい仕組みになっていると思います。いかに強力な異端カードを端まで持っていくか、というパズル的な要素もありました。

 サミットの試遊では、カードを3枚引くと同時に“異端”の効果でそれらのカードを3コスト減らすことができる“グルダンの髑髏”が圧倒的なパワーを誇っていました。

 そのほかにも優秀なカードが多く、強力な武器を活かしたローグのようなテンポのよさ、ドルイドのようなトークン戦法、パラディンのようなトリッキーな戦術に、ウォーロックの如くライフ管理が求められるという印象でした。

 サミットでは、未公開のカード含む新拡張のカードに触れることができ、既存のカードを活かしたエキサイティングな新シナジーも散見されました。

 すでに公表されているカードの中で注目したいのが“コボルトと秘宝の迷宮”以来、追加されていなかったローグの秘策。新たな戦術に期待しています。

サミットの感想やフェニックス年での変更、栄誉の殿堂入りなどについて

 素直にガッツポーズです。我々は、ついに“精神支配技士”の恐怖から解き放たれたのです。黎明期から活躍していた“山の巨人”や“リロイ・ジェンキンス”とお別れするのは少々さびしいですが、環境が一新される良質な調整とみて間違いないでしょう。